「わしゃモーラ……ふむ、割符を持っているようじゃな
向こう岸へわたるか?」
……
………
―――シナガワ
澪「ここ…駅だったのかな?」
唯「線路があるね…」
律「おい!あそこに人がいるぞ!」
……
………
男「お前達3人だけで第3京浜から歩いて!?……信じられん」
男「とにかく無事で何よりだ、この先に[プリンセスホテル]がある。
中の宿泊施設もベッドがいくつかまだ使えるはずだ」
唯「ホテル~!?」
律「ベッド!!」
男「だが……あそこにはオルトロ」
律「それ~!ホテルへいっそげー!!」ダダダ
男「おい!……まぁ鎖で繋がれているから大丈夫か…」
男「魔女め……」
第三章 犬、時々…猫!?
―――シナガワプリンセスホテル 客室
唯「うわあーい!すごいよ律ちゃん!!ベッドが弾む~!」ぼよんぼよん
律「ごほっごほっ!唯やめろ……ただでさえ埃が凄いんだから」
澪「今日はここで休もうか……私も疲れた」
唯「うん!そうしようそうしよう!!」
唯「でも……」きゅるるるる
律「腹減ったああああ!」
澪「よし!みんなで手分けして食糧を探そうか!」
……
………
ガタっ ガサガサ
唯「食べられそうなものは無い……か」
ゴトトトッ! コロコロ…
唯「おおおお!!これは!!!」
…ゥオオオオ……オォン……
唯「ひゃっ!い……犬?」
唯(きっと外だよね……)
唯「おーーい!食糧発見!!」
澪「ホントか!!」
唯「じゃじゃーん!」
律「鶏肉の缶詰めだあああ!!」
澪「ごちそうだな!」
唯「えへへー食べよ食べよ♪」パキュっ
……
………
唯「ふぃ~食べた食べたあ~」
澪「さ、そろそろ寝ようか……」
律「そうだな!んじゃおっさき~!」
……zzz
唯「あ~律ちゃんずるい!」
澪「おやすみ……」
……
………
唯(…………)
……でさでさー……
……ホントかよ……
……あはははははは……
(……!?夢…?あそこにいるのは……!)
紬「お茶が入ったわよ~♪」
唯「うっほお~美味しそうなモンブラン!」
(私……?澪ちゃんも律ちゃんもいる!)
(ここは……ガッコウってやつなのかな?)
(このお茶を持ってきたのは誰だろう……
いいな……あの食べ物美味しそう……)
?「すいません!遅くなりました!」
(誰か来た……この子は?)
……
………
澪「よし!お茶も飲んだしそろそろ練習するか!」
律「えぇ~!?まだいいだろー?」
(練習?……まさか戦闘訓練?)
ジャラ~ン♪
唯「よし!準備オッケィ~」
(楽器!?……でも、なんだろ…懐かしい音……)
律「よーし何やる何やる~?」
澪「ふでペンボールペン!」
律「オッケー!いっくぞ~1・2・3・4」
~♪
(はわわわ!建物の中でそんな大きい音出したら悪魔に気付かれ…)
(……?でもなんかみんな……凄く楽しそう)
(平和……だね…いいなぁ……私もいつかこんな……)
……唯!!……
唯「……んあっ」
澪「起きろ!朝だ!!」
唯(夢……か)
律「そういや昨日犬の鳴き声が聞こえたような…」
澪「律もか……私もだ…このホテルに何かあるのかもな
ちょっと調査してみよう」
唯(やっぱりみんなも聞こえたんだ……)
……
………
唯「ねぇねぇ澪ちゃん……」
澪「なんだ?」
唯「昨日夢でね……?」
澪「ガッコウ?何言ってるんだ?私達はずっとパソコンの通信教育だったろ?
ガッコウなんて確か…大昔の制度だったはず」
律「今そんなとこあったって危なくて通えないよな!」
唯(大昔……そうなんだ……)
唯(じゃああの夢は昔の……?うーー気になる…)
ゥオオオオオオオ!!
澪「!!………聞こえたか!?」
律「この下の階だ!」
唯「い…行くんですか」
……
………
澪「この部屋だ……」
律「行くぞ……うりゃっ!」バーーン!
?「グルルル……誰だ……」
唯「犬が喋った!!」
澪「いや、よく見ろ!こいつは魔獣だ」
?「……ん……!!!」
?「お、おい!俺はオルトロス…
あんたら救世主だろ!!パズス様から話は聞いている!
俺を助けてくれ!東京タワーの魔女のせいでここに
閉じ込められちまったんだ…」
律「助けてくれって……どうする?」
唯「助けよう!だって……かわいそうだもん!」
唯はそう言ってオルトロスの鎖をはずす
オルトロス「助かった…!おい!俺をあんたらの仲魔にしてくれ!
東京タワーの魔女に一泡吹かせてやるぜ…」
唯「うん!いいよ!一緒に行こう~」
オルトロス「ここから北にあるシバの街を目指すんだ」
……
………
唯たちがシナガワの街を出ようとしたその時、
ハンドヘルドコンピューターを通して
パズスが話しかけてきた
パズス「唯様……東京タワーに魔女がいます」
パズス「生かしておいては危険な存在です…倒しに行きましょう」
唯「魔女……」
澪「シバの街へ行こう!」
律「次のお仕事は魔女退治ですかぁ」
―――地下道
澪「この先を抜ければシバに出れるはず……」
ズドン!!!
律「うわあ!!」
ピピピ
ジャバウォークが 一体出た どうしますか?
澪「唯!私たちが魔法で援護する!剣で切り込んでくれ!」
オルトロス「俺も行くぜ!」
唯「わかった!!」
……
………
律「ふう…先を急ごうぜっ!」
老人「お待ちなさい……」
澪「な!?……どこから!」
老人「先ほどの戦い…しかと見届けました
あなた達こそ真の救世主…その証を差し上げましょう」
唯「指輪……?あ、ありがとう!」
唯は救世主の証であるという指輪を老人から受け取る
老人「では……」
―――シバ
男1「おい……あの子ら……」
男2「オルトロスに指輪……間違いない、救世主だ!」
男2「おい!あんたら!!」
唯「は、はいっ!」
男2「魔女を倒しに行くんだろ!?」
律「ま、まあね~」
男1「だったら気を付けろ!東京タワーにいる魔女は魔法陣の
中では魔力が何倍にも膨れ上がるらしい…」
澪「わかりました…覚えておきます!」
―――東京タワー
入り口には魔女が張ったと思われる結界が張られていた
オルトロス「俺にまかせときな」ブンッ バリバリバリ
爪の一振りで結界に隙間が出来た
オルトロス「魔女はここの最上階だ…エレベーターで行けるはず」
澪「わかった!!」
唯(何だろう……胸騒ぎがする…)
律「唯!置いてくぞ~?」
唯「!!やああだあああ~」
―――最上階
オルトロス「この部屋だ…魔女め…覚悟しろ!」
律「よし!突撃~!!」バンっ!
魔女「のこのこやってきたわね…このイヌ!」
オルトロス「覚悟しやがれ!なんてったって今日は救世主様がついてる
からな!」
魔女「救世主ですって?……そう、まとめて相手してあげる!!」
唯(あれ?この声……どこかで…)
律「上等だあああ!」チャキッ!
澪「待て!律!!魔女は今魔法陣の中にいる……」
律「そうだった……」
唯「ねえねえ、魔女さん?」
澪「ちょっ…唯!?」
魔女「……何?話がしたいなら武器を収めてからです」
唯「わ、わかったよ!」
魔女「救世主とか言って暴れまわってるのはあなた達ですね?」
律「あーそうさ!世界を救うためにな!」
魔女「笑っちゃいますね…パズスに騙されて救世主気取りですか…」
澪「何!?」
魔女「あいつはバエルを倒すためにあなた達を利用してるだけです
どう?少しは思いあたりませんか?」
律「そんな言葉に騙されるかよっ!」
唯「そう…かも……いきなりすぎてなんかおかしいって思ってた…」
律「!?」
魔女「そう思うならパズスと手を切ってください!」
律「おい唯!!よーく考えろ!こいつは私たちを騙して
取り返しのつかないことをさせようとしてるんだ!」
澪「そうだ!ここまで来れたのもパズスのおかげだろ!?」
律「唯!私達の言うことが分かるよなっ?」
澪「騙されるな!私達を信じろ!!」
唯「私……私、救世主……辞めるよ」
澪「!!ゆ……」
律「そーか!分かった!!じゃあここでお別れだな!
次に会う時は……敵同士だ」
澪「律……」
律「私達の分のマッカと指輪は頂いてくぞ!
行こう!澪!オルトロス!!」
そう言うと律達は唯の目の前から去って行った…
唯「律ちゃん…澪ちゃん……うっうっ」
魔女「ありがとうございます!私の話を聞いてくれて……」
唯「魔女さん……?」
魔女「梓……私の名前は中野 梓です!」
梓「私と一緒に行きましょう!…いつか…
あの人達も分かってくれるハズ!」
そう言うと梓は深々と被っていたフードをめくり顔をあらわにする
唯(か!可愛い!!……キレイな瞳…猫みたい!
この子が魔女なんて…きっと何かの間違いだよっ!!)
梓「あ、あの……?」
唯「あ!わ、私は平沢 唯!唯って呼んで!」
梓「はい!」
……
………
唯「じゃあ梓ちゃんは私の一つ年下なんだねぇ~」
梓「唯…先輩…ですね!」
唯(先輩っ!!な、なんていい響きっ)
唯(梓ちゃん可愛いなぁ~)
梓「唯先輩……?」
唯「えへへっ!梓ちゃんって猫みたいで可愛いよね!
あずにゃんって呼んでもいーぃ?」
梓「にゃっっ!?」
梓「ち…近いです近いです!!恥ずかしいからやめ…」
唯「あーずにゃんっ」だきっ
梓「や、やめてください!!」
律と澪は救世主の道を
唯と謎の少女梓は自らが信じる道を
それぞれ歩み始めた
決して交わることのない道
だが…双方の目的は同じだった
―――バエル討伐―――
第三章 犬、時々…猫!? 完
最終更新:2011年07月06日 23:57