―――旧新宿

オベロン「浮気草のつゆを取ってきたか 
      御苦労であったな……
      では、律の魔法を解いてやろう」

オベロン「さあ、律の元へ行け」

唯「あ、ありがとうございます!」

……
………

「あ!ゆ、唯さん!」

唯「アヌーンさん!どうしたのこんなトコで?」

アヌーン「あ、あの…この先の部屋に
      梓さんがいるんです
      わ、私オベロン様に言われて
      ここまで来たんですけど……
      お願いです!唯さん!
      一緒に入ってください!」

唯「もちろんだよっ!」

唯(この部屋?)

アヌーン(はい、おそらく……)

二人はドアに近づき聞き耳をたてる

……いやっ!!ベタベタしないでください!!……

……あぁ……なんでそんなに可愛いんだ梓……

……ちょ……近い近い!!……アッー!……

ケルベロス「oh……」

……はっ!!……てめぇ!!あたしに何をした!!……

唯「戻った!!今だ!!」バーン

梓「何を!!そっちが勝手に付いてきたんじゃないですか!!
  私は何もしてないです!!」

唯「りっちゃん!!」

律「おお!唯!!なんとかしてくれよこいつを!!」

アヌーン「あ、梓さん!!えいっ!」パシャっ

唯「へ……」

梓「……あぁ……あなたはなんて美しい妖精なんですか…
  私のすべてをあなたに捧げ……」

律「げええぇっ!?あたしこんなんだったのか!?」

唯「う、うん(もっとヒドかったけど…)」

アヌーン「あ、あの……
      梓さんがそんな事言ってくれるなんて
      う、うれしいわ……」

アヌーン「唯さん……
      ありがとうございました
      律さんを大切にしてね!」

唯「アヌーンさん……」

梓「平沢 唯!!」

唯「え!?」

梓「私……ここにとどまって
  妖精たちを守ることにします!」

律「えぇ!?」  

梓「私…大切な何かを取り戻したような
  気がするんです……」

唯「………」  

アヌーン「ダメよ、梓さん」

唯「!?」

アヌーン「わたしを愛してるなら
      妖精たちを守りたいなら……
      唯さんの力になってあげて」

アヌーン「唯さん達は大きな運命を
      背負ってるように見える……
      私達の世界も…巻き込むような」

アヌーン「だから…妖精たちを救いたいなら
      唯さんの力になってあげて!」

梓「わかりました……平沢 唯、私で良ければ
   一緒に行かせてください」

唯「アヌーンさん……これは一体?」

律「浮気草のつゆじゃ……」

アヌーン「うふふ……秘密のクスリよ!」

アヌーン「唯さん、律さん……頑張ってください!」

唯「ありがとう!アヌーンさん!!」

律「アヌーンも元気でな!」

……
………

梓「そういえば……
  前にあなた達と戦って
  かせいのピラーを落としたけど
  あれは魔界へ行くための道具だったんです」

律「なんだって!?あのピラーが!?」  

梓「あの時はすごく悔しかったけど
  今の私には無用の物です……
  ……そういえば同じようなピラーが
  ファクトリーの発掘現場から
  出てきたって聞いたことがあります!」

律「同じようなピラーが何個もあるってことか……」

梓「それと、平沢 唯……真鍋 和のこと……
  なんて謝ったらいいか…私…」

唯「もういいよ………生きて」

梓「え?」

唯「和ちゃんの分までうーんと長生きして!」

梓「はい……!!ありがとう!平沢 唯!」

唯「唯でいいよ!」

律「あたしも律でいいぜ!
  そんなシケたツラしてたら
  可愛い顔が台無しだな!」

梓「なんで……そんなに優しくするんですか……
  私、ヒドイことばっかりしてたのに……」

律「顔を見りゃわかる」

梓「え?」

唯「そんなに悪い子じゃない!ってねっ」

律「しっかり戦ってもらうぞー!!」

梓「や、やってやるですっ!!」


第七章 キノウノテキハ!? 完



律「よーし次は旧赤坂に行っくぞー!!」

梓「あ、あの!!」

律「んー?」

梓「みなさんは…おいくつなんですか?」

唯&律「17歳だよ!」

梓「私の一つ年上……先輩ですね!」

梓「でも意外です!律さんはもっと年上かと思いました!」

律「老けてるって言いたいのかああぁぁん!?」ギリギリ

梓「く、苦し……嘘です!…律先輩!!」

唯「あははは律先輩だって~!」

梓「笑いごとじゃないです唯先輩!!
  律先輩の馬鹿力は……はっ」

律「きーこーえーたーぞー」ギリギリ

梓「に゛ゃあああああああ」

唯「あはは!梓ちゃん……猫みた~い!」

唯「あーずにゃん!」

梓「にゃん!?笑ってないで助けてええええ」



第八章 マサカド!?


唯「あ!あそこ……なんかの現場みたいだよ!」

律「ちっちゃいオッサンがいっぱいいるな」

ドワーフ「お!!おーいそごのでけぇの!!」

律「でけぇの!?あたしたちのことか……」

……
………

ドワーフ「こご掘ると武器出でくるだよ
      売り飛ばせばいい儲けだ
      いっぱい出でくっから掘りつぐせねぇだ」

ドワーフ「実は手が足りねぇだよ……
      そこの一番力強そうな姉ちゃん手伝ってくれっか?」

律「誰のことだ」

梓「………」

唯「………」

律「あ、あたしかよっ!!」

ドワーフ「自分の手ぇ汚して働かねえと
     バチ当たっぞ!!ほれっ」

律「わかったよっ!やりゃいいんだろやりゃ!!」

……
………

律「」

唯「りっちゃんすごーい!!」

梓「意外なところで才能発揮ですね!」

ドワーフ「いやぁごぐろうさん!
      おがげで助かっただよ
      お礼にこれやるだよ!」

律「武器じゃないのかよ~」

梓「あ!!これ!」

唯「ピラーだよりっちゃん!!」

唯はどせいのピラーを受け取った

ドワーフ「まだ手が足んねぇ時は手伝っでくれや」


―――旧赤坂

労働者「まったく地霊の奴ら
     人使いが荒くてもうヘロヘロだぜ……」

労働者「おっ姉ちゃん達も働かされたクチだな?」

律「はは…まぁね……」

律はふと壁を見る

[地霊族の街 働き者は大歓迎]

……
………

……おい!親方はどこ行った!!……

……ばかやろう!それはそっちじゃねぇ!……

梓「あ、慌ただしい街ですね……」

唯「みんなよく動くねぇ~」

律「あんまり長居しない方がよさそうだな」

ブラウニー「ねぇねぇ!」

唯「ほぇっ?」

ブラウニー「あんたら上の世界の人間だね……
        戦っちゃったりする人だろ?」

唯「え?」

ブラウニー「カッコ見りゃ分かるよ!
       そこの出口から人間たちの集まっている
       ロッポンギに行けるよ!
       奴ら人間にしてはカッコいいんだ」

ブラウニー「まあ言っちゃ悪いがあんたとは
       くらべモンにならないね!
       だけどあんなにカッコいいのに
       地上から逃げてきたらしいんだ」

律「六本木か……!」

唯「ありがとう!行ってみるねぇ~!」

ブラウニー「あ!ここでサボってることは親方には
       内緒だよ!!」


―――旧六本木

[ミュータント・コミュニティー]
[地上の人間入るべからず]


唯「ミュータント?」

梓「環境破壊で突然変異を起こした……
  元は人間だった人達です」

律「センターがな……
  昔地上から追放しちまったんだ」

唯「…………」

……
………

ミュータント「お前ら何しに来た?
        ここはお前らのような普通の
        人間が来る所とは違う
        さっさと立ち去りな!!」

「やめんか……」

ミュータント「長老!」

ミュータント長老「地上の人間よ……ここに来たということは……」

唯「?」

唯「あの!私達アバドンを倒さないといけないんです!!」

長老「な、なんじゃと!?……その刀は坤竜丸!!
    ただごとではなさそうじゃの」

長老「この奥にヒルコ様がおられる……
    あの御方ならきっと力になってくれるはずじゃ
    ……ヒルコ様が心を開けばな」

唯「……?」

梓「行きましょう、唯先輩!」

唯「あ!う、うん!!」

……
………

ミュータント「なんだ!お前らは!!」

……!?来るな!!私に近づくなあああ……

ミュータント「帰れ!おとなしく帰らぬと
        ただではすまんぞ!!」

律「ちょ…ちょっと待ってくれ!!私達は
  アバドンを探してるんだ!!
  ヒルコって人に話を聞きたいだけだよ!」

……!?……アバドンだと?………

……入れ……そこにいる者……

ミュータント「ヒ、ヒルコ様!?」

……
………

ヒルコ「お前達は私の命を狙う者
    ではないようだな……
    地下世界に来た人間か…」

ヒルコ「さきほどアバドンとか申しておったな」

律唯梓「アバドンをヴァルハラが探して飲み込まれちゃった
     地下世界に来たんだ倒さないと!!」

ヒルコ「いっぺんに喋るでない……」

……
………

ヒルコ「そうか……
    残念ながら魔王アバドンは地下世界にはおらん……」

唯「そ~なの~!!?」

律「じゃああたし達何しにここへ来たんだ……」

ヒルコ「今こそ復活の時か……」

梓「?」

ヒルコ「1つ頼み事を聞いてくれんか?」

唯「は、はい!」

律「おい……唯」

ヒルコ「そうか、聞いてくれるか唯とやら」


……将門公を復活させるのだ
トウキョウの守り神平将門公は
その身体を6つに引き裂かれたのだ
大和神族の間のいさかいが
公を犠牲にしてしまった

……大和の地はイズモのオオクニヌシ
の国ゆずり以来天津神が国津神の
上に位して治めるところであった
だが世紀末を迎え悪魔の群れが
大和にも現れ混乱をまき起こすと
国津神たちは好機と考えた
長く地の神にあまんじた
自らの地位を覆す好機だと

……そして国津神たちは天津神たちを
封印し大和の地を再び手に
するはずであった
ところが国津神の悲願は
悪魔たちに利用されてしまった
将門公はバラバラに引き裂かれ
国津神たちもこの地下世界の
ほこらに封印されてしまった

……だが国津神たちは
封印される前に密かに公の身体を
集めていた
封印された国津神はそれぞれ
公の身体の部分を持っている
国津神の封印を解き将門公を
復活させねばトウキョウの混乱は
おさまらぬであろう

……天津神を裏切り
悪魔の付け入るスキを作った
この私の罪もつぐなわれぬ……

……魔界の地をを目指すのだ……


律「と、とんでもないことになったな」

梓「でも…アバドンを倒すには魔界に行かないと……」

唯「………」

唯「行こう!!りっちゃん!あずにゃん!!」

唯「もうヴァルハラを救うのは私達しかいないんだよ!」

唯「トウキョウの人達にも……平和になってもらいたい!!」

律「そうだな……」

梓「将門公を復活させましょう!」

唯達はヴァルハラを救うため

そしてトウキョウの混乱を鎮めるため

平 将門を復活させるべく

国津神が封印されているほこらへと向かう


第八章 マサカド!? 完



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最終更新:2011年07月31日 00:45