梓「えっ、なんでですか。イヤですよ」

唯「だってあずにゃんがこの部室で一番電力食うし……」

澪「節電しないと和がうるさいんだよな」

律「おとなしく電源切られてくれ」

梓「そんな殺生な」

唯「スイッチどこだっけ」

紬「首の裏よ」

梓「いやちょっといきなり電源落としたら壊れるんでやめてくださいよ」

澪「そうだな、ちゃんとメニュー画面からシャットダウンしないと」

唯「えーと、メニュー画面は……」

梓「やっ、だから電源切らないでくださいってば」

唯「じゃあどうしろってゆーのさー」

律「そうだぞー、節電しなくて怒られるのは私たちなんだからな」

梓「軽音部は何割節電すればいいんですか?」

澪「25割だよ」

梓「ああ、それくらいなら省エネモードになれば大丈夫です。
  わざわざ電源落とさなくても」

律「なんだ省エネモードなんてあったのか」

梓「こんなご時世ですからねー。
  それでは省エネモード始動」ピピピプシュシュー

唯「あ、あずにゃんの瞳から光が消えた」

梓「コレデダイジョウブデス」

澪「声も小さくなって」

律「背も小さく」

唯「胸も小さく……」

紬「それは元からね」

梓「サアレンシュウヲハジメマショウ」

唯「練習は節電のために2日おきにしろって和ちゃんが」

澪「ホントか?さぼりたいだけじゃないのか」

唯「本当だよう、じゃあ他の部活も見てきなよ、
  どこも練習してないはずだから」

律「なんだ、練習ないなら来なきゃ良かった。帰ろ」

澪「そーだな、次の集合は二日後か」

紬「おいしいお菓子用意しとくわね」

梓「マッテクダサイ、ワタシモカエリマス」とてとて

唯「歩くスピードまで遅くなって」


翌日。

梓「オハヨウ、ウイ、ジュン」

憂「おはよう梓ちゃん、元気ないね故障?」

梓「ショウエネモードダヨ。セツデンノタメダヨ」

純「節電かー、嫌な時代だねー。
  教室もなんか最近暗いしさ~」

憂「仕方ないよ、原子力発電が……」

梓「シカタナイシカタナイ」

純「いつまで続くんだろう」

憂「さあ、新しい発電方法が開発されるまでじゃない?」

純「いつ開発されるんだよう」

憂「私に聞かれても」

純「てゆーか梓は教室でも節電モードじゃないといけないの?
  部活の時だけにしとけばいいのに」

梓「セイトカイニミツカルト メンドウダカラ」

純「ふーん」

先生「はい席についてー。
   今日は重要なお知らせがあります」

憂「なんだろう」

純「まさかまた節電?」

先生「するどいわね、鈴木さん。
   今日からさらなる節電の要請が入りました。
   教室の照明を10%カット、廊下の照明を消します」

「そんなー」
「それじゃ真っ暗ですよー」
「廊下でぶつかるよー」

先生「みなさん我慢して、
   苦労してるのは私たちだけじゃないんですからね」

「ぶーぶー」

純「はあー、また暗くなっちゃうのか」

憂「仕方ないよ、
  今はどこだってこうなんだから」

梓「タイヘンダネ」

憂「トイレ行こう」

純「トイレも真っ暗なんじゃないの」

梓「アッ ワタシモイク」

純「ロボットなのにトイレいくんだ」

梓「廃油ヲステナイトネ」

憂「あ、生徒会だ……」

梓「エッ」

和「ちょっと、ここの教室明るすぎるわよ!
  生徒会の指示通りに照明を落とさないとダメでしょう!
  非常時なんだから文句言わないで従いなさい!
  節電は全国民のために必要なことなのよ!」

純「隣の教室が怒られてるね」

梓「ウウヤバイ カクレテヨウ」

憂「省エネモードだから大丈夫じゃないの」

梓「デモナンカ 文句イワレソウダシ」

和「まったく、みんな自分勝手……」カツカツカツ


憂「あ、行ったみたい」

梓「フーヨカッタ」

純「真鍋さんが生徒会長になってから節電厳しくなったね」

憂「まあ確かに前は電気使い過ぎだったし……
  その反動じゃないかな」

純「でもこんな真っ暗にするのはやり過ぎだよね」

憂「それはまあ……でもよその学校とか
  部活動全面禁止になったとこもあるらしいし
  うちはまだ恵まれてる方じゃないかな」

純「いやあ、でもねえー」

憂「そういえば梓ちゃん今日部活ないんだよね」

梓「アサッテマデ ナイヨ」

憂「そっか、じゃあ今日オイル交換付き合ってあげるね」

梓「ホントニ?ヤッター」

純「節電のせいで感情表現まで乏しく……」


翌日。

先生「はい席についてー。
   今日も重要なお知らせがあります」

純「また節電ですか?」

先生「ええ、そうよ。冷房を切ることになりました」

「そんなー!!」
「冷房切ったら蒸し死にますよ」
「生徒会の横暴だ!」
「真鍋和を排斥せよ!」

先生「今回は生徒会からの要請じゃなくて、
   政府からなの」

純「政府から……?」

憂「もう電力事情はそんなに切羽詰ってるんですか」

先生「ええ、日に日に悪くなってるみたい」

憂「そんな……」

梓「……………………」

先生「うちわを配りますので、それで暑さを凌いでください」

純「そんなもんじゃしのげませんよ」

憂「ふー、あつ……」ぱたぱた

梓「オーバーヒートシソウ」

純「特攻下がりますね」

憂「ていうかさ、あの……
  このまま電気がアレになってったら、
  梓ちゃんも、近いうちに……」

純「あ……」

梓「ワタシガドウカシタ?」

憂「あ、ううん、なんでもないよ!」

純「そ、そうそう……」

梓「?」

ガラッ
唯「あーずにゃーん!」

梓「ユイセンパイ!?」

唯「あずにゃん分補給ー……って熱う!
  あずにゃんボディ熱すぎだよ!」

憂「なにやってんのお姉ちゃん」

梓「スミマセン ウマク排熱デキナクテ」

唯「いやまあー仕方ないねえこんな熱いし……
  気温36度だって」

憂「ええ、そんなに……」

唯「うちのクラスの子も熱中症で何人か倒れたよー」

純「はあ、暗いし熱いし最悪ですねえ」

唯「お日様の光が恋しいなあ……」

憂「それは言わない約束だよ」

ガラッ
和「あらっ唯、何してるのこんな場所で」

唯「和ちゃん。和ちゃんこそ何で?」

和「抜き打ちの見回りよ。
  勝手に冷房付けてるクラスが多いからね。あらっ」

梓「ギクッ」

和「ちょっと唯、梓ちゃんまだ動かしてたの?
  電気の無駄だから止めておきなさい」

唯「えー、でも省エネモードにしたよ~」

和「ダメよ、ロボットが一番電力食うのよ。
  他の学校のロボットはもう電源切られて倉庫に入れられてるそうよ」

梓「……」

唯「わかったわかった、あとで切っとくから」

和「絶対よ」
ガラッピシャン

唯「ふう……」

憂「なんか和ちゃん、生徒会長になってから
  人が変わったみたい」

純「色々あるんだよ」

梓「アノ、ユイセンパイ……」

唯「え、ああ大丈夫、電源切ったりしないから!
  私があずにゃんの電源切るなんて言葉にすらしないよ」

梓「ユイセンパイ……」

唯「あ、でも和ちゃんに見つからないようにね」

梓「ハイ、ワカリマシタ」

純「いいはなしだな」


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最終更新:2011年07月15日 20:53