――1番道路

前日クチバのジムでバッチを手に入れた唯は

すでに、ディグダの穴を抜けマサラタウン目前にまで戻ってきていた。

半日前にクチバを出発してからずっと歩きっぱなしだが

唯の気分は上々で、ディグダの穴でついた頬の泥すらも気にならないようだ


そして

唯「わぁ!!見て、久々の帰還だよぉ~リュー太!!」

クチバからずっと出しっぱなしのミニリュウに首をむける

ミニリュウ「リュー♪」

ミニリュウの機嫌も上々だ

すでにマサラタウンが1人と1匹の目に捉えられていた


――マサラタウン

見慣れた道、懐かしい町を歩きながら唯は唸る

唯「う~ん、まずどうしよっか?先に憂のところに顔を出すべきか、
それとも先にオーキド博士の所へ行って、用事を済ませてから家でゆっくりするべきか……」

迷う唯にミニリュウが、リューー、と一度鳴く

唯「うん、そうだね。それじゃぁ、まずオーキド博士のところへ行きますかっ!」


――オーキド研究所

唯「おーい、博士~」

ドアノブに手をかけ、引きながら言う

中には白衣を纏う初老の男

オーキド博士だ

オーキド「おぉ!!唯じゃないか。どうじゃ、旅の調子は?」

尋ねるオーキドに唯が胸を張った

唯「じゃっじゃーん!すでにバッチも3つ手に入れて絶好調だよっ!」

オーキド「ほほぅ、そうかそうか」

孫を見るような暖かい目で微笑むオーキドに、唯は言葉を続けた

唯「それで今日は博士に2つほど用があって来たんだ」

「博士、ミュウってポケモン分かる?」

オーキド「!!」

驚いた顔をすると、続けて

オーキド「そうじゃ、そのことでワシも話があったんじゃ」

と言った。

唯「……話?」

オーキド「そうじゃ。お月見山の件は、あのツインテールの娘、梓君といったかな?あの娘から聞いておる」

そして

「率直に言うと、君がお月見山でみたピッピに変身したモンスター、それはおそらくミュウじゃ」

唯「……あれが……ミュウ!…………そうなんだ」

そして、急に唯の顔が変わる

唯「――繋がったよ……」

なにかを確信した表情をし

唯「……あのとき、わたしとあずにゃんは岩陰で聞いた……あの人はミュウの目撃があったから足を運んだって……」

お月見山のこと思い出す

唯「やっぱり、あの場所にいたんだ……」

オーキド「なんじゃ?なにがあったんじゃ、唯。話してくれんかの?」

唯「博士はロケット団って知ってるよね」

少し暗い顔をしながら、今までに知った話をし始めた


――30分後

オーキド「つまり……ロケット団が再び復活しようとしているのじゃな」

説明されたオーキドは確認の意味をその言葉をつくった

唯「うん……それでナツメさんにこれ託されちゃった……」

そうしてオーキドに破壊の遺伝子を見せる

オーキド「そうか、これから君もナツメ君も大変じゃろうが、そいつを守らねばならんぞ、唯」

唯「うんっ!」

強くうなずいた

唯「あれっ?ところで博士はナツメさんを知っているの?」

今度は首をかしげた

オーキド「そりゃそうじゃ。なんたって彼女は――」

――バタン

その時、研究所の扉が開いた

そして

「博士ー!やっぱりどこにもいなかったみたいだ」

振り向いてみるとそこには

唯「りっちゃんっ!?」

律「唯っ!?」

互いに驚きの声を上げた


そして久しぶり会ったに律の腕には、一匹のポケモンが

唯「ああああああ!!博士、もう一つの用事、用事!あ、あの子!!」

律に抱えられていたイーブイを指さし唯が落ち着きなく言う

オーキド「なんじゃ?落ち着いて話をするんじゃ」

唯「あ、あの子、マサキさんから預けられたポケモンだよねっ?ね?」

「マサキさんにここへくればゲットできるかもって!」

律「なんだ唯、イーブイをゲットしにきたのか。でも残念だったな、すでにこのイーブイはこのりっちゃん隊長のポケモンなのだっ!」

そういって抱いているイーブイを頬ずりした

唯「えぇーー!りっちゃんずるいよぅ~~!」

律「へっへーん、いいだろうー。と言いたい所だけど、唯、安心しろ」

――「律ー、待ってよー」

もう一つ聞きなれた声が研究所にはいってきた

澪「あれ、唯っ!?」

唯「澪ちゃん!」

澪の呼びかけにこたえ、澪のほうへ振り返ってみると

そこには彼女の豊満な胸の前に抱えられているイーブイの姿がある

唯「あっ!!澪ちゃんもずるいよーー!」

唯「って……?あれっ?」

いいながら律と澪を交互にみる

いや、性格には律に抱えられたイーブイと澪に抱えられたイーブイだ

唯「……イーブイが2匹?」

唯の疑問に抱えられたイーブイたちが鳴く

イーブイ「ブイッ♪」


――オーキド研究所

唯「えぇー!?イーブイ3兄弟!?」

律「兄2匹と妹1匹だから、正確には3兄妹だけどな」

横から、律が補足のように言う

オーキド「そうじゃ。もともとこのイーブイ達は進化の研究のために、
丁度良いと言う理由でタマムシ大学にいたんじゃが、
一向に懐きもせず協力もしてくれないということで、マサキ君を通してワシの元にきたのじゃ……が」

「ワシのところに来たときに、3匹とも逃げ出してしもうたんじゃ」

唯「あれっ、でも3兄妹ってことは、あと1匹はどこに」

オーキド「逃げ出した3匹の内、2匹はこのとおり、律君と澪君に手伝ってもらい捕獲できたのじゃが……」

律「まぁ、私はジョウトへ、澪はホウエンへ連れてってもらうお礼ってことだったんだけどな」

律は腕に擦り寄っているにいるイーブイを撫でる

オーキド「それで、さっきまで律君と澪君に残りの1匹を探してもらっていたんじゃ」

唯「っ!!なら私がその一匹を探し出すよっ!!だから博士、その子を見つけられたら一緒に旅につれていってもいい?」

張り切って話す唯に

オーキド「あぁ、どうせこの研究所にいてもまた逃げられるじゃろうしな。
2匹のイーブイも澪君と律君に大変懐いとるから、二人に引き取ってもらったしのう」

澪「でも、いいんでしょうか……?お礼でやってたことなのに……」

そういうとオーキドは

オーキド「かまわんよ。君たちの旅にも仲間は必要じゃろう」

澪・律「ありがとうございますっ!」

イーブイ「「ブイッ!」」

律と澪が頭を下げたのを真似てイーブイも頭を下げた

唯「さぁ、そうと決まれば探すよ~!!」

オーっ!!とはりきる唯が扉の外へ駆けていった

律「おっ、おい、唯待てよー」

澪「わ、わたしも」

唯を追う二人に、さらにイーブイたちが続いた


――マサラタウン

空はすでにオレンジ色。目線の高さまで太陽は移動している

唯「じゃぁ、あとは妹ちゃんが見つかってないんだね?」

2時間以上捜索した唯の顔には疲れが見える

律「あぁ。それにしてもおっかしいなぁ~。いつもは姿くらいは発見できるんだけどなぁ」

澪「そのあと見事に逃げられるけどな」

うーん、と伸びをした唯が

唯「とりあえず、今日は一度帰ろうか。憂にも会いたいしねっ!」

「そうだっ、りっちゃんもみおちゃんも泊まっていってよ」

澪「でも、いいのか?急にお邪魔して」

律「憂ちゃんにも迷惑かかるだろ」

唯「うーん、憂ならきっと喜んでくれるよ」


――唯の家

唯「たっだいまー!!」

その声に反応し、キッチンのほうから慌てて人が出てくる

憂だ

憂「お姉ちゃん!?」

唯「う~い~~♪」

そう言って憂に抱きつき

唯「あぁん、憂に抱きつくのも久しぶりだよぉ~~」

そしてその後ろから

澪「憂ちゃん、こんばんは」

律「唯は相変わらずだなぁ」

とそれぞれ口に出し

憂「澪さんに、律さんまで!」

するとさっと、スリッパを出し

憂「どうぞ」

律・澪「「(あぁ、こっちも相変わらず出来た妹だ~)」」

それぞれが思い思いに家の中へ入っていく

唯「久々の我が家はいいねぇ~~」

そして

唯「あ、私の部屋も見てこようっと♪」

自宅の階段を軽快に上がっていく唯を横目に

憂「澪さんと律さんはどうぞリビングへ」

その言葉に従い、憂の後に続きリビングのほうへ歩いていった


――唯の部屋

唯の目にはぬいぐるみの山が写っていた

性格にはベッドの上

そこには、さまざまなポケモンの形をしたぬいぐるみがあった

唯「あぁそっかー。旅に出る前もって行こうとしたんだけど、憂に止められて部屋にそのまま投げ込んできたんだったっけ」

そうだったそうだった と気分よくうなずき

唯「あぁ~、みんなも久しぶりだよ~」

そういいながらぬいぐるみの山に両手を広げ小走りをする

唯「あぁ、カメール人形も、プリン人形もピッピ人形もひさしぶりだよ~」

ぬいぐるみの山に手を入れ、一つ一つ引き寄せる

次々に手にとっていくと

――むにゅ

唯「あれ?」

今手にとったものに違和感がある。

まず一つ目の違和感は熱だ。

今まで手に取ってきた人形よりはるかにあたたかい

そしてもうひとつは

呼吸をしている、ということ

それを確認してみると

唯「ああああああああっ!!」


――リビング

「ああああああああっ!!」

憂に出されたお茶を飲んでいた澪と律がなんだぁ?と首を傾けた

憂「お姉ちゃん、どうしたんだろう……」

不安そうに憂がしていると

「りっちゃん!!みおちゃん!!いたっ!ここにいたっ!!」

再び上の階から叫び声が聞こえる

はてな顔をし、唯の声がするほう皆で上がっていってみると

澪・律「ああっ!!」

憂「?」


――唯の部屋

律と澪と憂がそこで見たものはあちこちにちらばっているぬいぐるみと

唯に抱えられた寝息をたてるイーブイの姿だった

唯「あぁん、もうかわいいよぉ~~」

唯がフサフサの毛並みに頬を当てると

イーブイ「……」ピクッ

すぅーっと寝息をたてていたイーブイが過敏に反応した

そして

イーブイ「!!」

目を覚ました

唯「痛っ……!」

理解できない状況に目を覚ましたイーブイのとった最初の行動は唯の指に噛み付くことだった

澪「唯っ!?」

噛み付かれた唯の指からは、たらりっ と血が流れ、唯はその痛みからイーブイを手放してしまった

そしてイーブイは部屋の床に着地し、部屋の角へと交替する

憂「大丈夫!?おねえちゃん!!」

心配しながら、駆け寄ろうとした憂を唯が手で制し

唯「大丈夫、大丈夫だから、憂はそこにいて」

そう言うと、ゆっくりとイーブイに近づいていくが、

イーブイは警戒し、体毛を逆立てる

唯「大丈夫……怖かったんだよね?知らない土地に急につれてこられて……ほらっ、大丈夫」

先ほどかまれた手をイーブイのほうへ伸ばす

唯「ちょっぴり、臆病なだけだよね?」

やさしく微笑んだ唯に、イーブイの毛が落ち着きをとりもどし

そして

イーブイ「ブイ……」ペロッ

唯の指を流れる赤色を舐めた

イーブイはそのまま唯に近づいていき、唯の足へと擦り寄った

その仕草を見届けた唯がもう一度、イーブイを抱き上げ

唯「あぁん、フカフカだよぉ~~」

イーブイの体に顔をうずめた

憂「あっ、おねえちゃん指の手当てをしないとっ!」

そういって憂は救急箱をとるために、下の階に再び下りていった


――オーキド研究所前(翌日)

オーキド「おお!!とうとうイーブイを3匹とも保護できたか」

地面で互いにけづくろいをしている3匹を見てオーキドが言った

オーキド「これで、ようやく律君と澪君も旅立てるというわけじゃ」

律・澪「はいっ!!」

オーキド「それでは、さっそくだがジョウトへ向かおうかの」

と、言いながらモンスターボールを2つ取り出し

オーキド「でてくるんじゃ」

モンスターボールから出てきたのは2匹の大きな鳥ポケモン

その毛並みはとても美しい

唯「わぁ、おおきな鳥ポケモンだね~!名前はなんていうんだろう」

呟きながら図鑑を取り出し


No.018 ピジョット
うつくしい ハネを ひろげて 
あいてを いかくする。
マッハ2で そらを とびまわる。


図鑑をみて、へぇ~ と言っている唯に

オーキド「唯、お前さんも次はタマムシシティのジムじゃろ。少しここから距離があるから乗っていくといい」

そういってオーキドは1匹のピジョットの羽を撫で

オーキド「ピジョット、タマムシシティに行った後、ホウエンのオダマキ博士のところまで頼む」

ピジョットが羽を広げ、了解の意味を込めて鳴く

ピジョット「ピジョーーッ!!」

オーキド「さぁ、律君はこっちじゃ」

もう一匹のピジョットのほうへ、歩き大きな背に跨る

同じように、律も博士の後ろにまわり

唯ももう一匹ピジョットの背にのる

澪「こ、怖くないか?唯?」

震えながら、ピジョットに足をかけようとする澪が先に乗った唯に乗る

唯「大丈夫だよ、みおちゃん。このピジョットよく育てられてる」

ピジョットの頭を撫でながら、澪に向かって笑いかけた

すると

律「おーい、唯、澪、二人ともがんばれよー!!」

博士の後ろにまたがった律から檄がとんだ

唯「りっちゃんもねーーー!」

澪「お前も無茶するなよーー」

そして、ピジョットが羽を広げ、羽ばたいた

各々が飛び立っていく。

各々の舞台に向けて



「VSイーブイ」〆



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最終更新:2011年06月12日 01:28