ぽかーんとする唯に

ナツメ「……うん、なんかごめんなさい。おもわなかったみたいね」

カツラ「ふむ、まぁ……ロケット団の計画達成のためにはこれが必要なのはわかるね?」

唯「うん……あ、そっかー!それならこれを消滅させてしまえばよかったわけだね?」

カツラ「うむ、そういうことだ」

するとカツラは、なのにだ、と繋ぎ

カツラ「どうして、これをさっさと消滅させてしまわなかったのか?といったクイズだ」

ナツメ「唯、カツラさんはクイズ親父で有名なの。つきあってあげて」

唯が首を捻る

そして3分をすぎたとき

唯「うーん、わかんないよ~。ぎぶあっぷぎぶあっぷ」

カツラ「正解はこうだ。出てきなさいブーバー」ボンッ

カツラのモンスターボールから全身が真っ赤な炎に包まれた二足歩行のポケモンが

現れた

カツラ「これを少し借りるよ」

そういって唯の手にあった、破壊の遺伝子の入った容器を己の手に取ると

カツラ「それっ!!」

高く上に放り投げ

カツラ「ブーバー、やれ、大文字だ!」

破壊の遺伝子に向かって、技を命じた

ブーバーの口から、燃え盛る炎が吐き出され、大の文字をつくる

そして破壊の遺伝子は炎に包まれた

沈黙が流れ

技が収縮していき、炎がおさまる

カツラ「これが答えだよ」

カツラは地面を指さした

そこは破壊の遺伝子の落下点

そこには

唯「えっ?あの攻撃を受けても……まったく燃えていない…」

外の容器はすでに跡形もなかったが、そこには無傷で焦げる様子すら見せない破壊

の遺伝子があった

ナツメ「つまり、【破壊しない】ではなく【破壊できない】なのよ」

カツラ「これが我々が作りだしてしまった最強のポケモンの力だよ……
たったこれだけの、欠片といってもいいほどの小さな一部だが、この再生能力だ……」

ナツメ「これを燃やし尽くすには、相当なレベルのポケモンじゃないといけない……そうそれこそチャンピオンクラスのね」

ナツメ「そういえば、唯はここにはジム戦かしら?」

ふと、ナツメが尋ねた

唯「うんっ!あとバッチも3個でカントー制覇だよ」

カツラ「ほ~う、ということはあとはこことトキワと……」

唯がカツラの言葉に続く形で

唯「ヤマブキだよ」

ナツメ「………」

カツラ「なかなかの凄腕のトレーナーじゃないか。よし、ワシも久々のジム戦だ。お相手しよう」

唯「よろしくお願いします」

カツラ「おっと、ジム戦は明日としようか。君も海を渡ってきて疲れただろう」


――グレンジム跡地(翌日)

早朝、ポケモンセンターに寝泊りした唯はさっそくジム戦のために、カツラと約束した場所まできていた

そこにはすでにカツラの姿があり

カツラ「準備はばっちりかね?」

唯「うん、ばっちり回復させたよっ!」

カツラ「ならば行くぞ。わしの ポケモンは ほのおで やいて こがしまくる つわもの ばかり なのだー! 」

唯「よっし、私も……」

「――その勝負少し待ってもらえるかしら」

カツラと唯、共にボールを構えた状態のときに静止の言葉がかかった

ナツメだ

ナツメ「唯、あなたシオンタウンでダブルバトルをしたのだったわね。ずいぶんと

苦戦したといっていたけど」

「どう、ここでダブルバトルをやってみないかしら」

そして告げた

ナツメ「そう、グレンのジムリーダーとこのヤマブキジムリーダーの私を相手に!!」

唯「……えぇ!!……ナツメさんがジムリーダー……」

ナツメ「カツラさんはいいかしら?」

カツラ「ワシはかまわんが……」

そういって呆然とした唯のほうを眺めた


一方、唯はシオンでのことを思い出していた

マタドガスとスリーパーを相対したときのこと

完全な敗北

結果を見ればそう言っても、おかしくない敗北

はじめてのダブルバトル ということが言い訳になるはずもなく、襲ってきたロケット団の男

あのときのことを考えるたびに、心が震えた

もしあのときに破壊の遺伝子を奪われたなら、もしあのときフィーちゃんを狙われたなら と

そしてもう負けたくないとも

だから

唯「うん、やるよっ!いずれナツメさんにも挑戦しないといけない……先延ばしにする意味なんてない」

「だから、ここで……ダブルバトルで二人にかってみせるよ」

唯がその言葉を発したとき、ナツメが少し笑った気がした

微笑みに近い笑みだ

ナツメ「ふふふ、えぇ、いいわ唯。あなたのそういうところ好きよ。でも……簡単には負けてあげない」

ナツメ「だって、私だってジムリーダーの一人だもの」

カツラ「ふはははは、そういうことならワシもかまわん。だがワシも負ける気などないぞ!!」

そして勝負が始まろうとしていた

カツラ「いけ、ギャロップ!!」ボンッ

ナツメ「いきなさい、フーディン!!」ボンッ

カツラが繰り出したのは、全身に炎を待とう馬だった。

その毛並みは美しく、全身の炎が美しさを引き立てていた

そしてナツメが繰り出したのは以前みたフーディンだった。

ナツメ「さぁ、そちらも2体のモンスターを出しなさい!」

「私達の2体を倒すことができたならば、ゴールドバッチと」

カツラ「クリムゾンバッチをやろう」

唯がボールを握り締め、うなずいた

そして思う。あの二人に勝とう と

唯「いって、フィーちゃん!ビー太!!」

現れたのはイーブイとスピアー

その2匹が繰り出されるが、その場にいたのはイーブイだけだった

唯「ビー太!!速攻だよ、フーディンを狙ってダブルニードル」

スピアーは加速する

直線に空をスベリ、針を構えるが

カツラ「あまいぞ、唯君。ギャロップ、炎のうずだ」

ギャロップの作り出した炎の壁が拒んだ

ナツメ「エスパータイプの弱点を思って、虫タイプなのでしょうけど……カツラさんは炎のエキスパートよ」

「少し考えがあまいわ」

スピアーが炎の壁の前で停止した

ナツメ「さぁ、こちらの番よ。フーディン、サイケコウセン」

念の力がスピアーに向かって放たれた

唯「ビー太、上昇して避けて」

ナツメ「唯、狙いはそっちじゃないわ。そう、その子よ」

フーディンのサイケコウセンの軌道がぐにゃりと変化した

狙われたのは

唯「……っ、フィーちゃん、かげぶんしん!」

イーブイの姿が4つにわかれた

そしてそのうち一つにサイケコウセンが命中するが

ナツメ「……はずれってわけね」

イーブイの影が一つ消えただけで、まだ3つの影が存在していた

唯「ふぅ……なんとか……」

カツラ「唯君、安心している場合じゃないぞ、そらギャロップ、ふみつけだ」

気付けばギャロップはイーブイの目の前に迫っていた

そして、大きく前足をあげると

そのまま振り下ろした

イーブイ「――!!」

唯「フィーちゃん!!」

ギャロップの攻撃が直撃したイーブイがその場に転がった

ナツメ「今度は当たりってわけね。さぁ、まだよ、フーディンもう一度サイケコウセンよ!」

フーディンがスプーンに力をこめるように、構えた


唯「ビー太!」

真上から急降下したスピアーがフーディンのスプーンをはじきとばした


そして

唯「そのまま、みだれづき!」

フーディンの体を巨大な針が襲う

ナツメ「カツラさんっ」

カツラ「うむ、わかっている。ギャロップ火炎放射だ」

スピアーに向かって放たれようとした、その時

ギャロップの体が揺れた

正確には揺らされただ

カツラ「イーブイか!!」

ギャロップの首元めがけて、イーブイがとっしんをしかけていた

直撃したギャロップは当然ぐらつき

唯「フィーちゃん、まだだよ。ぐらついているところにもう一発電光石火」

ギャロップに激突したあと反動で少し後ろに飛ばされたイーブイが地面に着地し

そして再びスピードを上げた

今度はギャロップの胴体めがけて、ぶち当たった

ギャロップの体が横に倒される

カツラ「っ……まだだ。立ち上がれギャロップ!」

唯「フィーちゃん、走って!」

再び地面に着地したイーブイが向かう先は、スピアーのいる戦場

ナツメ「っ、フーディン!!一度テレポートで距離をとって」

今まで片手に持った一本のスプーンで応戦していたフーディンがその場を消える

その後方10メートル後ろにあらわれた


唯「ビー太、高速移動!!」

スピアーが一瞬で距離をつめた

ナツメ「はやいっ……」

そして、イーブイもそこへたどりつく

唯「ビー太!ダブルニードル。フィーちゃん、ビー太をてだすけして」

フーディンがあわててスピアーの攻撃をスプーンで受け流そうとするが

――ドンッ

イーブイがフーディンに体当たりし、構えをくずした

ナツメ「なっ、だめフーディン」

その攻撃を受けてはだめだ とナツメは思う

が、どうにもならず

スピアーの巨大な針が一発命中した

フーディンがグラっと揺れるが、なんとか立っている

そして繰り出される2発目

ナツメ「フーディン、サイコキネシスでふきとばして!!」

針があたる寸前、フーディンの念の力により空気が淀んだ

まわりのものが吹き飛ばされる

イーブイとスピアーともどもに

唯「――!!」

「ビー太っ!!フィーちゃん!!」

唯が声の荒げた声を聞いた、スピアーが念の力に抗い空中を移動した

その先は

イーブイの背中

せめてクッションになろうというのか、スピアーはイーブイの体をうけとめ

その体にぶち当たり、スピアーが地に落ちた

唯「お疲れ、ビー太」


一方、フーディンのほうもすでに限界だった

さいごのサイコキネシス。すでにあの時が限界だった

だが、体は動いた。

脳は働いた

だから、主人の声にしたがい、最大限の技を発揮した

が、それも限界

ナツメ「フーディン!!」

フーディンはその場に倒れてしまった

ナツメ「ごくろうさま」

戦場に残ったのは、地面に横倒しにされ立ち上がったところのギャロップと

フーディンの攻撃を受けて少し吹き飛ばされたイーブイだけだった

カツラ「どうやら、そっちのほうがダメージが大きいようだが……」

唯「………」

その消耗具合は明らかだった。

唯「大丈夫……勝てるよ。だってビー太の想いもフィーちゃんは受け取っているからね」

イーブイ「ブイッ!!」

カツラ「なら、いくぞ。ギャロップ!!」

ギャロップがイーブイにむかって速度を上げた

その身の炎が風を纏い、大きくした

唯「フィーちゃん!!」

唯はただイーブイの名前を読んだ。

それで伝わると信じている

そして、イーブイも駆け出した

幾度も地面を蹴り、こちらも速度をあげる

スピードは大気を打ち鳴らし、周囲に音を響かせる

ギャロップがイーブイの大きさにあわせ、クビを地面に這わせた

自慢のツノで突き上げる

それで勝負をきめようとしていた

イーブイもその頭をめがけて走っていく

距離が一気に縮まり

そして

カツラ「ツノドリル!!」 唯「とっておき!!」

ギャロップの頭とイーブイの体が激突した

――ドンッ

鈍く……それでも響く音は勝敗を決める

――バタッ

倒れた音は大きい

つまり

勝者は――



――グレンジム跡地


カツラ「これがクリムゾンバッチ」

ナツメ「そして、これがゴールドバッチよ」

「はい、受け取って」

二人から差し出された2つのバッチを唯は受け取り、

唯「ありがとうね、ナツメさんもカツラさんも」

ナツメ「それにしても唯は本当に強くなったのね……」

「いつか……そうね、いつか唯が破壊の遺伝子を破壊できるようになるかもしれないわね」

カツラ「うむ、そうかもしれないな」

唯「いやぁ~、えへへ」

照れた唯が自分の後頭部を撫でるように触った

ナツメ「えぇ、きっとあなたならなれるわ。そう期待してるわ」

ところでだが、とカツラが話題を変えた

カツラ「唯君もあとはトキワジムを残すのみってことか……」

ナツメ「……えぇ、そうね」

ナツメ「唯、次のジムは本当に今までとは桁違いの強さよ。ジムリーダーにはまだなりたてだけど、いまだに無敗。
さらにカントーチャンピオンになったこともある男よ。こころしてかかりなさい」

告げられた言葉に唯が息を飲む音がやけに大きく聞こえた気がした




「VSギャロップ」 〆



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最終更新:2011年06月13日 00:33