「「「すいませんでした」」」

「分かればいいんです」

私はしばらく我を忘れて怒ってしまいました。……まったく、マサキさんまで。

「ごめんね、あずにゃん。ロリコンは正義だよね」

「……ゆい先輩」

私はゆい先輩の頬を引っ張ります。

「いらいふぉ、あすにゃん」

「君達は面白いね。このまま、芸人にでもなればいいんじゃないか」

「何を言い出すんですか」

「ごめん、ごめん。そういえば、ちょうどいい。君達なら、この子を任せられそうだ」

「なんか、くれるのか?」

「実は先日ジョウト地方から、あるポケモンをもらってね。このまま、家においておくのもいいんだけど、もったいないからね。
ちょうど引き取り先を探していたんだ」

「どんなポケモンなんです?」

「これだよ」

そう言って、ボールから出したのは黒い猫みたいなポケモンです。確かにカントーのポケモンじゃないですね。

「これはニューラというポケモンなんだ」

「可愛いね~。猫みたいだし、あずにゃんにぴったりだよ」

「ちょっと待て。別に梓がもらうって決まったわけじゃないだろ」

「そうだね。悪いんだけど1匹しかいないから、話し合うなりで決めてくれると助かるんだけど」

「むむ。りっちゃん。ここはあずにゃんのために退くべきじゃないかな?」

「ゆいだって、私に譲れば、梓にもっと甘えられるぞ」

「早くもヒートアップしてるね」

「トレーナーのはずの私は置いてかれてますけどね」

「よし!!じゃあ、ゆい。私が勝ったら、そのポケモンは私がもらって、梓は私と旅をするっていうのはどうだ」

「望むところだよ!私が勝ったら、その子とあずにゃんをもらうよ」

「え、なんか、話が変わってませんか?」

「君はもてるんだね」

「私が?まさか~。2人とも、私をマスコットかなんかと思ってるんですよ」

「……君は本気で言ってるのかい?」

「はい?何か間違ってますか?」

「いや。……あの2人が不憫だ」

「?」


とりあえず、ニューラをかけて、勝負をすることに。

「あずにゃん、ボールを貸しなさい」

「はい?ゆい先輩が戦うんですか?」

「この勝負は私のあずにゃんへの愛を確かめる戦いなんだよ」

「……また、愛とかなんか言わないで下さいよ」

とりあえず、ゆい先輩にボールを渡します。

「勝負だよ、りっちゃん」

「望むところだ」

「使用ポケモンは3対3。形式は総当たり戦。準備はよろしいかな?」

審判はマサキさんが行います。

「うん。いつでもいいよ~」

「こっちもだ」

「では……」

「「「バトル開始!!」」」

「出て来い、サワムラー」

「出て来て、ブイ太」

「サワムラーとイーブイか。これはサワムラーかな」

「いえ、私のイーブイは……かくかくしかじか」

「……ひどいことをするものだな」

「ええ」

「ブイ太。今回はこれだよ」

ゆい先輩はかみなりの石を当てます。すると、イーブイはサンダースに進化しました。

「のんきにしてると痛い目を見るぜ。サワムラー、まずはゴムゴムのムチだ」

サワムラーはどこかの海賊漫画の主人公が出す技を出し始めました。

「しゃがんで」

すんでのところで、サンダースはしゃがんでかわします。

「反撃だよ。こうそくいどうで、サワムラーの胸元に入り込んで、十万ボルトだ」

サンダースは10m近くあった距離を一瞬で、サワムラーのところまで到達し、十万ボルトをサワムラーに浴びせます。

「ムラーー」

「よし、効いてるよ」

「あまいな」

サワムラーは十万ボルトを受けてるのもかまわずに、まわしげりをサンダースに仕掛けます。

「ダース」

その攻撃を避けきれず、サンダースはまともに喰らって、5メートルも吹っ飛ばされました。

「サワムラ」

サワムラーは倒れてる、サンダースに膝で追撃を喰らわせようとしますが、なんとか、転がって、サンダースはかわします。

「よし、距離をとって、ブイ太」

サンダースは素早く距離をとる。サンダースの素早さの方がサワムラーよりも早い。

「ブイ太。こうそくいどうでサワムラーの周りを回りながら、かげぶんしん!」

サンダースはサワムラーの周りを忍者のように分身しながら回ります。

「まったく関係ないな。サワムラー」

サワムラーは足を伸ばして、サンダースが回ってるところに足を置き、まわしげりを仕掛けます。なるほど。これなら、サンダースがいくら早くても、関係ないですね。

「そうくるのを待ってたよ。ブイ太」

サンダースはかげぶんしんをやめ、サワムラーの足元に向かって、突撃します。

「ブイ太、かみついて!!」

サワムラーの足をサンダースがかみつきます。

「無駄だぜ。接近戦なら、サワムラーの方が強いぜ」

サワムラーはまわしげりをしていた片方の足を上に振り上げました。

「いけ、サワムラー。ゴムゴムの斧ーーーーーー」

「今だ、ブイ太。かみなりだーーーーーーーー」

サンダースは振り上げてるサワムラーの足にかみなりを落としました。例えるなら、避雷針みたいな感じですか。

「ムラーーーーーーーーーー」

サワムラーは感電しながらも、サンダースに向かって、足を振り落とします。かみついているサンダースの背中にサワムラーの足が振り下ろされ、サンダースはそのまま、地面に叩きつけられ、あまりの威力で地面にめり込んでしまいました。

「どっちが勝ったんでしょうか」

「うむ」

地面にめり込んでいるサンダースはが何とか立ちますが倒れてしまいました。サワムラーはなんとか、立っています。

「サンダース戦闘不能。よって、サワムラーの勝利。律選手に1ポイント」

「へっ。まずは1勝だな」

「まだ、勝負は始まったばかりだよ」

「次も私の勝ちだ。いけっ、ニョロゾ」

「頑張ってね、サムちゃん」

「ニョロゾとハッサムか」

「ハッサムは私のメンバーでも特に強いんですよ」

「なるほど」

「まずは先制だよ。バレットパンチ!」

「かわせ、ニョロゾ」

ニョロゾの反応よりも素早く、ハッサムの攻撃は決まりました。

「まだだよ、サムちゃん」

「ハッサム」

ハッサムは、ひるむニョロゾにメタルクローの連打を浴びせます。

「くそ。みずのはどうだ」

連打に苦しむニョロゾはなんとか、反撃し、ハッサムを少しふっ飛ばします。

「ハッサム」

しかし、ハッサムはひるまずに自分のはさみをクロスさせ、ニョロゾに突撃します。

「ニョロゾ、避けろ!!」

「残念だけど、あの、ニョロゾと君のハッサムじゃ、実力が違いすぎるね。よく育てたね」

「ありがとうございます」

ニョロゾは避けきれず、ハッサムのシザークロスをまともに受け、上に吹っ飛ばされました。

「ニョロゾー」

バーン。

地面に叩きつけられました。目をグルグル回しています。

「ニョロゾ、戦闘不能。ハッサムの勝ち。ゆい選手に1ポイント」


「1対1ですか」

「次で決着だね」

「さて、次はいよいよ、私の番だよ。あずにゃん、ボールを持ってて」

ゆい先輩は私にボールを渡します。

「さあ、来い。りっちゃん」

「じゃあ、因縁の相手と行くか」

因縁の相手というと、私と律先輩が初めて、戦った時に出したポケモン。つまりはヒトカゲですか。

「ふん。私に負けたポケモンだね。何度でもかかってきなさいな。私が何度でも粉砕してあげるよ」

「へらず口を叩けるのも今のうちだぜ。いけっ、リザード」

「リザード」

「進化したんですか」

「当たり前だろ」

「ふ、ふん。進化したって私の敵じゃないよ」

ジリジリ。

「なんで、あとずさってるんですか」

「だ、だって、怖いよ。あの子」

「サッサと蹴散らせ。きりさくこうげきだ」

「ヒイ」

ゆい先輩は何とかかわすも、地面は30cmくらいえぐれています。

「どうした、ゆい」

「………怖いよ~」

ピョコピョコっとゆい先輩は逃げ出しました。

「くそ、追え、リザード」

「リザド」

「わっ。追いかけてきたよ。た~す~け~て~」

一生懸命逃げるゆい先輩に追いかけるリザード。なんていうか、ガキ大将に追われる、眼鏡をかけた小学生みたいな感じで、グダグダです。

「リザード、ほのおのうずで逃げ道をふさげ」

リザードはほのおのうずでゆい先輩の周りに炎を出します。

「あつっ!これじゃあ、逃げられないよ」

「今だ、きりさけ!」

「しまった!」

「ゆい先輩!」

リザードのきりさく攻撃は見事にゆい先輩のお腹から真っ二つに引き裂きました。

バタ。

空中に浮いていた、ゆい先輩の上半身が地面に落ちます。

「……ごめんな、ゆい。これも勝負なんだ。マサキさん」

「ああ。ゆいせんと……」

「まだ終わってないよ!」

「何!?」

「どこにいるんだ」

「上だよ~」

上を見ると、ゆい先輩がジャンプをしていて落下してきています。

「サチッ」

「え。じゃあ、これは?」

「それはゆいぐるみだよ。名づけて、ゆいちゃん真拳奥義『身代わりの術』」

「そのまんまだな、おい」

「まるで、忍者みたいだね、君のポケモンは」

「そうですね。私でもまったく理解できません」

「さて、今度はこっちの番だよ。いくよ、ギー太。D・Dモードだよ」

D・Dモード?初めて聞きますね。

「どうせ、ギターの音だろ?弾かせる前に攻撃だ、リザード」

「チッチッチ。そんなもんじゃないよ。ゆいちゃん真拳奥義『ゆい戯王デェルモンスターズ』」

「ゆい戯王!?」

「………はあ。また訳の分からない技を……」

ゆい先輩はカードをギターにセットしました。

「まずはデッキから、カードを五枚ドロー。さて、まずは私のターンから。カードを1枚ドローするよ。……うん、まずはこのカードを召喚だ!」

ゆい先輩はカードをギターにセットします。……どんな仕組みなんでしょうね、あれ。

「なんだ、あれ。カードが実体化した」

カードが実体化したのはいいんですけど、あれって私に似てません?

「ふっふっふ。私が召喚したのはあずにゃんだよ」

やっぱり。

「そして、私は装備魔法『ネコミミ』を装備するよ。ターンエンド」


「訳の分からない技を使いやがって」

「さて、りっちゃん。私を攻撃するにはあずにゃんを攻撃しなきゃいけないけど、りっちゃんにできるかな?」

「……くっ」

「普通に攻撃すればいいのに。どうしたんでしょうか?」

「………それは好きな人を攻撃はできないだろうね。たとえ、立体映像でもね」

「はい?何か言いましたか?」

「いや、なんでも」

「かまうもんか、リザード、きりさく攻撃だ」

リザードは『私』に向かって攻撃を仕掛けます。

「これで、終わりだ!!」

「それはどうかな?」

「何!?」

「ネコミミをつけたあずにゃんの効果を発動。相手の攻撃対象になった時、その可愛さから、相手のモンスターの物理攻撃力をゼロにする」

「リザード」

目がハートマークになって攻撃が鈍ってます。

「反撃。あずにゃんパンチ!」

「リザード」

リザードは反撃を受け、5m吹き飛ばされました。

「りっちゃん、お前、弱いだろ」

「何だと!」

「まさしく、最終戦という名にふさわしい戦いだね、中野さん」

「どこがですか?」

「私のターン。……引いたよ、キーカードを」

「何を引いたんだ!?」

「私が引いたカードは………封印されしユイゾディア!!」

「封印されしユイゾディアだと!馬鹿な、奇跡を起こしたというのか!!」

「そういえば聞いたことがある。手札に封印されしユイゾディア、制服、黒タイツ、ギー太、ヘアピンの5枚のカードがそろった時、強大な力が生まれると………」

「え!?何を解説しだしてるんですか!?」

手札をギターに1枚ずつセットし、巨大などこかの制服を着たゆい先輩が出て来ました。

「くらえ、ゆいちゃん真拳奥義『怒りの業火、ゆいゾート・フレイム』」

巨大なゆい先輩のギターから、火炎放射みたいなビームを出し、リザードに直撃し、15mくらいふっ飛ばされました。

「私の勝ちだね、りっちゃん」

「くっ。だが、まだまだだぜ」

「リザード」

傷つきながらも何とか立ち上がるリザード。……なんていうか不憫ですね。


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最終更新:2011年08月02日 01:19