大学寮 晶の部屋

晶「ふぅ…今日も一日色々あったな…」

ゴクゴク

晶「ぷはぁ…やっぱ風呂上がりのポカリはサイコーだぜ!」

コンコン

晶「ん、誰だ。」

唯「あーきらちゃん!」

晶「帰れ。」

唯「まだ何にも言ってないのに!?」ガーン

晶「どうせ、今日の講義のノート写させて!とかそんなもんだろ…?」

唯「すごい!よくわかったね!」

晶「だれでも分かるっつーの。」

唯「そうかな?」

晶「だいたい、何度も私にノートを頼ってるようじゃ先が思いやられるぞ…?」

唯「いつもはちゃんとノート取ってるよ?今日はたまたま眠気に負けちゃっただけで…」

晶「いや、たまたまじゃないだろ。」

唯「そういう訳でノートをお願いします。」

晶「どういう訳だよ…」

唯「そんな殺生な!どうかここは一つお恵みを!」

晶「チッ…しゃーねーな…ほらよ。」

唯「ありがとう!ところで何ページ目までなの?」

晶「ここからここ。」

唯「って、多!」

晶「文句言うなら写さなきゃいいだろ…」

唯「…そうだ!コピーしてくれるかな!?」

晶「自分で行け。」

唯「ですよね~」

晶「もう夜遅いからあんまりうるさくするんじゃねーぞ?」

唯「わかった!行ってくるよ!」フンス

ガチャン



晶「(そういえばアイツ、コピー機の場所知ってんのか?)」



唯「あれ、コピー機どこだっけ?」



①和編

携帯「ふわふわタイーム~♪」

晶「うわっ!びくった~!アイツ、ケータイ置いてったのか…」

晶「勝手に出るのもマズイが、アイツどこにいるのかもわからんし…」

晶「かといって鳴ってるケータイを放置するのは私のサガじゃないし…仕方がない、私が出よう。」

晶「えっと…着信は『和ちゃん』…」

晶「誰だっけ…?」

晶「確か…」

海藻、ではなく回想

唯『和ちゃんはね~』

晶『その和って、オマエの友達なのか?』

唯『うん、幼稚園からの幼馴染で高校までずっと一緒だったの。』

晶『そりゃあご苦労なこった。』

唯『?』

晶『(十数年もコイツの面倒を見ていたのかよ。)』

晶「ま、何とかなる…のか?」

ピッ

晶『もしもし』

和『もしもし、唯…じゃないみたいね。』

晶『ああ。』

和『(もしかして誘拐犯!?)唯をどこにやったの!?』

晶『ちょ、ちょっと待て!別に誘拐とかそんなんじゃねぇから!』

和『あ、そうなんですか?すいませんでした…』

晶『気にすんな。』

晶『どうやら同い年みたいだし、そっちもタメ口で構わんぞ?』

和『はい…了解。』

晶『うい。』

和『ところで唯はどこにいるの?』

晶『ああ、アイツなら『ノート写させて!』って言うから私のノートをコピーしに行かせた。』

和『ふふ、相変わらずね。』

晶『笑い事じゃないだろ…』

和『そう言えば同じ教育学部で軽音部の友達ができたって唯が言ってたわね…もしかしてあなたの事?』

晶『ああ…って違う!友達なんかじゃ…』

和『別に照れなくてもいいのよ?』

晶『ちげぇし!』

和『これから色々あると思うけど…唯の事、よろしくね。』

晶『任されたくもねぇ…って言うかあんたは唯のお母さんか。』

晶『そう言えばあんたは幼稚園の頃から唯と一緒にいたのか?』

和『そうよ。』

晶『その…はっきり言って、迷惑だとかは感じなかったのか?』

和『もうすっかり慣れたわ。それに唯の方だって、ちゃんとこちらを思いやってくれているし。』

和『風邪で休んだ時にノートを届けてくれたりもしたわ。唯の10点のテストが一緒に挟まってたけど。』

晶『やっぱ幼馴染なんだな…』

――――――

――――

――

和『それで浴槽いっぱいにザリガニが…』

晶『うわ…』

和『たこ無しのたこ焼きが…』

晶『優しいなお前…私だったらまず間違いなくキレてた。』

晶『こっちは入学式の日からスーツによだれを…』

和『あははは、相変わらずね。』

晶『笑い事じゃねぇ!こっちは災難だったんだぞ…』

ガチャ

唯「ただいま~…ってそれ私の携帯!」

晶「ん、唯か。」

唯「なんで勝手に出てるの!?」

晶「仕方ないだろ…お前がどこにいるかわからなかったから…」


和『どうしたのかしら、唯?』

晶『どうやらコピー機の場所が分からなくてさまよってたらしい。』

和『あはは、唯らしいわ。』

晶『んじゃ、そろそろ唯に代わるか。』

晶「ほらよ、お前に電話だ。」

唯「和ちゃん?」



和『そっちはどう?』

唯『教育学部の勉強は大変だけど、新しい友達もできたし、バンドもみんなと続けているよ!』

和『それを聞いて安心したわ。』

唯『和ちゃんは?』

和『勉強はちょっと厳しいけど、友達もいるし、そこそこ充実してるわね。』

唯『よかった~』

和『あんまり和田さんに迷惑かけないでね。』

唯『はーい、わかりました~…』


唯『それじゃあそろそろ切るね。おやすみ、和ちゃん。』

和『おやすみなさい、唯。』



ピッ

ツーツーツー



晶「(幼馴染ってのも悪くはねーな。)」

唯「はい、これ晶ちゃんのノート。ありがとう。」

晶「どういたしまして。」




唯「あともう一つお願いだけど、明日朝早いから起こして?」

晶「自分で起きろ!!」



②憂編

携帯「きーみがいないと~♪」

晶「アイツ、またケータイ置いてったのか…」

晶「勝手に出るのもマズイ、しかし唯はどこにいるのかもわからん。(またかよ)」

晶「かといって前にも言ったような気がするが鳴ってるケータイを放置するのは私のサガじゃないし…仕方ない、私が出るか。」

晶「えっと…着信は『憂』…」

晶「誰だっけ…?」

晶「確か…」

改装、でもなく回想

唯『憂のご飯はね~』

晶『憂って、もしかしてオマエの妹?』

唯『もちろん!可愛くって何でもできる最愛の妹だよ!』

晶『姉として情けないとは思わんのかお前は。』

晶「どんな妹なんだろう…」

ピッ

憂『もしもし、お姉ちゃん?』

晶『もしもし。』

憂『あの…お姉ちゃんのお知り合いですか?(声が低い…)』

晶『ああ、一応。唯は今は用事があって外出中。ちょっとしたら帰ってくるよ。』

憂『あ、はい!わかりました。(もしかしたら彼氏さん!?)』

晶『…?』



憂「(でも女子大だよね?だとしたらお姉ちゃんは禁断の同性愛を!?)」

憂「(でもそれがお姉ちゃんの幸せだとしたら、私は…)」


憂『あの、その…お姉ちゃんは元気でしょうか!?』

晶『まあ一応元気だが?』

憂『よかった…安心しました。(信じていいのかな?)』

憂『これでやっと枕を高くして眠れそうです。』

晶『大げさだな…』

憂『あ、あなたはその…お姉ちゃんとはどんな関係なのでしょうか?(お姉ちゃんを任せられるのかな…?)』

晶『いや、単なる知り合いだが…(まだ友達とは認めん!)』

憂『あの、これからもうちの姉があなたにお世話になるかもしれませんが…よろしくお願いします!(あれ、そういうのじゃない?)』

晶『あ、ああ。わかった。(妙に力入ってんな…)』


憂「(でももしかしたら、まだまだこれからなのかもしれない…)」

――――――

――――

――

憂『お姉ちゃんは本当に可愛くて…』

晶『甘やかしてばっかじゃダメだぞ…』

憂『お姉ちゃんも頑張っているんですよ。ケーキ…の上にイチゴ乗っけてくれたり…』

晶『(あれ、姉というよりはむしろ子供かペットの扱い?)』

ガチャ

唯「ただいま~…ってこの子はまた!」

晶「すんません。」

唯「ぷぅ!」

晶「悪かった。今回のノートの件はチャラにするから。」


憂『お姉ちゃんだ…』

晶『それじゃあ、邪魔者の私は退散するとしようかね。』

晶『唯に代わるぞ。』

憂『了解です。』

晶「妹さんからだ。」

唯「憂?」

憂『お姉ちゃーん!!』

唯『ういー!!』

憂『元気そうで本当に良かった…』

唯『こっちこそ!憂が元気でうれしいよ!』

憂『大学は楽しい?』

唯『もちろん!毎日が新発見の連続だよ!』

憂『うん、それはよかった!』

唯『憂も軽音部は楽しい?』

憂『うん、すごく楽しい!』

唯「高校生活最後の一年、しっかり楽しむんだよ!」

憂『うん!』

唯『受験勉強も忘れずに…ってこれは私に言える事じゃないね。』

憂『ふふっ。』

唯『それじゃあ、おやすみなさい。憂。』

憂『おやすみ、お姉ちゃん。』



ピッ

ツーツーツー



晶「(入り込める余地がねぇ…)」

唯「はい、ノート。返すよ?」

晶「どうも。」




唯「当然明日も起こしてくれるんだよね?」

晶「それとこれとは話が別だ!とっとと寝ろ!!」



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最終更新:2011年07月02日 00:58