プロローグ


―――唯!…みんな!!―――

―――あそこにある剣を!!―――

―――サタンがルシファーにとどめを刺すはずだった物よ!!―――

―――あれで…ルシファーの心臓を!!―――


澪「それじゃ和も……」

唯「やだ!そんなことできるわけないよ!」

唯「和ちゃんがどんな姿になっても和ちゃんは和ちゃんだよ!」

―――唯…お願いだから……もう…私……―――

ルシファーを羽交い絞めにしていた和の力が一瞬緩む

ルシファー「ふふふ……ふはははははははは」

ルシファー「人間ごときに動きを封じられるとは堕ちるとこまで堕ちた
       ようだなサタン」

ルシファー「運命は私に味方したようだ」

バッ!


澪「剣が浮いた!?」

律「ま、マズイ!!」

パシっ

ルシファー「私にとどめを刺すはずだった剣で貴様の体は滅びる……
       これもまた運命か……」

ルシファー「さらばだ」

ザシュっっ………


唯「…………っっっっ!!!!!!」

澪「そんな………」

ルシファー「さぁサタン…私とともに神に……」

唯「うわあああああああああ!!!」ダッ

ルシファー「!?人間の子よ…私に刃を向けようというのか…」

律「おい、みんな!!」

澪「あ、ああ!!」

律「ガーディアン……力を貸してくれ……」

澪「私たちを……守って!!」

全員「うわああああああああ」

………
…………

ルシファー「ぐっ…!!まさか私が……人間の手にかけられようとは……」

ルシファー「ふ……ふふふ……だがこのままでは終わらん……」

ルシファー「元の世界に戻してなるものか……永久に魔界の狭間をさまようがいい…」

澪「なに!!??」

―――ハハハハハハハハ……―――

その言葉を残してルシファーは息絶えた


律「そんな……」

梓「学校も……みんなも……」

紬「救えず終いだなんて……」



「遅かったか……」


唯「!?カロンのおじいちゃん!?」

カロン「残念じゃが……もうお前たちは帰ることはできないぞい」

澪「……そっか……」

紬「やだ……やだやだやだぁ~!」

カロン「サタンもルシファーも死んではおらん……」

カロン「ルシファーもサタンは何度でも蘇る……」

カロン「そしてまたお互いを求めて動きだすじゃろう」

律「う、嘘だろ……」

唯「!!……じゃあ……和ちゃんは!!……憂は!?」

カロン「和と憂とやらの魂もこのまま次元の狭間を彷徨うことになろう」

唯「うっ……うぐっ……うううううう」

唯「私……何もできなかった………」

カロン「和と憂を……救いたいか?」

唯「!?」

カロン「一つ……方法が無いわけでもない……」

カロン「……[転生]……」

澪「転生……?」

カロン「生まれ変わるんじゃよ」

唯「生まれ変わる…それじゃ私は私じゃなくなっちゃうの?」

カロン「ふふ…違う世界のお前さんとして生まれ変わるんじゃよ」

カロン「違う世界のお前さん達で……
    その世界のルシファ―とサタンを倒すのじゃ」

カロン「さすればおぬしたちのいるこの世界、何かが変わるかもしれん」

カロン「これはある意味賭けじゃがな……」

カロン「生まれ変わるには一度死ぬことになる」

カロン「時間をやる……少し考えぃ」

律「……さ、どーしますかねっ?」

澪「決まってる」

紬「そうね」

梓「唯先輩!」

唯「……憂…和ちゃん……」

唯「憂や和ちゃんや学校……みんなみんな元通りにしよう!」

律「……だよなっ!」

唯「カロンのおじいちゃん……お願い……」

カロン「よし……ではおぬしらの魂、一旦頂くぞ」

カロン「その前に……おぬしらの指にこれを」

澪「糸……?」

カロン「文字通り運命の赤い糸じゃ……」

律「でも誰と繋がってるってんだ?」

カロン「違う世界のお前さん自身とじゃよ…
    生まれ変わっても迷わず、皆と出逢えることを
    祈っておる」

唯「おじいちゃん………ありがとう!!」

カロン「うまくいけば……元の世界に戻れるやもしれん」

カロン「また元に戻れるよう、お前達の体はわしが守っておる…
    安心せい……ぐふふっあずにゃんぺろぺr」

律「おいこらエロじじい」

カロン「はい」

……
………

カロン「最後に聞く……本当にいいんじゃな?」

律「ああ!」

澪「はい!」

カロン「おぬしらの選んだ道…長く険しいものになるかもしれんぞ?」

紬「構いません!」

梓「やってやるです!」

カロン「もしかしたら……元通りにならないかもしれんぞ?」

唯「いいの……少しでも可能性があるなら……私は行くよ!」

カロン「分かった……横になり胸の前で手を組み……
    目を閉じなさい」

唯「みんな……ありがとう……」

律「ばーーーか!」

澪「その言葉……次に会う時まで取っといて」

紬「きっと……会えるわ!」

梓「唯先輩!大丈夫ですっ」

唯「えへへ………へ……」

唯「………………………」





カロン「唯……おぬしらは一縷の望みじゃ……」

カロン「頼んだぞ………」


……
………


夢?

私、……夢見てる??

ここ……どこ?

分からない……でも…行かなきゃ…

ゴゴゴゴゴ……ズン!

(壁!?)

「汝……名を名乗れ……名を名乗らぬ者を通す訳にはいかん」

(名前……えと…私の名前………なんだっけ……)

(……!!)

(唯………平沢……唯)

「…汝の名は平沢 唯と言うのか……」

「汝には力がある……」

「悪魔……そして神と戦う偉大な力が……」

(力……?)

「……扉を潜りし汝を待ち受けるのは……

光の元に選ばれた民の法と秩序か……

力に頼る者どもがあい争う混沌か……

汝の天秤に二つを載せ……零れ落とさぬよう、歩むが良い…」

……
………

唯(!?………向こうから何か来る……十字架!?)

唯(誰か貼り付けられてる!あれは……)

どこからともなく老人が現れる

老人「これは神に捧げられし魂……」

老人「貴方が名前を呼べば目を覚ますでしょう……」

……
………

唯(うわぁ…よく見るとこの人、背が高くて髪がすごく綺麗!)

唯(!!……まぶしい!)

突然唯達の目の前に妖しい光が現れる

唯(………ひっ!!)

唯が目を開けるとそこには女の子がうつぶせに倒れていた

悪魔に踏みつけられながら……

悪魔「これは…力を求める乾いた魂……」

悪魔「貴様が名前を呼べばこいつは目を覚ますであろう…
   さぁ!こいつの名前を呼ぶのだ!!」」

唯(この人は……)

唯(……律?…田井中…律)

悪魔「田井中律…こいつをそう呼んだな?」

悪魔「こいつにはまだまだ力があ…」

あああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ


―――おい!なんだ!?バグったぞ!!―――

―――あれれ?おかしいなぁ~―――

―――もう!せっかくこれからってとこだったのにぃ~―――

「動作を停止しました。問題が発生したため、プログラムが正しく動作しなく
 なりました。プログラムは閉じられ、解決策がある場合は…」



―――京浜第3シェルターB4F405号室


律「あーぁ……こりゃダメだな」

唯「きっと律ちゃんの名前を入れたから
  パソコンが止まったんだよ!」

律「人をウイルスみたいに言うな!!」

澪「しょうがない、あきらめよ……お、おい……」

律「どーしたぁ澪~?おしっこでも漏れそうなのか?」

澪「バカ!…見てみろよ…画面……!」

唯「あれ~?まだ続いてる?」


ああ我あああ炎と[禁則事項です]嵐の[ピーーー]ああああ
あ間に[ピーーー][ピーーー][ピーーー]ああ生まれしああ
あ魔王ああああパズスあああああ
ああああ今こそ[らめぇぇっ!]封印よりああ
ああ放たれああああ光とあああ共にあ
[アタタタタタタタタタタタタタタタタタ]ここにあばばばば出ずる


澪「こ…こんなストーリーだったっけ?」


「我が救世主よ……わたくしの名はパズス…
 神の命により重大な使命を伝えに参りました」

唯「パパパパソコンが喋ったああああ!」

澪「すぐに消せすぐにけせすぐに消せすぐに消せ」

唯「画面消えない!どうしよう……」

律「パソコン強制終了しろぉーっ!」


パズス「おいやめろ」

……
………

パズス「20世紀末、戦争は一瞬にして世界の文明を葬り去りました    
    対戦が終わった今、人類は恐ろしい敵に脅かされています」

パズス「戦争によって生じた次元の裂け目より、悪魔たちが次々と
    この世界に乗り出してきたのです」

パズス「その裂け目は、ここ東京にあります」

パズス「わたくしが神の使いとしてこの地に降り立ったところ
    東京を支配する魔王[バエル]によってコンピューター
    の中に封じ込められてしまいました」

パズス「それをあなた方が救ってくれたのです
    我が救世主よ、実はわたくしだけの
    救世主ではないのです」

パズス「あなた方こそ、人類をこの危機より救い出す
    神の御子…」

パズス「わたくしの務めは、皆様を助けながら正しい目的へと
    導くことです」

パズス「唯様には悪魔召喚プログラムを差し上げます
    コンピュータを使えばどこででも仲魔にした
    悪魔を呼び出せます」

パズス「律様と澪様には魔法を使えるようにして差し上げます」

パズス「さあ、B1Fに現れた死人使い[ネビロス]を
    打ち倒さねばなりません」

パズス「では、お気をつけて…」


――21世紀末より始まった戦争により世界の大国はその力を失い

一部の人々はシェルターに逃れ、地上は無政府状態の戦場と化していった

この混沌とした状況を待っていたかのように悪魔たちが現れ

崩壊した都市の地下やビルを巣窟とした

地上に残った人間は悪魔と共存しながら

半分悪魔化するミュータントになって手に負えない存在になるものまで出現し

いつ果てるともない殺戮の日々を送っていた…


21xx年 東京


新型爆弾により崩壊した地上の混乱とは隔絶された

地下150メートルの京浜第3シェルターに

この物語の主人公がいた

平沢 唯

親友の律、澪とともに体感RPGで遊んでいたところ

コンピューターのモニターに魔王パズスと名乗る

悪魔が出現したのである

パズスは魔王バエルによってコンピューター内に

閉じ込められ、その封印を唯達が解いてくれたと言う

その頃、絶対安全と思われていたシェルターにも

回線をつうじて悪魔が侵入し始めていた

ここから物語は始まる…


唯「けいおん転生!」デビルバスター編



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最終更新:2011年07月06日 23:50