Ch.009 澪「ふふ……私のくしゃくしゃシーツ」
澪「ただいまママ」
澪母「澪ちゃんおかえり。ベッドのシーツ変えておいたから」
澪「もしかしてあのシーツ?」
澪母「そうよ」
澪「やったぁ!」
澪母「澪ちゃん昔からあのシーツ大好きねえ」
澪「だって気に入ってるんだもん」
澪「あのシーツは家にあるくしゃくしゃシーツの中でも一番触り心地がいいんだよ」
澪母「はいはい」
澪「着替えたら早速くしゃくしゃしよう」
澪「ふふ」ゴロン
澪「ああ……このシーツは寝心地も最高だな」
澪「そして……シーツの端の折り返して縫ってある部分」
澪「これがくしゃくしゃシーツの全てを決める!」
澪「この独特のタオルのような感触がたまらない……!」
澪「あああああぁぁ……」
くしゃくしゃくしゃくしゃ……
澪「ベッドに寝転がりながら手を上げてくしゃくしゃシーツの折り返し部分の端っこを掴む」
澪「ちなみに私は左利きだからこっちを」くしゃ
澪「そして……」
くしゃくしゃくしゃくしゃ
澪「指先でくしゃくしゃしながら端から端へ手を移動させる」
澪「あ、ああ……やっぱりこのくしゃくしゃシーツの感触は最高だ」
くしゃくしゃくしゃくしゃ
澪「10年来の友だしな……」
澪「あ! 今のでいい詞が閃いたぞ!」
澪「題名はくしゃくしゃ敷布(シーツ)!」
澪「キミを擦るといつもハートドキドキ」
澪「擦るシーツはマシュマロみたいにくしゃくしゃ」
澪「くしゃくしゃ敷布 くしゃくしゃ敷布 くしゃくしゃ敷布♪」
くしゃくしゃくしゃくしゃ
澪「ふふ……ふふふ……くぅ……」
END
Ch.010 唯がいない軽音部
梓「……」
律「……うりうり」ツンツン
澪「やめろ」
紬「……」
律「ほれほれー」ツネー
澪「やめろっていってるだろ!」
律「だってさー」
梓「……」
紬(りっちゃんは唯ちゃんを構えないから澪ちゃんにずっとちょっかい出してるし澪ちゃんはそれにイラッときてるし梓ちゃんは寂しそうだし……何かが足りない)
END
Ch.011 痴漢!
夕暮れ時のホームは帰宅途中の人で溢れ返っていた。
普段は電車の混雑する時間を避けているが、今日はすっかり忘れていた。
そのくらいカフェでのお喋りが楽しかったのかもしれない。
和は休日を利用して唯と隣町まで買い物に来ていて今はその帰り。
買い物を済ませた後に休憩のつもりでカフェに行ったらついつい話し込んでしまい、
その結果帰宅ラッシュに巻き込まれた。
「和ちゃん今日は楽しかったね」
「そうね、有意義な一日だったわ」
そう言う和の両手には買い物袋が掛かっている。
こんな状態で満員電車に乗るのは気が引けるだろう。
唯と話していると電車はすぐにやってきた。
電車の中にはそこそこ人が乗っている。
これで私達が乗ったらぎゅうぎゅう詰めなのだろうなと和は思った。
「唯、もし逸れてもちゃんと一人で電車から降りるのよ」
「もー大丈夫だよー」
電車に乗ると和の予想通りの混雑具合だった。
後から乗る人達がどんどん押し込んでくるので和は反対側の扉まで来てしまう。
そして予想通り電車内で唯と逸れてしまった。
忠告しておいて良かったと和は思う。
電車の扉が閉まりゆっくりと発進し始める。
和は首が動く範囲で唯を探したが見つけることが出来なかった。
周りは彼女達よりも背の高い大人が殆どなので仕方がない。
扉に張り付いていては電車の広告も見ることが出来ないので諦めて外の景色を眺めることにした。
ぼーっと外を眺めていると、ふと我に返った。
それからまた外を眺める。また我に返る。
それが三回続いたところで和の中に不安が過った。
一度目は全く気にしなかった。
二度目はさほど気にしなかった。この混み具合だし荷物が当たったのだろう。
三度目に全く同じ部分を撫でられてこれはおかしいと気付く。
三回の確認で無反応だったことでいけると判断したのか、四度目は手の感触だとわかるほど不躾に撫でてきた。
混んでいて後ろを確認することができない上に両手が塞がっていて防ぐ事も出来ない。
恐怖と羞恥が身体を覆う。
和は震える顎で溜息を吐いた。
尻を撫でる手は止まらない。
和は声を出そうともしたが、一駅で地元に到着するという事ともし声を出して大事になれば帰る時間も遅くなるし唯にも心配をかけてしまうと思い我慢する事にした。
せめてもの抵抗として身を捩るが効果は無かった。
せっかく今日はいい気分だったのに。
和の気持ちが陰る。
そんな事はお構いなしの不躾な手は次第に撫でる範囲を広げていく。
最初は尻というよりも骨盤を撫でていたのに今は両方の下尻を撫でたり尻の割れ目に指を這わせたりしている。
その行為は留まる所を知らず、スカートの中にまで手を入れてきた。
「ちょっ……やめ……」
流石に声が漏れた。
が、それは誰の耳にも入らない。電車の音の方が大きかった。
和は短くて生地が薄いスカートをはいてきたことを後悔した。
手がいやらしく這いずる度にぞわっとする。
特に尻の割れ目をなぞられると身震いしてしまう。
身体が熱いのか冷たいのか分からないのに冷や汗が出てくる。
「っ……く……」
和は早く駅に着くことを祈った。
窓からは見慣れた地元の景色が見える。駅まであと少し。
車内にまもなく到着するというアナウンスが流れた。
それを聞いて安堵しかけた時、和の身体がビクンと跳ねた。
左の脇の下を触られて驚いたからだ。
痴漢は背後から右手で尻を、左手は脇の下から胸に手を滑らせていた。
痴漢の左手は大きさを確かめるように和の胸を揉んだ。
「ふあっ……やだ……」
あと少しでここから逃げられるのに。
最後まで最悪な痴漢だ。
電車の速度が落ちて駅のホームが外から見えると次第に恐怖が薄れてきて、代わりに怒りが沸々と沸いてきた。
ここまでいいようにされて悔しかったし、一歩間違えばこの最悪な事態に唯が巻き込まれていたかもしれない。
そう思うとタダでは済ませたくなかった。
痴漢はまだ和の身体を触っている。
和は足を動かして痴漢の足の場所を探す。
電車はゆっくりと停車して和がいる方のドアが開いた。
その瞬間、和は真後ろにいるであろう痴漢の足に向かって思い切り踵を落とした。
「いだあぁっ!」
(してやったわ。それにしても随分かわいい声ね……え?)
何かに気付いた和が駅のホームに下りて振り返ってみると、そこには涙目になりながら右足を引きずって和についてくる親友の姿が。
「……は?」
「いたたた……」
「何してるの?」
色んな意味で聞いてみた。
「だって和ちゃんが足踏むからぁ……」
「唯、私の真後ろにいたの?」
「そうだよ~。あ、和ちゃんおっぱいおっきくなった?」
和は目を瞑ってプルプルと震えている。
唯はハッとして必死に和に詫びを入れたが暫く許してもらえなかった。
END
Ch.012 秘密
部室
律「どしたんだよムギ。さっきから窓眺めて」
紬「……校門の辺りに不審者がいる」
唯「えっ何々? ……え、なんか先生と喧嘩してる?」
澪「……ほんとだ。しかもあれは部外者だな」
梓「大丈夫でしょうか……」
澪「仕方ない。私が行って来るよ」
律「……澪?」
澪「みんなには黙ってたけど私……実は生徒会特務執行部に所属しているんだ」
紬「えっ! 生徒会を影から支えていると噂される幻の執行部……本当に存在していたんだ」
澪「そういうわけだ。ちょっと行って来る」
唯「澪ちゃん頑張って!」
唯「あ、澪ちゃんが見えた!」
律「どれどれ……おお、あっという間に取り押さえた。やるじゃん」
紬「……ん? みんなあれを見て! 不審者から触手が生えてきてる!」
唯「ああっ! 澪ちゃんが触手の餌食に……」
梓「……みなさんここを動かないで下さいね。私が何とかしてきます」
律「何とかって……」
梓「皆さんには黙っていましたが私……魔法が使えるんです」
唯「魔法少女!」
梓「その通りです。あ、変身するんで後ろ向いててください」
チロリーン
梓「よし。行って来ます」
唯「あずにゃん頑張って!」
唯「あずにゃんが負けた」
律「私が行くしかないか……変・身 ブイスリャー!」
律「私実は改造人間だったんだ。ちょっと行って来る」
唯「りっちゃん頑張って!」
紬「倒した! ……と思ったら巨大化しちゃった」
紬「ここは私の出番ね。私実は宇宙人なの……デュワッ!」
唯「ムギちゃんが巨大化した! 頑張れムギちゃん!」
唯「おおっムギちゃん強い! ……あれ、倒したと思ったら膨らんでいく」
唯「まさか……自爆する気なの?」
唯「……これしか方法はないみたいだね」
澪梓律紬「唯……?」
唯「バイバイみんな」
ピシュン
唯「ごめん界王さま。ここしかなくっ――」
END
Ch.013 フェノールフタレイン
唯「はあ……いいお湯」
唯「ん……はぁ」ブルッ
唯「……あっあれ? 浴槽のお湯がピンク色に……」
ガラッ!
憂「お姉ちゃん!」
唯「!?」
憂「やっぱり湯船でおしっこしてたんだね!」
紬「お湯にフェノールフタレインを混ぜておいたのよ。どちらかと言うと速やかに身体を洗い直した方がいいわ」
唯「あう……ばれちゃったか」
憂「もう~お姉ちゃんてばっ」
唯「ごめんなさい」
END
Ch.014 カクテル
唯「どうかな!?」
律「いいんじゃないか?」
紬「うん」
澪「いい感じだな」
梓「はい」
唯「えへへ~」
律「でもこの歌だったら澪の方が合いそうだな」
唯「ガーン!」
梓「確かに」
唯「ええっ!?」
律「唯にはちょっと大人っぽさが足りない」
唯「そんなあ」
律「澪ちょっと歌ってみてよ」
紬「確かに」
唯「あう……」
紬「あ、で、でもListen唯ちゃんなら似合うかも!」
律「あーそれはあるな。ちょっと切ない歌詞が合いそうだ。でも澪かな」
梓「そう考えると甲乙付けがたいですね。でも澪先輩です」
唯「しどい……覚えてろよー!」
END
Ch.015 吐血
律「今度のライブは澪がボーカルやったらどうだ?」
澪「わ、私は無理だよっ」
律「いけるって。んじゃボーカルは澪で決ま――」
澪「ガハァ!」
唯「澪ちゃん!?」
紬「大変! 澪ちゃんが血を吐いた!」
澪「わ、私にボーカルは……むり……」
律「こいつ都合が悪くなると吐血するんだよ」
唯「えっ?」
澪「ガハァ!」
END
Ch.016 澪「悪夢が終わらない」
澪「寝ようか」
律「そうだな」
澪「律」
律「ん?」
澪「寝るんだからな」
律「わかってますって」
澪「じゃあお休み」
律「お休み」
澪「……」
律「……」
澪「……」
律「……フヒッ」
澪「……おい」
律「なんでもねーよ」
澪「……」
律「……」ゴソゴソ
澪「……」
律「……ヌーブラヤッホー」もみっ
澪「だああああっ!」
律「きゃん」
澪「寝ろよ!」
律「悪かったって。今度こそ本当に寝るよ。おやすみ」
澪「……おやすみ」
律「……」
澪「……」
律「……」コソコソ
澪「……くー」
律「……地震だー!」ユサユサ
澪「うおおっ!?」
律「ぶっひゃっひゃ!」
澪「寝ろって言ってるだろ!」
律「すまん、今度こそ絶対寝る」
律「絶対だ!」
澪「……」
律「……フヒッ」
END
最終更新:2011年07月21日 02:33