山本「なんじゃ?それは」

雀部「はっ、現世の書物です。私も詳しくは知らないのですが、護廷十三隊の隊士たちの間で流行しているようです」

山本「ふむ…明日の隊首会で問うてみるか」


次の日

山本「火急である!」

京楽「どうしたんだい山じい」

山本「けいおん、という書物が隊士たちの間で流行っているようじゃ」

浮竹「そういえば、うちの隊士が話していたような気がしますが…単なる書物に何の問題が?」

山本「流行りかたが尋常ではないのじゃ。けいおんにうつつをぬかし、仕事をまともに行わぬ者が続出しているらしい。十三隊としてあってはならぬことじゃ」

日番谷「そういや松本の馬鹿…いえうちの松本副隊長が俺にそのけいおんとやらを勧めてきたことがありました。最近あいつのサボりがひどくなってるのはそのせいかもしれません」

山本「各隊、規律が乱れぬよう厳にせよ。けいおんについては隠密機動に調査を命じる」

砕蜂「はっ!」

山本「以上じゃ!」


八番隊隊舎

京楽「七緒ちゃーん!帰ったよー!」

七緒「お疲れ様です。今日の議題は?」

京楽「せっかくボクが帰ってきたんだからもっとこう…癒してほしいんだけどなあ」

七緒「そんなことより今日の議題は?」

京楽「えーとねえ、けいおんって本が流行ってるらしいじゃない」

七緒「なっ!」

京楽「七緒ちゃん知ってるの?」

七緒「い、いえその…」

京楽「教えてくれないかなあ?」

七緒「わかりました…実はけいおんは女性死神協会でも流行ってるんです」

京楽「へー。じゃあ七緒ちゃんも持ってるの?」

七緒「持ってます。あ!違いますよ?私が好きなわけではなく、副隊長としてゴテイ隊で流行ってるものを把握しようと…」

京楽「ボクは興味あるなあ。七緒ちゃん貸してよ」

七緒「だめです!隊長がますます仕事しなくなったらどうするんですか!」

円城寺「隊長殿!話は聞きましたぞ!私のけいおん!コミックス全4巻をお貸ししましょう!」

七緒「ちょ、三席!」

京楽「おー気が聞くねえ辰房くん」


十三番隊舎

浮竹「現世の書物か…朽木ならわかるかもしれないな」

浮竹「そう思って呼んでみたんだ。何か知ってるか?」

ルキア「はあ…現世によく行くので知ってはいるのですが、私が見たけいおんは書物ではなくアニメです」

浮竹「そうかそうか。じゃそのアニメを見せてくれないか?」

ルキア「わかりました。現世に行って一護のブルーレイコレクションを盗んで参ります」

浮竹「頼んだぞ!いやーたのしみだな。皆で見ような」

清音「はい!」

小椿「へい!」


数日後 隊首会

山本「さて、今日もけいおんに関してじゃ」

京楽「おおー、待ってました」

山本「各々、けいおんについて確認したと思うが…」

山本「正直に申せ。どのキャラが最も良いか」

一同「!?」

砕蜂「そ、総隊長殿…?」

山本「どうした。隠密機動として詳しく調べたのではないか?好きなキャラを言うてみるのじゃ」

砕蜂「な、なんで私なんですか!?」

山本「隊の番号順じゃ」

砕蜂「では、総隊長殿から言うのが道理では?」

山本「それもそうじゃな。ワシが好きなキャラは…」

一同「…」

オオオオ…

山本「秋山澪じゃ」

砕蜂「(意外と普通だった)

京楽「(唯ちゃん家のお隣のおばあちゃんとか言うと思ったよ)」

山本「やはり大和撫子は黒髪に限るわい。澪は努力家で鍛練を怠らぬところも良い」

浮竹「そうですね。おれもあの娘は好きです。一番ではないですが」

涅「ふん!下らんネ!」

更木「うるせえぞ涅!」

白夜「兄もな」

更木「あ!?」

日番谷「また始まったよ…馬鹿親父どもの馬鹿喧嘩が」

山本「ぴえい!」

一同「!」シーン

山本「さて、お主の好いておるキャラは?」

砕蜂「…ゃんです」

山本「ん?聴こえぬが」

砕蜂「あずにゃんです!」

山本「ほう。では次」

砕蜂「えっ(せっかく勇気だして言ったのに詳しく聞いてくれないのか?猫耳が夜一様を彷彿とさせるとか…あだ名が夜一様の…)」

卯ノ花「私は・・・平沢唯ですね。母性本能をくすぐると言いますか、護りたくなってしまいます。」

山本「そうか。次」

白哉「・・・」

白哉「…私の好きなキャラは…」

砕蜂「(朽木白哉…隊長の中でもこのような話が最も似合わぬ男…一体どのキャラを)」

白夜「中野…梓」

砕蜂「なん…だと…」

浮竹「黒髪で小柄なところが好きなんだろ?うちの朽木に似てるからなあ」

白夜「黙れ浮竹」

砕蜂「(まさか朽木と被るとは・・・此奴まさか夜一様を狙っているのではあるまいな。だとしたら許さぬ)」

更木「おいおい、六番隊までいって唯と澪と梓しか出てないたあ…護廷隊は"にわか"だらけなのか?」

狛村「おい更木。好きなキャラは人それぞれ。にわかなどと言うな」

更木「けっ!次はテメーの番だろ早く言えや」

狛村「りっちゃんだ!」

更木「なん…だと・・・」

狛村「あの元気で明るい娘が大好きだ。やはり元気がないとな」

京楽「そうだねえーりっちゃんもかわいいよねえ」

浮竹「次はお前の番だぞ、京楽」

京楽「ンフフフ、僕の好きなキャラは和ちゃんだよ。の・ど・か・ちゃん」

浮竹「眼鏡好きだな…相変わらず」

京楽「それだけじゃないよ?和ちゃんはクールで真面目で、でもどこか抜けてるところがあってねえ。可愛いだろ?」

日番谷「(次は俺の番…)」

山本「春水、もうよい。次の者」

日番谷「俺は…別に好きとかじゃなくて、一応キャラのなかでは一番マシかってやつを…」

山本「はよう言わぬか!」

日番谷「憂が好きです」

京楽「おほぉ~憂ちゃんかあ。いいねえ、どこが好きなんだい?」

日番谷「(なんで俺の時だけつっこんでくるんだよ!?)」

日番谷「別に・・・なんとなく」

浮竹「髪型とか雛森副隊長に似てるし、日番谷隊長は家庭的で真面目な子が好きそうだものな!」

京楽「なるほどねえー」

日番谷「浮竹ぇえーー!」

更木「次はやっと俺の番か。待ちわびたぜ」

涅「さっさと言いたまえヨ。お前のような獣に好かれた哀れなキャラをネ」

更木「てめえは黙ってろ!俺の好きなキャラは山中さわ子!さわちゃんだ!」

涅「なん・・・だと・・・!?」

更木「さわ子はなあ、けいおんのキャラの中で唯一俺を唸らせる強さを持ってやがる・・・!」

更木「本性を現したときのあの目付き、ありゃあいい女だぜ」

涅「待ちたまえ!そんなの認めんヨ!」

更木「なんだと?」

涅「貴様のような獣がさわ子を好いているなんて、冗談は顔だけにしたまえ!」

更木「てめえにだけは顔のことを言われたかねえ!」

京楽「ん?まさか」

浮竹「もしかして涅隊長も・・・」

涅「そうだよ!私も山中さわ子を気に入っているんだヨ!」

更木「なん・・・だと・・・!」

涅「山中さわ子のあの二重人格!そして高校時代に遂げた人間とは思えぬ多段変身!研究対象として非常に興味深いんだヨ!」

更木「あぁ!?俺のさわ子を研究対象だと!?」

涅「そうだとも!実在するのなら今すぐ解剖して隅々まで調べてやりたいところだ!」

更木「てめえ・・・さわ子をそんな目で見やがって・・・許さねえ」

涅「許さないのは私のセリフだヨ!貴様はさわ子の魅力をまるでわかっていないのだヨ!」

更木「てめえなんぞがさわ子さわ子と気軽に呼び捨てにしてんじゃねえェッ!」

ゴゴゴゴゴゴ

日番谷「お、おい!こんなところで抜刀するな!」

涅「やれやれ、そうやって野蛮人はすぐ暴力に訴える・・・いいだろうかかってき給え!」

更木「おらあああああ!」

ダダダダダ

涅「掻き毟れ・・・『疋殺地蔵』!!」

ズルゥ・・・

更木「っらぁ!」

ガキン!!!

日番谷「やめろお前ら!総隊長も、お前らもなんで止めねえんだ!」

山本「・・・」

浮竹「日番谷隊長。よく覚えておくんだ」

日番谷「浮竹・・・?」

浮竹「戦いには二つあり、我々は戦いの中に身を置く限り、常にそれを見極め続けなければならない」

浮竹「命を守るための戦いと、誇りを・・・守るための戦いと・・・!」

日番谷「!!!」

ガキィン!キィン!

更木「はあぁっ!」

涅「フンッ!!」

浮竹「今、奴らは誇りのために戦っている。キャラの誇り、けいおんの誇り・・・」

浮竹「そして何より、奴ら自身の誇りのために」

ゴオオオドゴオォォン!

京楽「うーん、だけどこのままじゃあ建物が崩れちゃうねえ山じい」

山本「崩れたら11番隊と12番隊の経費で修繕すればよかろう。此度の隊首会はこれにて解散とする」

ザッ

浮竹「あっ」

浮竹「俺の好きなキャラ・・・まだ・・・」

ガキィイン バキィィン

更木「はっ!てめえそろそろ本気出しやがれ!卍解しろや!」

涅「いいのかネ?貴様のために手加減してやっていたと言うのに・・・」

浮竹「お前らのせいで!!」

「!?」

浮竹「波悉く我が盾となれ 雷悉く我が刃となれ『双魚理』!!」

ドォン!

浮竹「許さないぞ!」

更木「邪魔すんじゃねえ浮竹!前から思ってたけどなあ!てめえの斬魂刀の解号くそ長いんだよ!」

涅「2人まとめて片づけてあげるヨ!卍解!!『金色疋殺地蔵』!」

オギャァァァ



その日、瀞霊廷は半壊した


数日後 四番隊 総合救護詰所 特別病室

浮竹「いやー、あの時は久々に燃えたなあ」

ルキア「隊長・・・あまり無理なさらないでください」

浮竹「言っただろ?戦いには二つあり・・・」

ルキア「それはもう聴き飽きました。しかし侵入者があったわけでもないのに瀞霊廷半壊に隊長3名が重傷とは・・・前代未聞です」

浮竹「はは、まあそういうこともあるさ。それよりテレビは持ってきてくれたか?」

ルキア「はい。けいおんのブルーレイも」

浮竹「すまんな朽木。入院中暇でしょうがなくてな」


別の病室

更木「涅の野郎・・・仕留め損ねちまった」

斑目「もういいでしょう隊長。どんだけ根に持ってんすか」

更木「うるせえな・・・涅はどこだ」

斑目「あの人は総合救護詰所には居ませんよ。自分の体は自分で治す主義らしいんで」

更木「チッ」

やちる「けんちゃーん!お見舞いの品持ってきたよー」

更木「おおやちる!さわ子のCDは手に入ったか」

やちる「ほら、お菓子がこーんなにたくさん!11番隊の子たちが集めてきてくれたんだよ!」

斑目「よかったっすね」

更木「いや・・・けいおんは・・・」


十番隊隊舎

乱菊「大変でしたね―隊長」

日番谷「他人事みたいに言いやがって・・・ったく」

乱菊「ところで隊長が好きなキャラって誰ですか?」

日番谷「絶対に言わねえ!」

雛森「シロちゃんもけいおん観てるの・・・?」

日番谷「ひ、雛森!?なんでここに?体は大丈夫なのか?」

乱菊「今日は仮退院で、私が付き添ってるんですよ。隊長に言ってませんでしたっけ?」

日番谷「(わざと隠してやがったな・・・!)」

日番谷「雛森、俺はべつにけいおんのキャラが好きとか、邪な目で見たりとかしてるわけじゃなくてな、純粋に作品として・・・」

雛森「どうしたの?私もけいおん好きだよ?乱菊さんに入院中見せてもらって」

乱菊「プークスクス」

日番谷「松本ォーーー!」

―――

浮竹「・・・」

ルキア「・・・」

オモーイデーナンーテイラナイヨー♪

浮竹「もうすぐ全話観終わってしまうな」

ルキア「そうですね」

浮竹「そういえば、朽木はどのキャラが好きなんだ?」

ルキア「私ですか・・・強いて言うなら鈴木純ですかね」

浮竹「純ちゃんか。どうしてだ?」

ルキア「彼女はまさに『普通の女の子』と言った感じで・・・
    今まで私も、私の周りにも普通の生活はありませんでしたから」

浮竹「憧れ、か」

ルキア「はい。ところで、隊長の好きなキャラをまだ聞いていないのですが」

浮竹「俺か!よく聞いてくれた!俺の好きなキャラはな・・・」

カンカンカンカンカン

『瀞霊廷に旅禍が侵入!瀞霊廷に旅禍が侵入!各隊、緊急配備!』

ルキア「旅禍!?」

浮竹「なんだと!」


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最終更新:2011年07月07日 21:32