純「べ、別にコーラは子供っぽくないじゃないですか。アメリカじゃお年寄りだって毎日飲んでますよ、たぶん」
先輩C「そうだ、コーラは子供だけの飲み物じゃないぞ!」
先輩B「いや、道端に落ちてるもん拾って飲む時点で子供だって」
先輩C「お前が道端を指定したからだろ!?」
先輩A「話は戻さなくていいの?」
先輩B「ん? あ~…メニューの話だっけ」
先輩B「飲み物と甘いものは…小洒落たケーキでも。あと何かある?」
先輩A「ジャズ研のオリジナルメニューってのはどう?」
先輩B「いいね~、ジャズ研サンドイッチでも作る?」
純「ジャズ研ドーナッツとか」
先輩C「じゃあジャズ研クレープを推す」
先輩A「うーん…ケーキがあるから甘いものじゃないほうがいいんじゃない?」
純「なら…ジャズ研お寿司とかは」
先輩C「喫茶店だぞ」
先輩B「お寿司か~…お寿司食べたいな~。中トロとか」
先輩C「話をそらすな!!」
先輩B「ていうかジャズ研クレープって…やっぱり甘いものが好きなだけでしょ?」
先輩C「ぐぬぬ……」
ガチャッ
後輩c「こんにちわ」
純「あっ、もうそろそろ練習の時間ですね」
先輩B「んじゃ~、部活終わった後にまたってことで」
後輩c「?」
・・・・・
後輩c「ジャズ喫茶ですか?」
純「そうそう、なにか良いメニュー案ある?」
後輩c「うーんと……パフェとかあればいいなぁと思います」
純「パフェか……ひょっとしてにミートソースのスパゲッティは好き?」
後輩c「え? 好きですけど」
純「ハンバーグは?」
後輩c「大好きです」
純「じゃあそのハンバーグの上に目玉焼きとか乗ってると嬉しい?」
後輩c「はい、とっても嬉しいです」
純「うんうんなるほどなるほど、こっち側の人間だね」
後輩c「へ?」
部活終了
先輩B「純~、この後用事ある?」
純「ないですよ。なんですか?」
先輩B「さっきの話の続き、私のバイト先の喫茶店でしようってことになったの。純も来るかい?」
純「ほんとですか、行きます行きます!」
後輩c「あの……私も行っていいですか?」
先輩B「いいよいいよ~、おいで~」
純「そういえば喫茶店でアルバイトしてたんですよね」
先輩B「そう、だから最初ジャズ喫茶も乗り気じゃなくてさ~」
先輩B「私としては文化祭ぐらい普段やってるバイトとは違うお店やりたかったってわけ」
純「へー、本当はなにやりたかったんですか?」
先輩B「そりゃ普通に講堂でライブか……ヨーヨー屋さん」
純「ヨーヨー屋さん?」
先輩B「ほら、お祭りの屋台でよくある水の入ったやつ」
純「あー、あれですか。……なぜに?」
先輩B「かわいいじゃん、ぷくぷくしてて」
――喫茶店
純「ほー、これが本場の喫茶店」
先輩B「何回か来てるだろ~」
先輩A「お客さんいないね」
先輩B「いいの、いつもこんな感じだから。適当な席に座って。なんか飲む?」
純「何にしよっかな……」
先輩A「じゃあコーヒー、ブラックで」
純(さすがセンパイ…大人なチョイス)
先輩B「私もそれにしよっと」
先輩B「他の三人は?」
後輩c「えっと……」
純(センパイ達は大人だなぁ…ブラックって何かかっこいいし)
純(私もブラックにしようかな……なんて、頼んで飲めなかったら恥ずかしい)
先輩C(素直にソフトドリンクでも頼むか。だいたいブラックのどこが美味しいんだ、かっこつけすぎだ)
純(けどこの二人の手前わたしだけドリンクを頼むとまた子供っぽいって言われそうだし……うーん、どうしよう)
純「……」
先輩C「……」
後輩c「う~ん……」
純(たぶんこっちの二人はブラックを飲めない)
先輩C(恐らく適当なソフトドリンクだろう)
先輩B「……」
先輩C(そして私も二人に便乗してドリンクを頼めばこいつに子供舌なんて馬鹿にされることもないはず)
純(だって五人中三人がドリンクを選べばドリンクは多数派。多数派は絶対。ドリンクを選ぶことが正しいのなら何も恥ずかしがることはないし)
純(コーラでも頼んじゃおっと)
先輩C(そもそもドリンクを頼むことは子供っぽくないんだ。考えすぎだぞ私。アイスが乗ったメロンソーダでも頼むか)
後輩c「じゃあ私もブラックでお願いします」
純・先輩C(なんでそうなる!!)
先輩B「ほい、ブラック三人ね」
純(く、覆った……ドリンク五人中三人の予定が五人中二人に減っちゃった!?)
純「あれ、えっと~……ブラック飲めるの?」
後輩c「あ、はい。飲めますけど」
純(あっさり返事した…普段飲んでるよこれ。この子はこっち側の人間だと思ってたのに~!!)
先輩C(一年までブラックなんて……まずい、メロンソーダーなんて頼んでる場合じゃない。私もブラックにしないと先輩としての威厳が……)
先輩B「二人は何にすんの?」
純「……」
先輩C「……」
先輩C(また子供舌なんて馬鹿にされるのか……いや、純という仲間がいることがせめてもの救いだ)
先輩C(二人で頼めば恥ずかしさも半減。赤信号、みんなで渡れば何とやら……)
純「私もブラックで」
先輩C「なっ――」
先輩C(何でだ!! なんでお前がそれを頼むんだ!?)
純(つい頼んじゃった……)
先輩C「……」
先輩B「純もブラックね~」
先輩C「……私もブラック」
先輩B「えっ……ていうか二人とも飲めるの?」
先輩C(純までブラックを頼んだんだからしょうがないだろ……)
純(さすがにブラック頼まないと恥ずかしい感じの空気だし……)
先輩C「わ、わたし達だってお前が思ってるより子供舌じゃないんだ。そうだろ純?」
純「そ、そうですよ」
先輩B「ふーん……まぁいいけど」
先輩C(こうなったら意地でも最後まで飲みきってやる……!!)
純(なぜかセンパイが熱い……)
・・・・・
先輩B「そんじゃ具体案でも決めていこっか」ゴクゴク
先輩A「オリジナルメニューのことなんだけど」ゴクゴク
後輩c「……」ゴクゴク
純「うっ……ぐっ……」ゴクッ
先輩C「くっ……うぅ……」ゴクッ
先輩B「……」
純「コ…コーヒーの豆の香りが…なんか……い、良い感じ…ですね」
先輩C「ま……まぁまぁ美味い…な……。ご、合格点…だ……」
先輩B「あのさ~、砂糖とかミルク入れても良いんだよ? 二人とも死にそうな顔してんじゃん」
先輩C「ば…馬鹿にするな。わたし達は大人な舌を持つ……」
先輩C(そう…こうなった以上、意地でも引き下がるわけには)
純「すみません、砂糖5個ぐらいお願いします」
先輩C「また裏切るのか!?」
純「えっ」
先輩B「子供舌同盟、崩壊か」
##13 おわり
最終更新:2011年07月12日 00:59