Ch.028 少女の日の思い出


唯「あずにゃんってかわいいよねー」

律「ん、ああ、そうだな……」

唯「む、なんだか歯切れが悪かったよりっちゃん」

律「ごめん。梓は本当にかわいいと思ってるよ。ちょっと昔の事を思い出しちゃってな……」

唯「昔の事?」

律「ああ……聞いてくれるか?」

唯「うん」

私は子供の頃梓を収集する事に夢中だった。
それこそ今の唯並だったかもしれない。
同じ時期に澪も梓を収集していてな、あいつのコレクションは凄かったし梓の入れ物もぴかぴかしていた。
私の入れ物なんてただの空き箱にサランラップかけただけだったからな。

私と澪は家が近かったから澪に私の集めた梓を見せた事もあった。
……んだけどその時に言われた事が癪に障ったから見せたのは一度きりだったけど。
私が珍しいあずにゃんを捕まえて誰かに見せたかったから澪に見せたんだ。
そしたら「確かに珍しいあずにゃんだ。だけど所々傷がついてる」なんて言うんだよ。
確かにあいつは梓の管理が上手かったけど、そんなことを言われたくて見せたんじゃないっての。
ちなみに当時の澪は非の打ち所がない模範少女だった。
よくクラスメイトからエーミーオなんて呼ばれてたよ。

ある時澪がとても珍しいこげにゃんを羽化させることに成功したって聞いてそれを見せてもらおうと澪の家に行ったんだ。
澪は留守だったんだけどな、同時の私は梓に心奪われた者だったからこげにゃんが見たいっていう衝動が抑えられなくて勝手に澪の部屋に入ったんだ。
それで澪の部屋でこげにゃんを見つけたんだけど、それが凄く欲しくなっちゃったんだよな。
それで……盗んじゃったんだ。
その帰りに澪の母さんと出くわしちゃって、私はとっさにこげにゃんをポケットに突っ込んだんだ。
家に帰ってからこげにゃんを確認したら乱暴にポケットに突っ込んだ所為でこげにゃんはこなごなになっていたんだ。

その時の罪悪感っていったら……。

そこで過ちに気付いて澪に謝りに行ったんだ。

澪は怒らなかった。
ただ静かに、軽蔑するような眼差しで、

「そうか、つまりお前はそういうやつだったんだな」

それだけ言った。
私がどんなに許してもらおうとしても、私の梓コレクションも全部あげると言っても。

「いらない。それに、律がどんな風に梓を扱っているか今日の一件でわかったよ」

そう言われたよ。
私は自分自身の手で美しい梓も収集する楽しみも壊してしまった。
罪悪感は無くならないし、過ちは取り返しがつかなかった。

家に帰った私は自分で集めた梓をひとつ残らず粉々に潰した。





律「だから今梓を見ても、昔のように収集しようとは思わないんだ」

唯「そっか……」

澪「……おい」

律「あへっ、澪いたの?」

澪「捏造するな」

唯「えっ?」

澪「こいつ……謝りに来たくせに私が言った事に頭にきて逆切れしたんだ」

唯「えー……」

律「うぐっ……だって澪がぁ~! 嫌な奴すぎるんだもん!」

澪「ふざけるな! こげにゃん返せ!」

律「澪だってそれで頭にきて私のこと殴ってきたじゃないか」

澪「当然だろ!」

唯「そっか……喧嘩って悪い事だけじゃないね」

律澪「へ?」

唯「こうして今も一緒にいるじゃん!」

律「そうだよな!」

澪「反省しろよ!」


END



Ch.029 筋トレ!


唯「ねえっ!」

唯「私と一緒に筋トレしようよ!」

唯「……えーひとりでやるのは寂しいよ」

唯「お願いっ、一緒にやろ?」

唯「うんとね、腕立てとか腹筋とかスクワットかな」

唯「あ、シャドーボクシングとかしちゃう?」

唯「お風呂で握力鍛えるのもいいね」

唯「とにかく一緒に全身の筋肉を酷使しようよ」

唯「全身筋肉痛計画だよ!」

唯「……いやー……ほら、筋肉痛って」

唯「気持ちよくない?」

唯「あー待って! 帰らないでぇ」

唯「ほら! 筋肉痛のあの痛みってなんだか癖になるじゃん?」

唯「……あれ? なるよね?」

唯「それを共有しようじゃないか」

唯「お願い~一緒に筋トレしようよ!」

唯「じゃ、じゃあ一緒に筋トレしてくれたらマッサージしてあげるから!」

唯「……憂が」

唯「だからお願いっ!」

唯「全身の筋肉という筋肉が痛くなるほど頑張ろうよ!」

唯「さっき言ったのは腕立て腹筋スクワットにシャドーボクシングに握力だけど」

唯「筋トレならなんでもいいよ」

唯「それじゃあ始めよっか」

唯「せーの、ふぐぐぐ……!」

唯「ふぬぬぬ……あ! 筋肉痛になったらまた来るね!」



END



Ch.030 澪がいない軽音部


律「……」

唯(りっちゃん元気なくてつまんない)

紬(絡みがない……)

梓(澪先輩がいないと練習する流れにならない……)

律唯紬梓「はぁ……」



END



Ch.00A tea break


唯「それじゃあ次は澪ちゃんの番だよ」

澪「」

唯「あれ……どうしたの澪ちゃん?」ガタッ

澪「ひっ!」ガターン

律「イスから落ちるとかどんだけ怖がりなんだよ」

唯「澪ちゃん怪我してない?」

澪「や、やめろぉ~くるなぁ~……」ヨチヨチ

唯「あれぇ……」

梓「唯先輩のせいですよ」

律「しっかりしろよ澪~。次の話で何か言い返してやれよ」

澪「いやぁ……たべ……食べないでぇ……」

律「こりゃーだめだ。ムギ、お茶おかわり」

唯「じゃあ私筋トレしてるね!」

tea break



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最終更新:2011年07月21日 02:40