律「ムギ、まだかなぁ」

律「前回、一泡吹かされたからなー」

律「ムギのことだからそろそろ後ろから―――!?」

紬「だーれだ?」

律(きたか・・・・・)

律(っていうかえぇ~、声でバレバレだし・・・・・・)

律「だ、誰だー!やめろー!」

紬「動かないで、動いたら撃つわよ!」

律「えぇ!?それ違うだろ、ムギ!」

紬「あれ~、バレちゃった?」

律「当たり前だろ~」

紬「ふふ、ごめんなさいね、りっちゃん。1度やってみたくって」

律「まぁ、それはいいんだけどさー」

紬「待たせちゃったかしら?」

律「いや、今来たとこだよ」

紬「あ・・・・・・」

律「ん?」

紬「い、今のもう1回言ってみて」

律「え?今来たとこだよ?」

紬「このやりとりって実在したのね・・・・・すごいわ・・・・・・」

律「あの~?つむぎさーん?」

紬「私ね、今日が楽しみで昨日ぜんぜん眠れなかったの~」

律「え~そんなにか?」

紬「だって水族館って、小さいころ行ったきりでずっと行ってなかったんだもん」

律「へぇー、そういや私も小学校以来だな」

紬「だからね、メールで水族館は?って聞かれたとき、すっごく嬉しかったの!」

律「そっか、それは選んだかいがあったよ」

紬「やっぱり、りっちゃんってエスコートがすごく上手ね!」

律「まだ私なんにもしてないんですけど!?」

律「じゃあこっから電車乗ってくからなー」

紬「はーい」

律「切符落とすなよー」

紬「はーい」

律「乗り間違えるなよー」

紬「はーいってりっちゃん、これじゃあエスコートじゃなくてまるで引率よ・・・・・・」


律「よーし、着いたぞー」

紬「着いたぞー」

律「すみませーん、高校生2枚くださーい」

紬「くださーい」

律「はい、ムギ」

紬「ありがとう、りっちゃん」

紬「あ、パンフレットもいっしょにもらえるのね」

律「どれどれ、ほ~、けっこう広いなーここ」

紬「ほんとね~、どこから見よっかー」

律「おっ、ムギムギここ見てみ」

紬「え?あっ、すごい!マンボウが見られるのね!」

律「じゃあここから見るかっ!」

紬「はい!是非!」

紬「おー・・・・・」

律「ほえ~」

紬「これが生マンボウ・・・・・・なのね」

律「なんていうか・・・・・・」

律紬「おっきい・・・・・・」

律「けっこう迫力あるなぁ・・・・・・」

紬「あ、ここに生態とか載ってるみたい」

律「へぇ、どれどれ」

律「マンボウの体内には大量の寄生虫が住み着いており・・・・・・」

紬「!?」

律「うわぁ・・・・・・」

紬「寄生・・・・・・虫・・・・・・」

律「あ、でも寄生虫を振り落とすために海面からジャンプするんだって」

紬「あ、良かった。ちゃんと振り落とせるのね・・・・・・」

律「この時、着水の衝撃で死に至ることもある・・・・・・」

紬「あぁ・・・・・・」

律「・・・・・・」

律「・・・・・・あー、えっと」

紬「・・・・・・・・・・・・写真」

律「え?」

紬「写真とりましょう!カメラ持ってきたの!」

律「あ、あぁ!記念にな!」

紬「ほら、これ!」

律「おぉ!デジカメじゃん!」

紬「そうなの!一緒に撮りましょう!」

律「よっしゃあ!そんじゃあ、そのへんの人に頼んで・・・・・・すみませーん」

紬「カメラお願いしてもよろしいですか?」

紬「えぇ、マンボウをバックに、はい。お願いします」

律紬「ありがとうございましたー」

律「どう?ちょっと見てみようぜ」

紬「うん」

律紬「・・・・・・」

律紬「プッ・・・・・・ブハァ!」

紬「り、りっちゃん顔引きつりすぎ~~」

律「ム、ムギこそ、なんで顔だけマンボウのまねしてるんだよ~~!」

紬「だ、だってまねしようかどうか迷ってるうちに撮られちゃって・・・・・・」

律紬「ぷっ、あははははははははは」

律「は~、笑った笑った」

紬「ほんと、お腹いた~い」

律「はー、マンボウもいろいろ苦労してるんだなぁ」

紬「普段はのほほんとしてるのにね」

律「次はどこいくー?」

紬「ん~と、あ!イルカショーもうすぐやるみたい!行ってみましょう!」

律「おぉ!いいね!」

紬「すごいすごーい!見て見てりっちゃん!」

律「見てる見てる」

紬「わっかくぐってる!ジャンプしてるよ~!」

律「はいはい、すごいなー」

紬「ね、ねぇ、えさ上げる人募集してるみたい!私いっても大丈夫かな?」

律「えぇ!?あーいうのはちっちゃい子どもがやるもんじゃないのか?」

紬「そっかぁ、そうよね」

律「でも、ムギがやりたいんだったら」

紬「ううん、いいの。子どもたちの楽しみを奪っちゃまずいわ」

律「そっか」

紬「ねぇ、りっちゃん。このふれあい広場ってなあに?」

律「んー、これは、そこにいる動物を触ってもいいよって場所だな」

紬「おもしろそう!行ってもいい?」

律「あぁ、いいよ」

紬「りっちゃん、この生き物はなんて言うの?」

律「うん、なまこだな。これは」

紬「なまこ・・・・・・」

律「なまこ」

紬「触ってみる」

律「え?平気か?ちょっと気持ち悪くないか?こいつ」

紬「だってふれあい広場だし・・・・・・」

律「まぁ、そうだけど」

紬「つんつん」

律「どう?」

紬「なんだかぐにぐにしてる。りっちゃんも触る?」

律「うん。ほんとだ、ぐにぐにしてるな」

紬「ぐにぐに」

律「ぐにぐに」


紬「りっちゃんこっちこっち」

律「んー、クラゲ?」

紬「うん、すっごく綺麗じゃない?」

律「そうだなー、けっこう種類いるんだな。クラゲって」

紬「そうね、この子なんてちっちゃくてかわいいなぁ」

律「なぁなぁ、ムギ」

紬「なぁに?りっちゃん」

律「クラゲのまねできるか?」

紬「えっ?クラゲの・・・・・・」

律「さすがのムギでもこれは―――」

紬「やってみるわ!りっちゃん!」

律「おぉ!」

紬「・・・・・・」ウネウネ

律「・・・・・・」

律「さーて、次はどこに行こうかー」

紬「スルー!?スルーなの!?」

律「あはは、ごめんごめん」

紬「もう!りっちゃんなんて知らない!」

律「悪かったって~」

紬「・・・・・・りっちゃんのクラゲも見たいな~」

律「えぇっ!私のー!?」

紬「だめ?」

律「う、わかったよ~」

紬「ふふ、じゃあどうぞ!」

律「ええと・・・・・・」ウネウネ

紬「・・・・・・」

紬「あの・・・・・・ごめんね?」

律「いや・・・・・・」

紬「つ、次はペンギンのコーナーに行ってみましょう!」

律「よ、よっしゃあ!気をとりなおしてな!」

律「いくぞーっ!」

紬「おー!」


紬「コウテイペンギンだって~」

律「聞いたことあるぞー、名前だけ」

紬「赤ちゃんかわいい~」

紬「毛がふさふさで、モフモフしたいなぁ」

律「なーんか歩き方がまさしくペンギンって感じだな」

紬「ペタペタって音がしそうね」

律「なぁなぁ、あそこでゴロゴロしてるの唯みたいじゃないか?」

紬「え?どこどこ?」

律「ほら、あそこ」

紬「ほんとだ~」

紬「それじゃあ、あっちのはじっこにいるのは澪ちゃんかしら」

律「それっぽいなー。んじゃあ、あのツンツンしてそうなのは梓だな!」

紬「なにそれ~」

―――――――
―――

律「ムギー、そろそろ帰る時間じゃないか?電車もあるし」

紬「あ、そうね。もうこんな時間・・・・・・」

律「あんまり遅くなるとあれだしな」

紬「うん。ねぇ、りっちゃん最後にひとついい?」

律「ん?なに?」

律「ほら、ムギ。もうちょっとくっつけって」

紬「え、ええ。これでいい?」

律「うーん。これじゃあ私たちしか映らないな」

律「ちょっとかがんでみるか」

紬「どう?」

律「ばっちし!ペンギンも映ってるよ」

律「じゃあ撮るぞー」

紬「は、はい!」

律「はい、チーズ」


電車内

紬「りっちゃん、今日はすごく楽しかったわ。本当ありがとうね」

律「そっか、私も楽しかったよ」

紬「こんな時期に誘って迷惑じゃなかった?」

律「そんなことないって、私も息抜きしたかったしさー」

律「ま、実際息抜きばっかなんだけど」

律「ムギと2人で遊んだの夏休み以来だったし」

紬「次はいつこうして遊べるかしらね」

律「ん~どうだろ、受験終わってからかもなぁ」

紬「そうよね・・・・・・」

律「ん~、寂しいのか~?」

紬「うん。寂しい、かな」

律「ムギ・・・・・・」

律「なぁ、ムギ。去年の学園祭前のこと覚えてるか?」

律「私が風邪ひいて練習に出られなかったときのこと」

紬「うん」

律「さわちゃんが代わりのドラム探したら?って提案したときにさ、ムギが言った言葉」

律「りっちゃんの代わりはいませんって」

律「後から澪に聞いた話なんだけどな」

律「私さ、そのことを聞いたときすっげー嬉しかったんだ」

律「りっちゃんの代わりはいません」

律「自然と元気付けられるっていうか、ここにいていいんだって思えるっていうかさー、あはは」

律「あれ?私なに言ってんだろ、こんなこと言うつもりじゃ」

律「だぁー!今のは忘れてくれ!ムギ!」

紬「ふふ、だめですー。ぜったーい忘れないからね」

紬「りーっちゃん!」ギュー

律「ム、ムギ!?どうしたんだよ~そういうのは梓とかにやりなしゃい」

紬「ふふ、りっちゃんの代わりはいませ~ん」

律「こ、こら、ムギ~」


琴吹家

紬「楽しかった、すっごくすっごく楽しかった~~」

紬「りっちゃんたらあの後、自分が降りる駅を乗り過ごしてまで私を送ってくれるんだもん」

紬「あんなに悪いわって断ったのに・・・・・・」

紬「優しすぎるわ・・・・・・」

紬「ふふ、りっちゃんとの思い出また増えちゃった~」

紬「りっちゃんの代わりはいません」

紬「あんなふうに思っててくれてたなんて、嬉しかったなぁ」

紬「こんなに幸せになっていいのかしら・・・・・・」

紬「次は唯ちゃんか梓ちゃんだけど」

紬「そうね、梓ちゃんを誘っちゃおうかなぁ」

紬「メールメールっと」


3  ※梓編
最終更新:2011年06月14日 21:57