――どこかの空

ゴルバットの足に捕まり飛ぶ男がいる

???「くっ……あの女、やってくれたな……」

男の手には折れ曲がったスプーンが一本

――ランス、いっぱい食わされたようだな

男の腕につけられたポケギアとよばれるものから声が響く

ランス「あの女、覚えていろよ……そしてもう一人の女も……」

ランスの悪意は唯にも向けられようとしていた。


――5番道路

ナツメ「私は一度ヤマブキシティに戻るから、ここでお別れよ」

「あなたはクチバを目指すのだから、地下通路だったわね」

ハナダの南部にあるヤマブキゲートの前でナツメはそう言った

唯「うん、ナツメさんも気をつけてね!」

ナツメに背を向け、さよならを告げる

ナツメ「えぇ……唯あなたも気をつけてね」

そういったナツメは唯の背中を眺め、フーディンに手をつき

ナツメ「あなたとはまた会えるわ。ごきげんよう、唯」

フッと消える

唯がもう一度振り返ったときにはナツメの姿は消えていた

唯「いっちゃった……。よーし、わたしも頑張るぞーー」

手の中に握られた小さな容器を一度見つめ、それごと腕を振り上げた


さかのぼること一時間前

………

……

ハナダのポケモンセンターで、唯はナツメに尋ねた

唯「その入れ物は?」

唯の目の前に出された容器について尋ねる

ナツメ「これが、破壊の遺伝子よ」

その言葉に、唯はへっ?とまぬけな顔をした



そして

唯「ええっ~~~~!!あれ、でもさっきの男の人が持って行ったって……えっあれ?」

困惑している唯を傍目にナツメは楽しそうに笑う

ナツメ「あらっ、手に入れていた とは言ったけど、持って行ったとは言っていないわ」

唯「えっ、でもどうしてナツメさんがそれを」

ナツメ「この子と、そうね、あなたのおかげといってもいいかしら」

そういいながらナツメはそっとフーディンを撫でた

唯「?」

ナツメ「簡単な”トリック”よ。……そうトリックなの」

いまいち言っている意味を理解していない唯にナツメはフーディンに手を置き、言葉を続ける

ナツメ「この子はね、トリックって言う相手と自分の持っているものを取り替えられる技が使えるの」

「つまり、ヤツが飛んでいったときにヤツの持っていた破壊の遺伝子とこのフーディンの持ち物と取り替えたってこと」

唯は思い出す。ナツメが倒れる前なにかを呟いていたことを

唯「あっ!あの時だね!」

でも

唯「ナツメさんはこれからどうするの?もしあの人にすり替えたことがばれたら……」

ナツメ「そうね、私もヤマブキで今までのように ってわけにはいかないかもね」

「そこそこ名前も知れてしまっているし」

後半は小声で言ったので唯の耳には届かなかった

すると唯が

それなら と言い

唯「わたし一緒に行こうよ!これでもわたしバッチ2つも持ってるんだよっ」

エッヘンといいながら胸を張る

ナツメ「あらっ、唯はジムを巡っているの……ね」

ナツメは意外そうな顔をして、唯を見た

唯「あ~っ、今意外そうな顔をしたね~」

ごめんなさいとナツメは笑いながら言い、

ナツメ「そういうことなら、唯に守ってもらうっていうのもいいかもしれないわ」

そして、でも、と継ぐと

ナツメ「それならこっちを守ってもらおうかしら」

差し出したのは、さきほどの液体の満たされた容器に入った破壊の遺伝子だった

ナツメ「おそらく、私はこれから狙われ続ける……だから、これを唯に守ってもらいたいの」

そういって、ナツメは唯の反応をまつ

そして唯は

唯「……私にできるかな……?」

ナツメ「ええ、唯。私はあなたに託したいとおもったから頼んでいるの」

そして唯はナツメの手に己の手を伸ばし

唯「うん、わたしがきっちりこれを守るよ」

……

………

時は戻りヤマブキシティ

さきほど唯と別れたナツメはヤマブキシティの民家の中にいた

ナツメ「ごめんね、唯。危険なものを預けてしまって……。
でも、私はあまりにも皆に顔が知られてしまっている……」

そう呟いたナツメは、机の前まで歩いていき

ハサミを手に取った

そして自分の長い後ろ髪にあて、

ナツメ「こうすれば――」

バッサリと切った

ナツメ「多少はマシにもなるでしょう……。短くすると毛先がはねてしまうけど、しかたないわね」

そうしてナツメは祈る

ナツメ「唯、どうか無事で」


――クチバシティ(ジム前)

唯「さぁ、クズクズとしているというわけにもいかなくなったし、ジム戦も済ませてしまおう!」

オー と一人でいいながら、目の前の大きな施設を見る

唯はポケモンセンターでポケモンたちを回復させ、クチバジムの前

ここが電気タイプのジムということは、先ほどのポケモンセンターのジョーイさんから聞いていた

ジムの前に掲げられた看板を声にだしてよむ

唯「いなずま……あめりかん?」


唯「たのも~~~~!!」

いつもと同じようにジムに入る

そこには

???「オー……用心深い ミー としたことが…… 
なんて タイミング での挑戦者ネ!!」

ジム内を見渡してみれば、そこには大量のゴミ箱

そして、そのゴミ箱を漁るアメリカ人がいた

???「システムの調整中のタイミング に来るとは、ユーはラッキーガールネ」

「カモーン!! コート は こっちネ」

サングラスをかけたガタイのいいアメリカ人は唯を奥に招き入れた

唯「………」

唯はしゃべらない

なぜなら

唯「あわわわ、外人さんだよぉ~……英語…英語……」

???「ヘイ、ガール。早くコッチに来るといいネ!」

案内されたのは地面が土で固められたバトルフィールドだった

???「バトルのルールは ワン オン ワン いいネ?」

唯がコクリッとうなずくと

「オー……自己紹介がまだでしたネ、ミーの名はマチス。元アメリカの空軍少佐ネ」

名乗るマチスはサングラスをとりながら言う

マチス「ヘイ、リトルガール! ミー は センソウちゅう エレクトリック ポケモン を つかって 生き延びたネ!」

「ミンナ ビリビリ うごけない。 ユー の ポケモンも 同じ道を たどる。 ちがいない」

「さぁ、ゴー ネ! ライチュウ!!」

ライチュウ「ライライッ!!」

繰り出されるのは1mくらいのネズミのモンスター

オレンジ色の体毛と、長いしっぽが特徴的だ

唯「わぁ!!ライチュウってことは、トキワの森で見たピカチュウの進化系かな~」

「抱きつきたいよ~~」

フカフカしていそうなモンスターを見、いつもの唯のクセがでそうになる

唯「おっと、ジム戦を忘れるところだったよ……」

「今回も勝つよー!!行ってリュー太」ボンッ

ミニリュウ「リューー!」

ミニリュウをフィールドにだし、図鑑でライチュウの情報をチェックする


No.026 ライチュウ
からだに でんきが たまってくると 
こうげきてきな せいかくにかわる。
くらいところで ひかってみえる。


マチス「準備は イイみたいネ!なら、さっそくゴー ネ。 ライチュウ、でんこうせっか!!」

長い耳でその言葉を捕らえたライチュウは走り出す

そのスピードは体格に左右されず、速い

唯「リュー太、こっちも神速で対抗して!」

地を這う竜が、風を気って突撃した

両者ぶつかり合う

マチス「オー!ユー も なかなか の パワー ネ!」

そういったマチスにはどこか余裕がある

マチス「でも、ビリビリには 気をつけるネ!」

激突の反動とともに後ろに下がる2匹

だが、ミニリュウの様子がおかしかった

マチス「これは ラッキー だヨ!さっそく マヒ状態ネ。この勝負はミーが手にするネ」

唯「……」

痺れ、動かないミニリュウにライチュウの攻撃が襲い掛かる

マチス「ライチュウ、10万ボルトでさらに ビリビリ させてあげるネ!」

黄色い電気袋から、バチバチと音が鳴る

そして、尾を地面につけ

ライチュウ「ラーーイチュウウ!!!」バリバリ

放った。

その圧倒的な電撃がうごけないミニリュウを襲う

マチス「ドラゴン が 電気に 強いって言っても、さすがにこれは 大ダメージネ!!」

「さぁ、ライチュウこれで終わりにするネ」

マチスが指を鳴らすと、ライチュウの筋肉がふくれあがる

マチス「気合パンチ ネ!!」

出された命令に、ライチュウはミニリュウに近づき、パンチの構えを取る


その時、いままで黙っていた唯が呟いた

――……来たね


呟きの後に続くのはのは、叫び

唯「いまだよっ、リュー太!!りゅうのいかり」

下された指示にミニリュウは動き出す。

さきほどのしびれなどなかったかのように。

そして、パンチの構えをしているライチュウのおなかに青い衝撃波をぶち込んだ

隙だらけだったライチュウが吹き飛ばされ

マチス「ノー!! ユーのポケモンはさっきまでビリビリだったのネ! ワーイ!?」

唯「だっぴだよっ!前にピカチュウと戦ったときもビリビリしびれちゃったもんね、リュー太。今まで黙っていたの

もリュー太をだっぴに集中させたかったから」

マチス「ブラボー!! 今まで ユー を 少し 甘く 見ていたネ」

ライチュウはすでに起き上がっていつでも攻撃に移せるようにマチスの指示を待つ

ミニリュウもまだ勝つ気満々といった様子で唯の指示をまつ

そして一斉に指示が飛ぶ

唯・マチス「こうそくいどう!!」

まったく同じタイミングで同じ命令が下された

ライチュウは地を駆けるようにスピードにのり

ミニリュウは地を這うようにスピードにのる

2匹の姿がぶれる。

ゆらりっ と消えたかと思うと、シュンッ と消える

唯「神速!!」 マチス「でんこうせっか!!」

最初の激突が何倍ものスピードを得て再び繰り返されようとしていた


高速の世界で2匹はぶつかり合う。

――ドンッ

まずは音が響いた。そしてそこに残された結果は

マチス「オー ノー!!シット!!」

そこにはライチュウが目を回し、伸びていた

唯「やった……やったっ!勝ったよ、リュー太~!!」

決着のついたフィールドに、唯はかけよりミニリュウに抱きついた

ミニリュウ「リューー!」


――クチバジム

マチス「ユー の 強さ は トゥルース! つまり 本物 ネー!」

そういって、豪快に笑うマチスに唯は

唯「お~、さんきゅー、さんきゅー」

困り気味に、知っている基本的な単語を並べる

マチス「オッケー オレンジバッチ やるヨ!」

オレンジバッチをマチスから受け取り

唯「やった、これで3つめのバッチゲットネ!!」

「……あれ?口癖うつちゃったっ!?」


「VSライチュウ」〆



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最終更新:2011年06月12日 01:27