―――地下通路


テンプルナイト「唯様!アルカディアへ行かれるのですね
        ささ、どうぞお通りください」

唯「あ、ありがとうございます……って……え?」

唯「へ、部屋?」

ドアを開けた唯は戸惑いを隠せなかった

いつもならドアを開けると

唯を新鮮な外の景色が迎えてくれたはず

だが、目の前に飛び込んできたのは

転送ターミナルが設置された

無機質な光景だった



第五章 メシアッテナニ?



和「ああ、アルカディアだけは何故か
  この転送ターミナルからしか入れないのよ」

唯「そ、そうなんだ」

声「アームターミナルヲセツゾクシテ
  アクセスシテクダサイ」

唯「こうかな……」カチャッ ピッ

声「テンソウヲカイシシマス」


―――アルカディア

唯「うわあ~!!キレイ~!!」

和「ホントここは楽園と呼ぶにふさわしい場所ね」

市民「おや、センターの方ですね?」

唯「はい!ムギ…紬さんに会いにきたんです」

市民「私たちが平和に暮らせるのは全て
    紬様のおかげなんですよ~!」

市民「紬様なら木々の間を
    通りぬけた奥の館におられます」

……
………

紬「お久しぶりね!唯ちゃん!」

唯「へっ……」

紬「私よ!琴吹 紬!!」

唯「ムギ……ちゃん……」

和「ごめんさない、唯はまだ記憶が完全に戻ってないの」

紬「そう……」

紬「唯ちゃんどう?アルカディア・エリアは?
  あなたが行方不明の間に私は
  このエリアを理想の世界につくり上げたの!」

唯「へぇ~!全部ムギちゃんが作ったんだぁ!!」

紬「ミレニアムが千年王国の実現を
  目指しているのは知ってるわよね?
  このアルカディア・エリアは千年王国が
  実現した後どんな世界ができるかの
  テスト・ケースなの」

和「素晴らしい結果が出せたじゃない」

紬「うふふ、ありがとう」

紬「ここでは悪魔との戦いも人同士の
  争いもなくてみんな平和に暮らしてるわ
  世界中がアルカディアのようになった時
  初めて千年王国が実現したと言えるのよ」

紬「唯ちゃんもここが気に入ったなら
  いつでも来て!美味しいお菓子と
  お茶を用意して待ってるわ」

唯「お菓子~~!?」

和「急に話に食いついたわね」

紬「唯ちゃんなら大歓迎よ!
  それじゃあアルカディアは大成功だと
  センターの澪ちゃんに伝えてもらえるかしら?」

和「ええ!伝えておくわ」

……
………

唯「アルカディアかぁ……」

和「気に入ったの?」

唯「え?う……うん!
  ムギちゃんもいい人そうだったし!」

唯(なんだろう……この感じ…)

唯(とってもいい所のはずなのに
  何か足りないような……)


―――センター

和「……!?唯!剣を抜いて!!」

唯「えっえっ!?」

和「悪魔の気配がする……」

唯「ここは悪魔がいないんじゃなかったの!?」

和「わからない……一体どうしたの……」

唯「あっ!澪ちゃん!」

澪「おっ!唯に和!!
  大変なことが起こったの!
  急いでるから話している時間が……
  くわしい事は司教に聞いて!!」

唯「行っちゃった……」

和「管制室へ行きましょう!」

……
………

司教「大変です……
   ついにセンター内まで悪魔達が
   入ってきました」

和(やっぱり……でもどうして!?)

司教「しかしそれよりも大変な事に
   にせのメシアが現れました」

唯「ニセメシア!?」   

司教「にせ救世主は人々の心をたくみに
    掴んでいてこのまま放っておけば
    ミレニアムは混乱してしまいます」

司教「にせメシアの情報はホーリータウンと
    ヴァルハラから入っていますが
   現在どこにいるのかわかっていません」

司教「誰が何のために救世主を
    名乗っているのか?
    ぜひ確かめて下さい」

和(こんな時になに悠長なことを……)

……
………

和「唯……どうする?」

唯「ん~~……ホーリータウンから行こう!」


―――ホーリータウン


唯「どこから探せば……」

和「まずは情報収集よ!あんまり行きたくないけど……
  BARなら有力な情報を得られるかも」

唯「私お酒飲めないよ~?」

和「むしろこの状況でお酒飲む気なの……」

……
………

バーテンダー「いらっしゃいませ……」

和「と、とりあえずカウンターに座りましょ」

バーテンダー「お客様、お飲み物なのですが……」

唯「あ!えと……えと……」

バーテンダー「あちらのお客様から……」スッ

唯&和「へ?」

ブロンドの男「やあ………
         君と会うのは初めて……じゃないな」

和(唯!知ってるの……?)

唯(ううん……初めて見る人だよ……)

ブロンドの男「私の名はルイ・サイファーだ
        今後ともよろしく……」

ルイ・サイファー「君の事はよーく知っているよ
           ユイ・ヒラサワ……」

唯「な、なんで私の名前を!?」

ルイ・サイファー「ふふ…何かと御活躍のようだからな
           私はメシア教徒達が作ったという
           ミレニアムを見に来たのだが……
           さすがに君のいるセンターだけは
           チェックが厳しくて入れなかったよ」

和「すっかり有名人ね唯」

唯(ルイ・サイファー……)

和「唯?」

唯「あ?あはは……やめてよ和ちゃん~」

ルイ・サイファー「では、私はこれで失礼させてもらう
          また会おう、ユイ・ヒラサワ……」

和「なんか……謎の男って感じだったわね……」

唯「う、うん……」

女「あなたがメシア~~!?」

唯「うわわっ!(……お酒くさ~い)」

和「ええ、そうよ」

女「ウソ言わないで!!メシアは梓様よ
  梓様はヴァルハラへ行ったわ!!」

唯「梓!?やっぱり梓って人が……」

和「唯、行くわよ」

唯「うん!」

……
………

唯達が外にでると

街頭のビジョンでは臨時ニュースが流れていた

ニュースキャスター「M.N.N.
             ミレニアムニュースネットワーク
             ミレニアムの最新情報をお伝えします
             最近ミレニアム内で多くの人々を救い
             メシアではないかと言われる人物が
             ヴァルハラのスタジアムに現れました
             ヴァルハラでは……」

和「さっきの情報は本当のようね」

和「さ、急ぐわよ」

唯「………」


―――ヴァルハラスタジアム

男「やって来たかチャンピオン……
  今日はライブじゃねぇ
  あんたはここで梓と
  戦うことになっている
  その話はわかってるな?」

唯「え!!聞いてないよそんな話!!」

男「じゃあ話しておこう……
  梓は近頃ミレニアムでメシアではないかと
  言われているヤツだ」

男「ヤツが真のメシアは自分だと言って
  それをはっきりさせるため
  あんたと戦いたいと言ってきた
  どちらもメシアと噂される
  あんたと梓の戦いなら
  こっちとしても悪い条件じゃない
  そこでスペシャル・マッチを
  組ませてもらったというわけだ……
  ……わかったか?」

唯「そんな……」

和「唯、ここまで来たら行くしかないわね」

和「大丈夫、私がセコンドでついていってあげるわ」

唯「う、うん!」

男「じゃあ行きな……
  梓はもう中で待ってるぜ」

……
………

ワアアアァァァ

「現れましたね平沢 唯!!
 偽りの救いの手を伸ばして人々を
 惑わすアンチ・メシア!!」

ワアアアァァァァ 

…あーずーさ! あーずーさ!!…

梓「よく逃げずにここまで来ましたね」

唯「に、逃げたりなんかしないもん!!」

梓「でも……ニセモノのあなたはここで
  消えるのが神の思し召しです!
  平沢 唯!!覚悟!」


戦士 中野 梓が 1体出た!

唯(こんなちっちゃくて可愛い子と戦えっていうの!?)

梓「来ないならこっちから行きますよ!!」ダッ

唯「きゃあっ!!」サッ

唯「坤竜丸!!」スラァ……

唯「坤竜丸、私この子を殺したくないの!!」

……おかしなことを言う奴だ……

……わかった……やってみよう……

唯「ごめん梓ちゃん!!」ズガッ

梓「い……たたた」

梓「私は救世主です!
  メシアの名にかけてあなたを倒す!!」

戦士 中野 梓が 1体出た!

唯「もうやめて!!」

梓「隙あり!!」ドゴッ

唯「うぐっ!!」

唯「…………」

梓「!?」

唯「…………」ブンッ バチィ!

梓「きゃあっ!!」

梓「うう……つ、強いですね……」

梓「負けるか…これが真のメシアの力!!」

梓「マハジオンガ!!」

ズドン!!

唯「いやあああ!!」

唯「か、体が痺れて……」

梓「なかなかしぶといですね!
  でも……これで最後です!!」

梓「さようなら……平沢 唯」

唯「う……」

梓の手がまばゆい光を放つ

梓「メギドラ………」

和「危ない!!唯!!よけて!!!」

カッ!!!

和「ああああああ゛あ゛あ゛!!!!」

唯「-------!!!!!」

梓「え………」

梓「な、仲間を盾にするなんて!!
  許せない!!」

唯「あ、ああああああああ」

唯「ああああああああああ!!!」スラァ

ザシュッ……

梓「うぐ……は………」

……
………

梓「なんで私が……
  救世主のはずの私が負けるの……?
  なんで……」

唯「…………」チャキッ

唯はためらいもなく梓の頭に銃口を向ける

梓「ひ………」

和「やめて……殺しちゃ…ダメ……」

梓「!!」

唯「……………
  和……ちゃん?」

和「私の……話を
  聞いて、唯……ごぼっ」ヒュー ヒュー

唯「和ちゃん!!」

和「私……もうダメ……
  だから…
  彼女に生きて…ほしいの……
  そして…
  あなたにも……」

和「私の定めは…あなたを助けること…
  短い間…だったけど……
  あ、あなたと……一緒で……」

和「………………」

唯「ーーーーーーーー!!!!!!」

梓「くっ……
  この恨み……決して忘れません!!」

梓は逃げていった

司教「自ら救世主を名乗った
    中野 梓は倒されました!
    神の言葉通り人を惑わせる
    アンチ・メシアが現れ
    真のメシアの手によって倒されたのです!」

気が付くといつの間にか

司教がセンター市民を引き連れ

スタジアムのステージに立っていた

司教「唯こそ真のメシアなのです!
    ついに神は私達のもとへ救世主を
    つかわされたのです!」

唯「…………」

……救世主 唯 ばんざーい!!……

子供「ヘンなおやじがこれを
    渡してくれって!ほら!」

唯(人が一人死んだんだよ?
  和ちゃんが……)

唯はメモを受け取ると

紙に目を落とす

――――――――――――――――――
君に真実を伝えたい
スラム街1階にあるガイア神殿の裏まで
来てほしい         目加田

――――――――――――――――――  

唯「…………」

司教「唯よ……?」

司教「唯……どこへ行くのだ……?」


唯はスラム街へ走った

悲しみで胸が引き裂かれそうな中

和の最後の言葉を繰り返し思い出す

唯は自分にできることを

精一杯考えていた

和の遺志を無駄にしないために……


第五章 メシアッテナニ? 完



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最終更新:2011年07月30日 02:37