……


梓「はい、今月のお小遣いです」

唯「えっ? こんだけ!?」

梓「ええ」

唯「えー……これで何買えって言うの」

梓「ハーゲンダッツ10個。三日に一個たべれますよ」

梓「まぁそんな無駄遣いしたらおこりますけど」

唯「ひどいよ~~」

梓「しかたないですよ」

唯「もうちょっと……あがらない?」チラッ

梓「だめ!!」

唯「そこをなんとか!」

梓「ノー。お断りです。経費とは別なんですから有効活用してください」

唯「鬼!」

梓「あ、そんなこと言うんですか?」

唯「あう……ごめんなさい」

梓「ぼっしゅーです」

唯「ごめんなさいごめんなさいいいっ!」

梓「全く。私の苦労もしらないで」

唯「でもね。ほら私よく打ち合わせで出版社いくでしょ?」

梓「知ってますけど。それが?」

唯「ジュースかったりとか……お腹すいたりとか……その」

梓「……我慢! です」

唯「……むぅ……どうしてもっていうなら」

梓「なんですか?」

唯「あずにゃんをお小遣い代わりにいただいちゃおう」

梓「はっ?」

唯「あずにゃむちゅちゅ~♪」

梓「や、やめっ、ひっ……あぅっ。こらああ!! だめですってば!」ビシビシ

ガチャリ

律「おーっす来たz……ってお前らなあああああ!!」

梓「あぅ、あっ……はぅ……あぅ、やんっ///」

唯「んちゅ、ちゅぷ、ぁん……あ、りっちゃんおはよー!」

律「おはよーじゃねぇ! そういうことしてるなら鍵かけろって言ってんだろ!」

唯「だってー、急にはじまったんだもん。ねぇ?」

梓「にゃう……」

律「年中発情期か!」

唯「キャーりっちゃんみないでー!」

律「……15回目だ」

唯「ほえ?」

律「お前らバカ夫婦のアレを見るの今年入って15回目だ!!!!」

唯「りっちゃん覗き魔ー」

梓「すいません、ほんとすいません……ほら、唯先輩も謝って。お弁当の人ですよ」

律「ちっくしょー……なんだこのボロアパート呪われてんのかっ!」

唯「あれ、今日は何用で? りっちゃん仕事おやすみ?」

律「おう」

梓「あ、今日はお弁当ないんですか」

律「ねーよ。なんで弁当前提だよ」

梓「すいません」

唯「遊びにきたのー?」

律「うんにゃ。まぁ、相談、かな?」

梓「あ、告ればいいとおもいますよー」

唯「大賛成ー! うふふふー」

律「おい!! まじめにきけよ!!」

唯「だっていつもりっちゃん邪魔するんだもん……こっちもいろいろたまるんだよ」

律「やめてくれ。本気で私が悪いみたいだろ」

梓「で、なんなんですか?」

律「お、おう……その、なんだ、澪がさ……あの、デートって言ったら変だけど、今度一緒にどこか」

唯「へー。デートするんだーいいなー」

律「だからデートじゃねぇっつってんだろっ!」

唯「じゃあなんでわざわざ相談しにくるの!」

律「えっ、そ、それはよぉ……うるせぇ! でもデートじゃねぇから!」

梓「めんどくさいなぁこの人」

律「とにかくおすすめのデートスポット教えてくれ」

唯「デートって言ったよ今」

梓「意識しすぎてますねカッコ悪い」

律「うるせーうるせーうるせー。お前らほんと嫌い!」

梓「それはどうも」

唯「デートスポットならいいとこあるよー。いつもあずにゃんと行くんだー」

律「まじ!? どこどこ」

唯「イオンだよー」

律「イオン行ってどうすんだよ」

梓「えっ、イオンですよ? デートといったらイオン、イオンといったらデートでしょ」

律「わっかんねーなぁ……わかんねぇよその感覚」

唯「お買い物できるしー」

梓「賑やかですしー」

唯「映画もあるよ!」

梓「ご飯たべるところもたくさんあります!」

唯「なによりタダってのがね! 遊園地とかだと入園料かかるじゃん!」

律「いや、金あるし……」



梓「……」


律「……すまん、弁当かってくるからなんか考えといて」

唯「……うん、私からあげ」

梓「じゃあ私はサバ乗っかってるやつで」

律「……ぉぅ」


……


律(デートか……なんかちげぇよなぁ……)

律(あー考えてると妙にむしゃくしゃする)

律(アタシもあいつらみたいな感じで暮らせたらなー)

律(幸せってのは金だけじゃねぇよなぁ)

律(澪はいま幸せなんだろうか)


純「いらっしゃいませー何にしますか?」

律「んじゃからあげ2つとサバ弁で」

純「はーい」

律「って何してんの? 鈴木さんだよね?」

純「えっ、バイトですよバイトー。やだなぁ何あたりまえのことを」

律「この間レストランいなかった?」

純「あ! あそこはもうやめました(笑)」

律(こいつはほんと人生幸せそうだな……)


純「ありがとうございましたー」


律「さー、戻ろ戻ろ。9月になってもあっついなぁ」

和「あらっ」

律「お、和じゃん。唯たちんとこ行くのか?」

和「奇遇ね。あなたも?」

律「おう、飯かいに出たんだ。打ち合わせ?」

和「まぁそんなとこね」

律「あちゃー、仕事の邪魔しちゃ悪いか。ほんと漫画家って休みなしなのな」

和「別にいてもいいわよ」

律「そう? そりゃすまん。あ、和も弁当いる?」

和「私食べてきたからいいわ」

律「そうかい」

和「澪とはうまくいった?」

律「は!? な、なんでいきなり……てか知ってるのかよ」

和「すこしそこのベンチで話していかない? 公園」

和「溜め込んでるんでしょ? あの二人がいるとまた話がそれるんじゃない?」

律「……うーん、どうしよ」

和「私も少し話したいことがあるの」

律「そなの? じゃあちょっとだけな」



和「ごめんなさいね。この間のレストラン、たまたま近くで打ち合わせしてて聞いちゃったの」

律「なんだよー言えよな」

和「こっちも仕事だったから」

律「澪とは、長い付き合いなんだ」

和「しってるわ」

律「でもあいつが絵本作家デビューして、私も働くようになったら全然会わなくなってさ」

律「このまま疎遠になるかもって不安だった」

和「……そう、でも再会できて良かったわね」

律「ま、まぁな。そのへんあいつらには感謝だよ」

和「あの日はたくさん話せた?」

律「いんや。なんか柄にもなく緊張っていうか、どぎまぎしてさ」

和「なんでも話せる仲なんでしょ?」

律「そりゃもちろん」

和「……暑いわね」

律「おう。お、アイス売ってんじゃん。買ってくるわ」

和「私はいいわ。お腹壊すから」

律「そうか?」



律「ひんやりおいひー♪」

和「で、伝えたい事は伝えられたの?」

律「む……どこまで知ってんだよー」

和「なんでもおみとおしよ」

律「和までおせっかいかー?」

和「そうね。おせっかいならごめんなさい」

律「あたしらは唯や梓みてーにはいかねーよ」

和「そうね。二人ともとてもぶきっちょ」

律「はぁー……キャラじゃねぇよなぁ……和ぁ、あいつらには黙ってろよぉ……」

和「大丈夫。口は堅いから」

和「ところで、前々から思ってだけど」

律「?」

和「澪って恋愛大好きよね」

律「ぶっ……なんでそう思った」

和「だってあんな歌詞つくって絵本書いてるんだし」

律「恋愛なぁ……うーん」

和「澪は好きな人いるのかしら?」

律「しーらーねーよーー」

和「そういうのは聞いたりしない?」

律「からかってんのかー? 簡単に聞けたら苦労しねーよー」

和「それもそうね」

律「……」

和「とけてるけど」

律「おっ? うおっ!」

ペロリ


和「そろそろいきましょっか」

律「えっ? 和もなんか相談あるんじゃねーの?」

和「そんなこと言った?」

律「話あるからって」

和「だから、あなたと澪のこと」

律「えーー?」

和「興味本位よ」

律「性格わっるぅー」

和「そう? 昔からこんなもんよ」

律「唯が泣かされてきたわけだ」


和「焦ってるでしょ」

律「あ、わかる?」

和「わかるわよ。私たち、もう気楽に恋愛ごっこなんてしていい歳じゃないもの」

律「そうなんだよなー」

和「澪、美人だし、有名人だもんね」

律「……おう」


律「いつか、どっか行っちゃうような気がしてさ」

律「どっかっていうか、ほっといたら誰かのものになっちゃうのかなって……気がきでなくて……」

律「和のいうとおり、あいつ超昔から恋愛ごととか考えるの好きっぽいし」


 『私はぜったいに25、いや、24には一緒に添い遂げる人に出会いたい!』

 『うーん、私を大事にしてくれる人……が好きかも』

 『恋愛は! 顔とかお金じゃないんだぞ律!』


律「…………はぁ」


……


唯「おかえりっちゃんー」

梓「おかえりつせんぱいー」

律「よぉ……」

唯「遅かったね! 寄り道かな!?」

梓「お弁当どうもです」ガサガサ

律「乞食か」

和「と、その前に、打ち合わせするわよ」

唯「うわわわっ! でた! 和ちゃん!」

梓「一緒だったんですか?」

律「まーなー」

唯「どったのりっちゃん? なんか落ち込んでない?」

和「この人考えすぎなのよ。シンプルにいきなさい」

律「こればっかしはちっとなぁ……」

唯「元気だしてりっちゃん! きっとうまくいくよ!」モグモグ

梓「そうですよ! 考えるなんて律先輩らしくありません」モグモグ

律「な、殴りてぇ……」

和「一緒に住んでるとだんだん似てくるのね」

律「だな……」

唯「そうだ、デートコース考えといてあげたよ!」

律「んー?」

唯「まずはー、イオン2階の服屋さん。おしゃれなんだよー? そのつぎはパスタ屋さんでお昼してー」

律「イオンいかねーから!」

和「ちょっと待って! 打ち合わせよ! お弁当食べるのもやめなさい!」

律「わりーわりー」

和「あなたは謝らなくていいわ」

唯「じゃあとっとと始めよう」

和「再来月、久しぶりの巻頭カラーよ」

唯「えっ!?」

梓「すごい久しぶりですね」

和「気合いれなさい」

唯「ねー、なんでー? なんでばんぎゃ人気ないのにカラーもらえたの?」

和「……まだ内緒よ」

梓「普通に5人絵でいいんですか?」

和「そうね、それでいいと思う」

梓「ちょっとラフおこしてきます!」シュタッ

律「やっぱ巻頭カラーってすごいのか?」

和「そうね。やっぱり雑誌の顔だし、注目作品、新連載、連載回数記念じゃないと難しいわね」

律「へー、でもばんぎゃっていっつも後ろのほうにのってね? 人気あんの?」

和「……」

唯「……」


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最終更新:2011年07月08日 00:59