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8月1日(7日目)
チュンチュン...
キン太「...」
唯「...」
キン太「ついに最終日だぞ」
唯「うん...」
キン太「あんまり眠れなかったみたいだな」
唯「だって...今日でキン太とお別れなんでしょ?」
キン太「...まだそんな事言ってるのか、安心しろ、いつかまた会えるさ」
唯「ほんとに?」
キン太「ああ、本当だ」
唯「よかったあ、楽しみだな~キン太に会うの」
キン太「ははは...」
キン太「それで、願い事は?」
唯「一応、何個か...」
キン太「おう、言ってみ」
唯「ずっと高校生でいたい!」
キン太「...無理だ、物理的にも」
唯「ずっとけいおん部でいたい!」
キン太「...それも駄目だ、唯ちゃん」
唯「...けいおん部のみんなとずっと一緒にいたい!は?」
キン太「唯ちゃん...その、今日中に叶えられるやつじゃなきゃ駄目なんだ...わかるか?」
唯「じゃあわたし、けいおん部のみんなとずっと一緒にいられないの?」
キン太(...!!)
キン太「...いや、そういう訳じゃ...」
唯「やだよー...みおちゃんもりっちゃんもむぎちゃんもあずにゃんも、ずっと一緒がいい!」
キン太「唯ちゃん、他の願いを...」
唯「だって...これしか思いつかないんだもん」
キン太「ダメなんだ...ルールがあるから...」
唯「なんか変だよ...何で今日中に叶う願いじゃないと駄目なの?」
キン太「...っ!!」
唯「?」
キン太「...言えないっ!」
唯「なんで?」
キン太「...それを言ったらその瞬間俺は消えちまうんだ。とにかく、言えない...」
キン太「ごめんな...」
唯「うん...」
キン太「どんな人とも必ず別れは来るんだ...大丈夫、唯ちゃんはそれを乗り越えられる...!」
唯「...キン太、泣いてるの?声が...」
キン太「泣いてない!!」
唯「...」
唯「...ういは?ういともいつかお別れなの?」
キン太「...!」
キン太「それは...」
唯「やだよーういとお別れは絶対いやだ!」
キン太「唯ちゃん...」
キン太(あっ...)
キン太(...もしかしたら...)
キン太(憂ちゃんなら、大丈夫かもしれない)
キン太(...)
キン太(そうだ...憂ちゃんは唯ちゃんがいなくなったら...)
キン太(...でも...)
キン太(...いや、きっと...)
唯「キン太?」
キン太「唯ちゃん...憂ちゃんと離れるのは絶対に嫌か?」
唯「え?...うん、ぜーーーーーったいに嫌だよ」
キン太「けいおん部のみんなと憂ちゃんだったらどっちを取る?」
唯「...質問がいじわるだよ。どうしてそんな事聞くの?」
キン太「じゃあもし、無人島に1人だけ連れていけるとしたら、誰を選ぶ?」
唯「うい!」
キン太「そうか...」
キン太(憂ちゃんも、きっと...)
キン太(そうだ!憂ちゃんだって絶対に同じ事を言うはず...)
キン太「よし!唯ちゃん!それが最後の願いってのはどうだ?」
唯「ん?どれ!?」
キン太「おいおい、それを俺に言わせるなよ」
唯「えっと...無人島に行きたいっ!...?」
キン太「よっしゃ!!マンマンキラキ......って違うだろ!!危なかったぞ!!!」
唯「それってどれ?」
キン太「とにかく、今の一番の願いを言ってみてくれ」
唯「あ、うん...えっと、」
唯「ういとずっと一緒にいたい!!」
キン太「...」
唯「はずかし///」
キン太「本当にいいんだな?」
唯「うん!!っていうかキン太が言ったんじゃん」
キン太「よし!承った!」
キン太「あ、言い忘れてたけど、3つ目、つまり最後の呪文唱えた時点で唯ちゃんの中の俺に関する記憶は全て消えるから、たぶん」
キン太「俺も普通の見た目の金魚に戻るはず!わかったな?」
唯「え...?えぇえ!?」
キン太「色々ごめんな、唯ちゃん......じゃっ、行くぞ!!」
唯「待って!!キン太!!!」
キン太「"向う"でまた会おう唯ちゃん」
唯「キン太!!!」
キン太「マンマンキラキラチロチロリーン!!!!」
ビュンッ
唯「...」
唯「7時かあ...あれれ?何でこんなに早起きしたんだっけ??」
唯「...?わたし何で泣いてるんだろう」フキフキ
唯「...えーっと...」
唯「そうだ!今日はギー太と朝のお散歩する約束してたんだ!」
唯「そうだったそうだった!ギー太~おはようー♩」チュッチュ
唯「金魚さんも、おはようー!朝ご飯だよう」パラパラ
金魚「...」パクパク
唯「えへへ、帰りにアイス買っちゃお~っと」オサイフヨシッ
唯「よいしょ...行くよ~ギー太」タタッ
憂「あ、お姉ちゃんおはよう」
唯「うい!起きてたのかあ」
憂「あれ?どこか行くの?」
唯「うん!ちょっとギー太とお散歩~!」
憂「そっか!気をつけてね?」
唯「うん!」
憂「朝ごはん用意しておくからアイス買って食べちゃダメだよ~?」
唯「...わ、わかったよ!」ガーン
ガチャ
テクテク
唯「あ!おばあちゃんだ!おはよー」
おば「あら、唯ちゃん!ちょうどよかった!こっちに来てごらん」
唯「なになにー?...わあ、お花元気になったの!?」
おば「そうなんだよ、唯ちゃんに言われてお水をあげたら、見る見る元気になってねぇ、今では元より綺麗に咲いてるんだよ」
唯「よかったー、すごく綺麗だね」
おば「本当に唯ちゃんのおかげだねぇ、ありがとう、唯ちゃん」
唯「ううん!それは私じゃなくてねー...あれ?誰のおかげなんだっけ...」
おば「?...あ、そうそう、昨日頂いたお菓子があるから、持って行くかい?」
唯「ほんと!?ありがとうー!」
唯「~♪~♪」
唯「やっぱり朝のお散歩はいいねえギー太、お菓子も貰っちゃったし」
唯「早起きはナントカのトクってやつだよ~」
唯「......ややっ!?」
唯「あれは...」タタタッ
(じはんき!)
唯「カルパスウォーターすいか味だって!すごーい初めて見た」
唯「...」
唯「すいか味かあ...いいねぇファンタスティックだねえ...」
唯「...ジュースくらいならいいよね」
唯「買っちゃおーっと♩」オサイフオサイフ
唯「...ん」
唯「...あれ?」
――――
(台所!)
ジュー...
憂「~♪」
憂「お姉ちゃんまだかなー」
チンチロチンチロリーン
憂「あ、電話だ」
パチッ
憂「あれ?お姉ちゃんだ~」 ピッ
憂「もしもしお姉ちゃんー?」
憂「え、財布?」
憂「うん、わかった、部屋見てみるね」
タッタッタ... ガチャッ
憂「えっと...あ」
憂「あったよーお姉ちゃん」
唯「ほんと!?」
憂『うん、床に落ちてた』
唯「よかったあー!」ホッ
憂『お姉ちゃんたら』クスッ
唯「ナントカのトクどころか今月のお小遣い全部失う所だったよ」
憂『ナントカ?』
唯「うん!」
憂『それより何買うつもりだったのー?アイスはめっだよ~』
唯「違うよーカルパスウォーターすいか味だよ!」
憂『もうっ、朝ごはん出来てるから早めに帰ってきてね』
唯「うん!今から帰るよ~ありがとね」
憂『いいぇ......え?』
唯「?」
憂『これ...』
唯「??どしたの?」
憂『お姉ちゃん...金魚が...』
唯「え?」
憂『...青くなってる』
最終更新:2011年06月23日 21:53