梓「残るは一つ…」

唯「このビルのどこかに……」

唯達は東京中を駆け巡りやっとの思いで

6つのピラーを集めることができた

そして最後の一つがここ、シンジュクにあると聞きつけ…

唯と梓は最上階へと急ぐ



第六章 さらば東京!



唯「エレベーターが使えないのがこんなにつらいとは~……」

梓「もう少しです!頑張ってください!」

唯「ねぇねぇケルベロス~……おんぶ!」

ケルベロス「駄目です」

唯「ちぇっ!けち~!!」

―――最上階

ケルベロス「嫌な予感がします…」

梓「ケルベロス?」

ケルベロス「強大な魔力を持った者がこの先に」


「久しぶりだな…唯」


唯「!!……律ちゃん、澪ちゃん……」

澪「もう私達のこと忘れたのかと思ったよ」

唯「忘れるわけ……ないよ」

澪「唯…世界を救うにはお前とその魔女じゃ役不足だ」

唯「そんな……澪ちゃん……」

律「いけぇっ!オルトロス!!やっつけちゃえ!」

オルトロス「了解……!」

オルトロス(ゲゲ!!……伝説の魔獣ケルベロス!)

オルトロス(か、勝てるわけない…)

澪「どーした?ほらっ行け!!」

オルトロス(うおおお困った…)

オルトロス「二・二二…ニセ救世主!
       かかか、覚悟しろ!!」

ケルベロス「八つ裂きにされたいのならかかってこい…」

オルトロス「………やっぱ無理!こえええよおおおお」

梓「あ、逃げた」

律「あっちゃ~……唯!次はこうはいかないからな!」

律「待てオルトロス!!待てっての~…」

律と澪はオルトロスを追いかけて行ってしまった……


―――ふふふ、お待ちしておりましたよ救世主―――

唯「パズス!!」

パズス「しかしその呼び名も今日で終わりです…
    律様と澪様が真の救世主でした」

梓「いつまで演技してるつもり!?魔王パズス!!」

パズス「ゆえに平沢 唯はこの世に無用な存在」

唯「!!」

パズス「あの世へ行ってもらいましょう」パチッ

梓「唯先輩危ない!!」

唯「うわわわ!」

パズスが指を鳴らすと唯の立っていた場所に火柱が上がる

唯「負けないよ……!!」

……
………

梓「はぁ…はぁ……さすが魔王ということだけありましたね…
  でも…これで……」

唯「ピラーが全部揃ったぁ!!」

ケルベロス「さぁ……バエルを倒しに行きましょう」


―――バエル城

梓「ついにここまで来ましたね唯先輩!」

唯「バエルを倒せば東京も少しは変わるのかなぁ?」

梓「変わりますよ!きっと!!」

ケルベロス「覚悟はいいですか?バエルはこの先の部屋です」

唯「うん…!覚悟ならとっくにできてる……!!」

「唯!!」

唯「!!……律ちゃん!澪ちゃん!!」

澪「お前たちも来たんだ……」

律「言ったろ!?…唯達じゃ役不足だって!」

律「バエルは私たちが倒す!!」

澪「律……」

律「唯……ごめ……いや!ここからは私達の番だ!
  唯達の活躍の場は無いぜっ!!」

澪「待って律!!唯……もしかしたら…
  間違っていたのは私達かもしれない…」

唯「澪ちゃん……」

澪「でも……後悔はしない!じゃあな、唯!!」バタン!

唯「澪ちゃん!!扉を開けて!!」ダンダン!

梓「二人だけじゃ無理です!!力を合わせないと……!」


……うわあああ!……

……律!……きゃああああ……

二人の叫び声が聞こえたのち

耳が痛くなるような静寂が訪れた……


唯「律ちゃん!!澪ちゃん!!ん~~っ!!」

唯は機械の右手に力を込める

唯「このっ!!」バゴーン

扉が勢いよく吹っ飛ぶと

目の前には

折り重なって倒れている

律と澪の姿があった

律「ゆ……唯……はは…このザマだ」

澪「やっぱり…唯が正しかった…」

律「頼む…バエルを…倒して…」

澪「唯…ごめんね…私達を許してくれ…」

唯「何言ってるの!?私達……友達だよね!?」

梓「唯先輩……」

唯「律ちゃんと澪ちゃんを傷付けたヤツを私は許さないよ!」

「ハハハハハ!友達とやらの敵を取ってみるか?」

そこには二つの頭を持つ骸骨にまたがった

魔王、バエルの姿があった

バエル「ハハッ死ねぇ!」

骸骨の腕が唯を襲う

唯「きゃあああっ!!」ガキン!

唯「あ……」

とっさに構えた機械の右腕がバエルの攻撃を弾く

バエル「貴様……生身の体ではないな」

唯(助かった……!)

バエル「まあいい…すぐにあの老婆の元に行けるぞ」

唯「!?……今…なんて?」

バエル「老婆をさらい貴様の目の前で殺すように仕向けた
    のは私だ」

梓「許せない…!!」

唯「……お前が……」

唯「うわああああああ!!」

梓「!!」

唯の剣が輝く

……お姉ちゃん!……

唯「……!?」

……
………

バエル「ぐ……ぐふ…ふ…ふふふ…
    これからさらなる貴様らを地獄が待っている」

バエル「ハハハ……サ…サタン様……」

梓(サタン!?)

バエルが倒れるとその体はどんどん小さくなっていく

梓「嘘……これがバエルの正体!?」

唯「律ちゃん!!澪ちゃん!!」

返事は無い…

唯はとっさに二人の胸に耳をあててみる

……ドク……ドク……

唯「生きてる!!」

律と澪は大怪我を負ったものの

かろうじて一命は取り留めた

……
………

律「んん……」

澪「あ……あれ?」

唯「大丈夫!?」

澪「私……ケガが!?」

律「治ってる~!」

唯「あずにゃんが魔法で治してくれたんだよ!」

律「あ、あずにゃん?」

梓「ど、どうも…中野 梓です…」

律「そっか……ありがとう!梓!!」

澪「私達を助けてくれるなんて…」

梓「死にそうな人を放ってなんておけません!
  それに…さっき…私達にゴメンって…」

律「あ?あ、ああ~…そうだったっけ!」

唯「あはは!律ちゃん相変わらずだねぇ~」

律「はは……唯…ホントに…ゴメン…」

唯「いいんだよ!もう…」

唯「それよりね……ケルベロス!お願い…」

律と澪はケルベロスから今までの経緯を聞く

澪「ルシファー……そういやギンザで見たアレ!!」

律「まさか……」

唯「ギンザ…?」

澪「ああ…気になる情報を仕入れたんでな…
  律とギンザへ立ち寄ったんだ」

澪「鈴木カンパニーって会社がどうやら悪魔と関係して
  怪しい動きをしてるらしい…」

律「忍び込もうと思ったら見つかって追い出されたけどな!」

律「でも…一瞬見えたんだ…氷だらけの部屋があった…」

律「そこには何もなかったけど……まさかな!」

梓「鈴木カンパニー…」

澪「そ、そういやバエルは!?」

梓「ああ…バエルならそこにいます」

律&澪「か、カエル!?」

唯「バエルの正体ってカエルだったみたいなんだ~」

律「私達カエルに半殺しにされたのか…」

澪「そう言われるとなんかショック」

律「ふっふっふ…よっくもやってくれたなぁ~!!」

唯「あっ!律ちゃん待っ…」

ぷちっ

唯「殺しちゃった…」

梓「なんか…あっけなかったですね…」

律「バエル退治完了ー!!」

澪「いいのかこれで…」

律「さて、これからどーするんだ?」

梓「爆心地へ行きます!」

澪「魔界へ…行くのか?」

唯「ルシファーを倒さないと!」

律「私達も行くぜ!!」

梓「律…先輩…」

唯「律ちゃん!!」

律「ま、まぁ…なんだ…唯達だけじゃ心配だしな」

澪「私達も協力する!!」

唯「律ちゃん…澪ちゃん…ありがとう!」


―――爆心地


澪「ここに昔爆弾が落とされたんだな…」

律「何もかも戦争のせいだ!!くっそー…」

梓「ここがちょうど中心ですね」

唯「ねえケルべロス…どうしたら…」キラッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

律「へ!?」

澪「ひえええええ」

唯がちょうど爆心地の中心に立った瞬間

7つのピラーが輝き

地面から城が出現したのである


―――入れ…人の子よ…―――

声が響くと城の扉がひとりでに開く

梓「唯先輩!!…行きましょう!!」

唯「あ、う…うん!!」


―――我は 平 将門 全知全能の力を持つ者なり―――

―――門は開かれた―――

―――そなたらを魔界へ送ってしんぜよう…よいな?―――


唯「みんな…!」

律「おしっ行こうぜ!!」

澪「ルシファーを倒す!!」

梓「やってやるです!」


唯達4人は東京に別れを告げ

人知れず異界の地へ旅立った

一時は分かれた

唯と梓、律と澪の道が

交わった瞬間だった



第六章 さらば東京! 完



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最終更新:2011年07月07日 00:00