Ch.080 いやーあれは失敗だった
高校生活も残り一年を切った頃、私は一通の手紙をもらった。
手紙には私への思いが綴られていた。
差出人は二年生の後輩、つまり同姓からだ。
手紙を読んでいるうちにふつふつと感情が湧き上がってくる。
なんだろう。
というかそもそもどういう返事を返せばいいのかわからない。
どうすれば。
よし。決めた。
この気持ちを相手にそのまま伝えよう。
そう決心して相手の指定した場所へと向かった。
待ち合わせ場所には赤いタイの学生がいた。
見覚えはない……と思う。
「あの……田井中先輩。手紙読んで頂けたんですね」
「あ、うん」
「ええっと、それで……」
相手が何か言うつもりだ。
ここは私が先手を切ろう。手紙を読んで感じた事をそのまま言うんだ。
そうすればきっと上手くいく。
「気持ち悪いんだけど」
律「っていったらその子どっかいっちゃってさー」
澪「そらそうだ」
律「それ以降不幸の手紙もらうようになっちゃってさー」
律「いやーあれは失敗だった」
紬「失敗は誰にでもあるよ。私も昔友達から貰った手作りクッキーを食べた時に」
紬「今度もっと美味しいクッキーを持ってきてあげるねって言っちゃった」
紬「それ以来その子がよそよそしくて」
澪「そらそうだ」
紬「いやーあれは失敗だった」
唯「私も自分が遅刻した事を憂のせいにしたら暫く口利いてもらえなくなった」
澪「そらそうだ」
唯「いやーあれは失敗だった」
律「つまりもっとよく考えてから喋れって事だな」
END
Ch.081 あずビッチ!
梓「澪先輩!」
澪「おはよう梓」
梓「おはようございます!」
澪「朝から元気いいな」
梓「澪先輩に会えましたからね」
澪「あ、う……そういうこと言うな!」
梓「えへへ」
律「えー私は?」
梓「何がですか?」
律「だからー私に会えて元気出た?」
梓「澪先輩今日も部活頑張りましょうね」
澪「そうだな」
律「……」
梓「それじゃあ放課後に」
澪「ああ」
律「……」
梓「あ、律先輩」
律「なにさ」
梓「ちゅっ」
律「!」
梓「それじゃあ失礼しまーす」
―――
梓「遅れました」
唯「あっあずにゃん!」
唯「ぎゅううううう」
梓「ちょっと! やめてください!」
唯「えっ……」
梓「まったくもう……誰もいないところでしてくださいね」
唯「あ、うん!」
紬「あ、梓ちゃん!」
梓「はい?」
紬「梓ちゃん、部活の後少し残ってもらってもいいかな」
梓「いいですよ」
梓「それでどうしたんですか?」
紬「実は私……えっと……」
紬「やっぱりなんでも……」
梓「ムギ先輩」
紬「はっはい」
梓「私もムギ先輩と同じ事思ってるかもしれませんよ?」
紬「えっそれって……!」
梓「ふふ」
紬「わ、わたし梓ちゃんのことが――!」
梓「嬉しいですムギ先輩……」
梓「くふ」
END
Ch.082 ゲストコーナー
律「CDTVをご覧の皆様こんばんは!」
律「ほう!」
唯「か!」
梓「放課後ティータイムです」
律「こらぁー! お前はティーだろ」
梓「澪先輩」
澪「ここっ今回の曲は唯が作りました。えっと……この曲のテーマは?」
唯「えっとねーこれは私の妹を思って書いた曲です!」
律「まん」
紬「BOW」クネクネ
澪「ぶふっ……おいやめろ!」
梓「あ゛ー……それでは聞いてください。『U&I』です」
澪唯紬梓律「どうぞっ!」
END
Ch.083 ゆうれい
ピンポーン
憂「はーい」
ガチャ
澪「こんにちは」
憂「あれ、澪さん?」
澪「今日唯とお泊り会するって話なんだけど……聞いてない?」
憂「えっ!? お姉ちゃん中学の時のお友達の家に泊まりに行っちゃいましたよ!」
澪「ええっ! ちょっと唯に電話してみる……」
憂「おねえちゃあん……」
プルルルル
ピッ
憂「どうでしたか?」
澪「うん、唯のミスで本当は来週の日にちを私に教えるはずが何故か一週間早まったみたい」
憂「ご、ごめんなさい!」
澪「憂ちゃんは悪くないよ」
憂「で、でも……」
澪「大丈夫だって」
憂「あ、あの!」
澪「ん?」
憂「澪さんはもう晩御飯食べました?」
澪「いや、まだだけど」
憂「もし良かったらうちで食べていきませんか?」
澪「でも悪いよ」
憂「実は今日お姉ちゃんがお泊りに行くのを忘れててご飯作りすぎちゃって」
澪「うーん……それじゃご馳走になってもいいかな?」
憂「はい! 上がってください」
澪「お邪魔します」
憂「今日も両親は出掛けてますからくつろいでて下さい」
澪「今日もか……」
憂「すぐに準備できますから」
澪「ありがとう」
澪(憂ちゃんと晩御飯か……悪くないな)
澪「――そしたら梓が張り切っちゃって」
憂「梓ちゃんかわいい~」
澪「……あ、もうこんな時間か。そろそろ帰った方がいいかな」
憂「あっ……よかったら泊まっていって下さい」
澪「え?」
憂「あ……お姉ちゃんがいないんじゃ意味ないですよね。何言ってるんだろう私……」
澪「そんなことはないけど、私に気を使わなくてもいいよ」
憂「そうじゃないんです、ごめんなさい。ええと……」
澪「唯がいなくて寂しい……とか?」
憂「うう……はい」
澪「……」
澪「ぷっ」
憂「あう」
澪「せっかくだし泊まっていこうかな」
憂「いいんですか?」
澪「元々泊まりに来るつもりだったからね」
憂「ありがとうございますっ。お風呂沸かしてきますね!」
澪「ありがとう」
澪(やっぱりかわいいな)
憂「……ふう。もうすぐ沸きますからお先にどうぞ」
澪「じゃあお言葉に甘えて」
憂「どうぞ~」
澪「お先にお風呂頂きました」
憂「……」
澪「憂ちゃん?」
憂「あ、ごめんなさい。ぼーっとしてて……」
憂「そうだ、ベッドはお姉ちゃんのを使ってください」
澪(……まあそうなるよな)
澪「わかった」
憂「私もお風呂入ってきますね」
澪「うん」
澪(仕方ないか)
―――
澪「ん……ふわぁあ……」
澪「今何時だろ……8時半か、ちょっと寝すぎた」
澪「……しまった」
ガチャ
澪「おはよう憂ちゃん」
憂「あ、澪さんおはようございます」
澪「ごめんな、私も朝ごはんの準備手伝おうと思ってたんだけど」
憂「澪さんはお客さんだからいいんですよ」
澪(失敗したなぁ)
憂「朝ごはん出来てますからどうぞ」
澪「ありがとう。いただきます」
澪「なんだかんだで長居しちゃって悪いね」
憂「そんなことないですよ。それにもうすぐお姉ちゃん帰ってきますし」
澪「そっか」
憂「……」
澪(憂ちゃん横向いたままでずっと時計見てる。やっぱり唯の事が気になるんだ)
憂「……」
澪「……」
ガチャ
憂「あっお姉ちゃん帰ってきた! 迎えに行ってきますね」
トタトタ
澪「……はぁ」
澪(まあ、唯の事を思ってる横顔でも素敵……かな)
END
Ch.084 澪「チューペット?」
唯「みんな上がって上がって」
律澪紬梓「おじゃましまーす」
唯「外暑かったでしょ。はいこれ」
律「おおーポッキンアイス!」
唯紬梓「ポッキンアイス?」
律「そうそう、これって凍らせて食べることもできるんだぜ」
紬「すごーい!」
律「……って何で唯と梓まで聞き返したのん?」
唯「それってチューペットって言うんじゃないの?」
律「あー、私はポッキンアイス派だな」
梓「私はポキニコって呼んでました」
紬「へ~色んな呼び方があるんだ」
律「あーそういえばそうだな……なあ澪?」
澪「なっなんだよ」
律「確かお前は……」
澪「ポッキンアイス! 私はそう呼んでるぞ!」
律「嘘付け。こいつ『チュッチュポッキンアイス』って呼んでるんだぜ」
唯「ぷふふふっ」
紬「かわいい」
梓「ふ……くふ……」
澪「な、なんだよいいだろ別に!」
唯「つい笑っちゃったけどその呼び方結構聞くかも」
梓「そうですね。私もチュッチュ棒とかチューチューアイスとも呼んでました」
梓「純もチュッチュとかって呼んでましたし」
律「チューチュージュースとかもあるよな!」
唯「和ちゃんは棒アイスって呼んでたよ。憂は私と一緒でチューペット」
さわ子「私はパッキンアイスかか棒ジュースって呼んでたわよ」
澪「そ、そうなんだ……」
澪(自分の中で名前が決まっちゃってるとつい口に出しちゃうんだよな。それで律が笑うから……)
律「ほあちゃー」ヒュンヒュン
唯「おおーヌンチャクみたい!」
紬「ヌンチャクアイスね!」
律「そう呼ぶ人もいるらしいぜ!」ヒュンヒュン
唯「私も! ほあちゃ~」ヒュンヒュン
スポーン
澪「へぶっ」
唯「あ、ごめん」
澪「チュッチュポッキンアイスで遊ぶなー!!」
さわ子「何その呼び方!? ひゃっひゃっひゃ!」
梓「先生笑いすぎですよ! ……くふ」
律「ぶふーっひゃっひゃっひゃ!」
澪「うう……絶対呼び方直してやるぅー!」
END
最終更新:2011年07月22日 21:55