だが、律の反応は

律「……」

その口から反応が漏れることはない

律は見とれていたからだ

そのあまりに綺麗な一連の動作に。

だが

いつまでもそうしているわけにもいかず

ツクシ「どうしたんですか? 次のポケモンを出してください」

ツクシから、次のポケモンを出せ との催促が飛び

律「!!……悪い、戻れイーブイ」

イーブイをボールに戻すと

ボールを構え言った

律「まさか、たった2発の攻撃でおとされるとはな……だけど、今度はこっちの番だぜ」

「虫ポケモンには炎だ!!頼む、ガーディ!!」ボンッ

ガーディ「ワオーン」

繰り出されたガーディはすぐに、相手を威嚇しながら警戒態勢を取る

ツクシ「炎タイプですか……これはたしかにやっかいですが……」

「その対策がない、とは思いませんよね?」

そして再び戦闘が始まる

律「ひのこで丸焼きにしてやれ!!」

ガーディ「グルルッ!!」

だが、ツクシは至って冷静に指示を出す

ツクシ「ストライク……」

「――とんぼがえり!」

ガーディの飛ばした火の粉の間を舞うように突破し、そしてガーディへと鎌を一振りした

だが、ガーディはその攻撃に当たりながらもしっかりとストライクを見据えるのだ


そのストライクは、一度攻撃を当てたあと

攻撃の反動で後ろへと大きく飛び上がり、ツクシの目の前まで戻り

そして

律「なっ、ボールに戻したのか?」

そしてツクシが替わりのポケモンをくりだす

それは

律「今度はコクーンか!!」

律も見慣れたモンスターが新たにフィールドに現れていた

律「なら、そのモンスターをやきつくせえ!かえんぐるま!!」

ガーディが駆け出し、コクーンへと向かう

その途中でその体に炎をまとい、低くうねる

そして

――ドンッ

全身でぶち当たった

ツクシ「っく……もどって、コクーン」

律「よっし、これでまだ残り二匹同士の互角だ」

ツクシはその攻撃で瀕死となったコクーンを手早くボールに戻し

ツクシ「いくよ、ストライク」

再びさきほどのストライクを繰り出した

律「今度はそうはこっちからいくぜ、かみつけ」

ツクシ「とんぼがえり!!」

お互いの指示にさきに動いたのはストライクだった

先ほどの光景が繰り返される

――ドンッ

ストライクが一当てし、その反動で後ろへと逃げるように引いていく

当然ガーディのかみつく攻撃は空振りし

律「くっそ、こんなのありかよ」

ツクシ「ふふっ、行ってトランセル」ボンッ

ストライクを戻し、新たにトランセルを繰り出した

律「(これで3匹めか……)」

「ガーディ、やきはらえ!!ひのこ」

ボウッと火の粉が空を飛来し、うごけないトランセルへと降りかかった

そして

また

トランセル「――バタン」

ツクシ「ごくろう、トランセル。戻って……」

「さぁ、こっからふんばろうか。ストライク」

そのモンスターが繰り出された

1度目、2度目に出てきたときより、その鎌が凶悪そうに見えるのは今まで戦ってき

てその恐ろしさを知っているからだろうか

律「こんどはもう逃げ場はないぞ。いけ、ガーディかえんぐるま」

ガーディがもう一度駆け出した

だが、

ツクシ「もう逃げ場は必要ないよ。だって、この一撃でそのガーディはおわりだからね」

「――つばめがえし」

ストライクが、片手を上げる

ガーディは炎をまとい、なお勢いを上げる

そうツクシが誇らしそうに言うが、ある異変にきづく

ツクシ「っと……片手をやられたのか……」

ストライクの右の鎌がガーディとぶつかった時の炎にやられ、ボロボロにかけていた

だが

ツクシ「まだ、やれるなストライク?」

その言葉にストライクが静かに、頷いた



それにしても

律「(あいつの技の威力が高すぎる……見た目はそれほど派手なわけでもないのに……)」

律の疑問はそれだ

すると顔にでていたのか

ツクシ「不思議そうな顔してますね。わかりますよ、ストライクの攻撃の強さにおどろいているんでしょう?」

「ここへやってきた皆さん、そのように驚きますよ」

そういってツクシが微笑んだ

ツクシ「簡単なことなんです。このストライクの特性はテクニシャンって言って威

力の低い技を、その射抜く精度やタイミングで補うんです。
     まぁ、威力の高い技はコントロールしにくく、この特性は働きませんが……」

律「へぇ、それを教えていいのかよ?」

ツクシ「えぇ、だって、わかっててどうにかなるものではないでしょう?」

律はそのとおりだと思う

あれは、分かってもどうにかなる問題ではない

ツクシ「さぁ、続けましょう。どうぞ3匹目を」

その言葉に呼応するようにストライクが構えを見せた



律「いくぜ、アリゲイツ!!」ボンッ

アリゲイツ「!!」

青いワニがやる気マンマンにボールから出てくる

律「(今度は出てきた瞬間に速攻をかけてこないのか……)」

見れば、ストライクはしんちょうに様子をうかがっている

律「ならっ……アリゲイツ、先手だ。かみつけ」

指示をうけたアリゲイツが、飛びつくようにストライクへとジャンプした

だが

ツクシ「むかえうて、ストライク!!れんぞくぎり」

今度は左の鎌をアリゲイツへと振り下ろした

その威力はそれほど高いものではなかったので、アリゲイツは叩きつけられずに済んだが

地面へと引き摺り下ろされる

ツクシ「まだだっ!!れんぞくぎり」

一刀目で勢いを殺したところに、ボロボロの右が襲い掛かった

律「なっ、アリゲイツ……!!たえろ!!」

スパッっという気持ちのいい音が聞こえるが

まだ終わらない

3刀目の左が来た

――ズバンッ

さらに大きい音が響くが

律「くっそ!!アリゲイツ、いかれよ!!」

アリゲイツが右の拳に力を込めた

ツクシ「まだまだ!!これで終わらせる」

ストライクの4刀目が振り下ろされる

ボロボロの右でだ

だが、それが隙となった

振り下ろそうとしたときに、ストライクの動きが止まったのだ

ストライク「…!?」

ツクシ「あぁ……ダメージがたまりすぎたのか!?」

ボロボロの右はすでに限界を迎えていた

ツクシがストライクを心配する間に律は笑う

律「へへっ、この隙もらったああああ! アリゲイツ、冷凍パンチ!!」

さきほど握り締めた拳に冷気をまとい

ふりかぶる

ツクシ「つばめがえしで対抗して、ストライク!」

対して左の鎌が振りかぶられる

律「ははっ、最初から狙いはその左腕だよ!」

アリゲイツがストライクの鎌の軌道にあわせるように、拳を出していく

――

ぶつかり合う

右の拳と左の鎌が


そして

――ピキッ

その音が生まれたのは、ストライクの鎌からだ

右はボロボロにはこぼれしており、左の鎌は――

凍っていた

ツクシ「あぁ……これではもう戦えない…か」

律「やった、よくやったアリゲイツ!!」

そういいながら戻ってくるアリゲイツを抱き上げ、そのまま抱きしめた



ツクシ「はい、これがインセクトバッジです」

差し出されるバッジを律は受け取った

律「ありがとう。ほんと危なかったよ……」

ツクシ「いえ、こちらこそいい勝負をありがとうございました」

律「はは、それじゃぁ、ツクシちゃん。私ももう行くわ」

ツクシ「あははは……えっと、最初から訂正しようとおもってたんですけど……」

律「?」

律が首をかしげる

ツクシ「ボクは、男ですよ?」

そういってツクシがニコッっと微笑んだ

律「へ?……えええええええええええええええ!?」

「お、お、お、おとこおおおおおおおおお!?」

ツクシ「ハイ」

律「えっ、ボクっ娘とかじゃなく、ほんとに男?」

ツクシ「そうですってば」

困ったように笑うツクシに、もう一度律が叫びを上げた




「VS ストライク」 〆




――ウバメの森


空の下に深緑の一帯がある

緑の森林へとオレンジ色の斜陽がかかる

ウバメの森だ

木々に光りを遮られ森の中は暗い

そこにはかろうじて道と呼べるようなものはあるが、

ところどころで別れたり、途切れたりと、確かなものではない

まさにそんなところにカチューシャの少女――律はいた

律「また木に阻まれて、行き止まりか」

出した声はすでに疲れた声だ

律「もうガーディとイーブイの体力はのこってないぞ……」

森に入ってから出てくる野性ポケモンたちを相手しているうちに、ガーディとイー

ブイはヘトヘトになっていた

律「あとはアリゲイツだけか……だけどこいつも体力が少なくなってきてるな」

早いうちに、森を抜けないと と思う

それは時間的な問題にもだ

律は夜の森の怖さを知っている

本当にかすかに入ってくる光りすらもなくなるということ。

夜に動き出すポケモンもいるということも。

それらはトキワでの経験からくるのだが

律「方向はこっちでいいと思うんだけど……とりあえず戻るか」

反転し一人ゴチたその時

――ガサガサ

脇道にあった茂みが揺れた

そしてそれが飛び出した

律「鳥……?なんでネギみたいなのもってるんだ?」


No.083 カモネギ
ひじょうしょくの クキを たべると 
いちもくさんに かけだして 
ほかの クキを さがしにいく。


図鑑に情報が表示され

律「なんだこいつ、クキを探しに慌てて飛び出してきたのか……いや、でも手にそれっぽいの持ってるしなぁ」

カモネギ「グワー!!」

カモネギが律の後ろにまわりこみ、隠れた

律「なんだ?」

すると、カモネギから出てきた茂みのほうから後を追うようにコウモリの大群が現れた

律「ズバットか! ……そうか、このカモネギはこいつらから逃げ回ってたのか」

「しかたない、いけアリゲイツ!!」ボンッ

繰り出されたアリゲイツがそのままズバットの群れに突っ込んでいく

律「その群れの中心であばれろ!!」

ズバット「ズバッ……!!」

青と紫の色の大群の中、青と白のワニががむしゃらに周りにまとわりつくものを落としていく

1匹……2匹……3匹……次々に地面にズバットが落ちていくと、集団から逃げ出すものも現れる

そして群れの半分が、すでに地に落ちたときには、残りの半分は散り散りに逃げていた

律「ふぅ……なんとかやりすごしたな。……っと、アリゲイツが毒受けちゃったか……戻れアリゲイツ」

ボールにアリゲイツを戻し、一息つく

律「ほら、これでもう安心だろ?」

カモネギ「グワァー」

カモネギに向かって話しかけたとき

『おーい、カモネギー!!どこいったんだー!』

微かだが、声がこちらに向かってくる

律「なんだ、お前トレーナーがいたのか?」

カモネギ「グァ?」

そして、茂みを掻き分けて

男「あ、いたカモネギ!!」

職人風の男が現れた

男「すいません。ズバットを追い払ってくれたのはあなたですね。本当にありがとうございます」

律を見て言い放ち

男「あ、自分ヒワダで炭職人にやってるんだけど、このカモネギは親方のポケモンでね。
炭の材料となるウバメ樫を取りに、このカモネギと来てたんだけど、なにせボクにあんまり懐いてくれなくてね」

律「はぁ」

律が相槌をうつが

男「ズバットを追い払おうと指示を出したんだけど、ボクを置いてこいつが逃げ出してしまって……」

男がカモネギを小突いた

律「なんだ、お前ちゃんとトレーナーの言うことは聞かないとダメじゃないか」

そういいながら律もカモネギへと手を伸ばす

律「あ、そうだ。ちょうどいいや。えっとここからのコガネ方面に抜ける道って分かる?」

そう尋ねると、男が道を教えようと口を開くが

男「ああ、それならここから少し戻って回り道を……いや、ちょっとまてよ……」

男が少し考え込み、ポンと手を鳴らした

男「お礼に近道を教えますよ」

律「へ?近道……?そんなのなかったように思えるんだけど」


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最終更新:2011年06月13日 02:16