――セキチクシティ

唯「…………ん…………あれっ!!」

唯がガバっと起き上がる

まだよく状況が理解できずにあたりを見渡すと

リザードン「ガアア!」

赤く炎と灯した竜がいた

唯「……もしかして、ヒー太?」

リザードン「リザー!!」

うなずき唯に顔をよせる

ハクリュー「リューーー!!」

唯の起き上がった後ろで鳴き声が上がった

その声につられ振り返ると

唯「わぁ!!もしかしてリュー太!!ずいぶん立派になっちゃったねっ!!」

そしてハクリューも唯に顔を寄せた

唯は2体の頭を撫でると

唯「あれ、ところで私どうなっちゃったんだっけ?」

「たしか、シオンタウンでロケット団と闘って……」

一人ゴチているところに

エリカ「あら、少し部屋から物音がすると思えば、お目覚めでしたか」

唯「エリカさんっ!」

エリカが唯に近づき、その側に座った

エリカ「あなたのさきほどの質問には私が答えましょう」

「私もフジ老人から聞いた話ですが、あなたはロケット団と闘ったとき、ポケモン

の攻撃を受けその場に倒れま

した」

「なんとか、その子達二体がロケット団を追い払ったようですが、」

唯「リュー太とヒー太が!えへへ、よくやったね、二人とも~」

唯がもう一度、2体の頭を抱え、撫でた

すると、エリカが一度咳払いをし

エリカ「本当にその2体のポケモン達もあなたが倒れてから荒れて大変でしたのよ

。……まぁ、あなたにそれだ

け懐いているということでしょうが」

エリカ「それで続きですが、私がシオンに駆けつけたときにはすでにあなたは倒れ

ていました。
そして唯さんが倒れているところを調べてみると、ポケモンの毒にやられているこ

とがわかりましたので……」

唯「調べるって……ああん、エリカさんのえっち~」

唯が半分いつもの調子を取り戻しながら、言うとエリカの顔が少し赤くなった

エリカ「腕だけです!!」

唯「あはは、それでそこからどうなったの?」

エリカ「あなたが毒にやられていることがわかったので、
すぐにセキチクシティまでそこのリザードンに飛んでもらいました」


そしてリザードンを見つめ

エリカ「本当によくお懐きのようで、シオンのポケモンセンターで回復させたあと


ずっとあなたのことを心配していたんですよ」

唯「そうなんだ……あれっ?ところでなんでエリカさんはシオンにまで駆けつけて

きてくれたの」

エリカ「それはですね」

少しためをつくると

エリカ「あなたがタマムシジムを後にした直後、ナツメから連絡がありました」



…………

………

……


――タマムシシティ

唯を送り出した後のエリカはいつものようにジム業に戻っていた

そこへ

ジムトレーナー「エリカさま、ナツメさまから通信が入っております」

エリカ「!!……わかりました。すぐにいきます」





モニターの前に行くと、そこには懐かしい顔がある

エリカ「ぜんぜん連絡をしてこないので、心配していたのですよ」

ナツメ「……ごめん。ところで、唯はタマムシのジムに来たかしら?」

モニターに移るのは、元は黒髪のお姫様のような髪型をしていた女性

現在は少し髪の毛が深い赤みを帯びており、毛先のハネが少し目立つ

エリカ「えぇ、さきほど見事にこの私を倒されて行きましたわ」

ナツメ「そう。ふふ」

うれしそうに笑うと

エリカ「あら、そうやって笑われると私が少し傷ついてしまいますわ」

ナツメ「あら、ごめんなさい」

「それでだけど、唯はもうセキチクへ?」

エリカ「……? はい、自転車も持っていないようでしたので、シオン経由のルー

トを進めました」

答えを聞いた途端ナツメの顔色が変わった

ナツメ「……大変。エリカ、唯を今すぐ追って!」

エリカ「……?」

その様子にナツメの必死さは理解したが、いまいち状況がつかめず疑問を顔に出し


ナツメ「今、おそらくロケット団の男がシオンタウンに向かっている」

エリカ「!!」

ナツメ「あの男は、ミュウの研究者がフジ老人だったことを知ったみたいだわ」

エリカ「ナツメ!!今あなたはどこにいるんですか?どうやってそのことを」

ナツメ「グレンタウンよ。ロケット団があちこちミュウの事を調べているのはここ

で知ったわ」

エリカ「……あなたは大丈夫なんですね?」

確認の意を込めてエリカがたずねた

ナツメ「えぇ、私は大丈夫」

だから、と告げ

ナツメ「唯を助けてあげて」

その言葉を聞いた時、エリカはすぐにモニタを切り部屋をあとにした



……

………

――セキチクシティ

唯「……そっか、ナツメさんが……」

「エリカさんもありがとうねっ!」

そういって微笑んだ唯が、うーん、と間延びをした

エリカ「それでですけど、あなたの毒を解毒したくださった方からあなたに頼みが

あるようなんですけど、聞いて

あげてくれませんか?」

唯「うん、もちろんだよっ!命の恩人さんだもんね」

エリカ「だそうですよ、アンズさん」

すると、唯の視界を上から下に影がはしった

シュタッと言う着地音とともに、唯が捕らえたものは

唯「わっ!上から女の子がっ!?」

目の前に現れたのは少し年上の少女

その格好は忍者

あきらかに現代では浮いた衣装の忍びがそこにいた

アンズ「アタイの名前はアンズ。唯殿に頼みがあり参った」

エリカ「まぁ、ここまで参ったのは私達のほうなんですが……」

エリカが横槍を入れるがアンズは気にとめず続ける

アンズ「唯殿には、私の初めてになってもらいたい!」

場の空気と共に唯の顔が固まった

唯「へっ?」

エリカ「あらあら、アンズさん。その発言はいろいろと誤解を招きますわ。もう少

し説明しないと」

エリカが頬に手を当ていうと、アンズがコクッとうなずいた

アンズ「実はアタイつい先日、父の跡を継ぎこのセキチクシティのジムリーダーに

就任したでござる」

唯「ジムリーダーっ!?」

驚きの声を上げた唯にアンズは続ける

アンズ「だが、就任したものの、アタイには父上のように立派に任をこなせる自信

がないでござる」

エリカ「そんなに難しく考えるものではないとおもうのですが……」

アンズ「そして聞けば唯殿はこれまでのジムリーダーの先達たちを撃破してきたと


唯がいやぁ~と照れた顔をする

アンズ「だから、そんな唯殿だからこそ、アタイの初めてのジム戦の相手になって

ほしいでござる」

そして

アンズ「唯殿と善戦できた時は自分に自信がもてそうなのでござるよ……」

声のトーンと共に顔を落としたアンズの手をそっと唯がとった

唯「うんうん!もちろんだよっ~!もともとジムリーダーには挑みに行くつもりだ

ったしね」

アンズ「……唯殿!」

唯「でもねっ、私は負けないよ!」

そういって唯はもう一度微笑んだ


――セキチクジム

エリカ「では互いに使用ポケモンは2体ということでよろしいですね?」

唯とアンズが互いにうなずく

そして

唯「よーっし、やるよ~!!」

「GOだよ!カラ太!!」ボンッ

ボールの中から現れたのは、シオンで捕まえたカラカラだった。

初陣ということもあり、張り切っている様子が見れる

カラカラ「カラー!!」

骨を器用に手先で回し、カラカラは相手のポケモンを待つ

アンズ「アタイの先手はこれでござる!いけ、マタドガス!」

唯「!!」

唯の頭に敗北のシーンがよぎった。

だが、

アンズ「…?……どうしたでござるか?」

すぐに現実に引き戻され

唯「あ、なんでもないよあはは……」

首をブンブンと横に振り、

唯「よっしー、それじゃぁいくよー。カラ太、ホネこん棒!!」

カラカラが骨を握り締め、宙に浮いているマタドガスにながりかかるが

アンズ「マタドガス、高度を上げて」

マタドガスがふわりと高度をあげ、それだけでカラカラの攻撃をかわしてしまう

唯「ありゃ、ふゆうしてる相手には難しいねー。なら、カラ太、きあいをためて」

指示されたカラカラは骨を剣のようにみたて、まっすぐと天をついた

アンズ「その隙、いただくでござる!マタドガス、どくどく!」

マタドガスから紫色の液体が放出される

そして

唯「カラ太っ!!」

集中していたカラカラの体に命中する

アンズ「その技は威力はないでござるが、ポケモンの体力をじわじわ奪っていくで

ござる」

「さぁ、マタドガス。ここから猛攻でござるよ。ヘドロ爆弾!」

体にかかった液体を振り切らないうちに、マタドガスから続けて攻撃が放たれる

唯「カラ太、みきって!!」

カラカラが構えた骨でいなすようにかわそうとするが、

アンズ「元々液体のこの攻撃。骨にあたった瞬間ぶちまけるでござる」

言葉のとおりのことがおこる。

骨で受け止めたヘドロは、あたった瞬間ベチャリとはじけ、毒の飛沫がカラカラの

体を襲う

唯「っ……」

アンズ「忍びの極意は毒でござる。このままジワジワといけば……」

唯「カラ太!!もう充分気合入ったよね?」

唯の言葉にカラカラがうなずく

唯「なら――

アンズ「嫌な予感がするでござる。マタドガス、今すぐスモッグをはるでござる」

唯「もう遅いよ。カラ太この一撃で決めて、ホネブーメラン!!」

スモッグで自分の体を隠し始めたマタドガスに向かって、カラカラが骨を振りかぶ


投げた

アンズ「速い……でもすでに姿はかくしたでござる!」

「これがハズレさえすれば後はこっちのペースでござる」

アンズはただ結果を待つ

骨が飛来する

速さを増しながら、ガスの中に突入し

そして

――ガスの向こう側へ突き抜けた

アンズ「よしっ、はずれt……」

唯「まだだよっ!!」

宙を飛ぶ骨が軌道を変えた

来た方向へ角度をずらしながら戻る

もう一度ガスの中へ突入した

――ゴンッ

結果をまつアンズと唯の耳に音が残る

そしてガスの中から2つの影がおち

2度地面をたたいた

アンズ「そんな……!」

唯「やったね、カラ太。ナイスコントロール!!」

地面にあるものは骨と

マタドガスが目をバッテンにし倒れていた

アンズがボールをかざし、マタドガスをボールに戻す

唯「カラ太もごくろうさま。戻ってね」

アンズ「……やはり唯殿に頼んで正解だったでござる。だが、アタイも負けない」

「これがアタイの切り札でござる。モルフォン!!」

だされたのは蛾のモンスター

紫色の羽から出されるりんぷんがキラキラと光っている

唯「はじめてみるモンスターだね。どれどれ」


No.049 モルフォン
ハネの りんぷんは からだにつくと 
なかなか とれない。しかも そこから 
どくの せいぶんが しみこんでくる。


唯「(あの粉を浴びないようにきゃ……)」

「よーし、決めたよ。リュー太!でてきて」

繰り出されたポケモンはモルフォンとはまた別の輝きかたをする

まわりをまとう粉がキラキラ光るモルフォンとまわりにまとうオーラが輝くハクリ

ュー

互いに指示を待ち、相手を見据える

アンズ「先手はもらうでござる。毒の粉!!」

モルフォンがハクリュウのはるか上空をひらひらと舞うように飛ぶ

そして羽からはやはりキラキラとりんぷんが振りまかれた

唯「リュー太、その粉は駄目!!竜巻でふきとばして!」

ハクリュー「リューーー!!」

ハクリューを中心に風が渦巻く

唯「へっ?」

唯は以前のミニリュウの頃の竜巻しか見たことはなかった

それは竜巻といってもごく小さなもの。せいぜいミニリュウの体の周りをとりまく

くらいの大きさだった

だがハクリューになった状態でこの技が放たれた今

その結果

アンズ「なっ、なんという――」

アンズの目にうつるのは天井に体をぶつけ、落ちてくるモルフォン

脳裏に残るのはハクリューの竜巻の威力だった

唯「え?」

技の指示をだした唯もポカーンとしていた

放たれたハクリューの竜巻はミニリュウのころよりはるかに大きなものだった。

それは小さな災害といってもおかしくはないだろう

そんな剛風がジム内にはしったのだ

そして粉を吹き飛ばすどころか、粉を振りまいているモルフォンすらも巻き込みそ

の威力を発揮した

結果、モルフォンが開始直後に戦闘不能となった

傍でみていたエリカも、まぁ!と驚いた様子をみせた

唯「あれ?」

いまだに戸惑う唯に

エリカ「この勝負、唯さんの勝ちですわ!」

勝利のコールを告げた

そして驚愕の原因は

ハクリュー「リュウウン♪」

唯に頭を撫でてもらおうと頭を下げているところだった


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最終更新:2011年06月13日 00:21