憂「こんにちは!私、平沢 憂です!」

憂「前作で私がちょっとこの世を離れてる間……
  お姉ちゃんが色んな時代に存在して
  頑張っていたことを知りました!」


憂「今回は別の世界、もう一人のお姉ちゃんの物語……」



……起きろ!

岡本「おう!いつまでも寝てんじゃねぇ!
   たまき!早く起きな!ぐずぐずすんな!」

岡本「お前がギターバトルトーナメント決勝戦まで
   勝ち進むとはなぁ……」

岡本「あの日おまえはヴァルハラのはずれを
   ふらふらしていたよな……」

岡本「ウチの事務所に連れてきて
   お前はふと置いてあったギターに触れた……
   わしは一目でおまえの力を見抜いたぜ」

岡本「試しにヴァーチャルライブを
   やらしてみりゃあかなりの動員数
   叩き出したのには驚いた」

岡本「その時の金はわしが出してやったんだ
   ありがたく思ってるんだろうな?」

岡本「何も覚えてねえお前に
   たまきと名前を付けて
   使えるギタリストに育てるのは苦労した」

岡本「今まで弟子にめぐまれなかった
   わしにやっと運がめぐってきた」

岡本「お前が勝ってチャンピオンになれば
   羽田のヤロウにもバカにはさせないぜ」

岡本「おっと、話が長くなったな……
   …おい!わしの話がわかったか」


私の名前はたまき

………らしい

というのも気が付いたら

ここヴァルハラエリアのはずれにいて

今目の前にいる岡本っておじさんに保護された

自分が何者で、どこから来たのか……

今も思い出せないの

でもどういうわけか私はギターが弾けた

自分の名前すら思い出せないのに……

偶然にもこの岡本さんはギタリストを

養成する事務所を経営している

運よくギターが弾けた私は

ギターバトルに出場し勝ち抜くため

岡本さんの指導の下練習に励んでいた

どうやらそのバトルに優勝すると

[センター]というところの市民権を得ることが

できるらしい……

センターは選ばれた人間だけが

住むことの許される居住区

岡本さんは私が優勝したら便乗して

センターの市民権を得ようと企んでいた……

岡本「さっさとヴァーチャルトレーナーに入んな!!」

たまき「は、はいい!」ゴチッ

たまき「あいたっ!!」

岡本「…ったく、よくそんなんでヴァルハラをうろついて
   悪魔にやられなかったな……」

岡本「ようし!たまき、用意はいいな……
   さあ!始めろ!!」

……
………

歓声が聞こえる……

うねるような重低音のベース

ボディーブローのように襲い掛かるドラムのリズム

私は昂る感情を全てギターにぶつけ

アンサンブルの中に溶け込んでいく

もう少しでギターソロ……

岡本「よーし、そこまでだ」

岡本「たまき、お前ちょっと街のヴァーチャルライブハウスで
   腕を磨いてこい」

岡本「これを持ってけ」

たまき(たったの200魔貨……)


―――ヴァーチャルライブハウス


ヴァーチャルガール「いらっしゃぁい!仮想空間であなたも
             ヒーローよ!
             とりあえず何しますぅ?」

たまき「あの…ギターでヴァーチャルライブに
    参戦したいんですけど」

ヴァーチャルガール「ヴァーチャルライブは
            音響装置や楽器のトラブルが 
            無い以外はホントのライブと同じなの!
            客がシラケて会場が
            盛り下がったらゲームオーバー
            観客をノリノリにさせるのが目的よ!」

ヴァーチャルガール「レベルはどうしますぅ?」

たまき「じゃあ、LV1でお願いします!」

ヴァーチャルガール「50魔貨いただきまーす!こーんなレベル
            楽勝よ!楽しんでってね!」

……
………

たまき「あ~疲れたよ~お腹空いたよ~…」

男「おい!たまき!あんたを探してるヤツがいたぜ
  どんなヤツかっていうと……」

たまき(あれ……なんか頭がボ~っとする……)


……君たちの中で最も優れた力を持つのが彼女だ……

……彼女の名は君につけてもらおう…いいかね?………

たまき(うわああハダカ!すっぽんぽんだこの子!!)

たまき(スタイルいいなぁ……)

たまき「秋山……澪…」

たまき(!?)

……秋山 澪が彼女の名か?……

……彼女の名が澪か………


男「おい!……おい!!」

たまき「はっ」

男「おい、どうしたんだよ?
  人の話はちゃんと聞くもんだぜ
  あんたを探してるヤツは……
  秋山 澪って名乗ってたぜ」

たまき(え!?…じゃあ今見たのはなんだったんだろう……)

たまき(まぁいっか!お腹すいちゃったよ……
    事務所にかーえろっ)

―――

たまき「戻りましたー!!」

岡本「おう、帰ったか!」

岡本「ホラ、メシだ!冷めないうちに食っちまいな!」

たまき「わーい!頂きまーす!!」

岡本「お前この頃よくボーっとしてるが
   何か思い出してるのか?
   だがライブ中はそんなマネすんな
   ちょっとでもミスしたら終わりだからな!」

たまき「@☆З*ё!」モグモグ

岡本「食べるか喋るかどっちかにしろ!!」

……
………

岡本「体を休めるのも大事なトレーニングだからな…
   ゆっくり疲れを取っとけよ」

たまき「うん!おやすみなさい」


21XX年 TOKYO

かつて世界でも有数の一大都市として
名をとどろかせた日本の首都・トウキョウ
ながらく繁栄を極めたこの大都市も
核ミサイルにより徹底的に破壊しつくされ
挙句大洪水により大部分が水没した
トウキョウ大破壊後、隅田川の河口に建設された
メシア教の大聖堂カテドラルは
生き残った人々の支持と大資本を背景に
センターと名を変え、新たなトウキョウの中心部となった
やがてセンターは荒廃したトウキョウに
大規模な都市開発計画を施行
ヴァルハラやファクトリーといったエリアを作っていった
これらエリアの総称を“ミレニアム”と呼ぶ
ミレニアムの管理はセンターが行っており
司教がその指揮をとっている
使用通貨は悪魔が造りだしたとされる通貨(魔貨)である

トウキョウ大破壊から数十年……
荒野を耕し悪魔の群れと戦い
無数の生と死を繰り返しながら
人は生きのびていた……

だが頼るものすがるもの無く
生きていけるほど人は強くない
人は明日への希望を探した……

メシア教は救世主の降臨を説き
信じた人が集い街が出来た
かつて……
カテドラルと呼ばれた所に……


22XX年
かくしてトウキョウは
TOKYOミレニアムとなった

唯「真・けいおん転生!!」~M・PROJECT編~



第1章 キヲクノカケラ!



岡本「おう、たまき!起きな」

たまき「すぴー」zzz

岡本「こいつの寝起きの悪さはピカイチだな」

岡本「あ、そうだ、アイスでも食べy」

たまき「アイス~~!!?」ガバッ

岡本「どわああ!!」

たまき「ふえ……アイスは…?」

岡本「こんなご時世にそんなもんなかなか手に入らん!!」

岡本「食べたかったらギターバトルに優勝してセンター市民権を
   手に入れるんだな!」

たまき「なんだよ嘘か……」zzz

岡本「寝るなー!!」

……
………

岡本「おうたまき、魔貨持ってんならヴァーチャルライブハウス
   行ってこい!」

岡本「うちのトレーナーよりは少しはマシな
   トレーニングができるってもんだ」

たまき「ふぇい……」

岡本「なんだその気が抜けた返事はぁぁ!メシ抜きにするぞ!!」

たまき「あいあいさぁ!!!」

ヴァーチャルガール「いらっしゃーい!今日は何しますぅ?」

たまき「あっ昨日と同じで!」

ヴァーチャルガール「レベルはぁ?」

たまき「じゃあ…今度はLV2でお願いします!」

ヴァーチャルガール「レベル2は100魔貨頂きまーす!
            大丈夫よ!頑張ってね♪」

……
………

たまき(あれ?控室?いつもならいきなりステージから始まるのに…)

たまき(お客さんの声も聞こえない……)

たまき(おっかしーなぁ)ガチャッ

たまき(!!……誰か向こうを横切った!)

たまき(気になる……追いかけてみよう!)ダッ

たまき(確かあそこのカドを左に……)

「やあ」

たまき「ひゃあっ!!……お客さん!ステージはあっちですよ!
    ここは関係者以外…」

たまき(車椅子……)

車椅子の男「私は客じゃないよ…」

車椅子の男「君に会うためヴァーチャルライブの
      仮想空間に入らせてもらった
      私の名は…STEVENとしておこう」

たまき「私に会うため?」

STEVEN「実は君に渡したい物があるんだ
     それは私の作った……
     悪魔召喚プログラムだ
     間も無くある事件がきっかけで
     ここ”TOKYOミレニアム”に
     悪魔の群れが溢れ出るだろう
     ミレニアムはずっと悪魔の出現を
     抑えてきたがもう無理だね」

たまき「悪魔召喚プログラム!?私に悪魔と戦えって言うの!?」

TEVEN「悪魔がこの世界に入り込んでくるのは
    もう止めようが無いんだ
    悪魔の力を利用してゆかなければ
    人間は生き残れないだろう
    その時に備えて悪魔を使える力を
    持つ者にこれを渡そうと思う」

STEVEN「君が何者か私は知らん
     知ろうとも思わん
     ただ力ある者と思われるが故に
     このプログラムを渡すんだ
     私の話がわかったかね?」

たまき「私に…そんな力が?でも私戦ったことなんか……」

STEVEN「わかったかね?」

たまき「は、はい!」

STEVEN「よしよし、物わかりがいいね
     悪魔召喚プログラムはアームターミナルに
     インストールして君の事務所に送る
     じきに届くだろう
     大事に使ってくれたまえ」


STEVEN「君には期待しているよ
     またどこかで会うことになるだろう
     今後ともよろしく……ではまた」

たまき「あ、あの!!」

……もし……この通信を……
……受取っていたら……こちら……

たまき(まただ……頭が……)

……
………

男「彼女は知力に優れている……
  彼女の名前をつけてあげなさい」

たまき「琴吹……紬です」

たまき(声が勝手に……!)

男「彼女の名は紬か……そうか」

……
………

……紬……す……

……琴吹 紬…です……

……今…アルカディア………

たまき(紬!?さっきのと同じ……
    混線でもしてるのかな?)

たまき(もういいや……今日はトレーニングやめよう)

ヴァーチャルガール「もう終わるの?また来てね!」

……
………

たまき「昨日といい今日といい……疲れてるのかなぁ」

「これこれ、そこを通りし若者よ」

たまき「うわぁ!!……あれ?」

「こちらじゃ、そなたの左手の方向じゃ」

たまき「部屋の中から…!」

「わらわの前に立ち、わらわの声に耳を
 かたむけるがよいぞ
 さすれば 道は開けよう
 さあ……中へ入るがよい」

たまき「は、はい…失礼します」

占い師「そなたの迷い、悩みを
    打ちはらい正しき道へと
    導いてしんぜよう
    そなた、ここへ来たのは初めてか?」

たまき「はい(こんなとこに占い師の人なんていたっけ?)」

占い師「では、 ロハで占ってしんぜよう」

たまき(いつもはお金取るんだ……)

占い師「うむ……うむむむむ
    そなたの心の奥底に
    1人の女性の名前が沈んでおる
    その名前、思い出せるか?」

たまき「えぇ!?そんないきなり言われて……うぅっ」

たまき(頭が痛い……)

たまき(ダメだ……思い出そうとすると頭が……)

占い師「思い出せぬか……
    ではその女性の名前、わらわが伝えよう……
    その名前は………」

占い師「田井中 律じゃ
    律という名前
    ゆめゆめ忘れるでないぞ」

たまき「田井中 律…か……」


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最終更新:2011年07月30日 02:27