唯「ねえ、りっちゃんってさ…」
澪「言ってやるなよ…」
紬「でも早く教えてあげないとかわいそうよ」
梓「私も気になっちゃって…」
律「おいーっす!」
唯「あ…」
澪「お、おいっす……」
梓「どうもです…律先輩…」
紬「お茶…用意するわ…」
律「なんだよ、皆元気ないな!」
唯「りっちゃんっていつもカチューシャつけてるよね」
紬「!!」
澪「!!」
梓「!!」
律「え?うん」
梓「良く似合ってると思います」
律「え?あ、ありがとう」
澪「律のトレードマークだよね」
唯「でもたまには下ろしてみてもいいんじゃないかな…」
澪「おい!」
律「?」
紬「はい、お茶よりっちゃん」
律「お、サンキュ!」
紬「今日は血行が良くなるハーブを入れてみたわ」
律「へー、なんでまた?」
唯「りっちゃんのためだよ」
澪「唯ッ」
律「私?なんで?」
紬「ほら、ドラムは筋肉がほぐれないと上手に叩けないんじゃないかと思って!」
律「そっかー、ありがとな!」
澪「もう、言っちゃうと律が気を使うだろ」
唯「ごめん…」
律「うん、美味い!」
紬「今日は砂糖控えめであっさりしたケーキよ」
澪「フルーツの甘みがちょうどいいよ」
律「そういえば最近は毎日健康志向のケーキだよな」
唯「やっぱりあぶら物や砂糖は身体に良くないからね」
澪「唯ってば!」
律「え?これも私のため?」
唯「そうだよりっちゃん…」
唯「部長には元気でいて貰わなくちゃ困るからね!」
澪「そうそう!」
紬「ねぇ!」
律「ああ…うん?」
次の日
梓「いつも付けてるあのカチューシャが原因ですよね…」
紬「髪の毛を引っ張っるのが負担だったのよ…」
澪「律は昔からあれつけてたからな……」
澪「それに部長としてのストレスもあったんだろうね…」
唯「ねえ、やっぱりちゃんと教えてあげようよ!」
澪「やめとけって、本人も気にしてるかもしれないし…」
紬「でも頭頂部までだなんて流石におかしいわ…」
澪「え?頭頂部?昨日は…」
律「やっほー!」
澪「!?」
梓「!?」
澪(そんな…昨日よりさらに後退してる!!)
さっきから何をヒソヒソと話しているかと気になっている事でしょう。
既にお察しの方もいらっしゃると思います。
そう…私の友達、りっちゃんの頭髪の事です。
事の始まりは私の何気ない一言でした。
何気なく…ただ本当に何気なくりっちゃんのおでこを見ただけだったんです。
「りっちゃんのおでこって可愛いよね」
その時のばつの悪そうな澪ちゃんの反応……。
思えば澪ちゃんは既に気付いていたのかもしれません。
りっちゃんの肥沃な森林地帯を徐々に侵食していく砂漠化という悪魔の存在に…。
あの時気付く事が出来れば……。
あの時言ってあげれば、こんな事にはならなかったのかもしれない……。
すべてはあの時の私が…………。
唯「りっちゃん、カチューシャ貸して!」
澪(それは直球過ぎる!)
唯(もう見てられないよ!!)
律「え?やだよ!外したらおかしいし////」
澪(律の髪の毛のためだ……唯にあわせるか)
澪「そう?私は見てみたいな」
梓「イメチェンしてみるのもいいんじゃないでしょうか」
律「うーん、でも前髪長いから前見えなくなるんだよね」
律「…まあいいか、ちょっとだけだぞ」
唯「わーい!ありがとう!」
律「あれ?前髪邪魔じゃないなー」
唯「みてみて!りっちゃんに似てない?!」
律「あはは!そっくりだな!」
紬「うう…りっちゃ………」ポロポロ…
梓「ムギ先輩………」
律「ムギ!?どうしたんだ!?」
紬「ごめんなさい、目薬入れすぎちゃって…ごめんなさい………」
律「ええ!?」
紬「本当になんでもないの…あ、お茶入れるわね」
律「ムギ?」
澪「ムギ……」
唯「ムギちゃん………」
今日の紅茶はちょっぴりしょっぱい涙味
そんな放課後でした……
次の日
唯「………………」
紬「………………」
律「よっ!おはよ!」
唯「うん…おはよう」
紬「おはよ、りっちゃん」
律「なんだよテンション低いなぁ!」
唯「あ……あはは………一時限目数学でしょ?それで…」
律「ははは!唯らしいな!」
紬(後頭部まで行っちゃってる……)
唯(どうしてこんな事に………)
休み時間
澪「………………」
紬「ね?」
澪「どうして…こんな………」
律「お、澪か?寂しくなったのか?」
澪「律…」
澪「ほんとは気付いてるんだろ?」
律「みおしゃんの切ない乙女心にでちゅか~?」
澪「そのあt」
紬「澪ちゃんッ!!!」ガシ!
澪「ムグ…ンが…」
律「なにやってんだ?」
放課後
澪「皆、緊急事態だ」
紬「りっちゃんの髪の毛、ね…」
唯「うん…」
澪「梓は今日は律に会ってないよね?」
梓「はい…どうかしたんですか?」
澪「さらに後退してた」
梓「え!?」
澪「もはや気付かない振りで済ませられる問題じゃない」
紬「今日はりっちゃん来れないみたいだから、今のうちに今後の対応を考えようと思うの」
梓「もう正直に言うしかないんじゃないですか?」
澪「律はあれでかなり気を使う性格なんだ…下手な事を言うと傷つけてしまう…」
紬「言うのはまだやめた方がいいかもしれないわね…」
唯「でも私…りっちゃんの前で偽物の笑顔を作るのはもう限界だよ!」
澪「唯…私だって辛いよ……」
澪「でも一度言ってしまうともう後戻りできないかもしれない…」
澪「作り笑いだけで律が幸せなら私は……」
紬「…………」
唯「うう……」
澪「唯…」
唯「私があの時…気付いていれば…こんな……」
唯「ごんな……ぐず…うぐぅ…」
紬「唯ちゃん…」ポロポロ…
唯「ぐす…こんな…ひっく……ごんな事にはならなかっだのにぃ~」ボロボロ…
梓「そんな!唯先輩は何も……」
澪「う…唯のせいじゃないだろ!」ポロポロ…
澪「気付いていたのに何もしなかった私のせいだ……ぐす…うう…」
唯「りっちゃあああああん…うわあああああああん!!」
澪「律…りぃつうううううう!!!」
紬「うう…あんまりだわ……こんなのってない……」
梓「………」
次の日
律「おはよ!」
律「おーい、皆最近元気ないぞー!」
唯(そんな…)
紬(ついに…)
律「どうしたんだ?私の顔に何か付いてる?」
澪「嘘だよ……こんなの…」
律「え?」
澪(律の髪の毛がなくなってしまった……)
放課後
さわ子「………………」
律「なんだよさわちゃんまで元気ないな~」
さわ子「あら、そんな事ないわよ」
さわ子(これ突っ込んだ方がいいのかしら…)
律「そう?」
さわ子(みんな気を使って気付かない振りをしてるのよね…?)
さわ子「ええ…」
さわ子(どうしてこうなった…)
律「最近皆元気ないみたいだけど……」
澪「…あ…うん……そう?」
唯「あはは……私は元気だよ…」
紬「ええ……りっちゃんの気のせいよ…」
梓「そうです、気のせいです…」
唯「………………」
澪「………………」
紬「………………」
梓「………………」
さわ子「………………」
律「いいかげんにしろよ!!!」バン!
梓「ひっ…」
澪「律…」
律「言ってくれよ…皆仲間だろ………」
律「もっと信頼して相談しろよ!」
律「それとも私にだけ言えない様な事なのか!?」
澪「……………」
紬「……………」
唯「………あのね、りっちゃ」
律「もういいよ!!」ガタ!!
紬「まってりっちゃん!違うの!」
律「違わないよ!もう良いから!帰る!」
澪「律!!」
律「あッ」ガタ…ふら…
唯「りっちゃん!危ない!」
ガターン!!
律「あいった~…」
唯「いたた…」
澪「おい!」
さわ子「ちょっと!大丈夫!?」
紬「りっちゃん!唯ちゃん!」
梓「だ、大丈夫ですか!?」
澪「ひッ!唯…ち…血が!」
唯「え?あ、ほんとだ…でもこの位の怪我なら大した事ないよ!」
律「馬鹿!なにやってんだよ!」
唯「えへへ…りっちゃんは怪我無い?」
律「ああ…唯が下敷きになってくれたからな…」
律「ありがと…」
唯「よかった……りっちゃんに怪我なくて…」
律「馬鹿////」
澪「……………」
唯「けが…ない…」
澪「けが…なくて…よかった?」
澪「そんなわけ…だめだろ…」
紬「そうよ…よかったけどよくないわ…」
律「え?」
最終更新:2010年01月20日 23:41