ガチャ

さわ子「おっまたせ~!」

純「大体想像つくけど、先生何してたの?」

さわ子「ほら、一番衣装映えしそうな菫ちゃんは今の所ドラムじゃない?」

菫「はぁ」

さわ子「で、奥田ちゃんをセンターに立たせるならそれなりにキメないと駄目かなと思って、ちょっとやってみました!」

梓「え?真面目に部活の話?」

さわ子「当たり前じゃない、顧問としての責任が有るしね。じゃあ張り切ってどうぞ~!」ヒラヒラ

ガチャ ガン!

奥田「痛っ!……先生、メガネしてないと良く見えないんですけど……」ウー

純「うわっ、髪伸びてる。メガネしてない奥田ちゃんも良いね」

菫「ウィッグですね。長い髪も似合うし可愛い」

奥田「そ、そう?」

さわ子「次、憂ちゃん」

憂「は、はい!」

さわ子「はい、このウィッグ被って~」

憂「はい。……こうですか?」

梓「憂が髪長いのって何か違和感」

憂「私も経験無いな……くすぐったい」

さわ子「で、憂ちゃんの髪型をっと……」

奥田「私、どうなってるの?鏡も見えなくって」

純「ん?ロングでサイドテール。バッチリ似合ってるよ。ねぇスミーレ」

菫「はい」

奥田「はぁ。そうなんだ」

さわ子「よし。これで、と。奥田ちゃんおいで」

奥田「はいはい」

さわ子「こっち、立って。憂ちゃんこっち」

純「あ~、左右にサイドテールでバランス良いね」

さわ子「でしょ?奥田ちゃんボーカルで憂ちゃんがコーラス&ギターならこうやって二人正面に立たせて、左右に純ちゃん梓ちゃん、後ろに菫ちゃん」

梓「確かに、見栄え良いかも。ちょっとアイドルっぽい」

さわ子「二人でボーカルでもこの並びで良いだろうし、憂ちゃんキーボードに回すなら梓ちゃんコーラスだから二人でツインテールとか」

奥田「ツインテール……」イジイジ

純「お、それも可愛い。奥田ちゃん顔が良いから」

菫「ですねぇ」

純「コンタクトにしないの?」

奥田「アレは怖くて……」

梓「別にそこまで拘らなくても良いと思うんですけど」

さわ子「唯ちゃん達の時は既にポジションとか決まっちゃってたからここまで出来なかったのよね~」

梓「あの、だから先生?」

さわ子?「ん~、衣装はどうしようかしら……メイン二人の衣装は統一して……でも……」ブツブツ

梓「あぁ、もう自分の世界に入っちゃった」

憂「アハハ……。プロデュースする気満々だね。私のパートも早く決めた方が良いかな?」

梓「まぁ、ギターもキーボードもどっちも出来るんだし、憂の好きな方で良いんじゃない?」

憂「う~ん……」

純「いやいや、そんな適当じゃ無くてバランスとか考えなきゃ。部長がハッキリしなさいよ」

梓「え~。じゃあギターは私がやるし、キーボードかなぁ」

純「だったら梓がコーラスだよ?」

梓「う……コーラスは純がやってよ」

純「えぇ!?私が!?」ガタン

梓「いや、そんなに驚く事?」

純「そんな……恥ずかしい~」クネクネ

梓「何その動き気持ち悪い」

純「また気持ち悪いとか言われた……」ズーン

さわ子「やっぱりセクシーよりキュートな路線で攻めた方が良いわよね……露出は……」カキカキ

奥田「取り敢えず、私がボーカルなんでしょうか」

梓「今の流れならね。まぁ他の楽器も触りながら模索していこうよ」

純「一先ず歌ってみようか?奥田ちゃんの歌聴いた事無いし」

奥田「はい。……と言ってもまだ曲も何も無いですよね」

純「何か知ってる歌で良いよ。取り敢えず触り程度で」

奥田「はい……では」スッ

梓「そういえば、菫にもだけど音楽の趣味の話とかしてなかったね」

純「そういやそうだね。どんなの聴いてるんだろ」

奥田「みんな死んでしまった~」

純「ストップストップ!」ブンブン

奥田「え?」

梓「ちょっと、今何て?」

純「え?それ何?誰の?」

奥田「ムックです」

憂「ムック?ポンキッキーズの?」

純「それじゃあの赤色が怖くなっちゃうよ。アレだよ、ヴィジュアル系ってやつ」

梓「あ~、なるほど」

奥田「他の歌の方が良いですか?」

梓「そうだね。出来ればヴィジュアル系以外で」

純「うん、明らかに選曲がおかしい」

奥田「そうですか?では……水割りをくださ~い~」

さわ子「古っ!」ズルッ

奥田「あ、これも駄目ですか?」

純「え?何今の歌」

梓「知らない」

菫「父が聴いていた様な……」

純「まぁ先生が古っ!ていうんだから確実に私達が生まれる何十年前よね?」

さわ子「何ですって!」ガァ

純「ひっ!いや、だって、ねぇ?」

梓「わっ、私に振られても困るよ」

さわ子「あ、でもそうか。……私が生まれる前の曲だったかな?」

憂「そんなに昔なんですか?」

純「先生が、え~っと……何歳でしたっけ?」

さわ子「純ちゃん、女性の歳は詮索しちゃ駄目よ?」ニコリ

純「はい!」ガクブル

奥田「どうでしょう?」

梓「え~っと、もうちょっと最近の曲でお願いできるかな?」

純「そうそう、私達でも知ってそうなのでお願い」

奥田「はぁ……。では……」

* * *

純「いや~、にしても奥田ちゃんのレパートリーにはビックリだね」

菫「そうですね、驚きました」カチャカチャ

純「結局分かる曲の方が少なかったけど……。でも上手だったね~」

菫「はい。アレならボーカルでお願い出来ますね」ザー

純「後は……作詞作曲?」

菫「曲はオリジナルで行くんですか?」キュッキュッ

純「まぁ放課後ティータイムがそうだったから、梓はそのつもりだと思うよ?」

菫「なるほど。あ、お待たせいたしました」フキフキ

純「片づけ終わった?」

菫「はい。帰りましょうか」

純「あいよ~。にしても、こんな時間までいつも後片付けしてたの?」

菫「まぁ大体この位の時間ですね、はい」

純「……明日からはもっと手伝うよ」

菫「そんな、大丈夫ですよ」アセアセ

純「いや~、悪いよ流石に。だって皆より30分も帰るの遅いじゃん」

菫「自発的にしている事ですから」

純「じゃぁ私も自発的にスミーレの手伝いする!」フンス

菫「はぁ……そうですか」

純「甘えてばっかりじゃ先輩としての威厳が無いもんね」

菫「そんな事無いですよ」

純「そう?威厳有る?」

菫「有ります有ります」コクコク

純「例えば?」

菫「例えば?……う~ん……」

純「う~ん……」

菫「……」ウーン

純「……無いんだね……」ズーン

菫「あ!先ほど私との予定を優先してくれました!」アセアセ

純「何か違う気するけど……まぁそうだね」

菫「嬉しかったです」テレテレ

純「そりゃ愛しのスミーレとの約束だもの!親が倒れたってソッチを優先するよ!」

菫「それは親御さんを看てあげて下さいよ」

純「冗談冗談。でもまぁ、一番大事だもの」

菫「はい」

純「はい?今はいって言った?同感してくれた?」

菫「え……あ」カァァ

純「いや~、う~れしい~!スミーレも私との約束を大事に思ってくれてるな・ん・て!」キャッ

菫「あうあう」プシュー

純「じゃあ当日はバキっと楽しまないとね~」

菫「そうですね……」モジモジ

純「まぁ、何処に行くかも決まってないんだけど」

菫「あ、そういえばそうでしたね」

純「行きたい所とか、有る?」

菫「特に思いつくのも無いんですが……」

純「ですが?」

菫「いえ、昨日のドーナツショップみたいに純先輩のオススメを教えてほしいかなぁ、と」テレテレ

純「ふむぅ。そっか」

菫「どうでしょうか」

純「よし!じゃあ任せちゃって!私がスミーレを一日楽しませてあげる!」ビシッ

菫「ありがとうございます」

純「楽しみにしててよ」

菫「はい!……ではこの辺りで」

純「うん!じゃあ日曜日の事はメールするね」

菫「はい。待ってます」

純「じゃあまたね~」フリフリ

菫「はい、また」フリフリ

* * *

純「っていう訳なんだけど、どうしようか」

梓『私に聞かれても……アンタのオススメを教えるんでしょ?』

純「そうだけどさ~、スミーレが楽しんでくれる場所が良いじゃん」

梓『まぁその気持ちも分からなくは無いけど……』

純「でしょ?ガッカリさせたくないし~」

梓『でもさ』

純「なに?」

梓『そうゆうのって何処に行くかより誰と行くかだと思うけど』

純「……」

梓『純?』

純「あ、うん。ありがと。確かにそうだよね。いや、目から鱗だわ」

梓『でしょ?』

純「うん、何か歌詞に出来そうな言葉だよね」

梓『止めて恥ずかしいから』

純「何処でも良いの、隣に貴方が居れば~みたいな?」

梓『だから止めてって!もう……』

純「でもほら、HTTの流れでいえばオリジナルで行くんでしょ?」

梓『そりゃあそのつもりだけど』

純「じゃあ歌詞作りもしないと」

梓『そうだね』

純「結局バンド名の話も忘れてたし。パートも私達以外は確定してないし」

梓『あぁ、そういえばそうだった』

純「しっかりしなよ?部長~」

梓『月曜日にはね!色々決めてこう!期末テスト前には学祭に向けて決めとかないとね!』

純「はいはい。まぁそれより今の私は日曜日の方が重要でね」

梓『それは自分で頑張りなって』

純「うん。さっきの梓の言葉で目が覚めたから大丈夫」

梓『そ。じゃあ楽しんでおいで』

純「言われなくても!じゃぁそろそろ寝るよ」

梓『は~い。じゃあおやすみ』

純「おやすみ~」

ガチャ ツーツー

純「さて、明後日は一日遊び倒すんだし宿題は全部やっとかないとなぁ」ポリポリ

純「でも眠いし……」

純「よし!もういいや!明後日の事も宿題も明日の私に任せて、今日は寝ちゃおう寝ちゃおう寝ちゃおう!」

* * *


日曜日!

純「ふぁあ~……あむ。早起きしすぎたかな……」テクテク

純「気合い入れて準備した割には結局いつもの恰好に落ち着いちゃった訳だけど、おかしくないよね?」キョロキョロ

純「さて、と……待ち合わせ30分前には間に合ったね」テクテク

純「やっぱアレだよね。デートの醍醐味ったら『待った?』『ううん、今来たトコ』だよね~」テクテク

純「是非とも私は『ううん、今来たトコ』って言いたいので、頑張って30分前に来たって訳で」テクテク


純「一人佇む私、向こうから走ってくるスミーレ、軽やかにスカートを靡かせながら……そういえばスミーレの私服見るの初めてだ」テクテク

純「どんなのかな~楽しみだな~」テクテク

純「な~んて独り言が多いな私は……って、……スミーレもう居るし」ガックリ

純「あれ?……うん、まだ10時半だよね?待ち合わせ30分前だよね?」

菫「あ!純先輩おはようございます」タタタタ

純「おはようスミーレ。待った?」

菫「いえ、今来たところですので」

純「くぅ~!やっぱ良いよね!」

菫「え?何がですか?」

純「あぁコッチの話。でもまだ三十分前だよ?」

菫「遅れてはいけないと思いまして少し早めに。そういう純先輩こそ」

純「まぁやりたい事が有ってね」

菫「そうなんですか?では先ずそれからにしましょうか」

純「いやいや、それはもう出来たから良いの」

菫「はい?」

純「にしてもアレだね、スミーレ今日も可愛い。私服って大体そんな感じ?」

菫「そうですね。あぁでもこれは昨日紬お姉ちゃんが」

純「お姉ちゃん?」

菫「あ、いえ!お嬢様がですね!折角だからと色々用意して下さいまして」

純「へぇ~」マジマジ

菫「そんなに見ないで下さい」モジモジ

純「え~良いじゃん。うん、イメージ通りって感じ」マジマジ

菫「もう……今そんなに見なくても、今日一日隣に居ますから」

純「……」

菫「あの、純先輩?」

純「今の言葉グッと来た」

菫「へ?」

純「スミーレー!」ガバッ

菫「ひゃぁあ!?」ブン

スパーン!

純「おぉう……良い音したなぁ、今の」ヒリヒリ

菫「すみません純先輩!大丈夫ですか!?」アワワワ

純「うん、ゴメン。暴走しちゃった」アハハ

菫「いえ、こちらこそ失礼な真似を」アセアセ

純「良いの良いの。ちょっと嬉しいし」

菫「嬉しい?」

純「って言っても変な意味じゃ無いよ?手を出し合えるのも仲の良い証拠じゃない」

菫「はぁ、そうなんでしょうか」

純「遠慮し合ってちゃ仲良くなれないしね。じゃあそろそろ、出発しようか」

菫「は、はい。で、今日はどちらに?」

純「ん?それは着いてのお楽しみ。先ずは電車乗るよ~。行こう行こう」


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最終更新:2011年07月18日 02:33