一方

――ゴロロッ

ハクリューが呼んだ雲も低音の叫びを上げる

唯「リュー太、あまごい!!」

ハクリュー「リューーー!」

もう一度首の珠が光ると、ポツリポツリと雨がふりだした

唯「――かみなり!!」

唯が手を真上に上げた

上空、指した先にはリザードンがいる

グリーン「リザードン、よけろ!!」

舞うように、空を飛来していたリザードンが横に滑空する

――ドーン!!

雷が落ちるが、リザードンにはあたらない

唯「(あのリザードンさっきより素早くなってる!?)」

「っ・・・・まだだよ、リュー太かみなりを落とし続けて!」

ハクリューが空の舞台へと浮かび上がった

雷は轟音を残しながら、落ちるが

リザードンの真横に落ちたり、斜め前に落ちたりと狙いが定まらない

グリーン「(おかしい……この違和感はなんだ)」

「しまった――!!そういうことかっ!!」

「――誘導されている!リザードン停止しろ!!」

時はすでに遅い

リザードンが停止した位置

そのまん前にはハクリューが浮上してきていた

グリーン「っ、高速移動で距離をつめていたのか!?」

唯は答えない。

その代わりに

唯「もう遅いよ」

「――電磁波!!」

微弱な電撃がリザードンへとヒットした



グリーン「(先ほどまでとは大違いだな)」

空では自分のリザードンが電撃をくらい動きを鈍らせている中、グリーンは思う

さきほどまでの相手の少女は、どこか攻撃が単調になっていた。

自分が少し挑発じみた行為したせいもあるのだが

正直、がっかりだった

最近は挑戦者自体の数が減っていた。

ジムリーダーのレベルがあがったのか、挑戦者のレベルが下がったのかはわからない

だが、そのことにどこかイラツキさえも感じていたのは確かだ

そこへ、久しぶりの挑戦者ときたものだ。

しかもその相手は自分の祖父が認め、図鑑を与えたくらいのものだ。

そのことに期待すらも抱いてみた

しかし、フタをあけてみれば

普通ののんきそうな少女にしか見えなかった

祖父がなにを認め、図鑑を渡したのか、今までのジムリーダーがなぜまけたのかが

分からなかった

だが、

今、相手の少女の見せた攻撃は見事なものだった

いまだにリザードンは倒せていないが、りゅうのまいで底上げしたスピードを一気に奪われてしまった

グリーン「(……俺は今、楽しんでいるんだな)」

「(アイツとの戦い以来だな……この昂ぶりは)」

思い出すのは自分の幼馴染であり、ライバルだ

赤い帽子をかぶった姿が特徴的で、いつもポケモンポケモンといっているようなやつだった

その少年とのバトルは、今考えてみればとても充実していた

勝ち負けではない

その内容にだ。

お互いが全力をだしあい、ぶつかりあう

あの時の昂ぶりが、ほんのわずかだが今よみがえった

グリーンは気付く

グリーン「雨が止んだか……」

いったとき、少女が次の行動に出た



唯「まだまだ、さぁ本命のかみなりはこれだよ!!」

ハクリュー「――!!」

音にならない声が空に響く

ハクリューの首元の珠が眩しいくらいの光を生んだ

唯「いっけええええ!!」

途端、空から雷の一撃が地へと一閃した

その天と地のあいだにいるリザードンを貫く

だが、リザードンは地に堕ちることはなく

唯「まだ落ちないっ!?――戻って、リュー太!!」

ボールに戻したかわりに呼んだその名は――

唯「ヒー太!!」


2匹目となる炎竜が現れる

互いのフィールドは違う

一匹は空に、一匹は地に。

相手のリザードンは消耗しながらも空を回る

だから

唯「――行くよ!飛んでヒー太」

空を目指す

その大きな翼が大気をきり

発生する風が唯の髪の毛を揺らした

リザードン「ガァアアアアア!!!」

地上で待つ唯が、上を目指すリザードンを見送った

敵はまだ上空だ

……そこへいくよ

意思はリザードンへと繋がれる

だが

グリーン「狙い打て!火炎放射!!」

妨害が来た

上という優位を保つように、と込められた命令が飛んだ

唯「対抗して、ヒー太!!」

中空で炎と炎がぶつかった

拮抗する力はやがて

グリーン「っく!おされているか!!」

唯のリザードンの放つ炎が押し始めた

上へ……上へ、という力が唯のリザードンを押し上げようとしていた

そして

来たよ……と告げる。

2匹の竜が空のフィールドに並んだ

舞台は上空へと変化した



グリーン「おい、お前。名前は?」

地上ではグリーンと唯が言葉を交わしていた

唯「…唯、平沢唯だよ!」

グリーン「そうか。覚えておこう」

グリーンが少し笑った気がした

唯「?」

グリーン「さぁ、あいつとさきほどのハクリューを倒して終わりにしようか…」

唯「……うんうん、違うよ。落ちるのはグリーンさんのリザードンだよ」

そして

唯「オーバーヒート!!」 グリーン「ブラストバーン!!」

二人が空へと叫びを上げた

空にはリザードンたちがお互いに牽制しあうように、炎を作る

そこへ

――オーバーヒート

――ブラストバーン

声が届いた

リザードン「「ガアアアアアアアアアア!!」」

互いは互いをめがけて、吼え

業火を吐き出した

だが

炎はグリーンのリザードンのほうが大きい

空が燃える

その炎の赤をあたりは映し出し、朱の舞台を作り出した

唯「ヒー太!!、まけないで!!」

聞こえる声は下からきた

距離があり、あの位置からは声を張り上げなければ届かないだろう

声の持ち主はおそらく心配そうな顔をしているのだろう

だから

リザードン「ガアアアアアアア!!」

唯のリザードンの火力が増した


そして同時に

リザードン「――」

グリーンのリザードンが瞬間、停止した

マヒだ

ハクリューから受けたマヒがここへきて襲う。

その隙を唯のリザードンは見逃さない

勢いにのり、火力を上げる

そして

――

炎が火竜を飲み込んだ



堕ちる

下へと……地へと……

――ドシン

高所から落ちたため、その分音も重く鳴り響く

グリーンは思う

……負けたか

そして、挑戦者へとバッチを渡そうと懐に手をいれ、唯をみた

すると

唯が首を振った

まだ終わっていないと、これではバッチなんてもらえないと瞳が告げている

……面白い……!!

おそらく自分はあの少女をここで負かすだろう と思う

だが、おそらくまだ強くなる とも

だから

グリーン「唯と言ったな。せっかくだ、ここで俺の最強を見ていけ。そして――」

「次に挑戦するときは、俺に6匹とも出させてみせろ」

そして新たなボールを取り出した



まだ終わっていない、そう唯は思う

これではバッチなどもらえやしない。

自分は持っている5匹をフルに使ってのようやくの一匹だ

だから

グリーンがこちらを見たときに、クビを振った

そして声がくる

グリーン「――」

グリーンが新たなボールを取り出し、名を告げ新しいポケモンがくりだされた

――行け、バンギラス



繰り出されたポケモンを唯は見上げていた

だされたモンスターは2mはあるモンスターだ

大きな緑の体に、凶悪そうな足と腕、そしてそれに付随する爪。

お腹には青い模様がある


No.248 バンギラス
かたうでを うごかしただけで 
やまをくずし じひびきを おこす 
とてつもない パワーを ひめる。


グリーンのリザードンを倒し、唯の横に降りてきていたリザードンに比べてもまだ

でかい

唯「(か、怪獣だああああっ!)」

そして、そのポケモンは大地にも影響を与えた

砂だ

気付けば、あたりには砂が舞うようになっている

小さな砂の粒が、容赦なくトレーナーを襲う

唯「うおっ、砂が目に~~」

グリーン「この砂嵐がイヤならあと10歩うしろに下がることだな」

忠告がきた

そのとおりに後ろへ下がると

唯「おお、砂が球状にふきあれてる~!」

「はっ!バトル中だった。ヒー太、もう一度飛んで、上空の砂嵐が届かない範囲から攻撃して」

リザードンが再び翼をひろげ、宙に浮かび上がる


グリーン「やれ、ストーンエッジ」

唯「えっ?」

砂嵐の中から、岩による砲撃のような攻撃がきた

唯「ヒー太!!」

気づけば、尖った岩によってリザードンの翼がうちぬかれ

そして

地面へと倒れこんだ

唯「ええ~!!一撃!?」


最後のモンスターとなるボールを掲げ唯は思う

――さっきバッチをもらわなくてよかった 

だって

唯「(あれでもらっちゃっても、本当の勝ちにはならないもんね…)」

「もう一度がんばってリュー太!!」

………

……


――マサラタウン・唯の家


唯「あーあ、負けちゃったね……」

ベッドの上に寝転がりながら

ポケモンセンターで回復させたポケモンたちに話しかけた

――リュー太も一撃かぁ……

あの後、だした直後に神速で攻撃を仕掛けたが、待ち構えられ、

唯「かみ砕く……か」

唯「あー、やっぱりまだまだ駄目だねー」

ベッドの上で、四肢を伸ばし考える

そして

唐突に起き上がると

唯「よっし、決めた。――でも、そうなると謝らないと」

自室の部屋のドアを開け、廊下へと踏み出した



リビングには二つの人影がある

梓「唯先輩大丈夫かなぁ……」

憂「うーん、無理してるってわけでもなさそうだったけど……なにか考え事してるって感じだったね」

梓と憂が唸り、共に はぁ、と息を重く吐いた

そこへ

唯「あずにゃん、憂、ちょっといいかな?」

唯が現れた

唯「さきに謝っちゃうけど――御免!!」

梓・憂「へっ?」

なぜ謝られているかわからない梓と憂から間抜けな声がでた

唯「えっとね……その……3人でどこか行こうって言ってたじゃん……あれ、もう少し待ってくれないかな……?」

「私、もう一度各地を回って鍛えなおして、グリーンさんに勝ちたいんだ…!」

梓「……」

憂「……」

唯「えっと、だめかな?」

少し困り顔で唯が二人に尋ねた

すると

二人が急に、ははははと笑い出した。

梓「なんだ、そんなことだったんですか」

「ずっと真剣そうな顔してるから、なにかあったのかと思いましたよ」

憂「もちろん、おねえちゃんのやりたいことだもん。応援するよ。」

「だって、おねえちゃんは絶対に約束は守ってくれるって知ってるから」

憂が優しく微笑み

梓「それに、最初から約束は唯先輩が8つのバッチ集めたらって話ですっ!」

「だから、その……今度こそ負けないでくださいよ」

少し顔を赤くした梓もいる

唯「う~~い~~、あずにゃ~ん!!」

両手を広げ、二人に飛びつくように抱きついた

梓「もうっ、苦しいですってば///」

唯の頬にすりすりされながら梓が照れ、憂が微笑んでいた

唯「絶対に強くなって、また戻ってくるからね~」


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最終更新:2011年06月13日 01:06