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『くらえ、ゆいちゃんパンチ』

『やられたわ~』

『どうだ、ゆいちゃんキック』

『くそ。まいった』

『トドメだよ、ゆいちゃんビーム』

『うわ、降参だよ』

『やった~、これでポケモンリーグ優勝だよ~』

『ありがとうございます、ゆい先輩。ゆい先輩のおかげで、優勝することが出来ました』

ナデナデ。

『えへへ~』

『それで、あの、ゆい先輩に言わなきゃいけないことがあるんです』

『なんだい?なんでも言いなよ』

『……実は前から、ゆい先輩のことが好きでした』

『……あずにゃん。それは私もだよ』

『ゆい先輩』

『あずにゃん』

私とあずにゃんの唇が1つになる。


ってなるためにも、私は、澪ちゃん、りっちゃん、ムギちゃんっていう(恋の)ライバル達を倒さなきゃ、いけないのに。それにあずにゃんだって心配してるよ。大丈夫だよって、安心させてあげたいのに、体に力が出ないよ。ああ、走馬灯のように昔のことが蘇ってくるよ~。

『ゆいよ。時として、心というのは時として実力以上の力を引き出すのじゃ』

『少年漫画みたいに?』

『まあ、そうじゃな。例えがあれじゃが……。その力を出すためにも、守らなきゃいけないことがあるのじゃ』

『なにを?』

『決して、諦めないことじゃ。例え、どんなに痛くて、苦しい時でも大切なものを守りたいという気持ち。その気持ちが、時として、更なる力
を出せるんじゃ』

『……言ってて、恥ずかしくない?』

『うるさい』

……そうだ。私はここで倒れちゃいけないんだ。痛い、しびれる、苦しい。それでも、私は立つんだ。あの子の為に。

「……待って、まだ、終わりじゃないよ……」

その時、ゆい先輩の声が聞こえました。弱弱しくも、生まれた子馬のように立ち上がろうとしています。

「ほほう。まだ、立つのか。ナイスファイトだね、リトルガール。……いや、ゆい。トドメだ、ライチュウ。のしかかりだ」

「ゆい先輩。よけてくださーーーーい!」

バーン。

ゆい先輩のいた所に、ライチュウの技は見事に決まりました。

「そ、そんな」

ベタッと私はひざをついてしまいました。自信満々に任せてって言ったのに。嘘つき。

「これで終わりだな」

「それはどうかな?」

そんな声とともに、ライチュウの体が少しずつ浮き上がります。

「ゆい先輩……!?」

「なんだと!?」

「これぞ、ゆいちゃん真拳奥義『火事場のゆいぢから』」

ついに、ゆい先輩はライチュウを持ち上げました。

「とりゃー」

ゆい先輩はライチュウを投げ飛ばしました。

「今から、見せてあげるよ。ゆいちゃん真拳の真髄を!」

「真髄だと!?」

マチスさんはこのバトルで初めて、驚愕の顔になりました。

「……ゆい先輩、大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。今から、あのライチュウを倒すから待っててね」

自信満々の顔で言うゆい先輩。

「……はい。頑張って下さい」

「うん。さて、 ゆいちゃん真拳究極奥義『告白☆パニック』」

「なんですか、その恥ずかしい技の名前は!?」

せっかくのいい場面が台無しです。

「この奥義はいろんな所で告白を行い、ダメージを与えるんだよ」

「まったく、意味が分かりません」

「まあ、任せんしゃい。見てれば分かるよ」

「ライチュウ。サッサと仕留めるんだ、ワイルドボルト」

ライチュウは電気を纏って、突撃してきます。しかし、ゆい先輩はさっきまでとは打って変わって華麗にかわします。

「さて、私の奥義スタート!!」

周りのステージがどこかの学校の屋上に変わります。そこを見るとやっぱり、私とゆい先輩(大)がいます。


ある夕方の屋上
『なんだい、あずにゃん。部室じゃ話せないことって……』

『ごめんなさい、こんなところに呼び出したりして』

『それは別にいいんだけどね。なにか、悩みとかあるの?部室じゃ話せない内容なのかな?』

『そうですね。悩みといえばそうかもしれません』

『それなら、澪ちゃんとかの方がいいんじゃない?私よりも適任でしょ?』

『あ、いえ。これは唯先輩じゃなきゃいけないんです。聞いてくれますか?』

『いいよー』

『唯先輩は女の子が女の子を好きになるっておかしいと思いますか?』

『はい?あの、いきなりなんなのかな?』

『つまりね、私は唯せんぱ……ううん。平沢唯が好きなんです。友達としてじゃなくて、恋人として』

『は、はい?冗談だよね?冗談に決まってるよね。もう、やだな~、あずにゃんたら、ハハハ~』
『冗談に見えますか?』

『……本気?』

『はい』

『私でいいの?澪ちゃんとかじゃなくて』

『唯先輩じゃなきゃ駄目なんです』

『……いいの?私、本気にしちゃうよ。取り消すなら、今のうちだよ?』

『何度も、言わせないで下さい。私は唯先輩が好きなんです』

『私も、あずにゃんのことが好きだよ』

『唯先輩』

『あずにゃん』

夕日をバックに二人はお互いの体温を確かめるように抱き合った。


「ライチュウーーーーーーーーーーーーー」

ライチュウの体がビリビリと電気を喰らいながら、真っ赤に熱を持ち始めました。今までの、口に出すのも恥ずかしいですけど、『アツアツ☆パラダイス 』や『ゆいちゃん☆ドキドキ☆スゴロク』を合わせてるような感じですね。さすが、究極奥義ですね。……なんて、冷静に考えてる場合じゃありません。

「なんですか、ゆい先輩。今の映像は」

「今の映像?ただの告白シーンだけど?」

「そうじゃなくて、配役が……」

「あ、逆の方がよかった?あずにゃんたら~。先に言ってくれればいいのに~」

「そうじゃなくて…」

「それじゃ、次に行くよ~」

「話を聞いてくださーい」


ある、枯れないで1年中咲いている桜の下で。

『どうしたんですか、唯先輩。こんな所で』

唯先輩は桜の木に手を付いて、上を見上げていた。

『桜の木にお願い事をしてたんだよ』

唯先輩は私が問いかけると、桜の木に寄りかかりながら言いました。たしか、この桜の木には願い事がかなう伝説があるって、噂があるらしい
ですね。

『それで、お話って……』

私の言葉を待たずに、唯先輩は言った。

『今日、あずにゃんを呼んだのはね、大事な話があるからなの』

『それは聞きました。そのお話って……』

『………私、あずにゃんが好きなんだ。友達としてじゃなくて』

唯先輩はその瞳に涙を浮かべながら、頬を真っ赤にして言いました。それはそうでしょうね。私は女で、唯先輩も女、つまりは同姓ですから。もし、失敗したとしたら、同性愛者として、自分の好きな人に嫌われる可能性もあるんですから。

『……嫌だったかな?』

唯先輩は不安そうに私を見てくる。今にも泣き出しそうだ。いつもの唯先輩とは大違いだ。きっと、そんな顔にしてしまったのは私のせいなんだろう。だから、私は言った。

『私も好きですよ』

私は桜の木に寄りかかる、唯先輩に近寄った。

『だから、いつもみたいに笑って下さい。私は唯先輩の笑顔が好きなんです』

唯先輩はちょっと驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔で言った。

『えへへ~、ありがとう、あずにゃん』

『そういえば、桜の木に何をお願いしたんですか?』

『勇気を下さいって、お願いしたんだよ。本当はうまくいきますようにって、お願いしたかったんだけど、それはずるいことだと思ったんだ。……それから、あずにゃん。一緒に願おう』

『何をです?』

『ずっと一緒に居られますようにって』

『……そうですね』

それは願わなくても、大丈夫ですけどね。……それでも、桜に願っておくのも悪くはないでしょう。そう思いながら、私は大切な人と願いました。


「ライチュウーーーーーーーーーーーーーー」

ライチュウの体から、大量の電流が流れ、ライチュウ自体はでんきタイプですから、こうかはいまひとつみたいですがそれでも十分なダメージを受けてるようです。それだけでなく、まるで、火あぶりになってるように、体中が赤く、プシューと湯気を立てているようです。こちらは電流よりもダメージを与えていて、ライチュウはたまらずに座り込んでいます。もっとも、プシューと湯気を立てているのはライチュウだけでなく、私もですが。

「あ、あ、あ、あ、あのゆい先輩。今の映像は」

「今の映像?もっと、見たいの?」

「ち、ち、違います。だから、唯先輩と私のシーンは……」

「あれはフィクションだよ。それとも、実際にしたいの?私はいつでも、歓迎だよ~」

「違います!!それよりも、ライチュウにトドメを」

「おっと、そうだった」

ゆい先輩は右手に炎を、左手に電気を発生させ、左手の電気を右手にそえます。そして、炎と電気がゆい先輩の右手に集まり、炎のなかにビリビリと電気が流れます。

「ゆいちゃん真拳究極奥義『ゆいちゃん☆ストレート』」

命名センスは悪いですけど、そのストレートは苦しんでるライチュウに決まり、さっきのお返しとばかりにふっ飛ばされました。

「ライチュウ~」

目をグルグル回しながら、立ち上がりますが、そのまま、気絶してしまいました。

「ライチュウ戦闘不能。ゆいの勝利。よって、梓選手に1ポイント。1対2。よって、梓選手の勝利です」

「か、勝ちました」

「まさか、ミーが負けるとは……」

「よくやりました、ゆいせんぱ……」

審判が結果を言うと、ゆい先輩がバタッと倒れてしまいました。私はゆい先輩に駆け寄ります。

「大丈夫ですか、ゆい先輩」

「あう~、あずにゃ~ん分」

私がゆい先輩を抱き起こすと、そう言って、胸に顔をうずめて、抱きついてきます。

「怪我とかは大丈夫ですか?十万ボルトとかをまともに食らってましたけど」

「それはポケモンセンターに行けば、大丈夫だけど、あずにゃん分だけは補給しなきゃね~」

「何を言ってるんですか」

まあ、でも、頑張ってくれたので、ゆい先輩をぎゅっと抱きしめてあげます。

「すまなかったね、キュートガール」

そうしてると、マチスさんが来ました。

「約束だ、これがオレンジバッチだ。それと、1万円」

「あ、ありがとうございます」

私はお財布とバッチ入れにそれぞれ入れます。

「長話もなんだ、早く、ポケモンセンターに連れて、行ってやれ。次のジムでも頑張ってくれよ」

「はい。ありがとうございます」

私はマチスさんとがっしり握手をして、ジムを後にしました。


あう~。今、私はあずにゃんの腕の中で、あずにゃん分を補給しています。それにしても、さすがは私、主人公だよね(注:違います)。危なく、あずにゃんがあのマッチョさんの専属メイドさんとか訳の分からないことになるのを救ったんだから。

「それにしても、人が多いですね。なにか、あるんでしょうか」

たしかに、人が多いね。まあ、ここは港町らしいしね。でも、どうでもいいや。この腕の中は天国だよ。

「この後、どうするの?」

「そうですね、イワヤマトンネルに行くので、いったんハナダシティに……」

「あら、梓ちゃんじゃない」

何やら、不穏な声が聞こえた気がするんだけど……。

「あ、ムギ先輩」

あ、やっぱり。これで、のんびりできると思ったのに、一難去って、また一難って奴だね。でも、頑張らなきゃね、私は主人公だし(注:違います)。今にして思えば、このムギちゃんとの出会いは序章だったんだろうね、あの戦いの。


クチバ編① 「VSマチス」 終了



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最終更新:2011年08月02日 01:28