―――ホーリータウン BAR
澪「おい……私達未成年だろ!
しかもこんなことしてる場合じゃ……」
律「固いこと言わなーいの!マスター!牛乳くれ!」
律「ここは情報が飛び交ってるからな……
何か得られるかもしれないだろ?」
澪「なるほどな……」
梓「あー!!私のお肉食べないでください!!」
唯「腹が減っては戦ができぬだよあずにゃん!」
梓「だからって人の分まで……ダメです!
これは絶対ダメ!楽しみに取って……」
澪「………」
……街頭テレビを見たか?……
……地下世界の……
律「………」
……おい!おかわりまだか……
……ファクトリーの歌……
澪「!!」
律「澪、行くぞ!」
律「おい、その話詳しく聞かせてくれ!!」
男「なんだぁ~!?」
男「話が聞きたいならこれっ!もう一杯!
おごってもらおうか」
澪「マスター!」
……
………
男「どうもありがとよ!
それじゃあ話を聞かせてやろう
ファクトリーに流れてるのは聞く者の心を
奪うというセイレーンの歌さ」
男「セイレーンは魔界で恋人と幸せに
暮らしていたのを引き離され
ファクトリーに連れてこられたんだ
それ以来ファクトリーにはセイレーンの
歌が流れそこの人々は操られて
暮らすようになった」
男「だがセイレーンには人々を操るつもりは無く
ただ悲しみのあまり歌っているだけなのさ……」
男「もう一つ教えてやろう……
魔界で思い出したんだが
大教会で人形を使って魔界へ行こうと
している奴がいるらしい……」
律「!!」
律「唯!!ちょっと来い!!」
澪「梓も!!」
……大好物は一番最初に食べるのが……
……いいえ!違います!!最後まで大事に……
律澪「お前らいい加減にしろっ」
ゴスッ
ゴンッ
―――大教会
男「何?俺がここで何をしてるか知りたいのか?」
男「俺ははだな……魔界へ行こうという
高い志をもった男なのだ
……まだ成功はしていないがな
お前達も魔界へ行く方法を
知りたいのか?」
澪「ぜひ教えてもらいたいです!!」
男「そうか、お前達も高い志を持っているのだな」
男「では教えてやろう
不思議な力を持った人形4体を集め
その人形を現界と魔界が
近づいている場所に置く……
すると魔界の入口が開くのだ
ところが俺は4体のうち
たったの1体しか集められなかった
……というわけで
おれが持ってる”ねむるにんぎょう”
どうだい?欲しいかい?」
律「ね、眠る人形!!」
唯「ジャンク屋さんが言ってたやつだ!」
唯「私達も実は……」
男「こりゃたまげた!!3体揃ってるじゃないか!!
負けたよ……
魔界へ行くというおれの志はお前達に託した!」
男「このねむるにんぎょうをあげよう……
じゃあ頑張れよ!
実験室はこの真上の部屋だ」
男は去っていった
律「よーし!人形を使ってってのがちょっと
怪しいけど……やってみる価値アリだな!」
……
………
唯「じゃあ、置くよ?」
澪「あぁ……」
唯は4体の人形を順番にセットした
カッ――――――!!
壁に次元の裂け目が出現し……
魔界への入り口が開いた
澪「………で?」
律「と、飛び込めってか……」
唯「私……行ってみる!!」
梓「ゆ、唯先輩!?」
唯「おっ先ぃ~!」ぴょんっ
シュンッ……
澪「消えた……」
澪「待って唯!!私も行く!!」ぴょん
シュンッ……
梓「………」
律「どーした梓」
梓「ほ、ホントに飛び込むんですか?」
律「行くしかないだろ」
梓「これ……この下どうなってるんですか?
高い所は……無理なんです」
律「上とか下とかあるのかな?
転送ターミナルだと思えば大丈夫だ!」
梓「そんな無茶な……ちょっと心の準b」
律「いーから早く行け」ゲシッ
梓「アッー!」
シュンッ……
律「ったく……」ぴょん
シュン……
ファクトリーの人々を洗脳していたのは
セイレーンの歌だった
唯達は引き裂かれたという
セイレーンの恋人を探すべく
次元の裂け目より魔界へ旅立つ
第10章 ウタノキモチ! 完
律「わああああ!!」
ドシン!
律「っててて……」
澪「これでみんな揃ったな」
梓「きゅう……」
唯「りっちゃん!あずにゃんだけが
頭から落ちてきたんだけど……」
律「え?だ、大丈夫か梓!?」
律(梓スマン!)
第十一章 ワタシハダレ?
―――魔界の離れ小島
澪「ここが……魔界?」
律「……の割には何もないな」
唯「ねーねー!海が真っ黒だよ!!」
梓「ホントですね……」
澪「とりあえずあたりを散策してみよう!」
……
………
梓「あそこに誰かいるみたいです!」
唯「おーーい!!」
ガイコツ男「なんだ……人間か
どうやってここへ来たか知らんが……」
ガイコツ男「今日は人間がよく来る日だ……」
律「え!?あたし達の他にも誰かここへ来たのか!?」
ガイコツ男「あぁ…ここから東の方へ歩いて行った
不思議な奴だったぜ」
澪「気になるな……行ってみよう!」
……
………
唯「ちょ…ちょっと……休もうよ~」
律「こう道が険しいとさすがに疲れるな……」
澪「しょうがない……ちょっと休憩しようか」
唯「もぅ~だめぇ~~」パタッ
「ふふ……大丈夫か?ユイ・ヒラサワ」
唯「ふぇ!?」
律「な……ルイ・サイファー!どうしてここに……」
ルイ・サイファー「こんなところで会うとはね
ユイ・ヒラサワ……
よく魔界まで来たものだ」
ルイ・サイファー「だが君達はここへ裏口を通って
来たようなもの
まぁこの次は正面から来れるよう
頑張りたまえ」
澪「裏口だって?なんでそんなことが……何者だ?」
ルイ・サイファー「そうだ……この先の岬に物悲しそうな男が
佇んでたよ……セイレーンのことをぼやいてた」
ルイ・サイファー「では…また会おう……」
梓「あの人……どうやって魔界へ来たんでしょう?」
唯「………」
澪「と、とにかく岬へ行ってみよう!!」
―――小島の岬
男「…………」
律「おい!あんた!!」
男「人間……あなた達は現世から来たのですか?
私はぺテルセンと申します
現世に連れ去られた私の恋人をご存知ありませんか?」
澪「セイレーンだな?」
ぺテルセン「!!……私の恋人なんです!!」
ぺテルセン「私の恋人セイレーンは何者かに
現世に連れ去られてしまいました……
彼女の歌で人々を思うままに
操ろうというのでしょう」
ぺテルセン「実は私も元々彼女の歌で虜に
されたのですが二人はいつしか
愛しあうようになりました
長い間……二人一緒でした」
唯「………」
ぺテルセン「私はすでに霊魂のみになっていて
何もできません
それが悲しい…悔しい……
ぜひ彼女の元へ連れていって下さい!
お願いします!!」
唯「うん……行こう」
ぺテルセン「あ、ありがとうございます!」
唯「セイレーンさんの歌から……凄く悲しい気持ちが
伝わってきた……
きっとぺテルセンさんのこと想って歌い続けてたんだと思う」
唯「ずっと…ずっと……」
ぺテルセン「…………」
……
………
唯「あっ!あったあった!!」
唯「この空気がモヤモヤしてるところから来たんだよね?」
律「こんなに岬から近かったか?」
梓「なんか違うような……」
唯「早くセイレーンさんに会おうよ!ぺテルセンさん!」ぴょん
澪「ばか!唯!!」
シュンッ…
律「あちゃ~……後を追うぞ!!」
シュンッ…
……
………
唯「おーいみんなー!!」
律「ここは……?」
梓「なんですかここは!?」
澪「ミレニアム…か……?」
梓「な、なんで魔界に繋がってるんですか!?」
澪「原因はよくわからないが……」
唯「あそこの建物はなんだろーね?」
律「行ってみようぜ」
……
………
唯「何……これ……」
そこには何人もの白衣をきた人間が椅子に座り
頭には赤や緑…何本もの配線が接続されていた
律「しし、死んでるのか?」
男「う……平和に暮らせるのは…
理想の……」
澪「ま、まさか…そんな……」
梓「澪先輩?」
澪「上だ!この建物の上に行くぞ!!」
律「な、なんだってんだ……」
プシューッ
澪「やっぱりな……」
唯「!?」
律「ム・ムギ……なのか?」
紬「」コー… コー…
唯達はそれが紬だとわかるまで時間を要した
アルカディアで見た紬とはまるで外見が異なっていたからだ
マシンに包まれた紬の体は
下半身が無く
呼吸器を付けられ
後頭部には太い配線が接続されていた……
唯「ム、ムギちゃん……?」
唯「ム……ひっ!?」
唯「紬ちゃんの頭……」
唯は紬の後頭部を見て絶句した
USBポートのようなものが付いていたのだ
配線はそこにしっかりと接続されていた
律「………」
―――見たわね―――
唯「え!?」
紬「」コー… コー…
その瞬間
マシンの後ろにあるモニターに
紬の顔が映し出された
アルカディアで見た紬の顔だ
―――見てしまったわね…私のエリアの真の姿を―――
唯「え……ってことは」
澪「あぁ…どうやらここはアルカディアのようだ」
梓「嘘!!?」
―――ご覧の通りここは真の理想世界じゃないわ―――
―――仮想現実という名の偽り……―――
偽りでも人々が望む平和な
世界を与えるのはいけない事!?
みんなが信じたい事
それが真実なの……
―――待ってて……―――
ブツッ
映像は途切れた
紬「ん……」コー…
唯「ムギちゃん……」
紬「お願い……」コー…
紬「こんな…姿……見ないで…」コー…
無表情の紬の目から涙が流れる
紬「どうせ…私は失敗作……」
紬「知能だけが私の取り柄……」
唯「え……」
紬「こんな体だから……アルカディアの建設に
利用された……」
紬「死にたくても……死ねないの…」
紬「それなら…いっそアルカディアに……」
紬「この世界の私は……
羽をもがれた鳥同然……」
紬「仮想現実なら……私はなんでもできる…」
紬「アルカディアは……私に翼を与えてくれる……」
紬「こんな世界で……生きて……いたくない…」
紬「どうせなら……まともな体に作って…ほし…」
唯「どういうこと!?」
澪「やめろ……唯」
澪「もういいよ……」
澪「ムギ……アルカディアの人達を守ってやってくれ」
紬「………」コクッ
紬「」コー… コー…
最終更新:2011年07月31日 00:51