純「だってレコードしかないと思ってたから」
梓「そんなわけないって…」
純「まぁいいや、とにかくやろうよ。なんのゲーム?」
梓「えっと、RPGや育成ゲームとか」
純「それ全部一人用のゲームじゃん」
梓「あ……」
純「対戦ゲームとかないの?」
梓「……ないかも」
純「なんだ、それじゃあゲームもなしだね」
梓「ごめん…」
純「え? 別に謝らなくてもいいけど……そうだ、トラプンある?」
梓「あ、うん。それならある」
純「じゃあポーカーでもやろっか」
梓「えっ、ポーカーのルールしらない」
純「えっ」
純「梓ってさぁ……」
梓「うん」
純「音楽以外の趣味あるの?」
梓「音楽以外? うーん……」
梓「音楽以外の趣味って必要なの?」
純「うわっ、なにそのアーティストっぽい発言!!」
梓「だ、だって…特に思い当たらないし」
純「ふーん…まぁ梓は音楽だけあればいいんだろうけど」
純「でも他になにかあってもいいんじゃない? ほら、見解が広がりそうじゃん」
梓「じゃあ…例えばどんなのがいい?」
純「え? えーっと……」
純「スポーツとかは?」
梓「スポーツ?」
純「そう。テニスとかよくない?」
梓「テニスかぁ……あっ、じゃあ純も一緒にやろうよ!」
純「私はできないからパス」
梓「えー……」
梓「なんかもうどうでもよくなっちゃった」
純「なに? もういいの?」
梓「…ていうか、純にはあるの? 趣味」
純「私はね…梓をいじることかな」
梓「えぇっ!?」
純「冗談冗談」
梓「冗談でもやめてよ…唯先輩にだって散々いじられてるのに」
純「でも梓っていじりがいがあるから、唯先輩がいじる気持ちも分かるなぁ」
梓「そんなのうれしくないって」ムスッ
純「そうやってむくれてる顔見るとまたいじめたくなっちゃうんだって」
梓「……純のイジワル」
純「よしよし、ごめんごめん」ナデナデ
梓「なでなでしない!」
純「あっ、そうだ。私一度だけやってみたいことがあったんだけど」
梓「なに?」
純「唯先輩みたいに、梓のこと抱きしめてみてもいい?」
梓「……え?」
純「いや…なんかやってみたくて」
梓「だ、ダメ! 絶対にやだ!!」
純「えーいいじゃーん。減るもんじゃないんだし」
梓「いきなりなに言ってるの!?」
純「だって興味あるんだもん。抱き心地とか」
梓「もー! 純まで唯先輩みたいなことしないでよ!!」
純「えー…抱きしめちゃダメ?」
梓「ダメだって」
純「ケチ」
梓「抱きつかれるのって、結構疲れるんだからね」
純「でも楽しそうじゃん、唯先輩に抱きつかれる梓」
梓「えぇっ……そんな風に見えるの?」
純「うん、仲いいなぁって感じで」
梓「た、楽しくなんかない!!」
純「でもさ、寂しくなるね」
梓「え?」
純「だって唯先輩が卒業したら抱きついてくれる人いないんだよ?」
梓「あ…」
純「だから、来年は私が代わりに抱きついてあげよっか?」
梓「なんでそうなるの!?」
純「順番的に」
梓「そんな順番決まってないから!!」
純「あははっ、そっか」
梓「むー……」
梓「……」
梓(まさか今、純に遊ばれてるじゃ…)
梓「…純」
純「なに?」
梓「私をあまりなめないこと!」ビシッ
純「……なにそれ?」
梓「……言ってみただけ」
梓「で、でも、純は私のことバカにしてるでしょ?」
純「してないよー」
梓「してる!」
純「そんな怒んなくても」
梓「別に怒ってはないけど…」
純「それに梓のことは尊敬してるよ?」
梓「えっ…」
純「だって音楽に対しては真剣だしギター上手いし、ライブではすっごい輝いてたし」
純「カッコよかったなー、ライブの梓。私もあんな風に弾いてみたい」
梓「…っ///」
純「……や、まぁ何ていうか…」
純(なんか……言った私も急に恥ずかしくなってきた…)
梓「えっと…あ、ありがとう」
純「あ、うん。…大丈夫、梓はやればできる子だから」
梓「そのフォローはなに?」
純「いや…なんでもない。あはは」
純「とにかく、梓は私にとって誇れる友人ってことかな!」
梓「う、うん…」
純(あれ? すべった…?)
梓「…私も」
純「うん?」
梓「私も純のこと…」
ピンポーン
梓「あっ」
純「憂かな?」
梓「たぶん…迎えに行ってくる」
純「うん、いってらっしゃーい」
ガチャッ
憂「こんにちは、梓ちゃん」
梓「いらっしゃい、憂」
憂「ごめんね、アルバム探すのに手間取って遅れちゃった」
梓「気にしないで、私の方から無理やり頼んじゃったんだし」
憂「でも急にどうしたの? アルバム持ってきてだなんて」
梓「なんか二人の中学時代の写真が見たくて…」
憂「えー、恥ずかしいよ」
梓「でも知りたいな、二人の中学時代。私は別の学校だったし」
憂「別に普通の学校生活だったよ?」
梓「でも興味あるんだもん」
憂「そっか…私も梓ちゃんの中学の写真見たいなぁ」
梓「あがって。中でお茶でも飲みながら見よっ」
憂「あ、うん。おじゃましまーす」
梓「外暑かった?」
憂「少し。もうそろそろ夏だねえ」
梓「うん……夏はどうしよっかなぁ」
憂「プールとか行きたいね」
梓「あ、いいかも」
憂「じゃあ夏休みに三人で行こっか」
梓「うんっ」
純「あ、いらっしゃーい」
憂「純ちゃーん!」
梓「純、なにして……あっ」
純「へ?」
梓「ちょ、ちょっと! なんで勝手にアルバム見てるの!!」
純「だって見たくなったんだもーん」
梓「勝手に見ないの!」
純「いいじゃん、どうせ三人で見るんだし」
憂「ふふっ」
梓「もう、純ったら…」
憂「私も見たーい」
純「いいよ、一緒に見よっ」
梓「あっ…もー」
純「ねぇ、見てこれ」
憂「あっ、梓ちゃんかわいいー」
純「でしょ?」
梓「……」
純「なにしてるの梓? 本人がいないと盛り上がんないんだし、一緒に見ようよ」
梓「うん…」
梓「……」
梓「…あのね、二人とも」
純「なに?」
憂「梓ちゃん?」
梓「……やっぱいい。なんでもない」
純「なによー、気になるー」
梓「なんでもないって……」
梓「それより、後で二人のアルバムもちゃんと見せてねっ!」
##8 おわり
最終更新:2011年07月12日 00:44