――タマムシシティ

背の高いマンションやデパートに囲まれた都市

人の賑わいもカントーで1、2を争うであろう大きな都市

その地面に大きな影ができる

鳥だ。

人を乗せ、鳥ポケモンが降下する

唯「と~~う~~ちゃ~~くっ!!っと」

乗り手が声を楽しげに発した

そして美しい羽をもつ鳥ポケモン――ピジョットはポケモンセンターの前に着地した

唯「うわぁ~、大都会だねぇ~。見て、大きなデパートもあるよ~」

唯は後ろでギュッと肩をつかんでいた澪に話しかけた

澪「地面だ……地面に足がついてる……高くないっ!」

そういって力が込められた手が緩んでいく

唯「澪ちゃんはまだまだ先は長いけどね~」

澪「うぅーー……」

唯「あぁーん、澪ちゃん元気だして。ほらっ、ちょっと休んでから行けばいいよ?ねっ?」

澪「でも、この子のモンスターボールを預かってないから、ボールに戻しておくってこともできないし……」

ピジョットのほうを眺める

唯「大丈夫だよっ。この子よく躾られていて、とても賢そう。ちゃんといいつけておけば待っててくれるよ」

ね~、とピジョットを撫でると

ピジョット「ピジョーーーッ!!」

返事に答えるように鳴き

唯「それじゃぁ、あの木にとまって待っててねっ」

指差した方向には、町外れの大木がある

ピジョットはもう一度鳴き、翼を広げ大木へとんでいく

澪「大丈夫かな……」

唯「だいじょうぶ、だいじょうぶっ。あそこの木からなら私達がここに戻ってきた時もすぐわかるよ」

そして澪の手を引き、

唯「さぁ、澪ちゃんとデートだぁっ!!」

澪「唯っ!おい、ひっぱるな、おい」

オッーと張り切る唯と少し困った顔はするものの嫌な顔はしない澪は街の中心へとまぎれていく

時はまだ午前、時計の針が午後を示すにはしばらくの猶予があった


――タマムシデパート

唯「わぁい、見て見て澪ちゃん、巨大カビゴン人形だよ~」

澪「こらっ、待て唯、私はまだピッピ人形の抱き心地をだな……」

そこはデパートの一角、ファンシーショップとまではいかないが、人形などで一コーナーが築かれている

デパート内をあちこち回った唯と澪は、そのぬいぐるみに囲まれたスペースに足をとめていた

澪「あ、そうだ。モンスターボールとかきずぐすり類を買っておこう……」

そしてカビゴン人形に抱きついている唯に告げる

澪「唯、私きずぐすりとか買いたいから、一度下の階に行くけど……」

唯「う~ん、それじゃぁ~~、買うもの買ったら一番上の階の自動販売機の前で待ち合わせしようか~~?」

今だにカビゴン人形から離れない唯の目は少しトロンとしている。

唯「私もちょっと買っておきたいものもあるしね」

澪「わかった。それじゃぁ、また後でな~」

澪は後ろでに手を振りエレベーターのほうへ歩いていった


――タマムシデパート(最上階)

澪「よっし、モンスターボールも買ったしキズグスリも買った。これで完璧だな」

一人呟きながら澪は最上階への階段を上がりきる

ベンチのほうを見てみれば、そこにはすでに唯の姿があった

唯「あ、澪ちゃんっ!買い物は済んだ?」

言った唯の手には目の前の自動販売機で購入したと思われるサイダーの缶

澪「あぁ、こっちは済んだよ。唯のほうは?」

言いながら澪も自動販売機に小銭を入れ、ミックスオレを購入する

唯「うん、バッチリだよっ!」

そして、横においていた、手のひらにすっぴろおさまるぐらいの水色の布袋を

唯「ハイ、澪ちゃんっ♪」

そのまま澪のほうへ差し出した

澪「これは……なに?」

唯「お守りだよっ!ちゃんと首にかけられるように紐も通してあるんだよっ!」

見るとそこには確かに柔らかそうな紐を通している

澪「ありがとう、唯っ!……でも、このお守りなんか妙に膨らんでる、というかなんかゴツゴツしてないか?」

「中に何が入っているんだ?」

そういって水色のお守り袋の中を見ようとする

唯「あぁん、まだ見ちゃだめだよぉ~」

唯が甘ったるい声で言う

澪「まぁ、いっか。それでどうして私にくれたんだ?」

唯「え?私が旅立つときにモンスターボールを貰ったから、そのお返しだよ!」

当然といった風な唯に澪が少しの間言葉を失った

澪「……唯……ありがとうな」

もう一度心からお礼を言う。

唯「さぁ、そろそろいこっか。いくらピジョットが速いって言っても、澪ちゃんの出発が遅くなっちゃうと到着に日が

くれちゃう」

澪「………」

黙りこくったあと

澪「……唯がこんなにしっかりしているなんて!。……これが旅の成果ってやつかな」

その言葉に唯が胸をはる

唯「えっへん!」

そうして二人はタマムシデパートを後にした



閑話 〆



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最終更新:2011年06月13日 00:12