和「ふつうよ」

唯「いやいや、もっとなにかあるでしょ!」

和「なにかって言われても」

唯「普通のホットケーキの作り方聞いちゃったよ!なんかコツとかさ、和ちゃんー」

和「いや、焼くのすっごい上手いから」

唯「その上手なとこを聞かせてほしいんだよ!」

和「コツねえ……あ、フライパンを温めとく」

唯「フライパンを」

和「ジュワーっと。ものすごく熱くなるまで火にかける」

唯「そうするとどうなるの?」

和「生地を焼くとき、ふんわり仕上がる」

唯「へー。なんでなんで」

和「それはわかんない。私もひとから聞いた話だから」

唯「ほんとに和ちゃん得意なの!?」

和「得意よー。食べたらもう泣いて喜ぶわよ、唯」

唯「そっかー。じゃあ今度食べさせてよ」

和「うん作っていくわ」

唯「食べないとぜんぜんわかんないから。

  むしろ若干ホットケーキ作りくわしくないんじゃ、って気がしてきたもん」

和「絶対食べさせてあげるわ。泣かせてあげる、あまりの美味しさで」

唯「さすがに泣きはしないと思うけど」


和「唯は、どうなの? 成長したって感じるとこ」

唯「んー。私はねー」

和「ない?ないかしら……」

唯「あります!ありますよ、そんながっかりしないで和ちゃん」

和「はいはい」

唯「あっ、一個あった。」

和「一個」

唯「一人でトイレ行けるようになりました!」

和「待って」

唯「どこで?」

和「どこでって、その待ってじゃありませんけどね」

唯「どの待ってかわかんないけど」

和「ちょっと、もう一回言って?さっきの」

唯「一人でトイレ行けるようになりました」

和「あなた今まで一人でトイレ行けなかったの?」

唯「あ、行けるよ?」

和「行けるよね? そうよね」

唯「さっきちょっと、言い間違えた。これ夜の話ね」

和「……夜の話としてもかなりあれだけど」

唯「夜、トイレ行けるようになった」

和「なに、最近まで行けなかったの?」

唯「うん」

和「ちょっと聞きたいんだけど」

唯「うん」

和「なんで?」

唯「こわい」

和「なにがー?」

唯「おばけとか」

和「………」

唯「会場見渡さない」

和「いえ、だってあなた、それ……」

唯「だめ?」

和「だめよ。何歳よ、あなた今」

唯「ま、ま、年齢のことはいいじゃないですか、レディの年齢はねー?」

和「私だってレディよ。」

唯「さわちゃんの前でもきまずい話題ですし……って、さわちゃんおっそ!

  まだ来てないよね!? えー、えー、えー?」

和「いやいや、山中先生のことはこの際どうでもいいわよ」

唯「ひどいよ和ちゃん」

和「それよりあなたよ、おばけがこわいとかどういうことなの?」

唯「こわいよー」

和「見たことあるの?」

唯「見たことはないけどー……」

和「ならこわいかどうか分からないじゃない」

唯「……そういうもの?」

和「そうよ」

唯「違いますって、和ちゃん、そうじゃないよー」

和「ちがくないって。合ってるわよ」

唯「ちがうちがう。見たことないから怖いの」

和「偏見ね。差別だわ」

唯「いや、さべ……うん、はい。差別してます、おばけ」

和「ほんとはいい人かも知れないのに」

唯「かもしれないよね、会ったことないからね、おばけ、そこはたしかにわかんない。

  ……人ではないけど、おばけですから」

和「なら怖がらなくてもいいじゃない」

唯「だから見たことないから怖いの!」

和「ふーん。でもそれ問題よ? あなた一人暮らしでどうしてるの」

唯「今は平気だよ? 夜中でも一人で行けるし」

和「その前よ、行けないときはどうしてたの?」

唯「我慢してた」

和「我慢してたんだ……」

唯「うん」

和「我慢しきれないときは?」

唯「ない。ぜったい我慢してた」

和「じゃっかん漏らしちゃったりとか」

唯「だいじょぶ、膀胱つよいから。膀胱って言っちゃった」

和「あとで憂に聞いてみましょう。唯がいくつまでおねしょしてたのか」

唯「やめてくだせえ」

和「それで、今は平気になったの? なんで?」

唯「うん、平気。あのね、私考えたの。こないだ。

  そういえば今まで生きてきて一回もおばけに遭遇したことないなーって」

和「私もないわ」

唯「でしょう? でね、ひょっとしてこれからもおばけには合わないんじゃないかなー、

  むしろその可能性の方が高いんじゃって」

和「ようやくそれに気付いたと」

唯「うん。こないだ。ひょっとしたらおばけって居ないかもわからないよね」

和「こないだ気付いたのね……」

唯「はいー」


♪ピンポーン


唯「おっ、鳴った」


【まずは軽くフリートーク】

唯「えっ?」

和「……」

唯「えっえっ、……また、フリートーク!?また!?」

和「私たちにふたたび自由を強制しようってわけね」

唯「えっ、えっ、これって、えっ」

和「じゃあ、話し合いましょうか。自由についてね」

唯「それさっきやった!」

和「やったけど、しょうがないじゃない。テーマなんだし」

唯「うん、テーマなんだけど……」

和「自由ってなにかしらね」

唯「わかんないね」

和「自由分からないわねー、自由」

唯「若干分かんないね」

和「分からないわ、本当に。なんなんでしょう」


♪ピンポーン

唯「あっ、また鳴った?」


【自分を動物に例えると】


唯「自分を動物にたとえると」

和「さっきのテーマはもう終わりでいいのかしら……」

唯「わかんないね」

和「自由分からないわね」

唯「えっ? 憂、なーにー?」

和「あっ、さっきのは手違い……あー、そうなの。びっくりしたわ」

唯「よかったー!同じテーマで何回も話すのかとドキドキしちゃったよ!

  あー、びっくりした。よかった、安心したね!」

和「機械の方が不自由な感じになっちゃったわけね……」

唯「そういうことだね」

和「自由油断禁物だわ」

唯「まあまあ、もう自由の話はいいじゃないですかー」

和「そうね、ほんとにそうね。もう自由なんていらない」

唯「あっはっは。」

和「次のテーマ行きましょう」

唯「動物にたとえると。いいテーマだね!好き、こう言うの好き」

和「そうなんだ」

唯「うん。そう!すっごく好き」

和「それならまずは唯からフリーに話してもらいましょう」

唯「自由の話はもういいって!」

和「うふふ」

唯「もう、和ちゃん……」

和「それでは平沢さんに話してもらいましょう。自分を動物にたとえると何か」

唯「えっ、なにこれ、私なんか追い込まれてる?」

和「そんなことないわよ」

唯「なんか追い込まれてるよ、私。緊張してきた」

和「気のせい。それでは動物の好きな平沢さんに話していただきましょう」

唯「なんでそんな難しい感じで振るの!?」

和「ふふふ、かわいいから」

唯「意味がわか」

和「唯は動物にたとえると何なの」

唯「和ちゃん!」

和「どうぞ」

唯「うん……話すけど。

  えっとね、ライオン」

和「ライオン」

唯「そう。ライオンだよ」

和「……」

唯「はい」

和「話し終わり?」

唯「はい」

和「みじかい!もっと話しなさい!」

唯「いやいや、これ難しいもん!」

和「好きって言ってたじゃない、このテーマ」

唯「好きだけどー、そこはもっと和ちゃんが協力してくれる形じゃないと」

和「共同作業ってわけね」

唯「はいはいはいはい」

和「軽くあしらわれたわ」

唯「初めてでもありませんしね」

和「そうね、かなり長い歳月を添い遂げてるわね」

唯「あー、うんうん、そだねー」

和「遠い目してるけどどうしたの?唯?」

唯「なんでもないよ和ちゃん。うふっふ」

和「その笑い方にあってない」

唯「うん」

和「私たちももう倦怠期とか入っちゃったり……」

唯「はいはい」

和「やっぱりね」

唯「いやいや。何の話ですか!これ!」

和「動物の話ね」

唯「してないね、まったくテーマ沿ってないね!」

和「ちょっと話戻しましょう」

唯「そだね」

和「じゃあ、まずは唯からフリーに話してもらいましょう」

唯「そこから!?」

和「戻し過ぎかしら」

唯「かんっぜんに戻し過ぎだね!」

和「サービス精神よ。テレビ番組でもコマーシャル開けは戻し過ぎってくらい戻すじゃない?」

唯「テレビじゃありませんしこれ、生ですし。

  さっき私がライオンって言ったとこからでいいよー」

和「あっ、いい? そんなに戻さなくって」

唯「うん、戻し過ぎだから」

和「ライオンってなに?」

唯「ライオン」

和「ネコ科の動物?」

唯「うん」

和「牙が生えてるやつ?」

唯「うんうん。……なんかクイズみたいになってるから。

  これから当てるみたいになっちゃってる。もう答え出てるし」

和「ライオンね」

唯「そうだよ」

和「それ、単に自分が好きな動物言ったでしょ」

唯「えー?」

和「だって、あなた、ライオンとぜんぜん似てないわよ」

唯「似てるよー」

和「似てない。ひとつも似てない」

唯「髪型とか」

和「そう思う?」

唯「ごめんなさい。あんまり…」

和「でしょう?」

唯「じゃあ、私が似てる動物って何なのかなあ」

和「犬、かしらね」


和「だめかしら?」

唯「それ毎回言うよね。いつも言うよね」

和「うん?」

唯「犬に似てるとか、和ちゃんよく言ってる」

和「だって思ってるもの。すごくにてる。かわいいわよ」

唯「いやあ、えへへー。まあかわいいと言われるのはまんざらでもないけどー」

和「えへへ……」

唯「なんで和ちゃんが照れてんの」

和「うん」

唯「キャラにも合ってないよー」

和「それは余計なお世話」

唯「うん。私、どういうとこが犬に似てる」

和「まずね、お手する」

唯「しないよ!」

和「いや、しそう。しそうって話」

唯「一回もしたことないし、しない」

和「ほんとにしたことない? 一回くらいはあるんじゃない?」

唯「……一回くらいはあるかもしんないけど、そこは記憶がたしかじゃないけどね」

和「でしょう!」


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最終更新:2011年07月01日 21:35