平穏な日常… 平穏な毎日… 青春という名の時間は
無常にも流れていく…。
もしも…そんな平和な時間が壊されたとしたら…?
もしも…あなたの通っている学校が
別の世界に投げ込まれたとしたら…?
これは学校が突然魔界に迷い込み
現実の世界に戻るために戦った、とある少女達の物語…。
憂「お姉ちゃーん!お姉ちゃん!」
唯「ん~あと5分~」
憂「外を見てよお姉ちゃん!雪が降ってるよ~!
今年はホワイトクリスマスだね!」
唯(そっか、今日はクリスマス……)
唯「うわぁ本当だ~!積もるかなぁ憂~?」
憂「この降り方だとけっこう積もるんじゃないかなぁ…
あっお姉ちゃん早くご飯食べて学校行かないと!
遅刻しちゃうよー!」
…
……
唯「あわわ……憂マフラーどこだっけ!?ん~……あった!」」
憂「お姉ちゃんそれストッキング!もう、落ち着いて!」
唯「憂、行こっ!」
憂「お姉ちゃんそんな走ったら転b」
唯「うわぁ~いっぱい降ってるよ憂~!」
唯(雪…か……)
……ホー
ヒー……ホー………
唯「え?」
憂「え?どうしたの?お姉ちゃん?」
唯「……ううん、なんでもないよ~ほいっ」 ファサッ
憂「お姉ちゃん……?マフラー……」
唯「えへへ、あったかあったかだよ憂♪」
唯(………ありがとうね………)
二か月前の放課後―――
「…い……」
「……い!」
姫子「唯!」
唯「…ほえっ……?」
姫子「もう放課後だよ。部活……行かないの?」
唯「おおっ!そうだ!ありがとう姫子ちゃん!」
姫子「あんた最後の授業からHRまでぶっ通しで寝てたよね……
その集中力……尊敬するよ」
唯「いやぁ~そんなぁ照れるよ~」
姫子「褒めてないし……じゃあ私帰るね。」
唯「うん!ばいばーい!」
唯達HTTは最後の学園祭を終え、残り少ない高校生活……
そう、放課後の時間を大切に過ごそうと決めていた
唯「あっそうだ、今日は私以外のみんなは
受け持ち区域の掃除当番なんだっけ…」
唯「うふふ…律ちゃんにイタズラしに行こうかなぁ」
唯「よし!行こう……あれ?」
カタ……カタカタ……
唯「……地震?」
……ゴゴゴゴゴゴゴゴ
キャー
唯「うわっ大きい!机!机の下に隠れなきゃ!」
ゴゴ……ゴ…
唯「……収まった?」
唯(今のはどれくらいの震度だったんだろう)
唯(暗い?……停電?)
唯(違う……外が暗い!?)
女子A「キャー!何コレ!?外が…」
唯「え……」
唯は窓越しに外を見る。
いや、正確には「外」があるはずの空間を…
唯「外が……無い……」
いつもなら校庭が一望できる唯達の教室の窓の外には景色が無かった。
そこには真っ黒に歪んだ空間しか……
唯「はっ!そうだ!みんな……!」
ガラッ
律「唯!」
澪「大丈夫か!?」
唯「律ちゃん!澪ちゃん!」
律「その調子だと大丈夫そうだな……」
唯「ムギちゃんは!?」
澪「ムギは梓と憂ちゃんを探しに行ったよ」
唯「あ・あたしもいk」
ガラッ
紬「みんな!梓ちゃんと憂ちゃんは無事だったわ!」
憂「お姉ちゃん!」
唯「憂~!!」
唯「良かった~…あっ!あずにゃ~ん!!」
梓「せ・先輩…苦しいです……!」
梓「もう!っこんな非常時に抱きつかないでください!」
澪「そうだな…学校……どうしちゃったんだろうな」
律「なんで外が無いんだよ澪!」
澪「わ・私に聞くな!!」
―――ふふっ揃ったようね―――
全員「え!?」
梓「今、誰かの声が……」
紬「ええ、聞こえたというか……」
澪「頭の中で直接聞こえた感じだ……」
唯「……和ちゃん??」
―――ご名答、唯―――
―――あなた達、そしてこの学校は私が預かったわ―――
律「な!?預かったってどういう事だ!?」
―――この学校は今、異次元空間にあるわ―――
澪「い・異次元……??」
―――正確には現実世界と魔界の間って所ね――
梓「魔界!?」
律「和!どういうことだ!?」
―――気安く名前を呼ばないで欲しいわね……私は新しい力を
手に入れたの……そう、悪魔と契約してね―――
―――魔界の人々はこう呼ぶわ……「魔神皇」と―――
唯「嘘だよ…和ちゃん……」
律「そうだよ!お前頭おかしくなったんじゃないのか!?」
梓「でも、この頭に直接響いてくる声は……」
―――百聞は一見にしかずよ。
まず自分達の目で確かめてくるといいわ―――
―――フフフ……―――
唯「和ちゃん…どうして……うっうっ」
憂「お姉ちゃん……」
澪「が・学校の中を確かめてみないか??」
紬「そうよ!もしかしたら外に出れるかもしれないわ!」
律「よーし!学校探検してみるか!」
…
……
………
梓「この非常口も開かないです……」
澪「ここもダメか……」
律「あー!!もう!!一体何が何だか……」
唯「ねえねえ、体育館はまだ行ってないよねぇ?」
澪「体育館か!確か奥に非常口があったな!」
律「行くだけ無駄じゃないのかぁ~?」
憂「ダメ元で行ってみましょう!ねっお姉ちゃん!」
唯「うん!行ってみよう~」
―――渡り廊下
律「おい…ここから外見てみろよ……」
澪「学校が…浮いてる……?」
学校は歪んだ闇の中に浮いていた……
唯「どこまで続いてるんだろ~?」
唯「おーーーい!」
唯「アーーイーースー―!!」
梓「先輩何やってるんですか……」
唯「いやぁやまびこが返ってくるかと思って~」
澪「………」
唯「澪ちゃん??」
澪「何…あれ……」
梓「ひっ」
グルルル……
全員が体育館の入り口を見て凍りついた
そこに立っていたのは
人間ではなかった……
鉄の棍棒を持ったオオカミに似た
異形の者だった
憂「お・お姉ちゃん…怖いよ……!」
唯「わ・わわわたしもだよ」
紬「と・とりあえず逃げませんか?」
梓「賛成です!」
澪「……」
律「よし!まだこっちには気付いてないみたいだ…」
澪「……」
律「一旦校舎へ戻るぞ!澪!……澪?」
澪「はっ」
律「気絶してる場合か!ほら!行くぞ!」
―――校舎
律「ふい~……」
澪「あ・あれは何だったんだ?」
律「あ・あたしに聞くな!」
梓「人間じゃ…ないですよね……」
紬「そうよ!」
唯「どうしたのムギちゃん?」
紬「お茶にしましょう!」
律「ハハ…この状況でお茶かよ……」
紬「みんな一旦落ち着きましょ!お茶飲んだら
何かいい考えが浮かぶかも!」
澪「そういえばまだ音楽室に行ってなかったな……」
唯「お茶~♪お菓子~♪♪」
憂「私もお手伝いします!」
梓「昼休みに練習して楽器も置きっぱなしですもんね」
唯「はっ!そうだった!ギー太~!」
唯「ギー太が音楽室に!!」ダダダダ
律「ちょっ!唯ー!」
憂「お姉ちゃん一人で行ったら危ないよ~!!」ダダダダ
澪「憂ちゃんまで……」
梓「行きましょう!」
―――音楽室前
唯「はぁ…はぁ…ギー太…」
ガチャッ
憂「お姉ちゃん危ないっ!」
唯「え?」
澪「唯!憂ちゃん!!」
律「なんじゃこりゃ……」
梓「はぁ…はぁ…音楽室が……!」
紬「はぁ…はぁ…嘘……」
そこにギー太は無かった
ドアの向こうにあるはずの見慣れた風景は
真っ黒な闇に変わっていた。
唯「音楽室が無くなってる!?」
律「マジかよ……」
唯「うぅ…ギー太…ギー太ぁ~!!」
唯の声は闇の中へ虚しく消えていった……
梓「あれ……?」
紬「梓ちゃん?どうしたの?」
梓「あんな所の部屋なんてありましたっけ?」
澪「どこだ?」
梓「ほら…あそこです……」
梓は階段の下を指差した
階段の脇に扉があった
律「おっかしーなぁ、階段しか無かったような気がしたけど」
唯「行ってみよう!」
澪「やだ…怖いよ……」
律「よし!行ってみるか!」
澪「おい!律……!私も行く!」
コンコン
返事はない……
唯「失礼つかまつりたてまつる~!」
律「いつの時代の人間だよ……っつか日本語おかしいぞ」
ガチャ…
?「待ってたよ諸君……」
全員「!?」
?「さあ、入りなさい」
部屋には特に異常は無かった
車椅子の男がいたという事以外を除いては……
唯「あのー……おじさんは??」
唯「え!?なんで私の名前を……」
?「私は、そうだな……STEVEN、とでも呼んでもらおうか」
唯「すてぃー?」
梓「まつぴt?」
律「いや、梓、それ言えなすぎだろ……」
車椅子の男「大変なことになったようだね
すでに悪魔にも遭遇したようだが」
澪「悪魔!?」
車椅子の男「おや?体育館前にコボルトがいなかったかい?」
律「おっさん……何者だ?」
車椅子の男「今、この学校に次元の裂け目から悪魔が侵入している。
校舎の中に入ってくるのも時間の問題だろう」
車椅子の男「残念だが君達には悪魔に対抗する力も備えてないようだ」
紬「そんな……」
車椅子の男「私には悪魔を倒す力は与えてやることはできないが……
悪魔と交渉する力は与えてやれる」
梓「悪魔と交渉……」
車椅子の男「私が開発した悪魔召喚プログラムだ
しかしハンドヘルドコンピューターが無くてね……
この前犬を連れた少年にあげたので最後だったんだ」
車椅子の男「そうだ、君達携帯電話は持ってるね?」
唯「あるよ~!ほらっ」
澪「おい、唯…見ず知らずの人に携帯渡すなよ……」
唯「え~でもこのおじさん悪い人じゃなさそうだし」
車椅子の男「このプログラムをアプリに変換してンストールすれば
問題無いだろう…」
車椅子の男「…よし…(アプリ名…っと……)」
車椅子の男「完了だ。携帯のこのアプリを起動すれば悪魔を召喚、交渉
することも可能だろう」
唯「ありがとう~!えっと…魔クシィ??」
唯「あれ、メールが届いてる……」
件名:すてぃっちさんから招待状が届いています
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本文
やっほー唯ちゃん!このマクシィって悪魔ともコミュニケーション
とれてマジで便利だから登録よろしく!
登録したら私ともマイマk
唯「………」
車椅子の男「残念だがこのプログラムは一回しかインストールできないんだ。
悪魔と交渉する時は唯君の携帯を通してするといいだろう」
律「え~なんだよケチ~」
車椅子の男「その変わりといっちゃなんだが他のみんなにはこれをインストール
してあげよう」
…
……
梓「魔法デバイス……?」
律「なんのこっちゃ」
車椅子の男「君達魔法の存在は知ってるかい?」
澪「まあ……はい、言葉だけは」
車椅子の男「魔法デバイスは魔力をデータ化して具現化できる物なんだ
(って言っても使ったこと無いけど)」
車椅子の男「きっと後で役に立つはずだ」
律「ふーん、ありがとなおっさん!」
車椅子の男「では、頑張りたまえ…もうあまり時間が無いはずだ」
唯「じゃあね~」
バタン
澪「う、うさんくさい人だったな……」
律「唯~悪魔召喚プログラムってヤツ見せてくれよ!」
唯「いいよ~」
律「な・マクシィ?なんだこりゃw」
澪「魔法陣の背景…か…いいなぁ」
梓「え??そこですか!」
律「はぁ…こんなもんだと思ったよ…おい!オッサ……」
憂「あれ…扉が……」
唯「無くなってる~!」
梓「あのおじさんもう時間が無いとか言ってましたね」
紬「悪魔が侵入とか……」
澪「はっ!そうだ!悪魔が…やだ……」
梓「あの、なにか武器になりそうな物を探しに行きませんか?」
澪「え?」
梓「いや、ほら、もし悪魔に襲われたら丸腰よりは何か持ってた方が
安心するじゃないですか!」
律「そうだな!何か武器を探しに部室巡りでもするか!唯隊員!」
唯「了解です!律隊員!♪」
澪「なんでお前らは楽しそうなんだよ……」
最終更新:2011年06月26日 02:24