――25ばんどうろ

キョロキョロとしながら、唯は走っていた

少女の後ろについたリザードもおちつきなくあたりを見渡しながら、後を追う

唯「あああ、どうしよおおお、あるとしたら25番道路か24番道路だと思うんだけど~」

情けない声を発しながらつい5分前のことを思い出す

………

……


――みさきのこや(5分前)

マサキ「ポケモン図鑑落としたやて!?」

小さな小屋がマサキの声で満たされた

唯「うわああ、どうしよう……どこに落としたんだろう……」

マサキ「それはまずいでえ、あれは相当な貴重なものやし、使いようによっては悪用だってできてしまう。
もし悪人に拾われたら……」

唯「マサキさん、どうしよう~~~!」

マサキ「とりあえず、落ち着くんや。そんで最後に使った場所をおもいだしてみぃ」

あたふたとしていた唯が、えっと、と考え込み

唯「ここに来るとき24番道路でヒー太が進化したときにはあったから……」

マサキ「なんやっ、24番道路の時点であったんなら、可能性があるんは、24番道路と25番道路だけや!」

「今から急いで探しながら、戻ってみぃ」

唯「うんっ!そうするよ。マサキさんいろいろありがとうね~!!」

言って、ドアの外へと走り出す。

その背中にマサキは

マサキ「お~、気をつけていきやー」


――24番道路(ゴールデンボールブリッジ)

風のように25番道路をかけぬけてきた少女が急に足を止めた

唯だ

唯は肩で息をしながら、地面にかがみこみ

それを拾い上げる

唯「あったああああ!!、よかったよぉ~」

地面から拾ったものはポケモン図鑑。

唯「本当によかったよぉ~!ヒー太が進化したときに、落としちゃってたんだ……」

ほっと、一息ついた唯の袖を傍らにいたリザードは引っ張った

なにかを伝えようとしている

唯「なに、ヒー太?なにかあったの?」

問いかけながら、リザードの視線を追う

その先

水辺を挟んだ草むらに人がいる

???「フーディン!!みらいよち」

髪の長い綺麗な黒髪の女性がいた。

唯「(なにかとたたかっている?)」

目を凝らし草むらをじっと見る

すると

???「ゴルバット、つばさでうて」

今度は男の声が飛び出た

唯「(この声は……どこかで……)」

思い出そうとしていると

草むらから口の大きく開いたコウモリのモンスターが飛び出した

そして黒髪の女性の目の前にいたモンスターに突撃をかける

黒髪の女性「フーディン!サイケコウセンでうちおとせ!」

少女の前で両手にスプーンを構えているポケモンから、攻撃がはなたれる

しかし

???「遅いっ!ゴルバットかわせ!」

空を自在に飛び回るゴルバットと呼ばれたポケモンは、体をすこしずらしただけでよけてしまう

そして、つばさをかまえフーディンに突撃をかけたところで

さらに軌道を変えた

その狙いは

黒髪の女性「――っ!!」

大きくひろげられた羽が指示を出していた女性のおなかにつっこんだ

唯「なっ!!」

傍で見ていた唯が、驚きの声をあげる

そして

唯「大変!!ヒー太。りゅうのいかりであのコウモリを狙って」

リザードの口から生まれた炎弾がゴルバットめがけて飛んでいく

その攻撃はコウモリのつばさをかすめ

???「――!!だれだっ!こいつの仲間か!?」

男が叫ぶ

???「ゴルバット!ひくぞ」

男の声がもう一度響くと、ゴルバットがもう一度草むらの中にもぐりこんだ

そして

コウモリの両足に捕まった男が草むらから空へと飛び出した

黒服にRと書かれた服を纏っているその男と目があう

男は唯を一睨みすると

???「今の攻撃はお前か………ふん、まぁいい目的のものは手に入った。飛べゴルバット」

どんどん高度を上昇させていく

黒髪の女性「―――」

なにか小声で呟き、そのことでフーディンが動きを見せる。

そして

黒髪の女性「」バタリッ

その場に倒れてしまった

唯「ヒー太っ、行くよ!!」

はっ、とした唯がリザードを連れ、川を大回りしながら草むらにダッシュした


――ハナダシティ(ポケモンセンター)

黒髪の女性「……んっ……ここは……」

寝かせられていた女性が目を覚ます

唯「あっ、よかった。目が覚めたんだ~」

そういって唯は上から覗き込んだ

黒髪の女性「えっ?」

まず顔が目の前にある状況に疑問がでた

そして意識がはっきりとしていくと共に

自分の今の状況が理解できていく

後頭部にやわらかい感触、そしてそれはあたたかく

黒髪の女性「……ひざまくら……?」

確認をこめた疑問の言葉を発しながら、ガバッと起き上がる

唯「うん、そうだよ。それにしても目覚めてくれてよかったよぉ~。もう少しで私の足も限界を迎えるところだったよー」

ニコニコしながら言う唯とその側にひかえているリザード、自分のモンスターであるフーディンを見て
女性は一息ついた

黒髪女性「……あのときの攻撃はあなたね。」

女性はあっ、といい

「自己紹介がまだだったわね、私の名前はナツメよ。あのときはありがとう助かったわ」

ナツメと名乗った女性が頭を下げた

唯「私は唯だよ。……ところでナツメさんはあんなところで何をしていたの?飛んでいったあのトレーナーは?」

聞きたいことはいくつもあるが、まず出てきた疑問はこの二つだった。

ナツメは少し困った顔をした。

その様子は話すか話すまいか決めかねているようだった

ナツメ「……そうね、あなたもアイツに姿を見られたんじゃ、無関係ではいられない……わね」

「いいわ、話しましょう。私が予知した未来ともに」

そういうと

ナツメ「唯、あなたは超能力って信じるかしら?」

唯「……?……昔テレビで見たことがあるよ。スプーンを曲げたり、物を浮かせたりする力でしょ?う~ん、あればいいなとは思うし、信じたいとも思うよっ」

目を輝かせて話す唯に

ナツメ「ふふっ、唯。あなたは変わってるわね」

ナツメの表情が柔らかくなった

ナツメ「私はね、その超能力が使えるのよ」

唯「えぇ~~、ナツメさんがっ!!」

素直に驚く唯にナツメはスプーンを出してみせる

そして

唯の目の前に浮かせ、曲げた

唯「わぁお、すごい!すごいね、ナツメさん!!」

キラキラとした目をみて、ナツメはもう一度ふふっ、笑い

ナツメ「やっぱりあなたは変わってるわね」

唯「えぇ~、そんなに変わってないと思うんだけど……」

ナツメ「あら、少し話が逸れてしまったわね」

唯「あっ、そうだった。それでさっきの続きは……」

ナツメ「私は見てのとおり、超能力が使えるの。それこそ遠くのものを動かしたり、箱や壁にかこまれた中を透視したり」

「そして、予知能力……とかね」

意味深に告げた言葉に唯が息を呑む

ナツメ「そう、その予知能力で、とあることを予知したの。唯、あなたロケット団は知っている?」

唯「えっと……たしかポケモンを犯罪に使ったり、実験を行っている組織だよね。
……でも、たしか何年か前に解散したって……」

ナツメ「そう、ヤツらは2年前私の住んでいる町、ヤマブキシティを襲い、大会社シルフカンパニーを占領した」

「だけど、一人の少年によって、街は開放されロケット団もボスがいなくなり壊滅した。ということになっていたの」

唯「なって……いた?」

ナツメ「えぇ。だけど、最近になりところどころでその残党が目撃されているの。……ジョウトのほうでも、どうやら目撃されているみたいだけど……」

そして、とナツメは繋ぐと

ナツメ「私はその噂が耳に入ってきたときに2つの夢を見た。その夢の一つはミュウと呼ばれるポケモンを捕えようとしていること。もう一つはあるものを手に入れようとしてハナダの洞窟に入っていく夢だった」

そこで唯は ミュウ……と口にすると

一つのこと思い出す

唯「あぁ!!さっきの人の声、おつきみやまで聞いた声だ!そのときもミュウって言ってた」

おつきみやまでのピッピの儀式、その時聞こえた声を思い出していた

ナツメ「……やっぱり、やつらはミュウを狙っているのね」

唯「でも、そのミュウってポケモンでなにをしようとしているの?」

ナツメ「やつらはね……人工的にポケモンを作ろうとしているの」

唯「人工的に……つくりだす……?そんなことができるの?」

首をかしげる唯にナツメは

ナツメ「……数年前にミュウの遺伝子からとあるポケモンが作り出されたことがあるの」

ポツポツと語るナツメの口調は重い

ナツメ「作り出されたポケモンは、最強と呼ぶにふさわしい力をもっていた」

だけど

ナツメ「そのポケモンは決して人に懐くことはなく、
暴れ回り、そしてハナダの洞窟の最奥に生息するようになったの」

唯「そんな……じゃぁ、さっきのたたかっていたあの場所の近くは……」

ナツメ「そうよ、今もそのポケモンが生息しているわ」

そして

ナツメ「やつらは、ボスのいない今、力を求めたんでしょうね。でも、あのポケモンは決して人には懐かず捕まえることはできない」

「だから、やつらは新たに、ミュウを捕獲し、今度は自分達に忠実なモンスターを作ろうとした」

そこで唯に疑問が生じる

唯「あれっ、でも捕まえられないなら、なんであの場所に……」

ナツメ「やつらの目的はそのモンスターじゃないのよ……」


そう、と告ぎ

ナツメ「やつらがほしかったものは、破壊の遺伝子」

「その最強のポケモンの遺伝子よ」

「やつらはその遺伝子をも、組み込んでポケモンを作るきなのでしょうね」

ナツメ、唯、ともに深刻な顔になり場が静まる

その沈黙を先に破ったのは唯だった

唯「……あの人、逃げる前に目的のものは手に入った って言ってた。それってつまり……」

ナツメ「ええ、やつは手に入れていたわ」


唯「そんな、じゃぁ、そのポケモンを作る計画っていうのが、進んじゃうんじゃ……」

ナツメ「いいえ、まだ大丈夫だわ。やつらはあの様子じゃまだミュウを手に入れていない」

それにね、とナツメは続け

ナツメ「これ」

そういってナツメが唯の目の前にちらつかせたのは小さな小瓶のような容器だった



「VSゴルバット」〆



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最終更新:2011年06月12日 01:25