下っ端2「アーボ、にらみつけてその小さい子を震え上がらせなさい」

指差す先にはイーブイがいる

そして

アーボは指示にしたがい、視線で獲物を捕らえようとする

律「イーブイ、走れ!!」

イーブイ「ブイッ!!」

イーブイは視線を合わさないように、アーボの周りをぐるぐると走り出す

律「よし、後ろを取ったぜ。そのまま勢いのままでんこうせっかだ」

下っ端2「ふふっ……」

今度は女が怪しげに笑った

律「……!?」

その怪しさに律が警戒しようとするが、すでにイーブイは攻撃のモーションに入っている

下っ端2「アーボ、かみつきなさい!」

とぐろを巻いていたアーボが急に後ろへと首を向けた

そして

アーボ「シャァァ!!」

そのまま突っ込んできたイーブイの首下へと噛み付いた

イーブイ「…!?」

律「なっ……!! くそ、イーブイじたばたして逃れろ」

噛み付かれたことに驚いたイーブイだが、すぐにその体を震わせて抵抗する

四肢で空を打ち、体全体に揺れの波が走る

その衝撃にアーボは噛み付いた獲物を放してしまう

下っ端2「ふふっ、アーボがとぐろを巻いてるのはどこから敵がきてもいいように警戒してるからなのよ」

そして律が図鑑を開くと


No.023 アーボ
ぐるぐる からだを まいて やすんでいるのは 
どの ほうこうから てきが おそってきても 
とっさに あたまを むけて いかくできるからだ。


律「……くっ、ごめんイーブイ!!」

謝るのは、相手の情報をよく知らずに相対させたからだ

だが、律も切り替えるべきときは分かっているので

すぐに指示を出す

「イーブイ、いったん距離を取れ!!」

イーブイ「ブイッ!!」

開放されたイーブイが、さっと律のほうに身を引いた

下っ端2「あら、逃がさないわ。アーボ、へびにらみよ」

アーボ「シャアアアアァァアー!!」

チロチロと舌をだした顔が、後ろに引いた瞬間のイーブイをにらみつけた

律「あぁ……!!」

下っ端2「あー、もうその可愛いこは動けないわ」

「さてと、あとは……アーボ、じっくりと苦しめてやりなさい。巻きつく」

長い体が地面を這う

そして舌なめずりをしながら、ゆっくりとイーブイへと撒きついた

律「……イーブイ!!」

下っ端2「あらあら、かわいそうに。こんな場面に遭遇してしまったから……」

律が下を向く

それは顔を隠すように

下っ端2「泣いてるの?後悔してるの?こんなことにかかわるんじゃなかったって」

律「……どうしてだよ………」

下っ端2「はぁ?」

律「どうしてこんな小さな町で、なにかやってるんだよ……」

下っ端2「あぁ、それね。まぁいいわ。どうせあなたは帰れないから教えてあげる」

「ようはね、お金よお金。ここにたくさん生息してるヤドンのしっぽはね、一部のバカどもにはバカみたいな値段で売れちゃうのよ」

そういって、女が楽しそうに笑う

下っ端2「で、組織にもやっぱりお金は必要だから、それで稼がせてもらおうってわけ」

「でも、酷いわよねー、私達ばかり悪者にされてるけど、買うやつが存在するから

こんな商売なりたってるのよ」

「それって、やっぱり買うほうも悪いとあなたもおもわなーい?」

その言葉に律がうつむきながら答えを返す

律「まぁ、だからってあんた達の罪が軽くなるわけでもないけどな」

泣いていると思っていた律のその言葉に、女が驚いた顔をした

そして律が顔を上げた

そこにあった表情は、泣いてるわけでもない

だが、笑っているわけでもない

下っ端2「なに?」

律「いや、簡単なことだよ。あの時、見て見ぬフリしなくてよかったな、って。やっぱり、あんたたちはここでなんとかしないとな」

怒りだ。表情には出さないが怒りの感情が目に表れている

下っ端2「なっ!?」

「……アーボ、しめつけたまま噛み付いてしまいなさい!!」

その言葉に危険を感じた女が、今までイーブイに撒きつきしめつけていただけだっ

たアーボに指示を飛ばした

律「はは、さっきのへびにらみは逆効果だよ――イーブイ、からげんき!!」

そして体にアーボを巻きつけたイーブイがその足で地面を踏ん張った

イーブイ「――!!」

まとわりつくアーボを体をふり、ほどいていく

そして

そのまま

イーブイ「ブイっ!!」

体を基点にして、アーボを投げ飛ばした

そう、団員の女の方向へと

下っ端「!!」

――ドンッ

女が驚いたときにはすでに遅い

アーボの体はそのおなかへとぶち当たっていた

――ドサッ

そしてロケット団の女がその衝撃に地面倒れこんだ

律「……ふぅ」



律「さてと、この女は縛っておいてと……」

まだ何も終わっていないこと――井戸の中にはまだ敵がいることが分かっている律はここで引くわけにはいかない

だから、女を近くの木に縛りつけうごけないようにした後

井戸の中へと入る覚悟を決める

律「よっし、いくぞー」

その言葉とともに

律「(あれ、でも結構騒いでたのに、なんで中から誰もでてこないんだ……)」

思いながら、井戸の中を覗き込む

すると

――

井戸から、なにかが飛び出した

それは人影であり

見たことのあるシルエットだ

律「なっ、シルバー!!」

シルバーと呼ばれた少年は、地面に着地すると、律を一瞥したあとに木に縛り付けられた女をみた

シルバー「あの女はお前が……?」

律「あぁ……!!」

そういうと、律はボールに手をかけ警戒する

目の前にいる男は、ウツギ研究所で盗みを働いた男だ

そして、ここにいるロケット団

繋がるものは

律「……お前、ロケット団なのか……?」

その言葉にシルバーは目をギラッっとさせた

シルバー「ふざけるな!!俺が……」

一瞬の激昂だ。

だが、それもすぐに収束し、言葉を止めた

そして、慌てて駆け出した

律「ちょ、おい、待てよ……くそ、いつもこうじゃん」

「なんなんだよ、あいつ……」

行った律は、もう一度井戸の中をのぞくとその中へと入っていった


――ヒワダタウン

ガンテツ「はっはっは、まさか嬢ちゃんが全て解決してしまうとはなー」

そう大笑いを上げたのは、たった今警察へとロケット団の身柄を渡してきたガンテツだ

ガンテツ「それにしても、3人も相手して、その全員をつかまえてしまうとは、なかなか……」

「おっと、わしも仕事をほったらかしてきたんじゃった。ほれ、これお礼のヘビーボールや。とっとき」

そういって、律の手に強引に握らせ、自分は去っていくだが

律「……」

律は何も答えない

いや、答えることができなかった

なぜなら頭の中は考え事でいっぱいだ

井戸へと入っていったとき

そこで見たものは、気絶した大の男二人だった

その倒れていた男はロケット団の団員服を着ており、すぐにそいつらが残りのロケット団だと理解した

そしてそこにはほかに人がおらず、いるのはしっぽをきられ少し元気がなくなったヤドんだけだった

つまり考えられるのは

律「(シルバーか……)」

赤毛の少年の姿を思い出す

律「なんなんだよ……あいつは泥棒で悪いやつなんじゃないのかよ……」

呟きに答えるものはいない

ただその場に残るのはやりきれない感情だけだ


「VSアーボ」 〆



――ヒワダタウン


『それは……いったいどういうことなんだろうね……』

声は律の腕から聞こえてくる

手首にまいたポケギアだ

律「いや、それはこっちもわからないんだけどさぁ……」

律が歩きながらもポケギアを通して話す相手は、ウツギ博士だ

さきほど起こったロケット団のことも含めた、シルバーの情報を伝えている

ウツギ『そうか……すまないけど律君はもう少しその子を追ってくれるかな……』

律「うん、まぁそれはいいんだけどさ……」

ウツギ「……?」

律「あいつ、あんまり悪いやつには見えないんだよなぁ……」

それが律が一晩ポケモンセンターで考えた答えだった

ウツギ「……その子のヒノアラシは元気そうだったかい?」

律「え?うん、まぁもうマグマラシになってたけど……普通にシルバーのやつに従っていたよ」

ウツギ「……そっか、まぁその子の事情も気になるところだけど……」

そうウツギの声が聞こえたとき、律の足が歩みを止めた

律「あっ、博士。ジムについたから、もう切るわ」

ウツギ「えっ?ちょ、律くん?え……」ブチッ

博士の言葉を待たずに、ポケギアの通話終了ボタンを押す

そして

律「(ジム戦だもんな……集中しないと)」


――ヒワダジム


律「すいませーん、ジム戦を……」

っと、言ったところで律が見たのは、森だジムの建物内に、木々が茂っている

それだけではない、そのところどころにはコクーンやキャタピーなどのポケモンが

律「ということはここは………」

「虫タイプのジムか!!」

???「ようこそ、ヒワダジムへ」

立ちすくんでいた律に、中性的な声がかかった

ツクシ「ボクの名前はツクシ。君のことはガンテツさんから聞いてるよ。
    なんでも、この町からロケット団を追っ払ってくれたらしいね。心からお礼を言うよ。ありがとう」

そこにいたのは

律「(……女のジムリーダー?……でもボク……?)」

ツクシ「さぁ、奥へどうぞ。さっそくボクが相手になるよ」

そういってツクシは律を導くように奥へと手のひらを差し出した



そのフィールドは草原を彷彿とさせた

見れば、地面には芝がひかれている

どうやら、キキョウジムとは違い、そこまで変わった場所ではなさそうだ

律「よっし、女のジムリーダーでも油断はしないぞっ!!」

そう言って、律は自分の頬を軽く叩いた

その言葉を聞いた対面にいるツクシは困った顔で

ツクシ「えっと、ボクはおとk……」

律「あ、そういえば、使用ポケモンは何体までいいんだ?」

ツクシの言葉を遮るように律が問う

ツクシ「えっ?あぁ、それなら3体で……それとボクはおとk……」

律「ならフル出場かな。よっし、いくぜ。いけイーブイ!!」ボンッ

イーブイ「ブイ♪」

出されるのは先日の闘ったばかりのイーブイだが、もちろん回復はさせている

ツクシ「……えっと、まぁいいや。 いくよ、ストライク」ボンッ

対して出されるのは、両手にスルドイ鎌をもったカマキリのようなポケモンだ

ツクシ「さて、速攻でいくよ。ストライク、でんこうせっか!」

指示を出した瞬間に、ストライクが前かがみになり

そして

消えた

律「はやいっ!!」

その言葉を作ったときにはすでに

――ドンッ

イーブイとストライクのぶつかった音がなる

その結果は

一切予想だにしなかったイーブイは後ろに数m飛ばされ

ストライクは連撃をかけようと、もういちど体を前倒しにした

律「っく……イーブイこっちもでんこうせっかだ!!」

ツクシ「遅いです!!つばめがえし」

イーブイが構えた直後、その目の前に緑の体があった

律「!!」

その片手はすでにふりかぶっており

ストライク「――」

そのまま斜めにふり抜き

イーブイ「!?」

光りの反射によって、きらめくように光った鎌がイーブイを襲った


そして

イーブイ「……ブイ………」バタッ

たった2発。

2発の攻撃によって、イーブイは地に伏してしまった


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最終更新:2011年06月13日 02:05