7月1日


梓「はははは……」

純「うっ、何1人で笑ってんの……薄気味悪いなぁ」

梓「純!!」

純「はい!?」

梓「前回の私は」

梓「甘かったよね」

純「前回?」

梓「平和ボケもいいところ……忘れたの?」

梓「明日だよ。ついに明日……!」


けいおん!!一番くじ! プレミアム ついに発売!


純「あ、あー」

梓「前回はまさに勝負に負けて、試合に勝ったって感じ」

梓「でも今回は前の教訓を生かして頑張ろうと思うの!」

純「い、意気込みだけは確かだねっ」

梓「でもでも……聞いてー、純」

純「うん」

梓「はぁ、実は今回はくじだけじゃない」

梓「劇場版けいおん!前売り券第2弾の販売もあるの」

梓「しかものしかも、ムギ先輩のバースデーキャンペーン」

純「うわちゃー、そりゃ残念だったね」

純(ていうかそこは普通に先輩の誕生日優先しようぜ)

梓「残念? なに言ってるのよっ」

梓「この3つ! これらを制することで前回の失敗を取り戻す!」

純「あ、あんた! 前に満足みたいなこと言ったじゃん!?」

梓「そ、それは……それで、これは……これで……」モジモジ

純「欲望に従順なやつめ」

梓「あー! 体が3つ欲しい……コピーロボットが欲しいよぉ……」

純「梓」ポン

梓「んー……?」

純「私らがいるじゃないさ」フッ

梓「純?」

純「あんた、部長でしょ? 軽音部のさ」

梓「部長って……ま、まさか」

梓「無理無理無理! それって部のみんなに協力要請しろってことでしょ? そんなのダメだよっ」


軽音部室

梓「おおお、お願いしますっ!」ペコペコ

純「おい」

菫「はぁ、くじ……ですか?」

憂「梓ちゃんほんとに好きだねー」

梓「くじだけなら私だけでもなんとかなるの。でも」

奥田「他に2つもあるとなると、ってことですね」

純「で、梓部長は我々にお助け要請してるってわけよ」

奥田「先輩……」

梓「や、やめて。悪いのはわかっているけどそんな目で見ないで……」

菫「それでその、梓先輩が言っているのっていつ頃にあるんでしょうか?」

梓「明日!」

菫・奥田「……」ポカーン

梓「えっと、これより」

梓「来るべき多々買いに向けて、部内会議を開きます」

梓「いえ、開かせていただきます……」

奥田「これが軽音部……」

純「なんだかんだ言って梓も確実に去年までの軽音部に影響受けてるよね」

憂「それであずにゃん隊長。どうするの?」

梓「はい、憂! 私たちは全員合わせて5人います」

憂「3つのグループにわけるんだね」

梓「正解!」

菫「てことは、内1つのグループ……というか」

菫「1人単独の人ができちゃいませんか?」

純「そこはまぁ、梓のポジでいいでしょ。異議はー」

梓「あ、ありません」

梓(いい……! むしろ単独の方が動きやすいし、本気になれるし!)

純「私と憂が一番くじ担当。文句ないね」

奥田「じゃあ私と斎藤さんが前売り券担当、と」

憂「くじなら前回もなんとかなってるし、問題ないよ~」

菫「噂だけ聞いたことはあるんですけど」

菫「なんでも、こういうけいおん!のキャンペーン系は毎回戦争の様な光景が……って聞きました」

純「ああ……ザッツライト スミーレ」

菫「う、うう……」

梓「大丈夫、大したことないから!」

純「そう言ってるあんたが前回一番痛い目見たんでしょうが」

憂「そういえば、バースデーキャンペーンで思い出したんだけれど明日……」

梓「やるぞー!!」

菫・奥田「お、おー」

純「憂、あいつ聞いちゃいないよ」

・・・

紬「でも本当にいいの?」

律「いいも悪いも、いいに決まってるだろー」

澪「明日はムギの誕生日なんだから。そんなに遠慮しないでよ」

唯「メインは君だ! ムギちゃん!」

紬「み、みんなぁ~……」

唯「それに私たちも欲しいしね! くじに前売り券のやつ!」

律「アイマスクなぁ。こいつもまたランダムと来たもんだ」

澪「何が当たるかわからないってわけだな」

紬「私! 何が当たっても嬉しいわ。だってハズレなんてないんだもん」

唯「そう言ってもらえると嬉しいもんだ~」

唯「とにかく、夜のお誕生日パーティは楽しみに待っててね! ムギちゃんや」

紬「ほんと、何から何まで楽しみ~♪」

律「いいか、作戦はこうだ」

律「明日の朝の講義は……サボる!!」

唯「ぃよっし!!」グッ

澪「ばか!」

澪「あの授業は出席取るし、一度休んだら進み具合が」

律「じゃあ、澪。代わりに出席頼む。それとノート」

澪「お、お前……」

唯「大学生って色々大変だよねー。でもどうしよ」

唯「これじゃあ身動きとれないし、目的の品がゲットできない……!」

唯・律「う~ん」

澪「……」

澪「やむを得ない」

「!」

澪「ノートは後でムギに見せてもらおう」

唯「出席は?」

澪「い、1度くらいなんだ……最悪、欠席届を後で出すこともできる」

律「おお……あの真面目な澪がサボろうだって……」

ポン

律「お前、成長したなぁ! 私は嬉しいよ、親友として!」

澪「うう、やめてくれ……」

澪「と、とにかく! それだけムギにいいプレゼントしてあげようという意気込みなんだ!」

澪「軽音部時代、お茶にお菓子にと色々もらったし」

唯「今思うと結構高そうなもんばっかだったよね。貰いものって言ってはいたけど」

律「ムギは私たちに無償で全てを与えてきてくれた!」

律「これはムギへの私たちからの恩返しでもある! みんなー! 明日はやるぞー!」

唯・澪「おー!」

唯「あ、明日あずにゃん来るかな~」

―――

梓「~♪」ゴロゴロ

ブーブー、ブーブー…

梓「あ、メール」

梓「唯先輩からだ。何だろ」

『明日はムギちゃんのハッピ~バースデ~! あずにゃん、お誕生日会にて待ってるからね! ラブチュッチュー』

梓「ムギ先輩の誕生日……」

梓「あ、ああ!!」

梓「そうか! そりゃそうだよね! 明日、ムギ先輩の誕生日だ!」

梓(バースデーキャンペーンのことばっかり頭の中にあってすっかりだった……)

梓「うう、ごめんなさいごめんなさい。ムギ先輩大好きですっ……」

梓「そうなると……ムギ先輩に明日プレゼント買ってかなきゃかな。うん」

梓「お財布が薄くなっていくなぁ」ピラピラ


7月2日 戦争、勃発

純「あーつーいー」

憂「梅雨明けするとすぐ暑いよね」

純「ちくしょー……梓に変な入れ知恵するんじゃなかった」

憂「今回は純ちゃんくじに興味ないの?」

純「あのね、憂」

憂「うん?」

純「もちろん私の分引くお金も持ってきましたー!」

憂「さすがの純ちゃん!」

純「へへー、でもそんな憂も実は持ってきてるんでしょ?」

憂「じ、実は……えへへ」

憂「デスデビルお姉ちゃん可愛いし、欲しいなぁって」キャストオフデキルミタイダシ

純「私は澪先輩かなぁ、やっぱり。とってもクール!」

純・憂「ねー♪」

ガヤガヤ ガヤガヤ

憂「すごい人……まだ朝なのに」

純「ここのコンビニ、前に憂が穴場って言ってたとこだよね?」

憂「うん」

純「どこから嗅ぎつけてきた、こいつらめ……」

純「……よしっ!」

純「あの時の臆病な私は死んだ! あんな奴らに負けてたまるかー!」

憂「じゅ、純ちゃん!」

憂「私もあの頃の自分を死んじゃったことにするね!」

純「あ、うん」ピロリ、ピロリ

店員(姫子ちゃん)「い、いらっしゃいませ~……」

ガヤガヤ ガヤガヤ ドヤードヤー

A「いける、今回は余裕に違いない。いけるぜー……」

B「功を焦るな、A」

純「立ち読みして時間稼ごう」

―――

菫「……」ソワソワ

奥田「おーい」

菫「あ!」

奥田「遅れてごめん。それで……」

奥田「この、人の列なにかな」

ゾゾゾ ゾゾゾ ガヤガヤ

菫「おそらく、兵隊さん……!」

奥田「へ、兵隊?」

菫「戦争! 戦争ですこれは!」

菫「やっぱり早い時間から映画館前に来て正解だった」ホ

奥田「そう……だね……」

オー オー オー

菫「兵隊さんたちが歌を掲げています!」

奥田「や、やだぁ……何アレ」

菫「あ、私お茶とか持ってきたんですけど。いただきます?」

奥田「本当? それじゃあ遠慮なく」

菫「それじゃあ、よいしょ、よいしょ……」ゴソゴソ

奥田「そんなに大荷物持ってきたの!?」

菫「え、えっと! 兵隊さんたちの分のお茶も用意してきまして」

菫「それとおにぎりとか……余計だったかな」

奥田「あ、あー……いいと思うなぁ」

菫「あの、これよろしかったら……どうぞっ」ス

C「ぶ、ぶひいいいいいいいいい!!」

菫「が、頑張ってくださいね! 私、応援します!」

D「もう負ける気しない」

菫「奥田さん! 私、喜ばれました! ……てへへ」

奥田「一応言っておくけれど私たちも頑張る方だからね?」

―――

店員「しっかり後ろに並んでくださーい! 他のお客様のご迷惑になりますっ」

ガヤガヤガヤ…

純「これは予想以上……」

憂「ど、どうしよう純ちゃん……なんか怖くなってきちゃったよ」

純「あの時の私とは、違う!」パシパシッ

純「ここまで来たら獲得あるのみだよ。憂!」

憂「う、うんっ」

「げぇ! あいつ上位の賞ほとんど掻っ攫っていったぞ!」

「冗談じゃねぇよ……始まって間もないんだぜ……?」

純・憂「……」

純「落ち着こう、落ち着いてよく考えようね」

憂「う、うん」

純「ここは落ち着いて別の店へ急ぐんだ。それが得策」

純・憂「う、うわー!!」ピュー

店員「あ、ありがとうございましたぁ~!!」

・・・

律「も、もう全滅!? 冗談は止して下さいよ……」

店員「すごい勢いで持ってかれちゃったんですよーまさにビックウェーブ」

律「あ、あー……もしもし、澪?」

澪『ダメだったか』

律「はい……」

澪『そうか、こっちもだよ』

律「あーっ、だから夜のうちに探し行ったほうがよかったんだよ!」

澪『そんなこと言ったってしょうがないだろ、寮の門限あるんだし』

律「だぁーっ!! もうっ」

律「唯の方はどうなんだろ……」

店員「お客さんゲキアツっすね。俺も乗るべきですか、このビックウェーブに」

唯「なーいーよー……」

唯「全くない。ほんとのほんとにマジでない」

唯「一体全体何がどうなってるの……」

律『ですよね』

律『今回は楽勝だと踏んでなきゃよかった』

唯・律「『もっと警戒するべきだった……うーむ』」

唯「あ、お兄さん。くじの景品譲ってくれませんかねぇ……」フラリフラリ

「無理無理ー! 冗談言っちゃいけないよお姉さん」

唯「そこをなんとか! お願いしますお願いしますっ」

「ダメだってば! 俺、これから勤務あるから。それじゃ」

唯「ううう……世の中なってないよぉ」

律『変な無茶だけはすんなよな』

唯「ううん! 私、ムギちゃんのためにがんばるよ!」

唯「……あれ、そういえば!」

―――

ドヨヨ~ン…ガヤガヤ…

梓「渦巻いてる渦巻いてる」

梓「欲望が、人々(萌えブヒ共)の欲望渦巻いている……」

梓(熱い……暑いとかじゃなくて熱い)

「ムギちゃんお誕生日おめでとうぶひ」

「おめでとう!」

「ハッピーバースディ!!」

梓「この人たちは本当にムギ先輩を祝う気があるのだろうか」

梓「ううん、そんなことはどうでもいいの!」

梓(先着702名限定でプレミアムバースデーカード)チラ

ガヤガヤ…オーオー…

梓(いける! この人数ならいけるよ。十分すぎるほど……!)

梓「後はくじ、前売り券……あっちがどう転ぶやら」

ガヤ…ガヤ…


憂「ふぅ……3回でお願いしまーす」

店員「はい。ではどうぞ」ス

憂「……」ガサゴソ

憂(ここのお店で引ける回数は最大3回まで)

憂(これのおかげで上位の賞はまだまだ残ってる!)

憂「A賞こい、A賞こい、A賞こい、きてーきてー……」ガサゴソ

店員「あの、後詰まってるので早く」

憂「は、はい!」ヌポッ

憂(直感任せ。運で勝負……!)

店員「えー、Hが2つ」

憂「……」

店員「F1つ」

憂「わぁーーーーーっ!!」ガタンッ

憂「まだ……まだこれはいらなかったよ……」


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最終更新:2011年07月04日 20:44