澪「はあ……はあ……」
澪「もうすぐ着くからな……」
唯「ぅ……」
澪「ほら、しっかりしろ」
唯「……」
澪「……重い……はぁはぁ……」
澪「はあ、はふ……ついたぁー」
唯「……」
澪「唯、着いたぞ」
唯「……」
澪「……唯?」
唯「……」
澪「ほら、起きろって……なあ……」
唯「……ぅ、ぁ」
澪「ど、どうした?」
唯「……ん」
澪「え?」
唯「…………はん」
澪「何、聞こえないよ……」
唯「………………ごはん」
澪「……まったく。先にチェックイン済ませてくるからちょっと待ってて」
唯「……ぁ……ぅん」
#旅館
唯「うま、美味ぁ~!」ガツガツ
澪「はは……」
唯「はぁーもーお腹空きすぎて死ぬかと思ったよ」
澪「私も死にそうだったよ」
唯「ごめんねおんぶさせちゃって」
澪「まったく」
唯「こうしていられるのも澪ちゃんのおかげだよ!」
澪「はいはい」
唯「……ところでさ」
澪「ん?」
唯「私って重い……かな?」
澪「……聞いてたのか」
唯「……」
澪「いや、そんな事ないけど」
唯「ご、ごめんね……重いのにおんぶさせちゃって」
澪「ほ、ほら! この揚げ出し豆腐美味しいぞ!」
唯「……もぐもぐ」
澪「な?」
唯「……おいしい」
澪「よし、どんどん食べよう」
唯「はぁー美味しかったー」
澪「疲れたからいっぱい食べちゃったな……」
唯「そんなこと気にしてたら損だよー」
澪「うーん、うーん……」
唯「ほらほら、そんな事より今後の予定立てようよ!」
澪「そんな事って……」
唯「えーと、私達は今……んと……ここどこだっけ?」
澪「茨城県だろ」
唯「そう茨城! 明日は納豆クレープ食べに行きたい!」
澪「……うぷ」
唯「そろそろお風呂入りにいこっか」
澪「うん」
唯「沢山歩いたから汗かいちゃって」
澪「後半は私がおんぶしたけどな」
唯「んー、じゃあお礼に背中流してあげるよ」
澪「えっ、いや、いいよ別に」
唯「遠慮しないでいいよ~」
澪「ばっ、恥ずかしいだろ!」
唯「ちぇー」
#翌日
澪「よし、出発するぞ」
唯「おう!」
澪「まずは……」
唯「納豆クレープ!」
澪「違う。車を取りに行くぞ」
唯「ソラ君だね!」
澪「名前つけてたのか」
唯「うん!」
澪「昨日は充電が切れちゃったけど今日は天気もいいし大丈夫だろう」
唯「そうだね」
澪「今日はおんぶしないからな?」
唯「お腹いっぱい食べたからだいじょうふんす」
澪「じゃあ出発」
唯「進行!」
唯「ソラくーん会いたかったよー」
澪「……よし、これなら大分走れそうだ」
唯「じゃあクレープ行こ、クレープ!」
澪「わかったわかった」
唯「どんな味なんだろう納豆クレープ」
澪「唯は変わった食べ物好きだよな」
唯「そうかなー……そうかも」
唯「おお……これが納豆クレープ。澪ちゃんは買わないの?」
澪「私はいい」
唯「そう? じゃあいただきまーすもぐもぐ……」
唯「んむ、美味しい! 美味しいよ澪ちゃん!」
澪「そ、そうなのか……?」
唯「やっぱり納豆の聖地だけあって納豆が美味しい!」ネバネバ
澪「そうか……って唯! 納豆こぼしてる!」
唯「え? うわっ」ネバー
澪「うわああ! 車出て食べろ!」
唯「ごめんなさーい!」
澪「……」
唯「……すんすん」
澪「……」
唯「……においとれないね」
澪「ソラ君泣いてるぞ」
唯「申し訳ない」
澪「もうすぐ福島県だぞ」
唯「福島かー。福島っていったらあれだね」
澪「ああ」
澪「鶴ヶ城!」
唯「喜多方ラーメン!」
澪「……」
唯「お城かー。あ! その近くにさくらんぼ狩り出来る場所ってあるかな!?」
澪「福島市の方が果樹園はあるみたいだけど会津にも確かあったな」
唯「そっかー楽しみだねえ」
澪「食べ物以外にも興味持とうな」
―――
唯「いただきまーす」
澪「いただきます」
唯「ずず……」
澪「はむ……」
唯「おいしー」
澪「うん。この店のはさっぱりしてて食べやすいな」
唯「油ギトギトの奴も美味しいけどね」
澪「いや、私は……」
唯「だめなの?」
澪「うん。前に律に無理やり連れて行かれて食べたんだけど量が多くて……」
唯「そっかー」
澪「あの時は結局律も食べきれなくて残してたな」
唯「さすがりっちゃん」
唯「次は何県に行くんだっけ?」
澪「宮城県。行きは太平洋側で帰りは日本海側の県を回るって言っただろ」
唯「そうでした。今日はどこに泊まろうかね」
澪「……」
唯「……そういえばこの辺りってなんにもないね」
澪「……」
唯「もう暗いし……」
澪「……」
唯「ねえ澪ちゃん、さっきからソラ君のスピード遅くない?」
澪「……今はコレが精一杯の速度だよ」
#宮城県
唯「……あ、止まった」
唯「これは……」
澪「今日は車で寝しかないな」
唯「ですよねー」
澪「宮城には入ったから明日は仙台に行ってみよう」
唯「そうだね。私牛タン食べたい!」
澪「確かに有名だけどさ……もっとこう、三陸海岸とかライン舟下りとか」
唯「ん、そっちも楽しそう!」
澪「まあどちらにしても」
唯「ソラ君、朝一で充電お願いね!」
#翌日
唯「ぎゅう」
澪「たん」
唯「ぎゅう」
澪「たん」
唯「ぎゅう」
澪「たん」
唯「たん」
澪「たん」
唯「たん」
澪「たん?」
唯「ぶー、澪ちゃんの負けー」
澪「く……今は……運転中だから……」
―――
唯「いただきまーす」
唯「んふー! やわらかー! 牛タンのタタキって美味しいー」
澪「ぎゅう」
唯「え?」
澪「ぎゅう」
唯「……たん?」
澪「ぎゅう」
唯「……たん」
澪「ぎゅう」
唯「あ、後にしない?」
澪「ぎゅう」
唯「澪ちゃぁん」
澪「じゃあそろそろ出発するか」
唯「おっけ」
澪「岩手県まで一気に行こうと思うんだけど……」
唯「岩手……岩手……わんこそば!」
澪「あ、うん。それで……大丈夫か?」
唯「何が?」
澪「乗り物酔いだよ」
唯「ふふ、今回の旅で私が酔った風に見えましたかな?」
澪「うん、わりと」
唯「で、でもね、今回は対策もばっちりだから大丈夫だよ!」
唯「ほらこれ! 乗り物酔い防止リストバンド! これで手首のツボを刺激すると乗り物酔いが軽減されるの」
唯「それに澪ちゃんの運転上手いから……」
澪「唯……」
澪「次は唯が運転する番じゃなかったか?」
唯「えへっ?」
唯「なんか自分で運転してるとあんまり酔わないかも!」
澪「それはよかった。じゃあもうずっと唯に運転してもらおうかな」
唯「そ、それはぁ……」
澪「冗談だよ」
唯「んもー」
澪「あ、そういえばお風呂入ってないな」
唯「そういえばそうだった」
澪「どうするかな……ふわぁ」
唯「眠いの?」
澪「ん、まあ」
唯「寝ちゃっていいよ」
澪「でも……」
唯「大丈夫だよー」
澪「じゃあ……ちょっとだけ」
唯「おやすみ」
―――
澪「……ん、ふぁぁ」
唯「お、澪ちゃん起きた?」
澪「うん、ごめんな?」
唯「いいってことよ。それよりあちらをご覧下せえ」
澪「あれは……さくらの湯?」
唯「温泉だってさ」
澪「へえ、唯が調べたの?」
唯「まあね~」
澪「ありがと」
唯「いえいえ」
唯「あ゛ぁ~~……いいお湯」
澪「じじくさい……はふぅ」
唯「でもずっと車乗ってると身体が痛くなるんだもん」
澪「確かにな」
唯「ああ~……ずっとこうしてたい……」
澪「湯あたりするぞ」
唯「いやーすっきりした!」
澪「ああ」
唯「もうねたい」
澪「こらこら、ここは旅館じゃないぞ」
唯「んぅーでもー」
澪「今日はもう少しだけ走って、充電が切れたらそこで休むか」
唯「んん……でもぉ……」ウトウト
澪「私が運転するから」
唯「……いいの?」
澪「このまま唯に運転させるのは怖いし」
澪「どこか車を止められそうな場所は……」
澪「うわ、まずい電気が……もうちょっと、もうちょっと頑張ってくれ」
澪「……よし」
澪「ふぅ、今日はここまでだな」
唯「すぴー……」
澪「おやすみ」
唯「うぅん……」
#翌日 岩手県
唯「きたねー岩手県。それじゃわんこそ――」
澪「イーハトーブ!!」
唯「へっ?」
澪「岩手に着いたらまずは宮沢賢治記念館に行くって決めてたんだ」
唯「そ、そうなんだ」
澪「それから宮沢賢治童話村とイーハトーブ館とそれからイギリス海岸にも行ってみたいな……」
唯「1日でそんなに回れるかなぁ?」
澪「今日は旅館に泊まろう!」
唯「あ、うん……」
最終更新:2011年06月22日 20:45