旅行前日

梓「じゃあ、○○駅で待ち合わせね!」

律『おう!その駅がちょーどお互い住んでるとこから同じくらいの距離だしな!!』

梓「たのしみだねぇ~」

律『へへへ。楽しみだなぁ。今日は早くねろよ!』

梓「律もね!」

律『じゃあ、電話切るぞー』

梓「はーい、じゃあまた明日ね~」

律『ん~』

梓「…」

律『…』

梓「なんで切らないの?」

律『え?梓が切るんだろ?』

梓「え?今『切るぞー』って言ったの律じゃん」

律『え?言ったっけ?』

梓「言ったよ!」

律『いや、言ってねーよ』

梓「いやいやいや、言ったから!!」

律『言ってねーし!』

梓「ほら、はやく切ってよ!!電話代もったいないよ」

律『お前が切れよ!!てか、電話代気にするとかいまさらだろ!!』

梓「うっさい!!りつから切ってよ!!」

律『いーやーでーすぅううう』

梓「あーもう!そういう風に語尾のばすのやめてってばっ!」ピッ

梓「…あ、間違えてボタン押しちゃった」

梓「…ま、いっか」


当日

梓「…」ポツン

梓「…遅い」

梓「もう着いてもいいころなのに…もう予定の時間の電車来ちゃうよぉ…」

梓「てか、昨日遅くまで勉強してて根不足だからこのままじゃ電車酔うかも…」

梓「さっきかった酔い止め飲んどこ…」ゴク…ゴク…

梓「ふぅ…」

ピリリリリリリリ

梓「あわわわわわわ!?で、電話!?」

梓「あっ…!?」バッ

ピッ

梓「もしもし!?りつぅ!?ちょっと今どこにいるの?」

律『あずさぁ~~ごめん』

梓「へ?なにどうしたの?私ずっと待ってるんだけど!?」

律『えへへ~~、あのな~~、…怒らない?』

梓「そういうのいいから!ど、どうしたの!?もしかして事故にでもっ!?」

律『風邪ひいた』

梓「」

律『てへ!なんかごめんちゃい!』タハッ

梓「…今どこ?」

律『いえ…のっ、っげ、げんかん…』

梓「玄関!?なんで寝てないの!?」

律『いや、家でようと思ったんだけど…ハァ…ちょっと無理だった…はは…は』

梓「いや、そんな息絶え絶えに笑われても…」

律『いやーなんか、ほんとすまんっ!!』

梓「空元気もださなくていいから!!」

律『ず…ずびばしぇん…』

梓「…あーもう!とりあえず、ベッドもどって!」

律『んあ?』

梓「今からそっち行く」

律『へっ!?あ、ちょ!?あず-』

ピッ

梓「…」

梓「…ばか」


―――――

トントン

梓「はいるよー」

『へーい』

ピッ

律「よーす、あずさぁ~元気ィ~?」ヘラヘラ

梓「…『元気ィ~』じゃないでしょ。そんなヘロヘロな声だして…」

ドサッ

律「お、なにか買ってきたのか?」

梓「一応…薬局寄って、スポーツドリンクとか…」

律「あんがと」

梓「うん。今熱どれくらいあるの?」

律「…えと…さっきで38度9分…」

梓「38度9分!?病院は!?」

律「…行ってない」タハッ

梓「保健証どこ!?」

律「…えと…たぶん、そこらへん」

梓「そこらへんって!?もう…!!ちゃんとしようよ…先輩…」

律「たはは…」

梓「まったく…こんなズボラな性格でよく1人暮らしする気になったよね」

律「んー…まぁな…」

梓「唯先輩たちみたく寮入ればよかったのに…」

律「…」

梓「1人でやたら広い部屋貸りてるし」

梓「ここら辺あさるよ?」

律「…んー…」

梓「…ないなぁ」ガサガサ

律「だってさぁ…」

梓「?」ガタンッ

律「1年たったら、お前ここくるだろ?」

ガサガサ

梓「…へ?」

律「はーくしゅん!」ズルズル

梓「どこに…?あ、ティッシュ」

律「ここに…あんがど」Here is here.

梓「…ここ?」

律「うん」チーン

梓「…」

律「うへぇ…」ズズッ

梓「あ?なにか飲む?」

律「ん。のどかわいた…」

ガサッ

梓「はい、これ」

律「さんきゅ…」ゴクゴク

律「…ふぅ」

律「ならはじめっから1人暮らししてたほうが楽かなーって思ってさ」

梓「へー…」ガサガサ

律「お前が引越しする時に私も引越しとか、なんかめんどくさそうだし」

梓「そか…」

律「…ん」ズズッ

梓「…あ、保健証あった」

律「お…よかった」

梓「じゃあ…病院いこっか…あ、着替えないと」

律「あ。あぁ。自分でするから」

梓「そっか…」

律「…」

梓「…」

律「いや、こっち向かれてるままだと着替えづらいんですけど…」

梓「あっ!ご、ごめん!!向こうむいとく!!」クルッ

律「…ん」

モゾモゾ パサッ ガサガサ 

梓(…な、なんか)

律「うおぉ…風邪ひいてると…服着替えるのもきついな…」ズズッ

梓(音だけって…変に緊張するなぁ…)ドキドキ

律「…んっぷぅ~~」

梓「着替えた?」

律「う、うん。着替えた…」グタッ

梓「だ、大丈夫?」クルッ

律「なんとか…ズズッ…」

梓「脱いだ服、洗濯しとくね」ヒョイヒョイ

律「あ…ごめん…」

梓「きつかったらちょっと座ってて」

スタスタ

律(はぁ…ぼーっとする…)

律(でも、なんでか全然大丈夫だな…)

律(いつもなら風邪ひいて熱出たら、精神的にきてるんだけどな)

スタスタ

梓「回してきた」

律「ん、さんきゅ…」

梓「じゃあ、病院いこうか!」

律「…あ」

梓「ん?どうしたの?1人で立てる?」スッ

律「…うん…」ヨイショ

律「…」

梓「?どうしたの?」

律「やっぱ、肩かして」

梓「うん。いいよ」

律「へへっ。さんきゅー…ズズッ」

梓「…よいしょっ!」

律「…ふぅ…」

律「あんがと」

梓「じゃ、いこっか」


―――――


梓「…やっと帰ってこれた…」グッタリ

律「…ズズッ」グッタリ

梓「まさか夏風邪と診断されるために4時間も待たされるとは…」

律「…ズズッ」

梓「大丈夫?」

律「うん。なんとか…待ってる間に悪化したような気もするけど…」

梓「だよね」

律「でも、梓が膝まくらして寝せてくれたから…まだましかな…ズズッ」

梓「そっか」

律「…またしてくれ」

梓「きゃっか」

律「ちぇ…はっくしゅ!」

梓「おかゆ作ったら食べる?」

律「うん…食べる」ズズッ

梓「じゃあ、作る」

律「お前作れるの?」

梓「…」

律「…」

梓「たぶん…」

律「…たぶん」

梓「あ、でも!!自分で風邪ひいたときは作るから!!作れるんだよ!!本当に!!」

律「へ~…ズズッ」

梓「ただ、自分以外の人の口に合うかどうかが心配なだけ」

梓「自分が食べるならいくらでもいい加減でもいいけど、人が食べるとなるとね」

律「梓が作るならなんでも食べるよ」

梓「…そう?」

律「まずくても」

梓「ぜったいおいしいの作ってやる!!」ダッ

律「…ははは。かわいいやつめ」

律「ちょっと…出来るまで寝とこう…」ポスン

律「…あ、代理店にキャンセルの電話してない…やばい…」

律「てか…キャンセル料でバイト代消えるかもな」ハハハ

律「まぁ…いいや」チラッ

梓「りつー!!…おかかとたまごどっちがいいーー!!」

律「へへ…」クスクス

律「梓がこの部屋にいるって、なんだかそれだけで無条件に落ち着くな」ウトウト

梓「りつー?どっちがいいー?」タタタ

律「んー…りょうほう…えらべない…」

梓「あれ?…寝ちゃう?…ちゃんとふとんかけないと風邪ひくよ」

律「もう風邪はひいてるよ」

梓「そういうツッコミだけきちんとしなくていいから」

律「あずさー」

梓「ん?なに?」

律「風邪ひいてごめんな~。てか、私から旅行さそったのに…」

梓「…あれ?柄にもなくセンチメンタル?」

律「…そういうこと言うなよ…結構悪いと思ってるんだから」

梓「あはは…ごめんごめん。ん~~でも、別にいいよ」

律「え…?やっぱ旅行行きたくなかった?」

梓「いや、そういうことじゃなくて」スッ

なでなで

律「…ん」

梓「『律と一緒にいる』っていう私の旅行の目的は達成できてるから」

わしわしわし

律「こらこら、病人で無抵抗だからってワシワシすんなよ…」

梓「ふふっ~~」

わしわしわし

律「怒ってない?」

梓「怒ってないよ」ニッコリ

律「そっか…よかった」

梓「うん。…旅行はまた今度いけばいいよ。だから、今はおかゆ食べて元気になって?」

律「ありがと…あずさ」

梓「どういたしまして、りっちゃん」ヘヘヘッ


【前編】 律「にゃんこいやー」 終わり



3
最終更新:2011年06月26日 22:00