553. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/11(月) 02:56:35.04 ID:ivjv3TWb0
→D:「澪ちゃーん!  私めに美をご指南下せえ!」
      ファンクラブまである澪ちゃんに、聞いちゃうよ!


ゆったりと湯につかる澪の背中に飛びつくと、澪は奇声を発して、震えながら振り向いた。


澪「ゆっ、ゆっ、ゆっ……ゆ、ゆいか……もう!  びっくりしただろ!!」

唯「えへへ、ごめんねえ」

澪「……まったく、さっきまではしおらしかったのにな」

唯「ふえ?  なにかいった?」

澪「……いや、なんでもない」


それから、二人は向かい合う。
唯が美容指南についてお願いをすると、澪は困ったような顔をした。


澪「……といってもな。私も、そんな詳しいわけじゃないし」

唯「えっ、嘘!?  じゃあなんで澪ちゃんはそんなに綺麗なの!?」


唯が驚きながら言うと、澪はかっと頬を染めた。


澪「き、き、き、綺麗とかっ……私全然そんなことないしっ……」

唯「澪ちゃんはきれいだよ!  そしてとっても女の子っぽくて可愛いよっ!」

澪「ゆっ、唯……」

唯「教えてよう、少しでも澪ちゃんの美にあやかりたいのです!」

澪「や、やめろ……も、もうこれ以上言うな!  は、恥ずかしいだろ……うああっ」


頬に両手を添えてうつむく澪に、「やっぱりかわいいや」と満足げな唯。
少しすると、澪はそっと顔を上げた。

554. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/11(月) 02:59:35.37 ID:ivjv3TWb0

澪「……ゆ、唯の方が可愛いだろ」

唯「もう、分かっていないなあ澪ちゃんは……おかげで話が平行線だよお」

澪「ご、ごめん……って、なんで私謝って……まあいいよ、それでなに答えればいいんだ?」

唯「うーん……あっ、じゃあそうだ、今使っているシャンプーのブランドとか教えてくれればいいから」

澪「た、大して参考にならないと思うけど……『べザ・リエース』っていうところの……ていうか、唯はおしゃれとか美容よりももっと他のところを……」

唯「ほほう、『べザ・リエース』だね!  よし、今度買おうっと」

澪「……唯、唯は外見とかよりもう少し中身を女の子らしく」

唯「ありがとう澪ちゃん、それじゃあね!」

澪「ちゃんと聞け!!」

唯「あうう、でも、またデリカシーとかいう話になるんでしょ?」

澪「……そうだ」

唯「じゃあいいもーん。女の子らしくなくたって可愛くなくたっていいもん」

澪「さっきと矛盾しているぞ!」

唯「ぶうぶう。もうあがろっ」

澪「ったく……」


555. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/11(月) 03:10:09.36 ID:ivjv3TWb0

唯に続いて澪も湯船からでていく。
澪は唯の背中を見ながら、先ほど律に話しかけたときの不安そうな唯の顔を思い出した。


澪「(……ああいう唯は、すごく女の子っぽいのにな)」

澪「(って、なに考えているんだろ……唯が不安になっていたのに)」

澪「(でも、ああいう唯ってほっとけなくて、唯には悪いけど……なんか可愛いなって思った)」

澪「(……なんでだろう、律が羨ましい)」


澪の【気になる】ステータスが  0/3  →  1/3  にアップしました!

唯の【おしゃれ】ステータスが  0/5  →  0.5/5  にアップしました!


556. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/11(月) 03:15:06.24 ID:ivjv3TWb0

着替え終わると、大浴場を出て歩き、唯の班の部屋の前で律達と別れた。
その後夕食を食べ、蒲団を敷いたときには、あっというまに就寝時間が近づいていた。
唯は、姫子やいちごと蒲団の上で寝転がりながらぽつりぽつりと話しあっていた。


姫子「なんか、終わってみるとあっというまだったねー、一日目」

いちご「……朝から疲れた」

唯「……ごめんね」

いちご「……許してあげる」

唯「い、いちごちゃんっ……!」

いちご「別に初めから怒っていないし」

唯「嘘だよ!  少し目が本気だったよさっき!」

いちご「怒ってほしいの?」

唯「い、いや!  まったく!」

いちご「なんだ。唯を怒るの、楽しそうだったのに」

唯「やめてえ〜!」

姫子「だから分かりにくい冗談をいわないの、いちご」


少しの間談笑していると、姫子といちごがゆっくりと立ち上がった。


唯「あれ、どうしたの?」

姫子「ちょっとね。後で戻ってくるから」

いちご「うん」


姫子といちごは視線を合わせると、そのまま部屋を出て行ってしまった。
残された唯は、ぼんやりと虚空を見上げる。


唯「……どうしようかなー」


*選択肢*

A:「ま、まって!  私も行くよ〜」
    どこにいくのかな?  姫子といちごについていく。


B:「ふうう、しばらくここで休んでいようっと」
    蒲団の上でごろごろっとね。このまま部屋にいる。

C:「いけないって分かっているからこそ出たくなる!  不思議だね!」
    まだ就寝時刻前だからいいよね?  廊下に出てみよう!

D:「あれ?  ここ圏外だ!  どこにいけばつながるかな?」
    電波のあるところで連絡する?  携帯片手に部屋を出る。


560. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/07/11(月) 03:39:32.81 ID:MYr9VB1po
C

無理せずゆっくりやっていいよ
読んでる方としては分量は多いほうが楽しみが増えるからそれはそれでww
583. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/15(金) 00:28:41.36 ID:FuNH30sK0
→C:「いけないって分かっているからこそ出たくなる!  不思議だね!」
    まだ就寝時刻前だからいいよね?  廊下に出てみよう!


唯「早めに部屋に戻れば大丈夫だよね!  いこいこっ!」


自分に納得させるように強い声を上げるなり、唯はジャージのまま部屋を飛び出していった。
ドアを開けた先には、奥まで廊下が続いている。
就寝時刻が近づいてきているからか、人声もまばらだった。
先生に見つかったら危ない、というスリリングをどこか楽しみながら、唯は奥へ奥へと進んでいく。
進むにつれて、どんどん闇が深くなっていく。


唯「おっとっと。ここで終わりか―」


廊下の端にあるトイレまで歩くと、唯はとたん興味を失ったように踵を返し、もと来た道を帰ろうとした。
するとそのとき――。


*選択肢*

A:闇を見渡している人影……。
    あ、あなたは!

B:いてっ。闇の中で人影にぶつかった!?
    あ、あなたは?

C:闇にひっそりとたたずむ人影。
    あ。あなたは……。

584. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/07/15(金) 00:29:29.54 ID:4YE1SMsUo

592. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/15(金) 01:33:46.60 ID:FuNH30sK0
→A:闇を見渡している人影……。
    あ、あなたは!


唯「……もしかして……ムギ、ちゃん?」

紬「!  あら、唯ちゃん」


見覚えのある女性らしいラインをした人影に友人の名を呼ぶと、人影は振り返り、紬の顔が露わになった。


唯「どうしたの?  こんなところで」

紬「うん。ちょっとね、探検をしてみたかったの♪」

唯「探検?」

紬「うん。私、こういう旅館に泊まるのは初めてだから……」


いうなり、辺りをきょろきょろと見渡す紬。
よほど興味深いのか、目がきらきらと輝いている。


唯「なるほどねえ、そうなんだ〜」

紬「うん。結構楽しかったわ。……唯ちゃんはどうしてここに?」

唯「私?  私はねー、なんか部屋で一人でいたから退屈でね」

紬「え、一人なの?  他の班の皆は?」

唯「なんか、どこかにいっちゃった……戻ってくるとは言っていたんだけど……」

紬「そ、そうなの……ひとり、なのね」

唯「?  どうしたの?」

紬「う、ううん!  なんでもないの!」

唯「そ、そっか〜(最近ムギちゃん変だなあ……)」


唯は、不意にもうすぐ就寝時刻であることを思い出し、まだ少し慌てている紬に声をかける。


唯「……そろそろ時間だね。戻った方がいいね」

紬「う、うん……」


促したものの、なかなかその場から動こうとしない紬。
唯は訝しげに思いながら口を開いた。


*選択肢*

A:「あのねムギちゃん、聞きたいことがあるんだけど……」
      夜の雰囲気の中で、ちょっと聞いてみよう。

B:「ムギちゃん、なにか私に聞きたいことでもあるの?」
      私と何か話したいのかな?

C:「ムギちゃん、よかったら私の班の部屋においでよ」
      ちょうど一人で寂しいし。見つからなければいいよね!

D:「どうしたの、ムギちゃん?」
      なかなか動かないムギちゃんに首をかしげる。


593. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/07/15(金) 01:36:08.74 ID:x/Qg6kXSO

600. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/15(金) 03:25:42.11 ID:FuNH30sK0
→B:「ムギちゃん、なにか私に聞きたいことでもあるの?」
      私と何か話したいのかな?



唯が訊くと、紬は弾かれたように顔を上げた。


紬「えっ……ど、どうしてそう思ったの?」

唯「うーん、なんとなく、かな……なんかムギちゃんもじもじしていたし」

紬「も、もじもじ……?」

唯「う、うん……違った?」


唯が顔を覗き込むようにすると、紬は戸惑いながらあちらこちらにせわしなく視線が動く。


紬「ううん、大丈夫よ!  大丈夫だから……その、ね?  帰りましょう?」

唯「ええ、でも〜……」

紬「本当に、何でも大したことじゃないから……ね?」


唯をなだめるようにして会話を終わらせようとする紬に、唯はぶうと口を尖らせる。
優しくいなす紬に、ゆっくりと口を開く。


*選択肢*

A:「大したことじゃなくなくないよ!  何でも言ってみてよムギちゃん!」
      なんだか気になるよ!  ムギちゃんをちょっぴり強引に止めて説得。

B:「お願い〜!!  言ってよ〜〜!!」
      ムギちゃんの腕をぐいぐいと揺らして、押してみる。

C:「ムギちゃん、何かあるんでしょ?  ちょっと言えることだけでもいいからいってみてよ」
      ほんの少しでもいいから!  ちょこっと話してほしいな……。

D:「そ、そっかあ……うん、じゃあ帰ろうか」
      あんまり無理強いしたくないしね。大人しく自分の班の部屋に戻ろうっと。


604. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/07/15(金) 04:57:45.25 ID:2hcss8x+0
ムギ率たけーっw

618. 1です ◆duJq3nZ.QQ 2011/07/16(土) 01:08:33.63 ID:GxGI03fP0
→C:「ムギちゃん、何かあるんでしょ?  ちょっと言えることだけでもいいからいってみてよ」
      ほんの少しでもいいから!  ちょこっと話してほしいな……。


切実な唯の目に、紬はひどく困惑した。


紬「い、いえること……?」

唯「うん。……だって、気になるし、それにムギちゃんのこと心配だし」

紬「え、心配って……」

唯「最近ムギちゃん、何か様子が変な気がするよ?」

紬「へ、変?  ……ど、どこが?」

唯「うーん……どこって言われてもはっきりとはいえないんだけどー……例えば……急に顔を赤くしたり、意味深な感じで何か言っていたり、あと……バスの中であんまりこっちを見てくれなかったり……」

紬「あっ……えっと、違うのよ唯ちゃん、それは……」

唯「あとはねえ……」

紬「ち、違うの唯ちゃん……ほ、本当に何でもないの……だ、大丈夫だから……」

唯「……そ、そうなの……?」

紬「う、うん!  そうよ、何でもないの!」

唯「そ、そっかー……じゃあ私の気のせいだったのかなあ?」

紬「うん、うん、きっとそうよ!」

唯「そっかあ……なんかごめんね、変なとこ気にして……」

紬「い、いいのよ。気にしないで……」


唯はどこか腑に落ちないところがあったが、それ以上は追及しなかった。
紬は内心ひどく焦りながら、なんとかこの空気を持ち直したことに安堵していた。


紬「(……あのことはやっぱり聞けないわ……というより……どうしてかしら……聞きたく、ない……)」

紬「(あのことですら聞けないんだから……あれだって聞けるわけがないし……)」

紬「(何より……私が、私自身の気持ちを分からないんだもの……)」

紬「(……どうしてこんなに胸が痛いのかな……)」




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最終更新:2011年07月28日 01:46