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「………はあ………はあ。ここまでくれば、大丈夫ですかね」

私達はなんとか、おつきみやまの洞窟に逃げ込みました。

「大丈夫?」

ゆい先輩は傷ついたイーブイを心配そうになでています。

「どうですか、イーブイの様子は?」

「気絶してるよ。とっても、辛そうだから早く治してあげなきゃ」

「そうですね。ちょっと待って下さい」

私はリュックの中から、きずぐすりを取り出します。

「ちょっと、痛いかもしれないですけど、我慢してくださいね」

私はイーブイの傷口にきずぐすりを塗ってあげます。

「これで、簡単に治しましたけど、やっぱりポケモンセンターには行きたいですね。せめて、もう少し、きずぐすりがあればよかったんですけど」

「ちゃんと、準備しなきゃだめだよ、あずにゃん」

「……ゆい先輩の服を買ったり、おやつを買ったりして、お金がきつかったんですけど、ゆい先輩がそういうなら、それを削って、準備のお金に回しますね」

「こういうのは必要最低限にしとくべきだよね、うん」

「まあ、そんなことより、これから、どうしますか」

「どうしよっか」

「………ブイ」

「あ、目を覚ましたよ、あずにゃん」

「ブイ」

「助けてくれてありがとう、だって」

「それはいいんですけど、どうして追われてたんですか?」

「ブイブイ」

「ボクはある研究所で実験材料にされていて、それが嫌で逃げ出してきたんだって」

「実験材料?」

「ブイブイ」

「ボクの首に風呂敷みたいなものが巻かれてましたよね?」

「そういえば、ありましたね」

ここまで逃げて来た時に外してあげたけど、そういえば、何か入ってたような気がします。なんで、確認しないんだっていうと、イーブイの治療が先だったからです。私はリュックからその風呂敷を出してみます。すると、中から、石が3つ出てきました。この石は……?!

「この石ってなんなの、あずにゃん」

「この石は、ほのおのいし、みずのいし、かみなりのいし、といって、ポケモンを進化させる不思議な石なんです」

「なるほど~。私も進化するかな?」

「試してみますか」

それぞれの石をゆい先輩にあててみますがまったく効果はありません。

「何にも起きないね」

「そうですね」

「ブイブイ」

「話を続けてもいいですか、だって」

「すいません。続けて下さい」

「ブイブイ」

「ボクはたくさんの進化の可能性があるのは知ってますか?」

「そういえば、そんな話を聞いたことがあります」

「ブイブイ」

「ボクはそのいしを使えば、サンダース、シャワーズ、ブースターになることができます。でも、本来なら、1つに進化させればおしまいです。そうなの、あずにゃん?」

「そうです。だから、進化のいしを使う時は慎重にしないといけないんです」

「ブイブイ」

「でも、ボクの体は1時間しか進化できないんです」

「え、それって……」

「ブイブイ」

「つまり、ボクはさっき言った3匹のどれに進化したとしても、1時間しかできず、この体、つまり、イーブイに戻ってしまうのです。その力を得るためにたくさんの実験をされました。その結果、僕の仲間もたくさん死にました」

「そんな……」

ポケモンを実験材料にして、こんなひどいことをするなんて、許せません。

「でも、すごい力だね。うらやましいなあ」

「ちょっ、ゆい先輩」

「だって、この力があれば、いろんないい事にもつながるよ。例えば、えーと、この子、1匹で、電気や炎、水も使えるってことでしょ?光熱費がかからないってことだよね。私にはできないことだよ」

「それはそうですけど……。でも、この子は身勝手な人間のためにこうなったんですよ」

「たしかに、そうだけどさ。でも、怨んだって、力がなくなるわけでもないし、そんなの楽しくないよ。だから、この力をいいことに使えるように考えたほうがいいよ」

「!?」

「間違ってはいませんけど」

「ねえ、私達の仲間にならない?あの人達みたいにはしないよ。あずにゃんはいい子だし。あずにゃんのことが信じられないなら、私を信じなよ。これでも、ポケモンだからね」

「ゆい先輩……」

……

「くそっ。どこ行った、あのガキ共」

「こうなったら、俺等が最初に捕まえて、じっくり味わおうぜ」

「!? まずいです。奴らが来ました。逃げないと……」

「そうだね」

私達は急いで逃げようとしたところで……

ツルッ。

「イテッ」

ゆい先輩が転んでしまいました。

「大丈夫ですか、ゆい先輩」

「なんだ、そこにいたのか」

「探したぞ、ガキ共」

さっきの音を聞きつけた、先ほどのロケット団員2人が立っていました。

「さっきのようにはいかんぞ」

ロケット団の2人は、アーボック5匹とマタドガス5匹を連れています。……なんで、こんなに偏ったメンバーなんでしょうか。……なんて、考えてる場合じゃありません。

「来て、デルビル、ハッサム」

「デルビル」

「ハッサム」

「ゆい先輩、デルビルとイーブイを連れて先に進んで下さい」

「え、でも、あずにゃんは?」

「私はハッサムと一緒にここで奴らを食い止めます」

「……でも」

「心配しないで下さい。きっと、無事に戻ってきます」

「……あずにゃん。なんか、ドラマとかの主人公とヒロインみたいだね」

「馬鹿なこと言ってないで、サッサと言ってください」

「馬鹿が。逃がすかよ」

アーボックがゆい先輩に襲い掛かります。

「ハッサム。ゆい先輩を守って。早く行って下さい」

「うん。サムちゃん、あずにゃんを頼んだよ~」

ゆい先輩はイーブイを抱えて、デルビルに跨って奥に逃げて行きました。

「行きましたか。行くよ、ハッサム」

「おもしれえ、1匹でどこまで、持つかな」

「いけ、お前達」

――――

私はビル太とともにおつきみやまの洞窟の出口に向かって、走っていた。ここは、人がよく来るらしく、洞窟内でも、電灯で明るい。

「大丈夫かな、あずにゃん。……ごめんね、ルビ太。2人(?)は重いよね」

「デルビル(これくらいなら、大丈夫です)」

「頑張ってね。君も大丈夫?」

「ブイ(負担になって申し訳ありません)」

「そんな謝り方しないでよ。当然のことをしてるんだし」

「デルビル(!?)」

「わっ。急に止まらないでよ。どうしたの?」

「デルビル(気をつけて下さい。すでに敵がいます)」

「えっ」

私が前を見ると、胸にRって書いた服を着ている、3人組の姿がいました。周りには、アーボック6匹とマタドガス6匹とベトベトン6匹を連れています。……この人達ってこれしかポケモンないのかな?

「くっくっくっ。嬢ちゃん達、サッサと、降参しな」

でも、ピンチにかわりない。

「あれ?もう、1人のお嬢ちゃんがいねえな」

「もしかして、もう、取られちゃったか」

「残念だな~、初めはおれが奪いたかったが」

「まあ、いつでも、できるだろ。なにせ、もうすぐ、俺達の玩具になるんだからな」

「あ、あ、あずにゃんにひどいことするの?」

「あずにゃん?あのお嬢ちゃんのことかい。そうだねえ、お嬢ちゃんが素直にイーブイを渡したら、何もしないでもいいかな」

「い、いやだ。イーブイは渡さないよ。それにあずにゃんにも手を出させないよ」

「まったく、聞き分けのないガキだな。大人を困らせちゃ駄目だよ」

1人のロケット団員が近づいてきます。ど、どうしよう。

「デルビル」

「ルビ太!!」

そのロケット団員にたいして、デルビルがたいあたりを仕掛けました。

「ルビ太、ありがとう。よし、あずにゃんを守るために一緒に頑張ろう」

私は、ギー太を持った。いつものように、ゆいぐるみを出してもいいんだけど、あずにゃん分の消耗が激しいからね。

「やりやがったな、ガキ共。アーボック、かみつけ!」

「いくよ、デルビル。私の力を分けてあげるから」

「デル」

「いっくよ~、ゆいちゃん真拳協力奥義『ふわふわタイム』」

「デルビル」

「なんだ、デルビルの体からオーラが……!?」

「いっけー、ルビ太」

「デル」


――――

「……はあ……はあ」

「大丈夫ですか、ハッサム」

ハッサムは相手がどくタイプということもあり、なんとか、6体を倒すことができました。(はがねタイプにどくタイプの攻撃は効果なし)

「チッ。ならば、アーボック。まきつけ」

「シャーボック」

アーボックは疲れているハッサムの隙をつき、巻きつきます。

「でも、はがねタイプにその技は」

「関係ねえ、おい」

「ああ」

2人組みは私に近づいてきます。

「な、なんですか」

「この方が手っ取り早いだろ」

「くく、観念しろよ」

「……なんて、下劣な」

「ハッサムーーー」

ハッサムは怒りの表情を浮かべて、巻きついてるアーボックを力任せに両手で引き裂いた。

「ハッサム」

ハッサムは引き裂いた、アーボックの返り血を浴び、怒りの目で、ロケット団の2人を睨みつける。


「くそっ。アーボック」

「マタドガス」

残りの3匹がハッサムに襲い掛かります。でも、ハッサムは冷静に手をそいつらに向け、エネルギーがその手に集まっています。これは……

「ハッサム」

ハッサムはそいつらにはかいこうせんを繰り出しました。

「馬鹿な!?」

「また、こんな奴らに……」

ハッサムのはかいこうせんは3匹とともにその2人組も巻き込んでしまいました。

「……はあ……はあ」

まともにくらった、3匹はもちろんのこと、あの2人もノックアウト状態ですね。自業自得です。

「ありがとうございます、ハッサム。少し、休んでいて下さい」

私は、ハッサムをボールに戻し、ゆい先輩を追って奥に走りました。


――――

「デルビル」

「べトーベートーン」

「……はあ……はあ、やったね、ルビ太」

ルビ太は私の歌で力をアップさせたおかげでなんとか、9体は倒せた。後、半分だ。

「後、半分だよ。もう少しだから、頑張って、ルビ太」

「デル」

「さあ、続き行くよー。……あれ?」

ガクッ。

私は次の曲を引こうとしたんだけど、ひざがガクッとなって、膝をついてしまった。こ、こんな時に、あずにゃん分が……。で、でも、私がここで倒れたら、イーブイだけじゃなくて、ルビ太も……。

「やっと、鳴り止んだか。また、出されると厄介だ。サッサと仕留めろ、アーボック」

「シャーボック」

アーボックが私に襲い掛かってきます。……うう、ルビ太はマタドガス達に足止めされてるし、ブイ太は怪我で動けない。まさに、絶体絶命だよ~。

「殺すなよ、アーボック。こいつの力は面白い。研究しだいで我々の力になるかもしれないからな」

「シャーボック」

「……うぅ、助けて、あずにゃ~ん」

「いけっ、ハッサム」

私がなんとか、ゆい先輩達に追いつくと、ゆい先輩がアーボックに襲われそうになっているので、急いで、ハッサムを出しました。

「ハッサム、バレットパンチ」

「ハッサム」

「サムちゃん!!」

ハッサムはそのアーボックをふっ飛ばしました。

「うぅ~、あずにゃ~ん」

ゆい先輩はぎゅう~と抱きついてきます。

「私ね、頑張ったよ。ルビ太と協力して、半分をやつけたんだよ」

「そうですか。よくやりましたね」

ナデナデ。

「えへへ~」

「デル!!」

私達がのんきにしていると、バーンと、デルビルがアーボックに叩きつけられてしまいました。

「こんなことをしてる場合じゃありません。ゆい先輩は下がって……」

「大丈夫だよ、私は。今ので十分にあずにゃん分が溜まったからね。皆、下がっていいよ。後は私がやつけてあげる」

「……分かりました。戻って、デルビル」

私は、デルビルをボールに戻しました。


―――

「なんだ、無事なのか」

「ってことは、おれらにもチャンスがあるってことか」

「だが、あいつらは強いぞ」

「へっ。こっちは後9匹だ。オラ、サッサとトドメをさせ」

「私とあずにゃんがそろえば、無敵なんだよ~。出てきて、ゆいぐるみ」

ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン。

「ゆい先輩。さっきの技は出さないで下さい。爆破したら、洞窟なので、危ないですから」

「分かってるよ。あずにゃんは何の曲がいい?」

「何がいいって言われても、どんなのがあるか分かりませんですけど。じゃあ、とりあえず、ういを倒した技で」

「分かったよ~、ミュージックスタート(GO!GO!MANIACを想像して下さい)」

ゆい先輩のぬいぐるみがいつも通りに敵に群がっていきます。

「これが報告にあった、ぬいぐるみの攻撃か……!?」

「おれらにも群がってきてるぞ」

いつ見ても、すごい光景ですね~。ぬいぐるみとはいえ、ゆい先輩がたくさん群がっているんですから。私に群がったらどうなるんでしょうかね。皆が『あずにゃん、あずにゃん』って言って。って何考えてるんでしょうかね。

「さあ、皆、3列に並んで~。ゆいちゃん真拳奥義『突撃☆ゆいちゃんパレード』」

ゆい先輩の号令で3列に並び、ぬいぐるみはういの時よりも早く、敵に突っ込んでいきます。

「ギャ-‐--‐--------」

「糞がーーーーーーーーーーーー」

「覚えてろよーーーーーーーーーー」

三人のロケット団員も巻き込み、全ての敵を粉砕しました。訳の分からない技ですけど、威力は抜群ですね。

「さ、今のうちだよ」

「はい。行きますよ、ゆい先輩、イーブイ」

私はハッサムをボールに戻し、2匹(?)を素早く抱きかかえて、出口の方角に向かって走ります。

「こっちでいいの?」

「多分そうだと思います」

私は、全力で走り抜けました。もし、ゆい先輩とのんびり行ってたら、多分、1日じゃ無理でしたね。なんて、頭の片隅で考えてたら、太陽の光が見えてきました。

「あずにゃん、出口だよ」

「はいです」

私は限界が近い体に気合を入れ、出口を駆け抜け、おつきみやまの洞窟を抜けました。よし、このまま、ハナダシティまで行って、ポケモンセンターに……。


「待ってたぜ、ガキ共」

「!?」


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最終更新:2011年08月01日 21:35