夏期講習にて

講師「……今日の講習は以上です」

和「ふぅ……」

風子「和ちゃん帰ろう」

和「あ、うん、片づけるからちょっと待って」ガザゴソ

和「ハァ……じゃあ行こうか」

風子「うん」


  帰り道

風子「夏休みなのに毎日勉強ばかりで嫌になっちゃうね」

和「そうね。でももうすぐ受験だからしょうがないわよ」

風子「まぁそうだけどね。そういえば和ちゃんはK大を受験するんだよね、すごいよねホントに」

和「風子こそW大学じゃない。十分立派よ」

風子「でもわたしは和ちゃんほど頭良くないから自信無いんだよねぇ……」

和「わたしだって自信は無いわよ。だから夏期講習とかで休まず勉強するんじゃない」

風子ノシ「そうだけどね……あ、わたしこっちだからまた明日ね」

和ノシ「うん、またね」

和「……」

和(疲れた……毎日勉強ばかりで疲れるわ……)

和「ハァ……」

和(受験生だからしょうがないとは言ったけど、ホントこれでいいのかしら……)

和(高校時代最後の夏休みなんだからもっと楽しいことしたいわね)チラッ

和(3時半か……)

和「……」

和(唯や律とかも夏期講習に行ってるのかしら、さすがにあの子たちでも行ってるだろうな)

和「ん?」

紬「~♪」

和(あそこに居るのはムギ?)


紬「しゃらんら~♪」

和「ムギ」

紬「あら和ちゃん!どうしたの?なにかの帰り?」

和「夏期講習よ。そういうムギこそどうしたの?もしかしてデートとか?」

紬「ううん、じつは私も夏期講習の帰りなの!」

和「え、そうなの?でも夏期講習にしてはおしゃれな服装だけど……頭に花なんかつけちゃって……」

紬「そう?普通だと思うけど……」

和「でもすごい似合ってるわよ、とても可愛いわ」

紬「ホント!?ありがとう和ちゃん嬉しい!」ニパァ!

和(ホントに可愛い……)ドキドキ

和「それでなんでムギはここで突っ立ってるの?暑いでしょ?」

紬「電車が来るのを待ってるの」

和「ああここ駅前か……」

紬「でもなかなか来なくてね、なんか事故があったみたい」

和「そうなんだ。でもこのままだと熱中症になってしまうわ」

紬「そうだけど……」

和「あそこにあるCDショップで涼んでればいいんじゃない?適当にブラブラしてさ」

紬「あ、それいいかも~。ちょうど欲しいCDもあるしね」

和「それじゃあわたしはこれで……」

紬「ねぇ和ちゃんも一緒に行きましょ!」

和「え、なんで!?」

紬「だってわたしたちってほとんど絡みが無いでしょ?だからちょっとでも和ちゃんと仲良くなりたいの!」

和「はぁ」

紬「だから早く行こ!」ギュッ!

和「あ、ちょっとムギ!(ム、ムギの手すごい柔らかい……)」


  CDショップ

紬「しゃらんら~♪」

和「ね、ねぇムギ」

紬「なあに和ちゃん?」

和「手離さない?なんか恥ずかしい……」

紬「あ、ごめんなさい!私なんかと手を握るの嫌だったでしょ……」

和「い、いやそんなことないわ!嬉しいけど、ただなんか照れるというかなんというか……」

紬「周りからは恋人同士に見えるかもね」

和「こ、恋人同士!?でもわたしたち同性だしそれは……」

紬「あら、わたしは同性でも良いと思うけどなぁ。むしろそっちのほうが素敵!」フンスッ!

和「そ、そうなの……」ドキドキ

紬「和ちゃんは普段どういう曲の聴くの?」

和「わたし?わたしが普段聴くのは……これとか」ヒョイ

紬「B´z?へぇ和ちゃんそういうの聴くんだ、意外ね」

和「わたしってどういうイメージなのよ……」

紬「なんかクラシックやジャズなんかを聴いてるイメージかな」

和「そういうのは聴かないわね。なんか堅苦しいし」

紬「そうなんだ」

和「うん、勉強の合間とかB´zみたいな激しい曲を聴いてスカッとしてるわ。最近は勉強ばかりで気が滅入るしね」

紬「そうなの……あ、いま流れてるのってB´zよね!ウルトラソウル!ヘイッ!」

和「いやこれはWANDSよムギ……」

紬「え、そうなの?えへへ……へ、へっくしょん!」

和「大丈夫ムギ?」

紬「大丈夫……なんかエアコン効きすぎてるね」ズズッ

和「そう?まぁムギは薄着だからか冷えるのかもね。わたしのシャツ着る?」

紬「でも悪いし……」

和「わたしは大丈夫よ、これでムギが風邪引いたら嫌だからね」ヒョイ

紬「いいの?ありがとう和ちゃん!よいしょ」

紬「そういえば和ちゃんの私服姿を見るの今日が初めて!デニムのシャツなんか着るのね」

和「まぁ学校外だと接点ないからねわたしたち」

紬「私もっと和ちゃんと仲良くなりたい!」フンスッ!

和「そ、そう……」ドキドキ

和「そういえばムギがさっき言ってた欲しいCDって何なのかしら?」

紬「忘れてた!えーっとね……これよこれ!」

和「ア、アイアンメイデン……ムギってそういうの聴くの?すごい意外だわ……」

紬「ううん違うの、さわちゃんが『バンドやるならこれを聴きなさい!』っておススメされたの」

和「ああそういうこと、そういえば山中先生ってヘビメタ好きだったわね」

紬「放課後ティータイムにヘビメタの要素を取り入れてみても面白そうね……」ブツブツ

和「やめたほうが良いと思うよ……多分澪が反対すると思う」

紬「そうかな?えへへ」ニコニコ

和(笑顔のムギ可愛いわね……)


  駅前

紬「今日は付き合ってくれてありがとう和ちゃん」

和「どういたしまして」

紬「でもちょっと強引じゃなかった私?なんかむりやり和ちゃんを連れてった感じだったし……」

和「そんなことないわ、わたしだってムギと一緒で楽しかったわよ、ありがとう」

紬「ホント?良かったぁ!」ニパァ!

和「そ、それじゃあわたし行くね!」ドキドキ

紬「ちょっと待って和ちゃん!」ヒョイ

和「あ、シャツ」

紬「危うく着て帰っちゃうところだったわ~」

和「そうね……(シャツにムギの香りが……!)」

紬ノシ「バイバイ和ちゃん!」ニコッ!

和ノシ「う、うんじゃあね」ドキドキ


  和の部屋

和「……」カキカキ

和「ハァ……」

和「……」

紬『和ちゃ~ん』

和「ダメだ……勉強に集中出来ない……」

紬『エヘヘ~』ニコッ!

和「ああもうムギが頭から離れない!なんなのよもう!」

和「……」

和「そういえばシャツ……」

和「……」

和(どうしたんだろうわたし……さっきからずっとムギのことを考えてる……)

和「……」

和「もしかしてわたし、ムギのことが……いやまさか……」

和「……」

紬『今日は付き合ってくれてありがとう和ちゃん』

和(ムギのことばっかり頭に浮かぶってことはやっぱりあの子に恋してるのかな……)

和「ムギ……」

和(ムギに溺れてくみたいでなんか怖いわ……)

和「どうすりゃいいのよ……」

和「……」

和「もう寝よ……」


  次の日

講師「……今日は以上です」

和「ハァ……」ガサゴソ

風子「どうしたの和ちゃん?なんか今日は元気無さそうだけど……」

和「え、そう?」

風子「うん、なんか終始ボーっとしてたし」

和「き、きっと昨日夜遅くまで勉強をやり過ぎてしまったからよ多分」

風子「そうなの?あまり無理しないほうが良いよ」

和「う、うん(ホントはムギのことを考えて眠れなかったんだけどね……)」

風子「帰ろ」

和「うん」

風子ノシ「また明日ね」

和ノシ「またね」

和「ハァ……」

和(早く帰って復習しなくちゃ。今日の講習ぜんぜん頭に入ってないわ)

和「ん?」

紬「ニコニコ」

和「ム、ムギ!?」ササッ!

紬「?」

和(驚いて電柱の陰に隠れてしまったわ……なにやってんのよわたしは……)

和(ホントにムギだったのかしら)チラッ

和「……いない」

和(とうとうムギの幻を見るようになってしまった……完全に末期ね……)

和「ハハハ、もう帰……」

紬「ワァァァァァ!!!」ガシッ!

和「きゃあああああっ!」ドテッ!

紬「和ちゃん大丈夫!?」

和「ハァハァ……ム、ムギが急に出て来たから驚いただけよ……」ドキドキ

紬「ごめなさい!和ちゃんが見えたからちょっとビックリさせようと思って……」シュン

和「そんなに落ち込まないでよ、別に怒ってるわけじゃないわ」

紬「ホント!?和ちゃんに嫌われちゃったと思ったわ~」

和「そんなんで嫌わないから安心して(むしろ好感度が上がったわ)」

紬「ねぇ和ちゃんってこのあと予定あるの?」

和「無いけど」

紬「だったら私と今からどこかに遊びに行かない?」

和「え……」

紬「やっぱ嫌?」シュン

和「そ、そんなことないわ!まさかムギに誘われるとは思わなかったから驚いてただけ」

紬「ごめんね、それで……」チラッ

和「(ムギの上目使い可愛い///)も、もちろんOKよ、わたしもムギと出掛けてみたいと思ってたし」

紬「やったぁ!和ちゃんありがとうすごい嬉しい~」

和「(まさかムギからお誘いなんて……晴天の霹靂とはこのことよまさに……)それでどこ行く?」

紬「ゲームセンタ~」

和「ゲームセンター?なんか意外ね、よく行くの?」

紬「ううん、この前りっちゃんに連れてってもらったの!すごい楽しかったからまた行きたいなぁと思って」

和「そうなんだ」

紬「嫌かな?」チラッ

和「そ、そんなことわよ、わたしだって昔はよく唯に連れられて行ってたしね」

紬「そうなの?じゃあさっそく行きましょ!」

和「う、うん」


   ゲームセンター

紬「涼しい~」

和「すごい久しぶり。中学校以来よここに来るのは」

紬「あれを見て和ちゃん!」ビシィッ

和「UFOキャッチャーがどうしたのよ」

紬「わたしUFOキャッチャーで取った人形を友達にプレゼントするのが夢だったの~」

和「そ、そうなんだ……」

紬「だから和ちゃん!わたしが取ってあげるから期待しててね!」フンスッ!

和「うん」

( ^ω^) ('∀`) (´・ω・`)

紬「和ちゃんどのぬいぐるみが欲しい?」

和「そうね……じゃあ右側のショボくれたやつが良いわね」

紬「ラジャー!少し待っててね!ちょいちょいのちょいで取っちゃうから!」チャリン

和「……」

紬「ジーッ」 ウィーン

和(すごい真剣……でもキリッとしたムギの顔も良いわね……)

紬「あ!失敗しちゃった……」ショボーン

和「ムギ、別に無理しなくてもいいのよ、わたしは気持ちだけでも十分だから」

紬「それだと私が納得しないの!和ちゃんにプレゼントしたいのに……もう一回!」チャリン

和「ほどほどにね……」


  10分後

紬「ああまた落としたぁ!なんで取れないのよ!!」

和「ム、ムギもういいから、気持ちは痛いほど伝わったし……」

紬「ダメェ!私は和ちゃんにプレゼントしたいの!もう一回!」チャリン

和「そんな熱くならなくても……」

紬「グスっ……」ウィーン

和(子供みたいにムキになるムギもけっこう可愛い///意外と熱くなりやすいのね)

紬「ああんまた失敗!なんでダメなのよっ!」

和「落ち着いてムギ、そんなカッカしてもしょうがないわよ」

紬「りっちゃんはあんな簡単に取ってたのに……」グスン

和「ねぇ、今まででいくら使ったの?相当使ったんじゃない?」

紬「100円玉20枚……」

和「20枚も……」

紬「もう小銭が無いから両替してくる……」スクッ

和「ちょっと待ってムギ」スタタッ

紬「え?」

和「いいムギ、UFOキャッチャーはこうやるのよ!」チャリン

ウィーン

和「……」

紬「和ちゃん……」

ガチャコン

和「やった!まだ勘は鈍ってなかったわね!」ヒョイ

(´・ω・`)

紬「和ちゃんすごい!いったいどういう裏ワザ使ったの!?」

和「裏ワザなんて大層なことじゃ無いわよ、昔唯とよくやってたから……」

紬「それにたいして私は……」ショボン

和「そんな落ち込まないでよ……そうだ」

( ^ω^) ('∀`)

和「ムギがほしいの取ってあげる、どれが良い?」

紬「良いの!?ありがと和ちゃん!それじゃあ……左の肉まんみたいなの!」

和「OK」チャリン

ウィーン

紬「ゴクリ」

ガチャコン

和「イエス!こんなもん楽勝よ!」グッ!

( ^ω^)

紬「すごい!和ちゃんの腕前ならUFOキャッチャーで食べていけるんじゃない?」

和「職業がUFOキャッチャーなんて嫌よ……恥ずかしいわ……」

紬「よいしょっと」ヒョイ

( ^ω^)

紬「和ちゃんありがとう!すごい可愛いわ~!」ニパァ

和「そんなに喜んでくれるのなら、わたしも取った甲斐があったわ」

紬「でも……ハァ……」シュン

和「ど、どうしたのよ急に!?なんかわたし気に障るようなこと言った?」


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最終更新:2011年07月01日 08:20