・・・・・

純「あーぁ、めんどくさいなー」

同級生「はぁ…お腹すいた」

後輩C「……」

同級生「大丈夫? 重くない?」

後輩C「あ、はい。大丈夫です」

純「私は重いや」

同級生「ふーん」

純「いや、ふーんって…。普通少し持ってくれるんじゃないの?」

同級生「私だって重いし…」

後輩C「あ、私が持ちましょうか?」

純「いやいやいや」

同級生「後輩にそんなことさせられないし。カッコ悪いし」

純「でもまぁすでに私たちカッコ悪いと思うけどね」

同級生「気のせいだよ純さん」

純「あっ、純さんって呼び方カッコよくない?」

同級生「純さん」

純「フッ、悪いけどサインはしない主義なんだ。子猫ちゃん」

同級生「…どんなキャラ、それ」

純「え? 一応澪先輩のつもり」

同級生「秋山先輩ってそんななの?」

純「いや、私もよく分かんないけど…とりあえずカッコいいじゃん?」

後輩C「あの……秋山先輩って誰ですか?」

同級生「知らないの?」

後輩C「す、すいません…」

純「軽音部の先輩。すごい美人でベース弾いててカッコいいんだよ」

後輩C「ベーシストなんですか…?」

純「そっ。私も澪先輩みたいになりたいなー」

同級生「無理無理、純には無理」

純「そ、そんなことない!」

後輩C「……」

純「あ、音楽室着いた」

同級生「早くこの譜面台中に入れ…あっ!?」

純「どうしたの」

同級生「きょ、教室の鍵もらってくるの忘れてた!」

純「えぇー…」

後輩C「じゃあ私が…」

同級生「ちょっと取ってくるね!」タタタッ

後輩C「あ……」

純「しょうがないなー。まぁ…私も忘れっぽいから人のこと言えないけど」

後輩C「あの…本当に私じゃなくてセンパイに行かせてよかったんでしょうか?」

純「自分から行くって言ったんだし、いいんじゃない?」

後輩C「はぁ……」

純「そんな気をつかわなくてもいいよ」

後輩C「すいません……」

純「そういえばさ、この前ウチの飼い猫にお手を覚えさせようとしたんだけど中々覚えなくて…」

純「やっぱネコには無理なのかなぁ」

後輩C「どうなんでしょう…」

純「ネコ飼ってる?」

後輩C「犬なら…飼ってます」

純「へぇー、犬かぁ」

純「犬もいいなー…」

後輩C「はい…」

純「……」

後輩C「……」

純「……」

後輩C「……」

純「なんか…暇だね」

後輩C「す、すいません…」

純「えっ、なんで謝るの」

後輩C「えっ…あ、その……その…私が……す、すいません」

純「ほら、また謝ったりして。悪いことしてないんだから謝らなくてもいいって」

後輩C「ご、ごめんなさ…」

純「ストップ! 謝っちゃダメ!」

後輩C「は、はいっ。すいませ…」

純「もー、ダメだって言ってるのに」

後輩C「……」

純「あ…べ、別に怒ってるわけじゃないからね? ただもうちょっと明るくなっても…」

後輩C「私……」

純「?」

後輩C「私…迷惑ですよね。みなさんといたら……」

純「えっ…」

後輩C「暗いし…口下手だし……一緒にいるとつまんないし…」

純「そ、そんなこと誰も思ってないって」

後輩C「いいんです、自分でも分かってますから……。中学の時も…そうでしたし……」

純「……」

後輩C「部活動やるのも初めてで……これを機会に明るくなろうと思ったんですけど…」

後輩C「やっぱりダメで……せめて周りにも迷惑かけないようには…」

純「……」

後輩C「…………す、すいません。変な話しちゃって…」

純「…いいって、それぐらい。悩みがあるんだったらなんでも聞いてあげるよ?」

後輩C「センパイ…」

純「まぁ、私もあまり偉そうなことは言えないけどさ…もう少し周りの目を気にせず楽しんでみたら? 今の学校生活」

後輩C「え…」

純「ほら、人のことばっか気にしてるとさ…自分が分かんなくなっちゃうじゃん」

後輩C「……」

純「うーん、なんて言うか…なりたい自分にもっと突っ走っちゃおう! うん、これだ」

後輩C「……」

純「…ごめんね、よく分かんなくて」

純「でも三年間しかないんだからさ、やりたいことはバンバンやっていった方がいいんだよ。きっと」


後輩C「……」

純「あはは…ごめん、えらそうだった?」

後輩C「いえ……」

後輩C「……」

後輩C「あ、あの…鈴木先輩」

純「なに?」

後輩C「さ、さっきの話なんですけど…」

純「?」

後輩C「あの……髪型のことで…」

同級生「おまたせー!」

後輩C「あ…」

純「鍵もらってきた?」

同級生「うん、ばっちし。早く片しちゃお」

純「うん。あっ、そういえばさっきの話って?」

後輩C「い、いえ……やっぱりいいです」

純「そう…? 言いたいことは遠慮なく言っていいんだからね?」

後輩C「は、はい…」

後輩C「……」

後輩C(自分の、やりたいこと……)

・・・・・

純「さてと、片付けもすんだし戻ろっか」

同級生「はいはーい」

<キャッキャウフフ

同級生「あれ? なんか声がする…」

純「音楽準備室の方じゃない? 軽音部が使ってるし」

同級生「あぁ、そっか。なんだか賑やかだね」

純「楽しそうでいいなー」

同級生「でも何やってるか分からないからちょっと不気味だよ」

純「そうかなー…うちの部活もあれぐらい賑やかでもいいと思うけど」

同級生「…私は何だかんだで今のジャズ研で満足してるよ」

純「んー…まぁうちの部活もそれはそれでいいんだけど」

純「あーぁ、澪先輩とかジャズ研に入らないかなー」

同級生「結局それ?」

純「だって…憧れの先輩だし」

同級生「純以外にも憧れてる人たくさんいるけどね。ファンクラブだってあるんだし」

後輩C「……」

後輩C(憧れの先輩……)

純「それは…あれだけカッコいい人なんだから、たくさんいないとおかしいって」

後輩C「……」

後輩C(私も…純先輩みたいに……)


翌日
――通学路

純「ふぁあ~…」

純「…………ねむ」

後輩C「あ、あの…鈴木先輩」

純「うん?」

純(後ろから後輩の声…?)

後輩C「お…おはようございます!」

純「あ、おはよ……!?」

後輩C「……」ドキドキ

純「えっ…えぇー!? な、なにその髪!!」

後輩C「あの…変ですか? ショ、ショートにしてみたんですけど……」

純「……」ジーッ

後輩C「……」ドキドキ

純「……」ジーッ

後輩C「……あ、あのぅ」

純「かっ、かわいいー!!」

後輩C「はぇっ!?」

純「似合ってるよ! すっごい似合ってる!!」

純「前より全然良い!!」

後輩C「ほ、本当ですか…?」

純「うん! ばっちし!!」

後輩C「あっ…ありがとうございます!」

純「それにしても、思い切ったことしたね」

後輩C「は、はい。昨日鈴木先輩に言われてやってみようかなって…」

純「え? 私に?」

後輩C「その…髪が…」ゴニョゴニョ

純「???」

後輩C「い、いえ! やっぱりいいです!!」

純「まぁ…なんでもいいけど。その髪型すごい良いよ」

純「今までのイメージがガラッと変わって…明るくなったよね」

後輩C「ありがとうございます…まだ恥ずかしいけど…」

純「慣れれば平気だって。みんなもきっと可愛いって言ってくれるから」

後輩C「…はいっ」

純「それにしても、なんか…」

後輩C「?」

純(かわいすぎて羨ましい!!)

後輩C「鈴木先輩…?」

純「あ、ううん。なんでもない…」

純「それじゃ行こっか、学校」

後輩C「はいっ」

純「きっと部活の人たちも驚くよー」

後輩C「あの…鈴木先輩」

純「ん?」

後輩C「その…迷惑じゃなかったら……」

後輩C「鈴木先輩のこと…純先輩って呼んでもいいですか……?」

純「え? 別にいいけど…」

後輩C「ほ、本当ですか!?」

純「う、うん」

後輩C「あ、ありがとうございます!!」

純(そこまで感激されることかな…)


放課後
――廊下

後輩C「純先輩!」

純「あっ、部活行くの?」

後輩C「はいっ」

純「じゃあ一緒に行こっか」

純「そういえばさ、クラスの反応どうだった?」

後輩C「みんな驚いてました。けど、話したりするのはまだ難しくて…」

純「ふーん…。ま、これからだよ、これから」

後輩C「は、はいっ!」

純「ジャズ研のみんなが見たらどんな反応するのかなー…」

後輩C「……」ドキドキ

ガチャッ

純「おはようございます!」

後輩C「お、おはようございます…」

同級生「あ、おはよ」

同級生「あれ? ……誰その子」

後輩C「え…」

先輩A「転校生?」

先輩C「新入部員か! でかしたぞ鈴木、この時期によく勧誘してきた!」

後輩C「……」

純「まぁ…これからだよ、これから」


##5 おわり



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最終更新:2011年07月12日 00:32