ゴゴゴゴゴォォ―――――

梓「な、なんの音ですか!?」

律「おい!! 外を見てみろ!!」

ルシファー「サタンめ……箱舟を使うつもりか」

唯「ルシファー!! どういうこと!?」

ルシファー「神が天使たちに作らせた……
       新世界を作るため選ばれた民を乗せる『箱舟』……
       遅かったか……サタンめ……箱舟で飛び立ち
       『メギドアーク』を使うつもりだな」

唯「え!?」

ルシファー「『メギドアーク』は神の裁きを実現する兵器だ
       あれが地上に放たれれば……
       あらゆる生命は死滅する」

ルシファー「神はミレニアムも地下も魔界も
       見捨てたというわけだ……」

唯「ダメ!! みんなを死なせなんかしない!!」

律「それよりも!! 澪が……
  澪がサタンってどういうことなんだよ!!」

ルシファー「説明している時間が無い!……行けばわかる
       じきにここは九頭竜が破壊するぞ」

ルシファー「ベルゼブブ!」

ベルゼブブ「はい、ここに」

ルシファー「箱舟へ乗り込むぞ! もちろんユイ達もだ
       力を貸せ……飛び立つぞ!!」

ベルゼブブ「はっ」

ルシファー「行くぞ……」

シュンッ……

唯達はルシファーとベルゼブブの魔力により

光に包まれ箱舟へと飛び立つ

唯達は箱舟へ向かう間

轟音の中、九頭竜がセンターを破壊するのが見えた

シュンッ……

ルシファー「ここが箱舟か……
       時間が無い……先を急ぐぞ!!」

―――箱舟

梓「え……唯先輩! 窓の外を見てください!
  ここは……」

唯「宇宙……!?」

律「澪がサタンだっただなんて……嘘だ!! 
   嘘だああぁぁっ!!」ガン

梓「澪先輩と戦わなきゃいけないなんて……」

唯「でも…サタンを止めないとみんな死んじゃう!」

唯「もう……終わらせたい……」

梓「唯先輩?」

唯「戦うのを……終わらせたい……」

ルシファー「我々の未来を賭けた
       決戦の時だ……覚悟はよいか」

唯「……みんな! 行こう!」

……
………

ルシファー「ここだな……」

「唯か? ……入れ」

唯「澪ちゃん!!」

プシューッ

ベルゼブブ「サタン!!」

ルシファー「ここまでだ……」

サタン/澪「魔王を従えてやってきたか……唯」

律「澪!! お前がサタンだっただなんて……!!
  どうして……」

律の目から大粒の涙がこぼれ落ちる

サタン/澪「唯、律、梓……
       お前達もそうだが私はセンターの
       計画に従って造られた人間だ
       澪だった私が
       紬よりも
       律よりも
       梓よりも
       そして唯、君よりも優れていたのはなぜか?」

サタン/ 澪「……神は
       TOKYOミレニアムを見捨てていた
       今の人間がいる限り理想の世界は
       実現不可能だと知っていたんだ
       だから……メシア教徒や天使たちが
       理想世界『千年王国』を創ろうとしても
       神は救世主をつかわさなかった」

サタン/澪「センター元老院は現れない救世主を
       自分たちで造ろうとした
       それが『メシア・プロジェクト』……」

唯「メシア……プロジェクト……?」

サタン/澪「プロジェクト5番目の人間
       『秋山 澪』、つまり私の
       能力は最も優れていたはずだった……」

サタン/澪「なぜなら私は……神につかわされた
       魂も一緒に体に宿った……
       救世主ではなく、『裁く者サタン』の魂が……
       神は澪の体を使いTOKYOミレニアム……
       大天使たち、人間、悪魔……     
       全てを裁かれようとしている」


サタン/澪「そして…最も強く、神に逆らう人間……
       平沢 唯
       君は本当は誰に造られたか知ってるか?」

唯「え……? どういう……」

ルシファー「……私だ」

唯「ル、ルシファー……?」

ルシファー「正確にはユイ、お前だけは私が造らせた……
       いつか来るであろうこの時のために」

律梓「!!」

……
………

ルイ・サイファー「ユイ・ヒラサワのDNAは?」

医者「はい、ここに」

目加田の曽祖父「よし……これで全員分採取した……」

ルイ・サイファー「ふふふふふ……」

目加田の曽祖父「近い将来……この者たちのデータが
           必ず役に立つ時が来る……」

目加田の曽祖父「そう言ったな? ルイ・サイファー」

医者「め、目加田博士……?」

ルイ・サイファー「あぁ……必ずくる」




……
………

目加田「……目覚めたか……
     君が神の僕となるか…
     悪魔の手先となるか…
     これは大いなる”賭け”だろう
     全ての人間の未来を賭けた……
     では君の名を自分の意のままに
     名乗るがいい」   

ルイ・サイファー(ユイ……ヒラサワ……)

唯「平沢……唯です」

ルイ・サイファー「唯か……良い名を選んだな…ふふふ」

……
………

ルシファー「ユイ……お前には特別な力がある……
       昔にお前と戦って私は感じたのだ
       だが……再生させてもオリジナルには敵わない
       そこで私の力をDNAに宿し
       博士に造らせた……」

ルシファー「神にも逆らい得るデビルバスター
       平沢 唯として……」


唯「そんな………」      

律「だから……時々信じられない力が……」

サタン/澪「唯……私は君を裁く
       君を裁かなければならないのは
       とても残念だ……君には新しい世界に
       行って欲しかった……だがもう遅い」

サタン/澪「う………」ブルブル

唯「澪ちゃん!?」

澪/サタン「ミンナ……ワタシヲ……
       モウ……ワタシ……アアアァ!!」

澪は頭を抱えて呻く

―――ミンナ………―――

澪/サタン「…………」

律「み……澪?」

サタン「唯よ……偽りの救世主ども……
    ついにここまでやってきたか」

唯「!!」

梓「な………」   

サタン「だが、お前はここで
    最期を迎えるのだ
    自分の屍がメギド・アークで焼かれぬ
    幸運を喜ぶがいい……
    それとも世界と共に滅ぶのが望みか?」

ルシファー「サタンよ!メギド・アークは撃たせん!
       理想の世界を創るために全てを
       消し去るような真似は許さんぞ!!」

サタン「ルシファーか……
    九頭龍による真の大破壊という神から
    与えられた使命を忘れ何をしている
    よりによって人間の僕に成り下がるとは」

ベルゼブブ「貴様の好きなようにはさせんぞ……」

サタン「ベルゼブブまで……元は光の神だったお前が……
    堕ちたものだな」

ベルゼブブ「なんだと………」

ルシファー「私の行う破壊は
       悪魔を……そして人間を唯一神の支配から
       解き放ち新たな世界を生み出すためだ!
       かつて私が人間に知恵を与えたのも
       人間を自らに支配させようとしたため
       そして地上は人間の国となったのだ」

サタン「それがどんな結果を呼んだか……
     不完全な人間に知恵を与えたために
     彼らは暴力と破壊に明けくれた……
     それが貴様の狙いだったのか?
     ルシファーよ」

ルシファー「唯一神の手先ふぜいに
       私の考えは到底理解できん」

サタン「そうか……では……
    神の裁きを受け永遠に地獄へ落ちよ!!」

澪の体が青白い炎に包まれ

『裁く者』サタンへと姿を変える


神霊 サタンが 一体出た

唯「澪ちゃんは……どこ?」

律「澪……澪おぉぉぉ!!!」

ルシファー「澪などもうこの世にいない!!目の前を見ろ!!
       こいつが『裁く者』サタンだ!!」

梓「ぐ……澪先輩……!!」

唯「ケルベロス……」

バシュウウゥ……ン

唯「もう……終わりにしよ?
  ………最後の戦いだよ!!」

サタン「地獄の業火に焼かれてみるか?」

サタンの口が青白く光った

ゴゥ……ゴバアァァァァ!!

唯「きゃああああ!!!」

ルシファー「ぐっ!! こらえるのだ!!」

プス……プス……

律「あちちちち……」

梓「な、なんて力なの……」

唯「ここで負けたら……」スラァ

唯「たああ!!」ダッ

ルシファー「無に帰れ! サタン!!」チャキッ

サタン「はっはっは!! 力が溢れてくる!!」

ズドドドドドド

無数の雷が唯達を襲う

唯「あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

律「う………」

ベルゼブブ「つ……強い……」

唯「はぁ……はぁ……」ガクガク

サタン「倒れぬのか? しぶといヤツだ」

ルシファー「今こそ……力を解き放て……ユイ!」

ルシファーは唯の後頭部に手をかざす

ドク…… ドク……

唯「…………」

ルシファー「皆の者!! 立ち上がれ!!
       神の思い通りにさせてはならん!!」

律「ぐ……おおおおお!!」

梓「やって……やるです……」

唯「………」ダッ

パァァァァ

梓(あれ?……唯先輩の背中に……翼が見える?)

バシュッ

サタン「な……ん…だと?」

唯「サタン……裁かれるのは……
  お前だああぁぁぁ!!」

ルシファー「真のプロジェクトが発動したな……」チャキッ

ルシファー「裁く者に対抗し……人間を神の支配から解き放って
       本当の自由をもたらす者の覚醒……」ダッ

―――『M・PROJECT』―――


律「梓!! やるぞ!!」

梓「はい!!」

律「くらえ……!!」

律梓「メギドラオン!!」

カッ―――――!!

サタン「ぬ……ぐ……おおお!!!」

ベルゼブブ「唯!! 頼んだぞ!!
        タルカジャ!!」

ケルベロス「乗れ! 唯! 加速するぞ!!」

ルシファー「はばたけ!」

ダンッ!!

唯「あああああああああああ!!!!」

……
………

サタン「…神の裁きまで…退けて……
    い、一体どうするのだ……
    どこへ行くのだ……」

唯「明日………」

唯「みんなが希望を持って生きていけるような……
  『明日』に行くの」

サタン「ふふ……ふ……
    させるものか……」ガチャッ

サタン「」

―――ジバクソウチガサドウシマシタ―――

律「おい!! なんだこれ!!」

ルシファー「サタンめ……」

―――クリカエシマス
     ジバクソウチガサドウシマシタ
     イチジカンゴ二コノフネハハイキサレマス
     ジョウインハダッシュツポッド二ノリタダチニ……

唯「な、なんとかしないと……」


―――汝ら……―――

ルシファー「!!」

律「な、なんだこいつは……」

突如唯達の目の前に現れたのは……

宙に浮く光り輝く玉を

円を作るように囲んでいる無数の顔だった

ルシファー「神の分霊『ツァバト』……まさか……」


―――なぜ汝らがここにいるのだ?

    新しい世界を悪意と暴力で満たし

    破壊しないよう神を敬い従う

    より優れた人間を選び出したはず

    破壊と殺生をただ繰り返し

    邪教の技により悪魔を合体させ続ける

    罪深き者は死あるのみ!

ルシファー「まさか……この先に……」

唯「な…何事!?」

ルシファー「ユイ……どうやら戦いはまだ終わってないようだ」

ルシファー「この先へ進まねばならない」

律「時間が無いぞ!!」

ベルゼブブ「ルシファー様……ここは私が食い止めます……」

ルシファー「ベルゼブブ……」

ベルゼブブ「ルシファー様はこの先へ!!
       唯達も行くのだ!!」

ケルベロス「俺も付き合うぜ……」

唯「ケルベロス!?」

ケルベロス「行け!! 時間が無い!!」

ルシファー「すまない……行くぞユイ!」

プシューッ

ケルベロス「唯……短い間だったが……
        楽しかったぜ……」」

ベルゼブブ「足を引っ張るなよ魔獣ふぜいが」

ケルベロス「言ってくれる……」

ベルゼブブ「ツァバトよ……お前の相手は
        この魔王 ベルゼブブだ」

―――悪魔よ……地獄へ堕ちるがいい―――


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最終更新:2011年07月31日 01:06