唯達は光の中にいた

「……お姉ちゃん……」

「私……思い出したの…」

唯(誰!?君は……誰なの?)


……
………

唯「ここが……魔界…」

不毛の大地

赤く染まった川

自分たちがいた東京とは

まるで景色が違った

唯は幼い頃とみから聞いた「地獄」のイメージを

目の前に広がる光景に重ねあわせていた…



第七章 もう一人の救世主!


―――嘆き村

律「なあ…なんか視線が痛いんだけど……」

梓「人間が珍しいからじゃないですか?」

澪「とりあえず情報収集しないとな」

唯「私行ってくる!」

唯「あの…」

魔界人「お前ら…ここらへんのもんじゃねぇな」

唯「はい!東京からきました!」

魔界人「トウキョウ?知らねえな……」

唯「人間界です!」

魔界人「!!……何しに来た…」

唯「あの…ルシファーをやっつけに…」

魔界人「はっはっは!!こりゃ傑作だ!
     お前らにルシファーを倒せるわけがないだろう」

唯「でも……倒さないと私たちの未来は無いの!!」

魔界人「……正気か?」

魔界人「辺境の島…」

唯「はい?」

魔界人「辺境の島にアドンの塔がある…
    そこからルシファーがいる神殿に行けるはずだ」

魔界人「ただ…[玉]が必要だがな…」

唯「玉って?」

魔界人「そんなことも知らないでよく魔界へ来れたな…」

魔界人「ここ、魔界はそれぞれ嘆き、悲しみ、狂い
  迷い、眠り、怒りそして恐れの地に別れている……」

魔界人「それぞれの地にちなんだ玉があり
     各地にいる魔王が持っているはずだ」


魔界人「お前ら平 将門公の
     城から魔界へ来たのだろう?将門公に渡せば
     対応する場所へ送ってくれるはずだ」」

魔界人「[希望の玉]…ルシファーを倒すなら
     希望の玉を探せ…」

唯「わかりました!ありがとう~!!」

……
………

唯「……ということでした!」

梓「希望の玉…ですか」

律「玉っていやぁそういえば…これ」

唯「律ちゃん!!その玉…!!」

律「バエルと戦った時にただでやられてやまるか!
……ってね…くすねてやったんだ」

唯「律ちゃんたくましい子!」

澪「でもこれが希望の玉なのか?」

唯「とりあえずあのお城に戻ろう!」


―――王城


律「首だけのおっちゃん!!
  これでルシファーの所まで送ってくれ!」

―――それはできぬ―――

唯「どーして!?」

―――そなたらが持っているのは「くるいの玉」―――

―――狂いの原ならば送ってやろう―――

澪「狂いの原……」

梓「そこに行けば何かわかるかもしれないですよ!」


「待って!」


全員「!?」

?「私も……連れて行ってください!」

梓「あ、あなたは?」

?「私はロッポンギレジスタンスグループ
  [TAK-an]のリーダー、琴吹 紬です」

唯「ハンドヘルドコンピューター!!」

律「ってことは……」

紬「はい、悪魔召喚プログラムを持っています」

梓「ど、どうして!?」

紬「ある日パソコンにパズスと名乗る魔王が現れて…
  私は救世主で、バエルを倒して欲しいと……」

澪「パズス……」

紬「でも、私はこのプログラムを駆使して自分の街に残り
  仲間たちを守るつもりでした……でも…」

紬「夢を見たんです……」

唯「え!?」

澪「夢!?」

紬「ガッコウにいる夢……ガッコウで友達と一緒にお茶を
  飲んでました。あれは…
そう、音楽室って所だと思います」

紬「とっても楽しそうで……素敵な時間でした」

紬「次に夢を見た時は……多分その友達だと
  思うんですが…バエル城に向かっている
  姿が見えました」

紬「それで胸騒ぎがして……
  バエル城に向かう途中爆心地に
  見慣れない建物を見つけたので…」

律「なぁ……その夢で見た友達ってさ…」

澪「私達そっくりじゃなかったか?」

唯「!!……まさか…律ちゃんと澪ちゃんも!?」

澪「あぁ、私たちが唯と別れた後に見たよ…ガッコウの夢」

紬「そういえば……!!じゃあ…あなた達がバエルを!?」

律「あぁ!!倒したぜ~けっちょんけっちょんに!!
  私の華麗な一撃で…」

澪「捏造するな!」ゴスッ

律「ひどーい!澪が殴ったー!!」

澪「ここにいる唯と梓が倒したんだ」

紬「そうだったんですか!!」

唯「ちょ!ちょっと待って!!頭がこんがらがって…」

梓「みんな……同じ夢を見た?」

澪「梓もなのか!?」

梓「は、はい」

梓「じゃあ…音楽室でお茶を入れてくれてたのは…」

紬「私…だと思います」

紬「じゃああそこでギターを弾いてたのは」

梓「私です」

梓「ベースを弾いてたのは…」

澪「私……だな」

澪「ドラム叩いてたのが…」

律「私だ!」

律「じゃあぐうたらで」

澪「ボーっとしてて」

梓「お菓子食べる時だけ元気になって」

紬「ちょっと頭悪そうな子が……」

唯「違う!それ違う!!きっと私じゃないと思う!!
  ってゆうか最後の頭悪そうってヒドーイっ!」

梓「唯先輩だったんですね…」

律「唯も悪魔召喚プログラム持ってるんだぜー?えと……」

紬「紬です!」

紬「そうなんですか……じゃあ唯ちゃんも
  悪魔を召喚できるんですか!?」

唯「そうだよつむぎちゃん!……なんかつむぎちゃんって
  言いにくいからムギちゃんって呼ばせて~」

澪「ムギか……いいな!
  そういや唯、お前コンピューターは?」

唯「実は……」

唯は右手のグローブをはずし袖をまくる

律「!!唯、お前…腕が!?」

澪「そ、そんな……」

紬「機械の……腕…」

唯「えへへ……こんなんなっちゃった!
  コンピューターはこの腕の中だよ!」

唯「そ、そんな驚かないでよ~!」

澪「驚くなって言う方が無理!!」

律「ムギ、それでだな……」

……
………

紬「魔界に……ルシファー…」

澪「これもきっと何かの縁だ!」

紬「はい!私でよければ……一緒に戦います!」

唯「わーい!よろしくねムギちゃん!!」

紬「ええ!よろしく唯ちゃん!」

唯(でも…なんでみんな同じ夢を見たんだろ)

唯(あの…夢に出てきた妹は…?)

唯「ねえねえみんな!!夢に私の妹が出てこなかった!?」

澪「唯に妹なんていたのか?」

梓「いえ、見てませんね」

紬「私も見てないと思います」

唯「そ、そっか(私だけ……?)」

澪「よし、仲間も増えたことだ!
  そろそろ狂いの原へ行こう!」

一旦爆心地へ戻った唯達はもう一人のデビルバスター

琴吹 紬と出逢った

五人が見た共通の「夢」

唯の夢にしか存在しない妹の姿

唯の耳には今もまだ声が残っていた……



第七章 もう一人の救世主! 完



―――狂いの原


律「あっちちち!!」

澪「律、気を付けろ!」

律「なんで地面が燃えてるんだよここは!
  これじゃまんま地獄だな……」

唯「よーし……なんか
  私も燃えてきたよ!律ちゃん!!」

律「ホントだ…」

梓「唯先輩!?」

唯「……?」

澪「唯!お尻!お尻に火が!!」

唯「え……おわわわ!!あっちいいいい!!」

唯「誰か消して~!!」

梓「ブフーラ!!」

唯はダメージを受けた

唯「なんか……最近みんな扱いヒドくない……?」ヒリヒリ

梓「あれしか方法がなかったんですから我慢してください!」

紬「あの……あそこに村が見えますよ!」


―――狂いの村

澪「ふう……こうも暑いと髪が長いから首がムレちゃうよ…」

紬「そういえば皆さん……今までその装備で戦ってきたんですか?」

律「そういや…もう防具もボロボロだな…」

唯「私もバエルと戦った時に銃が壊れちゃったよ~」

澪「ワルサー!?まさか……お前ずっとその銃使ってたのか!?」

唯「うん……でも剣があるからへーきだよ!」

紬「あそこに武器屋があるわ!!ちょっと待ってて!!」

……
………

律「す……すげぇ!!」

澪「サブマシンガンにビームライフル……」

唯「新しい防具だ~!!」

梓「でも……ムギ先輩…どうやって?」

紬「地獄の沙汰も金次第よ!うふふふ」

全員「な…何者?」

紬「この先にお城があるみたいで……べリアルという
  魔王が玉を守ってるみたいなの!」

律「よし!装備を整えて突撃だぁー!!」

唯「おぉ~!!」


―――べリアル城

律「おらぁーー!!」

律のマシンガンが軽快に火を噴く

澪「私と律が後ろから援護する!!
  みんな行って!!」

唯「わかった!!」

紬「ジオラオン!!」

紬「もう一声~!!」ズガン!!

梓(ムギ先輩…魔法も使えるんだ…!)

……
………

「おや…珍しい客人だねぇ……」

律「なあ婆さん!ここにべリアルってのがいるって
  聞いたんだけど……」

老婆「会ってどうするつもりかえ?」

唯「玉を手に入れて……ルシファーを倒しに行くの!」

老婆「そうかいそうかい……」

―――できるものならやってみろ―――

紬「!!……下がって!!」

老婆はたちまち火を司る魔王…べリアルへと
姿を変えた

べリアル「地獄の業火で燃え尽き土へ帰れ!」

紬「ゴズキ、メズキ!力を貸して!」

唯「ケルベロス~!!」

……
………

梓「やった……」

律「しこたま火吐きやがって!」

唯「前髪ちょっと燃えちゃった……」

唯の前髪は焦げて若干短くなっていた

律「気になるなら私のカチューシャ
  貸してやるよ!ほら」

唯「いや!おでこだけは勘弁して頂きたい!」

澪「もう……ん?」

澪「玉が……二つ?」

律「二か所へ行けるってことか?」

梓「王城に戻りましょう!」


―――王城


―――怒りの玉と迷いの玉を手に入れたか―――

―――さぁ、どちらへ行くのだ―――


律「二手に分かれるか!」

澪「どうやって決めるんだ?」

律「決まってるだろ?」

律「じゃーんけーん………」

ジャンケンをした結果

怒りの地に澪、紬、梓

迷いの森に唯と律

ということになった

澪「お、お前ら大丈夫か?」

律「大丈夫大丈夫!!なっ!唯!」

唯「まかせてよ!」ふんす!

梓「根拠のない自信がさらに不安感を煽りますね……」

澪「じゃあ、王城でおちあおう!」

唯「澪ちゃんまた後で~!」

五人は光に包まれた


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最終更新:2011年07月07日 00:03