・・・・・・・・・

3分後


澪「とりあえず盗難はなし……か」

紬「そうね」

律「……ということは、カチューシャだけが……?」

紬「なくなってる……ってこと?」

澪「でも、そんなことなんて……」

紬「……あるわ」

澪「えっ?」

紬「神隠しよ」

澪「かみかくし?」

紬「そうよ、神隠し……大事にしてたものが、あるとき急になくなってしまう……神様のいたずら」

澪「でも、そんなことなんて……おとぎ話の……」ゾッ

紬「そうかしら?」

澪「えっ?」

紬「神隠しなんてどこでもにもあるわ……」

澪「そ……そんなことなんてあるわけないっ!!」

紬「澪ちゃん……りっちゃんのカチューシャだからって信じられないのだけれど……」


紬「そんなこと言ってたら、次はもしかしたら エ リ ザ ベ ス ……」



澪「え……あ、あ……あっ……うわあぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!」




澪「だ…だめだっ、い、行かないでくれぇ!! エリザベス!!!」フルフル


律「あ……あの、ムギさん?」

紬「てへ、ちょっとやってみたかったの///」

律「ったく、とりあえず澪をなんとかしてくれ」


澪「うわぁぁ、エリザベス……」

紬「だ、大丈夫よ、澪ちゃん。
  名前のついてるものは神隠しに遭わないみたいよ?」

澪「ほ、ほんとか、ムギ?」

紬「え、ええ、そうよ!!」タラー

澪「よかった……お前の名前はエリザベス……いつまでも一緒だよ……」

紬「ふぅ……」


律「一件落着か……ったく、澪も神隠しに何を想像してんだか……」

唯「色が白くて……首が長くて…… べ ろ べ ろ ば ー ! ! 」

澪「う、うわああああああああああああ!!」ゾクゾク

律「かーっ、お前らぁーーーーーーーー!!」

唯「わーい!!」

梓(どうしよう、騒ぎが大きくなってる……)

・・・・・・・・

唯「まあまあ、みなしゃん。お茶も入ってることですし、
  冷めないうちにティータイムにしましょう!!」

澪「ふう……そ、そうだな、少し休憩を入れようか」

律「あ、ああ……」

澪「あまり浮かないな、律?」

律「カチューシャ……」

唯「りっちゃん、帰る前に部室を片付けるからそのときにまた見つけようよ!!」

律「うん……」

梓(律先輩……)

澪「ほら、元気だしなよ。前髪出してる律なんかより、元気のない律のほうがおかしーぞ」ツンツン

律「わ、わかったよ///」

唯「ムギちゃん、今日のお菓子はなあに?」

紬「今日はビスケットよ」

澪「わあ、おいしそう」

律「みおしゃん、あんまり食べたらまた太りますよ」

澪「いちいちうるさいっ!」ポカッ

律「いってー」

紬「ふふふ、いつもどおりね」

唯「う~ん、おいしー!!」サクサク


梓(いつもどおりのティータイムか……)


梓(い、いまなら切り出せそう……だよね)

梓(ちょうど空気も良さそうだし)

梓(よーし……がんばれっ!!あずさ!!)

梓(やってやるです!!)フンス



梓「あ、あの……!!」


律「しかしカチューシャ、どこいったんだろうな」

澪「やっぱり気になるか?」

律「まあ、昔から愛用してきただけあって、思い入れもあるもんでね」

律「はやく……見つけ出したいな」

澪「りつ……」


梓「」

梓(……だ……だめぇっ!!ぜぜぜ絶対に切り出せないよ!!)フルフル

梓(あああ……どうしようどうしよう)


唯「そういえばさー、こんな歌があったよね」モグモグ


澪「なんだ?」

唯「ポーケットのなかにはビスケットがひとつ♪」

紬「ああ、聴いたことがあるわ」

律「また懐かしい歌だな」

澪「小学生以来かな」

唯「あずにゃんも聴いたことあるよね?」

梓「えっ?」ピクッ

唯「ポーケットのなかにはビスケットがひとつ♪」

梓「……ポーケットを叩くとビスケットがふたつ♪……ですか?」

唯「それだよあずにゃん!! ノリがいいね!! 一緒にやろっか♪」ニコッ

梓「一緒って……何をするんですか?」

唯「せーのっ!!」

梓(イヤな予感…)

唯「ポーケットの中にはビスケットがひとつ♪」ポケットぽんぽん


梓「うっ!?うわあああぁぁぁあああああぁぁぁぁあああああ!!??」

唯「どうしたのあずにゃん♪」

梓「せせせせせせせせせ先輩!!なななななななんで私のポケットを叩くんですか!?」ガタガタ

唯「えへへ、スキンシップだよ!!」

唯「あずにゃんだって私のポケット叩いていいんだよ」

梓(ええええっ!? 何言ってるんですか、この天然バカ!!)

梓「もおっ!! ゆいせんぱい!!」プンプン

唯「えへへ~♪」

梓(くっ、私がカチューシャを隠しているのは胸の内ポケット……)

唯「怒ったあずにゃん、かわいい」

梓(ここを叩くことは胸タッチと同義……)

唯「それじゃ、2番行こっか♪」

梓(だから……さすがの唯先輩でも胸タッチはないはず……)

唯「せーのっ!!」

梓(だから……きっと、大丈夫……)

唯「胸ポケットを叩けばビスケットが♪」




梓(……そう思っていた時期が、私にもありました)




唯「みっつ♪」ポケットぽんぽん


梓(しかも本当に胸タッチしてきましたよこの人。一体どうなっているのでしょうか?)

梓(もうこの急場を凌ぐには、取り乱してうやむやにするしかありません、やってやるです!)


バァッ!!


梓「だ、だ め ぇ ー ー ー っ ! ! 」

唯「えっ」


し~ん。。。。。。。。。



澪「……」

紬「……」

律「……」

梓「はぁ……はぁ……」


唯「あずにゃん?」

梓「はぁ……はぁ………………えっ?」

唯澪紬律「……」

梓「……えっ、あ……あっ…と…その………え…えへへっ……」

梓「ゆ、唯先輩!!」プンプン

唯「は、はいっ!!!!」

梓「つ、つぎ……私のココ……た、タッチしたら……」

唯「は、は、はい」

梓「せ…責任とって……くださいね?///」チラッ

唯「///」

梓「///」ジワッ

唯「あ……う……///」

ガタッ!!

澪「あわわわわわ!!なんてことをしたんだ唯!!///」アワアワ

唯「あ、あ、やややっぱえっちぃよね? ごめんね、あずにゃん///」

紬(まあまあまあまあまあまあまあまあっ!!)

律「……あの、ムギさん、よく聞こえてますよ?」

5分後……

梓「ふぅ……先輩、取り乱してすみませんでした」

唯「ごめんよー、あずにゃーん」スリスリ

梓「もう、あまりくっつかないでください!」

紬「澪ちゃん、カップ持つ手が震えてるわよ」

澪「う……うるさい」カタカタ

梓(色目で振り切ったけど代償が……)

梓(唯先輩の天然にここまでやられるとは)

律「なあ、梓」

梓「あ、はい」

律「なんか、こういうタイミングでこんなことを聞くのもなんだけど……」

梓「なんですか?」

律「お前、胸おおきくなった?」ニヤッ

梓「えっ!?」

唯澪紬 ジー

梓「じっと見ないでください///」

律「あっ、いや、なんか今日はちょっと大きく見えてな。
  同じ貧乳としては見過ごせないものがあってね」

梓「きゅ、急にどうしたんですか。そんなことは…」

澪「でも、今日は心持ちふくらんでるようにも見えるな」

唯「えっ、あずにゃんついにAカップ!?」

梓「うっせーです!!///」

紬「今日はお赤飯ね」

梓「それ、とてもひどいです」グスッ

唯「で、どうなのあずにゃん?」

梓「あ…いえ、そんなことは……」

澪「コラ、唯。あまりそういうことはしつこく聞くもんじゃないぞ」

唯「えへへ~、いいじゃんいいじゃん」

紬(唯ちゃんに迫られて、モジモジする梓ちゃん。最高だわぁ)

梓「……」モジモジ

律「まっ、梓ちゃんの胸が大きくなったところで、
  まだまだリっちゃん様の胸にはかなわないだろうけどね~」ボソッ

梓「!!」

律「あれ?どうしたんでちゅか~?中野ちゃん、聞こえまちたか~?」

梓「ムムッ…なにいってるんですか!! 律先輩なんてすぐに追い抜いてやるです!!」

澪「でも、梓の胸を見る限り、もう追い抜いてるんじゃないか?」

唯「あっ、澪ちゃんずる~い!!人には聞くなって言っといて!!」

紬「でも梓ちゃん、本当に大きくなった気がするわ」

梓「えっ?」

律「ぐぬっ…たしかによく見ればそんな気もする……」

梓「そんなことは…………あっ!?」

梓(しまった、カチューシャを入れてる分だけ大きく見えちゃってるかも!?)

律「梓、まさかパットとか使ってないよな?」

梓「」ギクッ

律「本当に純正の乳なんだよな?」

梓「あ……いや……その……」タラー

律「これは貧乳にとって重要な死活問題なんだ!! 正直に答えるんだ、梓!!」

梓(こ、これで見つかったら……)

澪「おい律、梓が困ってるだろ!!」

梓(どう思われちゃうんだろう……)

律「どうなんだ、梓?」

梓「ううう……わ…わたし…パットなんて使ってません!!」

律「本当に?」ジリジリ

梓「ほ、本当です、律先輩!!」

律「ホントの本当に?」ジリジリジリ

梓「ほ、ほ、ホントの本当にです!!」

律「ホントのホントの本当に…?」ワキワキ

梓「うううう……そ、そんなに言うなら律先輩!!……私の胸がどれだけ大きくなったか
  合宿のとき、お風呂でたっぷりと見せてやるです!!」

律「あずさ!?」

梓「制服の上からじゃ本当の大きさなんてわかりません!!」

梓「だからお風呂場でどっちが大きいのか、みんなの前でシロクロつけましょう!!」

紬(まあ!!)

律(み…みんなの前で……しかも一糸まとわず……だと!?///)

梓「もちろん自信があるならOK!! ですよね、律先輩?」

律「ぐ…ぐ…ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぅぅぅぅぅぅっ!?///」

梓「澪先輩とまではいきませんが、わたしの次の目標はもう唯先輩です、
  律先輩なんて目じゃないです!!」

律「ぐ…く…く…うぐっ……?」

梓「どうなんですか? 律せんぱい?」

がくっ

律「……うぅっ、そんな……梓まで……あっちの世界に行っただなんて……」

唯「うわあ、楽しそう~!!よ~し、次の合宿はみんなで見せ合いっこだね!!」

澪「わ、私はやらないぞ!!」

紬(本当は一番自慢したいくせに♪)シュッポシュッポ

梓「……」

・・・・・・・・・・

律「梓…おまえだけは信じてたのに…」シュン

澪「律、元気出せよ」モグモグ

律「巨乳のおまえに…私の悲しみが分かるもんか!!」グスッ

澪「なに言ってるんだ、幼馴染だろ?分かるに決まってるじゃないか」ゴクゴク

唯「ムギちゃん、おかわりー!!」

紬「はいはい」コポコポ

梓「……」

梓(わたし、なにやってるんだろ)

梓(唯先輩には大声出して…律先輩にはあんなことまで言っちゃって…)

梓(あああ、だめだめだめっ!!このままじゃ、とりかえしのつかないことになっちゃう!!)

梓(もう、打ち明けないと!!)

梓(……でも、いまさらどうやって?)フルフル


「おい、あずさ?」


梓「……」


「あずさ?」


梓「……はい?」


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最終更新:2011年07月07日 01:08