――ポケモンセンター(ニビシティ)

ジョーイ「お待たせいたしました。お預かりしたポケモンたちはすっかり元気になりましたよ」

唯「ありがとうございます」

ボールを受け取り、ペコリと頭を下げた

唯「とうとう明日はジム戦だよ、みんな」

ボールの中のポケモンに話しかけた

ジョーイ「あらっ、ジムに挑戦するのね。でもあなたのポケモンでは少し辛いかも知れないわね。」

唯「?」


――ニビジム(翌日)

唯「たのも~~~~~!!」

声を張り上げながら、ジムの扉を開いた。

???「君は……挑戦者か?」

そこにいたのは、細い目をした男

唯「えっと……あなたは?」

???「俺の名前はタケシ!このニビシティのジムリーダー タケシだ!」

そう言いタケシはバトルフィールドの向こう側へ歩いていく

タケシ「さぁ、挑戦者。フィールドへつくがいい。おれの かたい いしは おれの ポケモンにも あらわれる! 

かたくて がまん づよい! そう! つかうのは いわ タイプ ばっかりだ!」

「いけっ、イシツブテ!!」ボンッ

繰り出されたのはゴツゴツとし丸い岩石のポケモン

対し、唯はタケシと反対の場所につき、3つのボールを出し眺めていた

唯「うーん、誰がいいかなぁ……」

言うと、一番右に持っていたボールがかたかたと揺れた。

唯「おっ、やる気だね~!じゃぁ、君にきめたよ」

「いって、ビー太!!」ボンッ

ビードル「ビィー!!」フンス

やる気まんまんででてきたビードルは、少し鼻息をあらくした。

タケシ「本当にそのポケモンでいいのか……岩タイプに虫タイプとは、俺もなめられたものだな」

「やれっ、イシツブテ!たいあたりだ」

岩の体がビードルに襲い掛かる。

唯「ビー太!!突っ込んで来たところにどくばりを打ち込んで!!」

タケシ「そんなものが硬い岩に通るかっ!!」

イシツブテに向かって飛ばされた、どくばりはその体に命中するが、はじき飛ばされ、たいあたりの勢いは止ま

らずビードルの小さな体に激突する。

唯「ビー太っ!!」

ビードル「!!」

岩の体のタックルに、こらえきれずその体が地面を転がった。

唯「ビー太!!大丈夫!?」

ビードル「ビィィ!!」

力強く鳴いたその声は、唯にまだいける といっているようだった。

タケシ「もう、おわりか?もう一度たいあたりだイシツブテ!」

イシツブテが命令に従い、もう一度その身をぶつけに来る。

向かってくる体に、わるあがきに針を打ち込むがはじかれ、ビードルの体が地面に転がる

先ほどの光景が繰り返された

唯「ビー太!!もう戻ってきていいよ!!もうボロボロなのにそれ以上やったら――」

ビードル「ビー!!」

唯の叫びに、ビードルはイヤイヤというように、首をふる

そして、もう一度頭の針を構え、

ビードル「ビィィィィィィィイ!」

強く、声高に鳴いた。

その姿は鳴いたというより、慟哭に近い声

そして、ビードルの体が光りはじめた

唯「――ビー太!!どうしちゃったの!?ビー太!!」

ビー太の芋虫の体が、光りが収まると蛹の体になっていた。

タケシ「そうか、虫ポケモンの成長は早い……進化したんだな……」

唯は図鑑を開き、その姿を確認する

No.014 コクーン
じぶんでは ほとんど うごけないが 
あぶないときは かたくなって 
みを まもっているようだ。

唯「……これが……進化…!コクーン……!」

初めての進化に唖然としていると、タケシから檄がとんだ

タケシ「なにをしている、今はバトル中だぞ!!」

はっ、として唯もバトルに再び集中する

タケシ「進化しようが、虫は虫だ!!イシツブテとどめをさせ!」

3度目になるたいあたりの指示がとぶ

それに従い、イシツブテが体をぶつけにくる

唯「……!!ビー太、かたくなる!!」

コクーン「コクーーーーン!!」カチン

そして3度目の衝突

タケシ「なにっ!!」

今度はコクーンは吹っ飛ばされることはなかった

動じることもなく、その場に存在していた

そして

――ピキピキッ

タケシ「!!――イシツブテ!」

イシツブテの体にひびが入る

タケシ「くっっ!!戻れイシツブテ」

唯「やった!!よくやったね、ビー太!!」

コクーン「クーン!!」

ボールにイシツブテを戻し、タケシが新たなボールを容易する

タケシ「まさか、こちらが負けるとはおもっていなかったよ。さぁ、次のポケモン。こいつが俺の切り札だ。いけ、

イワーク」ボンッ

イワーク「イワーーーク!!」

まず目についたのはそのでかさだった。

10m近くあるであろうその体はそれだけで、威圧感を持っていた

唯「あわわ、さすがにまずいよこれは。戻ってビー太!」

あわてて、ボールに戻しもう一度ボールを見比べる

ボールの中のヒトカゲが唯に目を合わせたとき頷いた。

唯「いってくれるんだね。GO!ヒー太!!」

ヒトカゲ「カゲー!!」

イワークに比べ、小さな体が呼び出された。

その差はゆうに5m以上はある。

タケシ「今度は炎タイプか。また岩タイプには相性が……いや、先ほどはこの油断のせいで負けたんだったな。

今度は慢心もなく、はじめから全力でいかせてもらうぞ」

「イワーク、がんせきふうじ!!」

イワークの巨躯から放たれた岩石がヒトカゲに向かって飛んでいく

唯「よけて、ヒー太!」

ヒトカゲもそれに答えるように次々とかわす

タケシ「ほぅ、すばやいな。だが……」

まだイワークの攻撃は終わらない

そして辺りには――

唯「しまった……スペースがどんどん狭くなっていってる!」

イワークから飛ばされた岩石があたりにゴロゴロと放置されている

タケシ「そう!!がんせきふうじとは、ポケモンに直接攻撃するだけではなく、その後のポケモンの動きを制限

する技。これで今までのようなフットワークは発揮できまい」

「いけ、イワーク。そのヒトカゲをしめつけろ!!」

巨躯が岩岩の間を蛇のように這う。

そして、尾から頭でヒトカゲの周りに円を描いた

タケシ「しめあげろ!!」

イワーク「イワーーーーーク!!!!」

辺りにばらまかれていた岩を巻き込みつつ、ヒトカゲを締め付けた

唯「ヒー太!!火の粉」

締め上げられたヒトカゲが懸命にしっぽを一振りした

タケシ「無駄だ!!イワークに火の攻撃など効きやしない」

唯「なら、ヒー太その目の前の岩の体に向かってひっかいて!!」

ヒトカゲ「カゲーーッッ!!」

一振り、二振り、三振り、四振りと爪による攻撃がイワークを襲う

タケシ「むぅ、ちょこざいな。無駄だということがわからないのか。イワーク、たたきつけろ!!」

ヒトカゲはそのまま宙へ放り出され

岩の尾により地面にたたきつけられた

唯「ヒー太っ!!!」

砂煙が舞う

そこにはシルエットがある。

一つは岩蛇の巨体、そしてもうひとつは――

タケシ「ほぅ、まだ立ち上がれるか」

そこには、立ち上がるヒトカゲの影もあった

唯「ヒー太……!!……やっぱり……やっぱり勝ちたいよね!……うん、勝とうよ」

ヒトカゲ「カゲーーーー!!」

今までのダメージでその身を軋ませ、なお鳴いた

まるでそれは返事をするかのように

勝とうとする意思を表した

唯「ヒー太!砂埃が晴れる前に、煙幕を張って!!」

茶色く舞う煙に黒の煙が混ざり合っていく。

唯「さっき何度もひっかいた場所は覚えてるよね。ヒー太」

確認するかのような言葉をヒトカゲは受け取った

そして、それを『そこを目指せ』という指示として受け取る

タケシ「っく、これではまったくフィールドが見えん」

煙幕の帳につつまれ、タケシは困惑する

その時

ヒトカゲ「カゲーーーーー!!!」

もう一度ヒトカゲが鳴いた

それは合図

唯「勝つんだ……!ヒー太これで決めるよ!メタルクロー!!」

――ザンッ

真っ黒の舞台に音だけが響き

次に

――ドシン

大きなものが倒れた音がした


そして舞台は晴れる

そこにあるのは、ボロボロのまま立ち尽くすヒトカゲと

頭から数えて8つめの岩

しめつけられた時に、ヒトカゲがひっかいていた部分

が、砕けたイワークが倒れていた。


――ニビジム

タケシ「おめでとう、これがジムリーダーに勝利した証、グレーバッジだ」

唯「やったーー!!とうとう一つ目のバッチゲットだよ!!」

タケシ「それにしても、虫タイプと炎タイプの使用者に負けるとは……俺もまだまだ修行が足りないということか」

唯「いえっ、えっとなんて言っていいかわかんないけど、強かったです。それこそヒー太とビー太ががんばってく

れてなかったら……」

タケシ「その頑張りを引き出したのも君の力だ。きっと君はいいトレーナーなんだろう」

「さぁ、次のジムならお月見山をぬけたところにあるハナダシティだ。炎タイプでは苦労するかもしれないが……

いや、君にはいらぬお世話だな」

タケシの細い目が弓を描いた。

「おっと、話が長くなってしまったな。もう行くがいい」

唯「はいっ、ありがとうございました」




「VSイワーク」〆



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最終更新:2011年06月12日 01:20