From:律センパイ
Sub:夜遅くにスマン
今、メールしてもいい?
ちょっと聞きたいことがあるんだ
よかったら返信して
梓「……これはひょっとして」
梓「ああ、間違いないね。これはよくあるあパターンだよね、うん」
梓「お二人とも、なんで私なんかに相談するのかわかりませんけど……」
To:律センパイ
Sub:Re:夜遅くにスマン
大丈夫ですよ
どうぞ、相談してください
梓「送信……」ピッ
梓「さすがにお二人相手にメールのやりとりはきついかもしれないけど。
ここで律先輩の悩みを聞いて、それを澪先輩に報告する……完璧だ」
梓「あー今日はみんなから相談される日なんて、めざまし占いでやってたかな……」
梓「ま、いっか。これも後輩の宿命なんだよ、きっと」
梓「それじゃ、律先輩の返事が来るまで澪先輩への返信は保留ということで」
ブブエー♪
梓「あっ早速きた」
From:律センパイ
Sub:誰にも言うなよ!!
相談のってくれてありがと
実は仲のいい友達のことが好きになってしまったんだ
でもその人は女の子で、同性なんだよ
別に偏見とかそんなのは気にしないけど、やっぱり相手の子のこともあるじゃん
で、どうしたらいいか迷ってる
そのことについて相談したいんだけど
ムギは新曲作りで忙しいし、唯は何と言うか頼っていいのかわからない
そこで、梓にお願いしたんだ
私はどうしたらいいのかな
このことは秘密だぞ!
梓「……想像の斜め上をいくとは」
梓「なんですかこれは! 乙女の感情丸出しですか!」
梓「そうか、律先輩の元気がなかったのはこのせいか」
梓「律先輩に好きな人……プククッ、笑えますね。でも、乙女的な律先輩も悪かないですよ悪かあ」
梓「さーて、このことを澪先輩に報告し……」
梓「……待てよ、もしかして律先輩の好きな人って……」
梓「さっきのメール、律先輩が好きになった人は友達だって言ってるし」
梓「それに、ムギ先輩や唯先輩に相談しようとしてたって書いてあるけど、澪先輩にはしてない」
梓「ということは……やっぱり……だよね……」
梓「律先輩が澪先輩のことを好きってことなんだよね……」
梓「うわあああ! どうしよう! どうすればいいのこれ!」
梓「……これは非常にまずい展開だよ」
梓「澪先輩に『律先輩、澪先輩のこと好きらしいですよ』なんて送ったら、澪先輩が絶対おかしくなってしまうよ」
梓「ただでさえ仲が険悪というか気まずいのに、こんなこと知られたらもう関係修復は無理なんじゃ……」
梓「いや、もしやの『私も好きだよ律!』みたいなことも……ないか」
梓「考えろ……考えろ梓……せめてなにかいい案は……」
梓「……駄目だ思いつかない。もうこうなりゃやけくそだよ!」
To:澪センパイ
Sub:Re:ありがとう
推測ですが
もしかして、律先輩に好きな人が出来たのでは?
最近の律先輩は鏡で髪を整えたりしてましたし
そのことで悩んでてて、澪先輩ともあまり会話しなくなったと思います
まあ、推測なので本気にしないでください
梓「送信……」ピッ
梓「うわあ、これでよかったのかな……? いいよね? いいんだよね?」
梓「ああ、そういえば律先輩にも送らなきゃいけないんだった」
梓「まいったな……私なんかじゃおいそれとアドバイスなんてできないよ」
ブブエー♪
梓「メ、メール!」
From:純
Sub:non title
最近のテレビはつまんないね
はやく内P復活しないかな
梓「あんたの独り言なんてどうでもいいよ! っていうか、ツイッターの反応見てないの?
どんだけ適当なのよ」
梓「あああ、無駄な時間が過ぎて行く……早くしないと律先輩に引かれたかと思われちゃうよ」
ブブエー♪
梓「にゃっ!? メールきた……」
From:ムギセンパイ
Sub:できました!
新曲がほぼできたの~
これも梓ちゃんのおかげだよ
明日には持っていけるから楽しみにしててね♪
梓「はやっ! 曲できるのはやっ! ムギ先輩おそろしいな」
梓「でも今はそんなことはどうでもいいんだ。重要なことじゃないよ。楽しみだけど」
梓「あああああどうしよどうしよどうしよう……早く送らないと、送らないと……!」
梓「……そうだ。ムギ先輩に質問してみようかな。
きっと私よりも有益な返しが得られるに違いないよ」
梓「い、イヤダメだ! こんなプライベートな質問しちゃったりなんかしたら人間的にアウトだよ……」
梓「うー……じゃあ、律先輩とかそんなのは伏せたうえで質問しよう。うんそれがいい」
梓「えーい、ままよ!」
To:ムギセンパイ
Sub:Re:できました!
はい! 楽しみにしてます!
話は変わりますが、ここで質問してもいいですか?
もし、ムギ先輩の友達が女の子を好きになったことを悩んでいたらどうしますか?
私の友達がそのことでどうやら悩んでいるみたいなので……
なにかいいアドバイスでもあれば教えてほしいです
梓「送信……」ピッ
梓「ああ、ごめんなさい律先輩……。やっぱり私じゃわからないのです……」
ブブエー♪
梓「き、きたっ! 早いなやっぱり」
From:ムギセンパイ
Sub:Re: Re:できました!
そんなの簡単よ
ただ、応援してあげればいいの
その方が、その友達も幾分かは楽になるんじゃないかな
梓「さすがはムギ先輩です! な~んだ、簡単じゃないか! 難しいことなんて考えちゃダメですよね!」
梓「さてさて、さっそく律先輩にお返しメールを……と」
To:律センパイ
Sub:Re: 誰にも言うなよ!!
そうですね……
難しいことは考えない方がいいんじゃないですか
要は当たって砕けろ! ってことですよ
まあ、がんばってください
応援してます
梓「送信っと」ピッ
梓「あーあ、一仕事終えるとやっぱ気持ちいいね! 胸がスカッとさわやかだよ」
ブブエー♪
梓「き、きたぁ!……って唯先輩からか」
From:唯センパイ
Sub:憂のごはんおいしかった
やっほー
ごはん食べ終わったからまたメールしよー
梓「ああ、まったく唯先輩は人の苦労も知らずに……でも唯先輩ならどんとこいです!」
梓「とは言ってもこの状況……律先輩からの返信待ちだし、澪先輩からも来ないし……。
唯先輩とはメールやってる暇なんて……」
梓「でも唯先輩とのメールは大事だしね……返信しちゃお」
To:唯センパイ
Sub:Re:憂のごはんおいしかった
いいですよ
でも宿題終わったんですか?
早めにやった方がいいですよ
梓「送信」ピッ
梓「ん……他愛もないメールってなんだか癒されるな……どうしてだろ」
ブブエー♪
梓「きたきた……み、澪先輩からだ」
From:澪センパイ
Sub:non title
へえ、そうなんだ
律に好きな人が…へえ
梓はそのこと知ってたんだ
私は知らなかったのにな
梓はすごいな
で、好きな人って誰なの?
知ってるんだよな?
梓は偉いからなあ
教えてほしいな
梓「……」ゾク
梓「あ、あわわわわ……」
梓「地雷……踏みました……?」
梓「こ、これが……噂のヤンデレ……」
梓「ァ、汗が……体中の穴と言う穴から出てるよ……」ダラダラ
梓「よーし、落ち着け私。そう、深呼吸だ。深呼吸」ヒッヒッフー
梓「……」ヒッヒッフ
梓「……無理!」
梓「あああああ!! もう弁解できないよ! 律先輩が澪先輩のこと好きだなんて言えないのに!」
梓「……フフフ」
梓「……もういいや。どうせ私は、無関係なのだから」
梓「私に害はないのだから」アハハ
梓「み、澪先輩も、律先輩のこと、好きそうだしね」ウフフ
梓「お、送っちゃお……そうしよう……それがいいよねえ」ヒヒヒ
梓「律先輩が澪先輩のこと好きって……言えばいいんだよおおお!」
ブブエー♪
梓「ぬうああ!!? こ、殺されるううう!!?」
From:唯センパイ
Sub:がーん!
まだ終わって無かったよ…
うう、あずにゃんとメールしたいのにー
じゃあ、ちょっとだけ待ってておくんなまし!
あずにゃんのためにちょちょいと終わらせてくるよ
そしたら、メールしようね!
梓「あああああ!! 唯先輩マジ天使!」
梓「天使に触れたよ! 天使に触れたよお!」
梓「砂漠のど真ん中で喉がカラッカラの状態でもうちょいで干からびて死んじゃうってときに、
いきなり目の前に現れて、キンキンに冷えた水を笑顔で差し出してくれる……大体そんな感じです!」
梓「えへへ……なんだかあったような気がしたけど、なんだっけ~」
梓「あはは……私、今幸せでふ」
ペロロロロロロ…… ペロロロロロロ…
梓「うわあああ!!? で、でででで、電話!?」
着信 澪センパイ
梓「ぎゃああああ! 電話! 電話! 電話怖い!」
梓「ひいいいいい……」ブルブル
ペロロロロロロ…… ペロロロロロロ…
ペロロロロロロ…… ペロロロロロロ…
ペロロロロロロ…… ペロロロロロロ…
ペロロロロロロ…… ペロロロロロロ…
梓「あああ……もうコール20回目なのに、まだ鳴りやまない……」
梓「取ったら終わり……取ったら終わり……取ったら終わり……!」
ペロロロロロロ…… ペロ
梓「や、止んだ。終わったのかな……」
ペロロロロロロ…… ペロロロロロロ…
着信 澪センパイ
梓「ひいいいいい!!? や、やっぱりいいいい!?」
ペロロロロロロ…… ペロロロロロロ…
ペロロロロロロ…… ペロロロロロロ…
10分後
梓「……」
梓「計20件の電話が鳴りました」
梓「怖いので、着信拒否に入れました」
梓「これで、もう鳴ることは無いでしょう」
梓「……これでよかったんだ、これで……」
梓「さあ気を取り直して、唯先輩にメール返さなきゃね!」
ブブエー♪
梓「ひっ」
From:澪センパイ
Sub:non title
なんで電話取らないの?
どうして?
私と話したくないの?
梓?
ねえ
電話取ってよ
律のことで話を聞きたいから
無視しないでよ
梓 梓 梓
梓「」
梓「あはは……もうどうしようもないです」
ブブエー♪
梓「ひっ」
From:澪センパイ
Sub:non title
梓
着信拒否したの?
なんで?
私先輩だよ?
どうして?
何か言えないことでもあるの?
あるんだ
教えてよ
ブブエー♪
梓「ひっ!?」
From:澪センパイ
Sub:non title
メール返さないの?
どうして?
やましいことないでしょ?
あるの?
梓、良い子なのに?
あるんだ?
へえ
ブブエー♪
梓「ひひっ!?」
From:澪センパイ
Sub:non title
ねえ
見てるよね?
何で返さないの?
律がいるから?
わからないよ
メール
かえしてほしいなあ
梓「私、明日にでも殺されるんじゃないかなあ」
梓「首の頸動脈、プシャ! ってさあ」
梓「……まさかあ、あははは」
梓「ゆ、ゆいせんぱあああい! 助けてえええ!!」
ブブエー♪
梓「! ゆ、唯先輩!!」
From:純
Sub:non title
体幹トレーニングっていいですね
ミキミキ鍛えられる! なんつって
梓「お前かあああ!!」
梓「この親友の一大事に……純は……」
梓「はあ……」
梓「……でもちょっとだけ落ち着いた」
ブブエー♪
梓「ひっ!? 今度こそ死んだ!」
From:ムギセンパイ
Sub:また送ってごめんね
やっぱり気になっちゃって…
さっきのメール、梓ちゃんのことだよね?
あっ、違ってたらごめんなさい
さっきのメールは何も考えずに送ったけど、よく考えるとそうかなって
そういうことって言いづらいよね
でもね、やっぱり人ってどうしても何かを好きになっちゃうの
それが普通の人と違うこともあるかもしれないけど
でも、好きって気持ちが一番大事なんだって私は思うの
だから、人とは違うからって落ち込んだりしないでね?
困ったら、私に何でも言ってね?
私、梓ちゃんの力になりたいの!
梓「おうふ」
梓「盛大に勘違いを……なんてこった」
梓「いや、勘違いでもないのかもしれないけど」
梓「このままじゃ……ムギ先輩からずーれーと思われてしまうかもしれない」
梓「……案外悪くないかも」
梓「ムギ先輩の相談に乗っていくうちに、二人は親密な関係に……みたいな!」キャー
梓「なんだかわくわくしてきた!」
ブブエー♪
梓「あっ、メール、誰だ」
最終更新:2011年07月11日 20:06