梓「ふう……いいお湯だった」

梓「そろそろ髪切った方がいいかな……伸びてきたし、乾かすのめんどいし、純に日本人形って馬鹿にされたし」

梓「でも、この前唯先輩が『あずにゃんの髪、かわいいね』ってほめてくれたしな。もうちょい伸ばしたら切ることにしよう」

梓「ふあー、よっこいせっと」ギシッ

梓「…………今日の部活は何というか、おかしい雰囲気だった……」

梓「その一番の原因は……律先輩と澪先輩がギクシャクしてたことかな」

梓「あの二人がほとんど会話しないのなんてありえないし」

梓「何かあったのかな……」

梓「んまあ、私ひとりじゃどうすることもできないけど。去年の文化祭のときみたいなのは勘弁だよ」

梓「……明日には、元に戻ってるといいけど」

梓「さてと、ちょっとだけ練習しようかなっと」

ブブエー♪

梓「あっメールだ……唯先輩から?」


From:唯センパイ
Sub:やっほー

あずにゃん元気ー?
いまメールしても大丈夫かな?


梓「どうしたんだろ……何かあったのかな?」

梓「まさか、今日のことについて……とか? ……まあ唯先輩に限ってそれはないか」

梓「えーっと……いいですよ。っと」


To:唯センパイ
Sub:Re:やっほー

はい、いいですよ


梓「送信……」ピッ

梓「さて、唯先輩からメールが来る間にギターでも弾いとこうかな」

梓「カモン! むった」

ブブエー♪

梓「ん? はやっ!?」


From:唯センパイ
Sub:ありがとー

よかったー
あのね、あずにゃんはきのことたけのこどっちが好きかな?
ちなみに私はきのこだよ!フンス


梓「おいおい、まさかそんなことでメールしてきたんですか?」

梓「まったく……唯先輩はかわいいなあ」

梓「っていうか、この質問はちょっと危険なのでは……」

梓「えっと……」


To:唯センパイ
Sub:Re:ありがとー

そうですね
私はあまり食べないんですが……
どっちっかって言うと唯先輩と同じきのこですかね


梓「送信っと」ピッ

梓「私はパイの実しか食べないっていうのに……」

梓「まあ、同じものを好きって言われれば唯先輩もうれしいはずだよね」

梓「さてさて、練習練習っと」

ブブエー♪

梓「はやっ!? って今度は憂からか」


From:憂
Sub:いいかな?

梓ちゃん、今メールしても大丈夫かな?


梓「めずらしいな……憂からこうやってメールしてくるなんて……」

梓「んまあ、とりあえず」


To:憂
Sub:Re:いいかな?

大丈夫だよ


梓「送信っと」ピッ

ブブエー♪

梓「うおわっ!? びっくりしたぁ……唯先輩か……」


From:唯センパイ
Sub:ナカーマ!

やっぱり~!?
だよねだよね! やっぱりきのこだよね!
いや~うちのういがね~きのこよりたけのこの方が好きだって言うもんですから~
あずにゃんが同士でよかったよ~!


梓「……あーなるほど。そういうことか」

梓「憂と唯先輩で言い争ったんだね」

梓「と、いうことは……」

ブブエー♪

梓「そら来た!」


From:憂
Sub:ありがとう

それじゃあ梓ちゃんに聞きたいんだけど
きのことたけのこどっちが好き?
ちなみに私はたけのこなんだけど、お姉ちゃんはきのこなんだって


梓「ほら来たよ~。やっぱり来たよ~」

梓「まったくくだらないことでケンカするなあこの姉妹は」

梓「いや、その前にケンカにすら至ってないかもしれないけど」

梓「ん~……それじゃあとりあえず……」


To:憂
Sub:Re:ありがとう

私はどっちかって言うとたけのこかな
きのこも好きだけどね


梓「ん、無難すぎて自分が恐ろしい……送信」ピッ

梓「あっ、唯先輩に送るの忘れてた」


To:唯センパイ
Sub:Re:ナカーマ

そうだったんですか
まあ、たけのこもおいしいですから憂の気持ちもわかりますが
唯先輩と一緒でわたしもうれしいです


梓「たはー、これって告白一歩手前って感じがするよー! 送信!」ピッ

梓「んまあ、この話題もこれで終わりだからやっと練習が出来るぞ!」フンス

梓「さってと、やりますか」

ブブエー♪

梓「うわっ、まさかのメール」

梓「あれ? ムギ先輩からだ。めずらしい……」


From:ムギセンパイ
Sub:今度の曲について

今メールしても大丈夫かな?
新曲のことについてちょっとお話があるんだけど


梓「わあ……これぞまさしく軽音部のメール!」

梓「さすがはムギ先輩! お菓子論争でメールなんてしませんよね!」

梓「でへへ……しかも、私に相談してくるなんて……頼れる後輩みたいな?」

梓「ぬふふ~……。あっ、返さなきゃ」


To:ムギセンパイ
Sub:Re:今度の曲について

もちろん大丈夫です!


梓「送信っと」ピッ


ブブエー♪

梓「メール……しかも2件」


From:唯センパイ
Sub:私も!

あずにゃんといっしょでうれしいよ!
まあ私はお姉ちゃんだから、ういのことは許してやろうと思う!
それじゃあとでいっしょにきのこ食べようね!


From:憂
Sub:そうなんだ

梓ちゃんは二つも食べられるなんてすごいね!
私はたけのこしか食べられないよ…
でも、きのこ食べてるお姉ちゃんも好きだから
明日はいっしょに食べようかな♪
あ、梓ちゃんも今度いっしょに食べようね♪


梓「なんとか片付いた」

梓「ああ、でもこのあと別々で一緒に食べないといけないのか……」

梓「私はパイの実派だってのに」

梓「さて返信っと」


To:唯センパイ
Sub:Re:私も!

はい
楽しみにしてます!


To:憂
Sub:Re:そうなんだ

うん
楽しみにしてるよ


梓「送信っと……」ピッ

梓「ふふふっ、私は律義に返信するタイプなんだよね」

梓「でも、さすがに二人を相手にするのはちょっと疲れるかな」

ブブエー♪

梓「おっ、ムギ先輩さっそくきた」


From:ムギセンパイ
Sub:Re:Re:今度の曲について

ありがとう
あのね、今度の曲のイメージがあまり出来上がってなくて
それで梓ちゃんの考えも聞いてみたいと思ったの
できればでいいから、聞かせてほしいな


梓「はあはあなるほどなるほど」

梓「これは私の助けが必要ですね」

梓「ん~……そうだなあ……私たちのバンドの方向性を考えると……」

梓「いや、でもあえてのギャップもいいかもしれないし……」

梓「ああ! 考えがまとまんない!」

ブブエー♪

梓「にゃっ!? またメール? 今度は誰から?」

梓「えっ? 純からだ」


From:純
Sub:non title

トイレなう


梓「……はあ?」

梓「なにこれ? どういったメールなの? まさか私の反応が見たいとか?」

梓「純は相変わらず何考えてるかわからないな」

ブブエー♪

梓「また純?」


From:純
Sub:non title

やっぱトイレって新聞読むのに最適な環境だよね
まあ、テレビ欄しか見ませんけど?


梓「……ほんとに何考えてるのかさっぱりだな……」

梓「こんなメール私に送って何がしたいのやら」

梓「んー……まあ、めんどいから返信するのやーめよっと」

ブブエー♪

梓「あっ、返信来た! けど、唯先輩だ」


From:唯センパイ
Sub:楽しみ~

あずにゃんとはやくいっしょに食べたいよ~!
あっ、ういが呼んでるからまたあとでね~


梓「んもう、いちいち返さなくていいのに……」

梓「でも唯先輩のそういうところ、梓はいいと思います」

梓「っていうか、早くムギ先輩に返さなきゃ」


To:ムギセンパイ
Sub:Re:Re:Re:今度の曲について

そうですね…
やっぱり私たちらしさを出すなら明るい曲がいいんじゃないでしょうか
ムギ先輩のアップテンポの曲、私は好きですよ
イメージは…
まるで大空にはばたいている鳥のような
すがすがしい気持ちになる曲なんてどうでしょうか
ムギ先輩のおどるようなピアノの音が多めだと面白いと思います


梓「送信っと。ふう……疲れた」ピッ

梓「これだけ言えば『さすがは梓ちゃん! 頼れる後輩ね!』ってなるんじゃ……」

梓「えへへっ、照れるなあ……」

ブブエー♪

梓「またメール……もう今日はメール来すぎだよ」

梓「あっ、澪先輩だ」


From:澪センパイ
Sub:相談

急にメールしてごめん
梓にちょっと相談があるんだけど……
よかったら返事して
宜しくお願いします( _ _)ペコリ


梓「なんと……まさか澪先輩から相談される日が来るなんて……」

梓「ヤバい、テンションあがってきたよ!」

ブブエー♪

梓「おっ? 今度は誰だろ……また純か」


From:純
Sub:non title

ヤバい。紙が無いことに気付いてしまった
が、新聞紙があったのでこれで代用します


梓「うおい! なんであんたのおトイレ事情をメールで知らなきゃならないのよ!」

梓「もしかして紙が無いのを知らせるために……?
  いや、もうそのことについてはとっくに解決してるようだし……」

梓「しかも、返信がないのにこうやって送られてるってことは……!」

梓「そうか! 純はツイッターか何かをしてるんだ!」

梓「そして、それを私に誤爆した、と……なんて間抜けなの」

梓「教えてあげた方がいいのかな……いや、ここはもうちょっと様子見しよう。
  もしかしたら気付くかもしれないし、おもしろいものも見れるかもしれないし」

梓「いやーそれにしても純がツイッターやってるなんてね……。
  意外すぎるよ」


ブブエー♪

梓「おっ、返信きた! ムギ先輩からだ」


From:ムギセンパイ
Sub:Re:Re:Re:今度の曲について

さすがは梓ちゃんね!
私もそんな感じの曲をイメージしてたの
でも、あまり自信がなくていい感じに仕上がらなかったから
梓ちゃんにそう言ってもらえて自信がついてきたような気がする♪

それじゃもう少しやってみる!
ありがとね♪


梓「ぬはーーっ! 完璧ッ! 完璧だよ私!」

梓「ムギ先輩からの急な相談……しかし、私のズバリな返しにムギ先輩も満足満足!」

梓「ああ……これだよ。これが私のしたかったメールだよ!」

梓「……ふう、テンションあがりすぎた」

梓「ふふっ、それにしてもムギ先輩のメールってなんだかかわいいなあ。
  唯先輩とはまた違ったかわいさがあるね」

梓「それじゃあ、返信返信っと」


To:ムギセンパイ
Sub:Re: Re:Re:Re:今度の曲について

お役に立てて光栄です!
曲作りがんばってくださいね
新曲楽しみにしてます!


梓「そうしん!」ピッ

梓「ん~!! 一仕事した~!!」ノビー


ブブエー♪

梓「あっ澪先輩ともメールしてたの忘れてた」


From:澪センパイ
Sub:ありがとう

相談に乗ってくれてありがとう

実は最近、律と話そうとしても律の方から避けたりするんだ……(;一_一)
今日なんて目を見て話さなかったし、帰り道だって会話一つも無く終わってしまった
それで、もし律のことで何か知ってたら教えてくれないかな?
律は、私にはあまり悩みとか言わないから私じゃ何の役にも立てないし…
後輩に頼むのもアレだけど、梓にしか分からないこともあるだろうし

ぜひ、教えてください


梓「……なんか重たいな」

梓「やっぱりこれってケンカしてるのかな……いや、ケンカではないのかもしれないけど」

梓「うーん……律先輩の悩み……か」

梓「そんな態度取ってないような気がするけど……ずっとお茶飲んでたし」

梓「ん~……駄目だわからん」

梓「澪先輩には申し訳ないけど、私じゃわかりませんと送ろう」

ブブエー♪

梓「おわっ!? 誰から?」

梓「り、律先輩!?」


2
最終更新:2011年07月11日 19:59