* * *
菫「はぁ~、大きいですねぇ」キョロキョロ
純「このモールなら大体揃ってるし、ちょうど良いかなと思って」
菫「なるほど……。あ、入口でパンフレット戴きましたので一枚どうぞ」
純「おっ、流石スミーレ気が効く~。一回梓達と来た事有るんだけどちゃんと把握してないんだよね~」
菫「かなりの広さですものね。全部回るとなると一日かかりそうですね」
純「電気屋さんとかスーパーも入ってるしその辺省くけど、それでも大分広いんだよね」
菫「それで、先ずはどちらから?」
純「ん~……スミーレお腹減ってる?」
菫「いえ、まだそれ程」
純「じゃあ先ずはウィンドウショッピングしよう。色んなブランドのお店が有るから見てるだけでも楽しいよ、多分」
菫「でしたら……ウエストエリアの二階からですね」
純「西ったらあっちか」
菫「そうですね」
純「じゃあ行こう行こう」テクテク
菫「はい」テクテク
純「にしてもスミーレは良いよね」テクテク
菫「え?」テクテク
純「そうゆう女の子!って感じの服が似合うのって羨ましいよ」テクテク
菫「そ、そうでしょうか?」テクテク
純「私が着てもな~って」テクテク
菫「そんな事ありませんよ」テクテク
純「そんなにオシャレにも気ぃ使ってないし、な~……っと」ジー
菫「あ、このお店入りますか?」
純「ん、こうゆう可愛いのも好きなんだけど……」マジマジ
菫「だけど?」
純「私が着ても似合わないからいいや」プイッ
菫「そうでしょうか?純先輩なら……コチラとかどうでしょう?」スッ
純「え?」
菫「フリルが多いのよりはシンプル目な方が似合うと思いますけど」
純「そう?」
菫「上から合わせてみましょうよ」
純「う~ん……どう?」
菫「似合います似合います!」
純「そう、かな」テレテレ
菫「はい!」
純「スミーレがそんなに言うなら、買っちゃおうかな~……あ、うん……」カチャ
菫「あれ?戻すんですか?」
純「見た目は可愛いけど値段が可愛くない」ムー
菫「……あ~」
純「ま、まぁ色々見て回ろうか」
菫「他のお店も見てみますか?」
純「そうだね。お店の人に声かけられる前に次に行こう」ソソクサ
菫「はい」ソソクサ
純「……さて」テクテク
菫「はい」テクテク
純「あ、コレ良いな」
菫「こちらは、先ほどのお店よりお手頃ですね」
純「そうだね」
菫「……え~っと、い、いんぐに?」
純「あぁ、『イング』だよ」
菫「『イング』ですか……後のNIは」
純「敢えて読まないっていうのもファッションなんじゃない?」
菫「あ~、そういう事ですか」ポン
純「まぁ、分かんないけど」
菫「……」ジトー
純「スミーレのジト目ってのも新鮮だね。あ、これスミーレ似合うんじゃない?」
菫「……どうですか?」
純「うん、バッチリ。次こっち」
菫「こちらはどうでしょう?」
純「うん。こうゆう大人っぽいのも似合うね」
菫「そんな……」テレテレ
純「でも逆にこうゆうのも良いよね」パッ
菫「そうですか?」
純「うん、似合う似合う。羨ましいなぁ」
菫「これでしたら、下にこんなスカートで……」
純「おぉ、良いねぇ」
菫「こういうファッションも良いですね……今日は買いませんけど」カチャカチャ
純「そう?じゃあそろそろ次ぃ行ってみよ~」テクテク
菫「はい!」テクテク
純「ここは~……フリフリしてるなぁ」
菫「そうですねぇ……」マジマジ
純「……見てく?」
菫「少しだけ良いですか?」
純「良いよ良いよ。そんな遠慮なんか要らないって」
菫「ありがとうございます」テクテク
純「でも私には似合わないなぁこのお店のは」テクテク
菫「こういうのはお持ちでないんですか?」
純「そうだね、ゴスとはいわないまでもここまでフリフリのは流石に……スミーレは?」
菫「余り着る事は有りませんが……」
純「そっか。……あ、これとかどう?」
菫「はい?……どうですか?」
純「何だろう、可愛過ぎて訴えるぞ!って感じ」
菫「……それは、お褒めの言葉として受け取って良いんでしょうか?」
純「うん。服もスミーレも可愛いともうたまんないね!」
菫「そ、そうですか……」カァァ
純「ん?どしたのそんなに赤くなって」
菫「その、あんまり大声で言わないで下さい。他の人の目線が……」モジモジ
純「あぁ、なるほど。でもホントの事だからなぁ」
菫「ありがとうございます……」テレテレ
店員「お客様、良ければご試着なさいますか?」
純「え?じゃあ」
菫「いえ結構です!行きましょう先輩!」ガシッ スタスタ
純「うぇ?ちょと、スミーレ?」ズルズル
菫「次のお店行きましょう!」スタスタ
純「う…うん」テクテク
菫「次はどちらにしましょうか?」スタスタ
純「うん、あのさ、スミーレ?」テクテク
菫「はい、何でしょう?」スタスタ
純「ごめんね?」テクテク
菫「いえ、そんな……恥ずかしかったですけど」
純「だよね……でもさ」
菫「はい?」
純「手繋いだままなのは平気なの?」
菫「え?……あぁ!」バッ
純「あぅ、言うんじゃなかったかな」
菫「すみません!おこがましい真似を!」
純「おこ……何?まぁ私としてはずっと繋いでても良いんだけど」
菫「いや、それは……」カァァ
純「いつでも握ってくれていいからね?」ニギニギ
菫「いえ、その、大丈夫ですから……」
純「そぉ?残念だな~。あっ、次あそこ寄って良い?」
菫「あちらは……何のお店ですか?」
純「雑貨屋さん、かな。海外直輸入!とかあんまり見かけない様なのが一杯置いてるんだよ」
菫「確かに、雑貨といいますか雑多といいますか」
純「まぁそうだね。ゴチャゴチャして狭いけど面白いよ?例えばほら、こんなカメラとか」
菫「コレ、オモチャじゃないんですか?」
純「トイカメラっていって、こんなんでもしっかり写真が撮れるらしいよ?」
菫「コレとか、レンズ部分が顔ですけど」
純「これアルバムか。ほら、こんな写真が撮れるんだってさ」パラパラ
菫「へ~。しっかり撮れるんですねぇ」シゲシゲ
純「あ、この犬可愛い。スミーレって犬派?猫派?」
菫「どちらかといえば猫派でしょうか」
純「ふ~ん」パカッ カチカチ
純「……この猫どう?」
菫「可愛いですねぇ」
純「ウチの子なの。可愛いでしょ~ウチの2号」
菫「猫飼ってらっしゃるんですか……2号?」
純「いや、ホントは違う名前なんだけどね?前に梓に預けてからさ、気付いたらあずにゃん2号になっちゃってて」
菫「なるほど……今度見に行っても良いですか?」
純「良いよ良いよ!スミーレならいつだってウエルカムだよ!」
菫「ありがとうございます」
純「こちらこそ~。……アリガトウすみーれ!」パクパク
菫「そちらは、腹話術のぬいぐるみですか。可愛らしいカエルですね」
純「うん。でもこれ実は鍋つかみなんだ」パクパク
菫「え?あぁ、ココはキッチン用品なんですね」
純「ウシとかも有るよ?」パクパク
菫「遊び心ですね」
純「だね。後はねぇ」キョロキョロ
菫「でもお家には置けないかな……」
純「ほら、コレとか。ハンバーガー」ヒョイ
菫「クッションですか……あれ?チャックついてる」ジジジ
純「に見せかけたCDケースなの」
菫「はぁ~……面白い」
純「部屋に置いてたら間違えて踏んじゃいそうだけどね」
菫「あはは……。ココは、料理本ですね」
純「ホントだ。うわっ!コレ美味しそ~」
菫「『世界のスイーツセレクション』……洋菓子の本ですか」
純「見て見てスミーレ、ブッシュ・ド・ノエル!」バッ
菫「スゴイ……綺麗なデコレーションですね」
純「だよね~。美味しそうだな~、食べてみたいなぁ」ペラペラ
菫「でしたら作りましょうか?」
純「え!?スミーレ今の作れんの!?」
菫「そちらの本みたく凝ったのは無理ですけど、もっとシンプルなので良ければ」
純「マジで!?スミーレ大好き!」ダキッ
菫「ちょっ、ちょっと純先輩!?」カァァ
純「じゃあこの本買っちゃう?あ、でもこの本写真だけで作り方載ってないや」ブー
菫「そうなんですか?というかそれよりもですね」アセアセ
純「だったらそっちのお菓子
レシピの方が良いかな?ん~、届かない」
菫「くっついたまま取ろうとしないで!先ず離れてください!」
純「は~い」スッ
菫「周りのお客さんが居るって言ってるじゃないですか……」モジモジ
純「ゴメンゴメン、嬉しくってつい」ポリポリ
菫「そんな事するんでしたらもう作りませんよ?」
純「え~、スミーレの意地悪~」プー
菫「膨れても駄目です」プイッ
純「むぅ~」
菫「……レシピはお家に有るので大丈夫ですよ」
純「そっか!楽しみにしてます!」
菫「もぉ……純先輩って現金ですよね」
純「うん!元気が取り柄だからね!」フンス
菫「元気じゃなくて……まぁいいか」
純「スミーレ~、コレ凄くない?」
菫「ギターの……なんですか?」
純「ギター型スピーカーだって。むったんに似てない?」
菫「むったんというと梓先輩のギターですよね……確かに似てますね」
純「梓の誕生日にプレゼントしたら喜ぶかな?でも梓の家はしっかりした音響設備有るしなぁ……」ムムム
菫「梓先輩の誕生日ってもうすぐなんですか?」
純「ん?いや、誕生日は十一月なんだけど。こうゆうのって早くから考えてても損は無いでしょ?」
菫「備え有れば憂い無しと言いますしね」
純「そうそう。憂にはさっきの鍋つかみとかも良さそうだよね」
菫「料理も得意なんですものね。憂先輩は何月生まれなんですか?」
純「あの子は二月だね」
菫「まだまだ先ですね……純先輩は?」
純「私はもう過ぎちゃったよ」
菫「え?そうなんですか?」
純「牡羊座ですから。1学期始まったらもう誕生日なんだよね私」
菫「そうですか……」
純「まぁ今買ってもしょうがないよね。近くなったら又考えよう」テクテク
菫「そうですね」テクテク
純「あ、ネコミミ」ヒョイ
菫「色んな動物の耳ですね」
純「でもネコミミは梓の専売特許だから~、犬とかどうかな?」スチャ
菫「わぁ、お似合いですよ」
純「そぉ?スミーレは何かっていうと……狐とかどうかな」ヒョイ
菫「狐ですか?……どうでしょう?」スチャ
純「うん、持って帰りたい。後はあのモフモフしてる尻尾が有れば完璧なんだけど……」キョロキョロ
菫「尻尾は流石に置いてないみたいですね」スッ
純「だねぇ。ってスミーレが人間に戻ってる!」ガーン
菫「いや、最初から人間ですよ」
純「似合ってたのに~」ブー
菫「こんなの付けて外歩けませんよ……」
純「それもそっか」スッ
菫「良かった、素直に分かっていただけて」ホッ
純「じゃあ買ってこ」ヒョイ
菫「え?何で?」
純「部室で着けてよ。メイド服のほら、何だっけ?頭に付けるヤツ」
菫「ホワイトブリムですね」
純「そうそうそれそれ。それの替わりにさ」
菫「替わりにって……」
純「尻尾はさわ子先生に作ってもらうか……。折角だし憂と奥田ちゃんにも買っていこう」キョロキョロ
菫「梓先輩の分は良いんですか?」
純「梓はネコミミが有るから大丈夫。憂は……兎かな?」
菫「兎ですか?何かイメージと違うような……」
純「ほら、憂は寂しがり屋だから~」
菫「そうなんですか?」
純「唯先輩が修学旅行で二、三日家空けるってなった時泣きそうだったしね」
菫「そんなに……」
純「奥田ちゃんはなんだろっかな~。犬……猫……これは、ウシ?」
菫「コレとか、どうですか?」スッ
純「狸?……良いね。じゃあこの三つで」
菫「純先輩の分はよろしいんですか?」
純「私は良いよ~、さっき着けたし」
菫「でも、そうなりますと全員で着けた時に純先輩だけ何もなしになりますよ?」
純「……あぁそっか。仲間外れは嫌だな。じゃぁ自分の分も買っとこう」スッ
菫「その方がよろしいかと」
純「スミーレ選んでよ」
菫「わ、私がですか?」
純「うん。立ってる耳と垂れてる耳とどっちがいいかな?」
菫「う~ん……でしたら、コチラの垂れてる茶色の」
純「オッケー。じゃあちょっと買ってくるよ!」タタタタ
菫「はい、分かりました。……にしても、本当に色々有るなぁ」テクテク
菫「あ、この時計可愛い。あれは……溶けてる?あぁ、こうゆうデザインなんだ」
菫「板チョコ……のクリップ。こっちはマグネット」
菫「ん?この箱なんだろ?」パカッ
ビヨーン!
菫「ひゃぁあ!?」ビクッ
アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!
菫「ひっ!……あぁ、こうゆう玩具なんだ。あ~ビックリした」ギュム
アヒャヒャヒャヒャ……パタン
菫「思わず叫んじゃったけど……周りに見られてないかな?」キョロキョロ
純「じぃ~」ニヤニヤ
菫「じゅっ純先輩!?……見てました?」
純「バッチリ!」グッ
菫「あ~……恥ずかしい」カァァ
純「にしても最近のケータイって高性能だよね~」カチカチ
菫「え?ちょっと、何したんですか?」
純「ん~?べっつに~」ニヤニヤ
菫「もしかして……撮りました?」
純「……バッチリ!」グッ
菫「消して下さい!」
純「ナイスショットだったよ?」
菫「撮れ方が問題なんじゃないです!」ガバッ
純「良いじゃん良いじゃん」ヒョイ タタタ
菫「良くないです!」タタタタ
店員「すみませんお客様。店内ではお静かにお願いできますか?」
菫「ハッ、ハイ!すみません!」
純「怒られちゃった」テヘ
菫「う~。お願いしますよ先輩」
純「ゴメンゴメン。写メは消しとくって」カチカチ
菫「はぁ……ん?何ですかコレ」
最終更新:2011年07月18日 02:38