~1時間後~
「……はあ、……はあ、ゆい先輩……なかなかやりますね」
「……はあ、……はあ、あずにゃんこそ」
「……少し、やりすぎましたね」
「うん」
また、汗かいちゃった。もう一回お風呂に行こう。
「ゆい先輩も行きますか?」
「お風呂?うん、行く~」
私達は再び、お風呂に。……さっき入ったばかりですが。なにやってるんでしょうね、私達。そういえば、さっきの人達に、私達について、どんな関係かって聞いてきましたね。ポケモンとトレーナー?なんか違いますね。友達?それも違いますね。ちょっと恥ずかしいですけど、友達以上?それもちょっと違いますね。
「絆!!」
「わっ。突然なんですか」
「なんとなくふさわしいかなって」
「意味が分かりません」
「あー、また、あの子達だ」
「あ、さっきのお姉さん達だ~」
「君達もまたお風呂に入るの?」
「は、はい。あなた達もですか」
「うん。じゃあ、一緒に……」
「な、なんですか。ま、まさか、また」
「大丈夫、優しくしてあげるから。ね、ゆいちゃん」
「うん」
「え、何で、同意してるんですか、ゆい先輩。私はちょっと急用ができたので……って引っ張らないで下さい。にゃーーーーーーーーーー」
「あー、また、疲れました」
「だらしないな~、あずにゃんは」
「誰のせいですか」
「ふぁ~あ。はやく寝ようよ、あずにゃん」
「そうですね、もう寝ましょうか」
それにしても、今日だけでハードでしたね。午前中に、ニビジムでのジムリーダー戦。ちょっと、休んで、ここまで、歩いて、その後にレベル上げ。さすがに私も眠いです。
ぽんぽん。
「早く寝よ、あずにゃん」
「分かってますよ。急かさないで下さい」
私はゆい先輩の待つベットの中へと入ります。
「おやすみ、あずにゃん」
「おやすみなさい、ゆい先輩」
梓たちが眠りについた頃 おつきみやま・ハナダシティ側
『……ハア……ハア』
2日間ずっと走り続けてきたけど、そろそろ、きつくなってきた。でも、彼らには捕まりたくない。捕まっちゃいけないんだ。
『どこまで、手間をかけさせるんだ。アーボック、ようかいえき』
『マタドガス、ヘドロ攻撃』
くそっ。しつこいな。ボクはなんとか、かわして、逃げ続ける。目の前に洞窟があって、ボクはその中に入る。誰でもいいから、助けてほしい。この先には僕を助けてくれる人はいるのだろうか。
『チッ。厄介なとこに逃げ込みやがって』
『どうしますか』
9人のロケット団員を引き連れた、ボスっぽい男に話しかける。
『そうだな、お前達2人はこのまま、ニビのほうに抜けろ。お前ら5人は洞窟の中を探せ。もしかすると洞窟に潜む可能性もあるからな。後の
2人はおれとともに、ここで待機だ』
『ハイッ』
――――
次の日
「起きて下さい、ゆい先輩」
「う~ん、後、五分~」
「ほら、起きて下さい」
私はゆい先輩を抱っこして、洗面所に連れて行きます。
「サッサと顔を洗って眼を覚まして下さい」
「あう~。分かったよ~」
ビシャビシャ。
「冷たい~」
「さ、ご飯を食べたら、出発しますからね」
「そんなに急がなくてもいいんじゃない?」
「早く行けば、ハナダシティでゆっくりできますからね」
「じゃあ、美味しいものも食べられるんだね」
「そうですね、それもいいかもしれません」
「じゃあ、早く行こう」
私達は朝食後、簡単に準備を済ませ、出発することに。
「じゃあ、出発~」
ゆい先輩は私の頭の上、つまり、肩車をしてる状態ですね。そこで元気よく言います。
「元気なのはいいんですけど、自分で歩いてくださいよ」
「だって、この方が楽チンだもん」
「私が楽じゃないんですけどね。まあ、いいや」
そんなに重くありませんし。
「………ブイ」
「ん?今、何か聞こえませんでしたか?」
「え?別に聞こえなかったけど」
「そうでしょうか」
草むらの方で何か聞こえた気がしたんですけど、気のせいだったんでしょうか?
「………ブイ」
「ほら、やっぱり聞こえました」
「本当だ。あっちだね」
「行ってみましょう」
私達は鳴き声がした方に向かってみました。すると、そこには、
「イーブイです」
「あずにゃん。見て、この子」
私達が見つけたイーブイは首に風呂敷を巻いていて、体中が傷だらけです。
「どうしたんですか。こんなに傷だらけで……」
「あずにゃん、ポケモンセンターに」
「おっと。待ってもらおうか」
そんな声とともに、2人組の男の人が居ます。その人達は黒い服を着ていて、胸には「R」の文字が。まさか……
「あ、あなた達はロケット団!?」
「ロケット団?それってな~に?」
「ポケモンを利用して、あらゆる悪いことをする連中です」
「なにそれ。許せないね」
「これはこれは。可愛いお嬢ちゃんに名前を知られてるなんて、光栄ですな」
「お嬢ちゃん達。大人しく、そのイーブイを渡しな」
「嫌です。こんなにこの子を傷つけるなんて、許せません」
「調子に乗るなよ、クソガキが」
「サッサとよこしやがれ、いけっ、アーボック」
「マタドガス」
くっ。仕方がありません。こちらも、ハッサムとデルビルで……
「待って、あずにゃん。こんな連中、私1人で十分だよ」
「はあ?!なめてんのか、クソガキ。アーボック、かまわねえ。そのクソガキののどを噛み千切れ」
アーボックはゆい先輩ののどめがけて飛び掛りました。
「ゆい先輩、避けて下さい!!」
ゆい先輩は、避けきれずにアーボックの攻撃を受けてしまいました。アーボックはゆい先輩の首を噛み千切ってます。
「……そ、そんな、ゆい先輩……」
「哀れなもんだな。これで分かったろ。サッサと、イーブイを」
「なんか私達に合わない感じの展開だね、あずにゃん」
「な、何!?」
よく見ると、アーボックが噛み千切ってるのはゆい先輩のぬいぐるみです。一体いつの間に……。
「悪い子にはおしおきだね。出てきて、ゆいぐるみ!!」
ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン
いつもどおり、ゆい先輩のぬいぐるみが落ちてきました。
「 ミュージックスタート(Utauyo!!MIRACLEを想像して下さい)」
いつもの通り、音楽が鳴り始めました。前とは違う音楽のようですが。この歌とともに、周りのゆい先輩のヌイグルミが音楽に乗って、アーボックとマタドガスに襲い掛かります。
「何なんだ、この技は」
「くそっ。マタドガス、ヘドロこうげきだ」
マタドガスの攻撃は命中していますが、ゆい先輩のぬいぐるみの数が多いため、対処しきれてません。
「皆、行くよ~」
ゆい先輩が「大好き~」と言う歌詞になると、ゆい先輩のぬいぐるみがアーボックとマタドガスに抱きつきます。
「ゆいちゃん真拳奥義『ゆいぐるみバクダン』」
抱きついてるゆい先輩のぬいぐるみが次々と爆破していきます。
「アボーーーーーーーーー」
「ドガーーーーーーーーー」
「くそっ」
「煙で周りが……」
この爆発で煙が充満して周りが見えにくくなっています。
「今だよ、あずにゃん。早く逃げよう」
「はいです。ほら、ゆい先輩」
私はゆい先輩とイーブイを抱きかかえて、その場を逃げ出しました。
「わ~、あずにゃんから抱っこしてくれるなんて、感激だよ~」
「なにのんきなこと言ってるんですか。どうせ、あずにゃん分が足りない~って言って、倒れちゃうんですから。早く補充して、自分の足で逃げてください。さすがに2匹は辛いですから」
「さすが、あずにゃん。よく分かってるね~。そうだね、キスすれば、すぐに……」
「こんな時に冗談を言わないで下さい」
「これから、どうするの、あずにゃん?」
「一度、ポケモンセンターに戻って、回復をさせましょう。その時に、警察に通報すれば……」
「でも、大丈夫かな?」
「何とかなります」
「何とかなるって、言っても、ポケモンセンターって逆の方向だよ」
「そうですか。……えっ。今なんて……」
「 ポケモンセンターって逆の方向だよ」
「それを先に言って下さいよーーーー」
「くそっ。逃げられたか」
「どうする、隊長に連絡するか」
「そうだな。……写真は撮ったか?」
「ああ、念のためにな」
「その画像も送っておけ。……しかし、通報されると厄介だな」
「大丈夫だろ。あっちはおつきみやまの方角。つまり、袋の鼠だ」
おつきみやま・ハナダシティ側
「報告します。ターゲットは見つけたようですが、10代の女とまだ、幼稚園くらいの女の子に妨害を受けて、捕獲を失敗した模様です」
「……そんなガキどもの妨害で失敗しただと」
「報告によると、幼稚園くらいの女の子は奇怪な技を繰り出すそうです」
「奇怪な技?」
「なんでも、ぬいぐるみを操るそうです」
「わけの分からないことをいうんじゃない。殺してもかまわんから、ターゲットを取り返せ」
「はい」
「報告です。例の少女達の写真が届きました」
「どれどれ。……おい、さっきのは取り消しだ。なるべくなら、生かして捕らえろ」
「どうしてですか?」
「これだけの上玉だ。殺すのはもったいないだろう。おれらのおもちゃにしよう」
「なるほど。ではもう1人の子供は?」
「その手の趣味の奴らに売ればいい。このご時勢だ。高く売れるぞ。こいつの持ってるポケモンも価値のある奴は売って、ないものは兵隊として使用する」
「分かりました」
「この仕事がうまくいけば、組織において、研究所の奴らに貸しを作れるし、おれらに性欲処理道具もできるし、ガキやポケモンを売って、多額の金を得て、戦力もアップもできる。いいこと尽くめじゃないか」
「そして、このまま、幹部に」
「くっくっく。隊員に伝えろ。最初に捕らえた奴からやらせてやるとな」
おつきみやま編 「ロケット団との死闘・前編」終了
最終更新:2011年08月01日 21:33