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「あの、私が参加しっちゃっていいんですかね?」

「気にしなくていいのよ」

私達は、今、ポケモン大好きクラブ主催のパーティにムギ先輩と参加しています。というのも……。

~~~

『こんなところで会うなんて、偶然ですね。もう、てっきり、イワヤマトンネルを抜けて、シオンタウンに行ってるとばかり……』

『実は、明日、サントアンヌ号でやるパーティに参加しなきゃいけなくてね』

そういえば、ムギ先輩はお嬢様でしたね。

『なるほど。しばらくは足止めなんですね』

『まあ、明後日には出発するんだけどね。……ところで』

『はい?何ですか?』

『いや、あなたの腕の中にいるゆいちゃんだけど……』

『ガルル』

『なんで、私に威嚇してるのかしら?』

『さ、さあ。時々、私にも、よく分からないことをするので』

『まあ、いいわ。それよりも、時間ある?』

『ポケモンセンターに行ってからなら、ありますけど』

『それじゃ、私と一緒に行ってほしいところがあるの』

『いかがわしいホテルは駄目だよ。そんなのこのわた……モガ』

『え、えーと、どこですか?』

『ポケモン大好きクラブのパーティ』


~~~

というわけで、この夕食会に参加はしてるんですけど……。

「ねえ、どう、このスリープ。可愛いでしょう?」

中年くらいの年齢で眼鏡をかけた金持ちそうな女の人が話しかけてきます。

「そうですね、えーと、眼が特徴的で可愛いと思います」

「あら、分かる?そうね、まずこの目がね……」

上機嫌に自分のポケモンの魅力を語り始めます。このパーティーでは、いろんな所で、ポケモンの自慢をしています。

「あなたの自慢のポケモンを見せてくれる?」

さっきの女の人が自分の自慢話が終わったのか、もっとも、全然聞いていませんでしたが、聞いてきます。

「私の自慢のポケモンですか?それは……」

「もちろん、私だよ~」

今まで、ケーキを食べていた、ゆい先輩が得意げに胸を張って、話に入ってきます。

「あなたが?あ、なるほど。お姉ちゃんといっしょにポケモンごっこをよくしてるのね」

「違うよ~。私は妹でもないし、立派なポケモンだし、これでも、18歳なの!」

「あなたは見かけは子供で、中身は大人だと?」

「そうだよ」

それはどうでしょうね。

「それじゃあ、どこぞの名探偵じゃない。とすると、このパーティでも殺人事件が起きるのかしらね」

「そんな、私は死神少年じゃないよ。あずにゃん、いつものを」

いつもの動作をします。

「分かってもらえたかな、私がポケモンだということを」

「ええ、分かったわ。ところで、あなた」

「は、はい」

「このポケモンを交換してくれない?」

「それは……」

「駄目だよ。私はあずにゃんと居たいの!!」

そう言って、ゆい先輩は私の後ろに隠れてしまいました。

「あら、そうなの?それは残念だわ。……それにしても、あなたはすごいのね」

「何がですか?」

「こんなにポケモンになつかれるなんて。それだけで、立派な才能よ」

「あ、ありがとうございます」

「はあ~、疲れました」

さっきの女の人との会話を終えて、ちょっと、隅の方に来ました。

「パクパク」

「さっきから、食べてばかりですけど、太らないんですか?」

ちょっと失礼な気もしますけど、聞いてみました。

「私はいくら、食べても太らないんだよ」

「そうなんですか」

「どう、梓ちゃん。楽しんでる?」

「あ、ムギ先輩。いろんな人やポケモンを見れて、楽しいですね」

「それはよかったわ。ゆいちゃんも楽しんでる?」

「うん!」

「そう」

ナデナデ。

ムギ先輩はゆい先輩の頭を撫でます。

「えへへ~」

気持ちよさそうに笑う、ゆい先輩。何でしょうか、見ていて、微笑ましい光景のはずなのに、胸がムカムカするというか、なんていうか、あまり気分のいいものじゃないのは何ででしょうか。

「やあやあ、紬君」

「あ、会長さん」

そんなことを考えていたら、白いひげをした、少し、偉そうな人が来ました。

「あの、ムギ先輩。その人は……」

「ああ。この人はこのクラブの会長さんで、私のおじいちゃんと友達なの」

「会長さん!?」

さすがはムギ先輩。なんていう人と知り合いなんですか。

「それで、これが、今日招いたお友達かい?」

「はい。こちらが、中野梓ちゃん。こっちの小さい子がゆいちゃん。これでも、ポケモンなの」

「よろしくお願いします」

「よろしくねー」

「うむ。よろしく。君がポケモンなのは聞いてるよ。さっきから、話題になってるよ」

「そ、それはどうも」

「ところで、1つ頼みがあるんじゃが」

「何ですか?」

「実はな、ムギ君とバトルしてもらいたいんじゃ」

「はい?それはかまいませんがどうしてですか?」

「な~に、今日の余興じゃよ。ただ、その子を使ってほしいのじゃ」

「ゆい先輩をですか?どうしてですか?」

「その子が戦ってる姿が見てみたいという、会員もいるのでね」

「なるほど」

たしかに、こんな能天気にケーキを食べてる子がどんな戦いをするのか興味を持つのは当然だと思いますけど。

「でも、ポケモン大好きクラブの方って、バトルとか嫌いなんじゃ……」

たしか、このクラブの会員って、自分のポケモンの自慢話とか、見せびらかしたりとかをするのが好きなはずです。

「嫌いってわけじゃないんじゃがな。あまり好きではないのは事実じゃが。まあ、純粋な好奇心というのもあるな。どうじゃ、やってくれないかな?」

「分かりました。ムギ先輩、頑張りましょうね」

「ええ」

「それでは早速、準備に入ってくれないかの?」

「はい。……といっても、準備は特にないんですけど。あ、でも、その前に、えっと、お手洗いに…」

「では、10分後に始めようか」

「はい。じゃあ、ムギ先輩。ちょっと、ゆい先輩を頼みますね。すぐに戻りますから」

「任せてちょうだい」

「パクパク。美味しいね、これ」

「気に入ってもらえたかしら」

「うん。それにしてもよかったよ。ムギちゃんは違うみたいで」

「何が?」

「別になんでもないよ」

澪ちゃん達がそうだったから、ムギちゃんもかなって思ったけど、さすがにそれはなかったね。

「ところで、ゆいちゃん。ちょっとお願いがあるの?」

「お願い事?なんだい、私が解決してあげよう」

私は紅茶を飲みながら、機嫌よく言った。

「実はね、梓ちゃんを私にくれない?」

「ぶー」

「どうしたの、ゆいちゃん。急に噴き出して」

「やっぱり、私の周りはあずにゃん以外、敵だらけだ」

私は生まれて初めて、神様を呪いました。

「今回のバトルで勝ったらでいいから」

「そんな可愛らしくお願いされても、あずにゃんは私のなんだよ。いいよ、その挑戦受けてたつよ。この物語はきっと、私があずにゃんを守るために懸命に戦って、結婚するための物語なんだね」

「きっと、それは違うと思うわ」

「とにかく、私はりっちゃんも倒したんだし、ムギちゃんも倒すよ」

「りっちゃんを倒したの?でも、りっちゃんは私たち三銃士の中でも最弱の存在。それくらいで調子に乗らないほうがいいわ」

「どうでもいいけど、りっちゃんの扱い、皆酷くない?」

「お待たせしました。あれ、どうしたんですか?」

なんか、2人の間に重苦しい雰囲気が流れてる気がするんですけど、気のせいですかね。さっきまで、あんなに仲よさそうだったんですから。

「別になんでもないよ。ね、ムギちゃん」

「そうよ、なんでもないわよ」

2人とも、清清しい笑顔で言う。やっぱり、気のせいなんでしょう。

「じゃあ、始めましょうか。ね、ゆいちゃん」

「そうだね、ムギちゃん」

私が居ない間に何があったんでしょうか。こんなに仲がよくなるなんて。……ちょっと、面白くない気分になるのは何ででしょうかね?

「それでは、今回の特別イベント。琴吹紬さんと中野梓さんの特別バトルを行います。なお、今回のバトルでは中野梓さんは世にも珍しいポケモン、ゆいちゃんを使っていただきます」

「さて、頑張ろう」

屈伸をして、気合を入れるゆい先輩。

「気合入ってますね、ゆい先輩」

「当たり前だよ。負けられない戦いがここにはあるんだよ」

フンスといつもよりを気合が入っています。いつも、こんな調子ならいいんですが。

「それでは、準備はよろしいですね」

「はい」

「ええ」

「「「バトル開始!!」」」

「きて、フシギソウ」

「頑張ってくださいね、ゆい先輩」

「フシギソウ。ハッパカッターよ」

フシギソウから、葉っぱが忍者の手裏剣のように発射されます。

「かわして、ゆい先輩」

「いつも、簡単に言うけど、私、基礎的な能力って低いんだよね~」

なんて、言いながらも、寸前のところでかわします。

「なら、これなら、どうかしら。エナジーボール」

フシギソウの蕾にエネルギーが溜まって攻撃してきます。

「それも無駄だよ~」

ゆい先輩はひらりとかわします。

「やりました!ゆい先輩、反撃です」

「それはどうかしら?」

「!?」

「ふん、強がっていら……あだっ!!」

バタン、とゆい先輩が転んでしまいました。ゆい先輩の足には、草が絡まっています。この技は……。

「くさむすび!?」

「油断は大敵よ、梓ちゃん」

なるほど、さっきの2つの技は囮だったんですね。さすがはムギ先輩。

「フシギソウ、今がチャンスよ。光のエネルギーを溜めて」

「これは!?早く、逃げてください!」

「そんなこと言っても、取れないよ、これ」

「トドメよ、ソーラービーム」

フシギソウの蕾の部分から、光の光線がゆい先輩に向かって、飛んできます。

「ゆい先輩!!」

「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

ゆい先輩は逃げ切れずに、直撃しました。煙でまだ、見えませんが、このまま、ダウンでしょうか。

「さすがは、琴吹会長のお孫さんだ。ポケモンも強い」

「でも、ゆいちゃんの技も見たかったわね」

「まあ、見かけだけのマスコットだったわけだな。私たちには大歓迎だけれども」

皆さん、勝手なこと言ってますが、ゆい先輩の強さはこんなものじゃありません。そのことを知ってるのはこの会場だけでも私だけですね。……って何、得意げになってるんでしょうかね。煙もなくなってきて、いよいよ、ゆい先輩の姿が見えてきました。

「お、おい。あれ、見ろよ」

「あ、ああ。ボロボロじゃないか」

確かに、ゆい先輩の体はところところ、焦げていて、服もボロボロです。……まさか、本当によけきれずに直撃したんですか。私が顔を青ざめていると、

「ふう~、危ない、危ない。直撃するところだよ」

とのんきな声が聞こえてきました。よく見ると、焦げているのは、ゆいぐるみですね。

「これぞ、 ゆいちゃん真拳奥義『ゆいぐるみバリアー』」

「す、すごい」

「こんな技初めてみるぞ」

会員の方々も驚愕の声が聞こえてきました。


「さて、ムギちゃんには悪いけど、ここからは私のワンマンショーだよ。行くよ、ギー太。D・Dモード」

D・Dモード?律先輩の時に見せたあの技ですか。しかし、律先輩に通じても、果たして、ムギ先輩に通じるでしょうか?なんて、律先輩に失礼ですけど。

「さて、行くよ。ゆいちゃん真拳奥義『ゆい戯王GX』」

バーン、と煙みたいのがゆい先輩の周りを包みます。

「ついにあの子の技を見れるぞ」

「一体、どんな技を繰り出すのかしら」

周りの会員の人たちも興味津々です。まあ、私自身も把握してませんが。おっと、煙が消えてきました。その姿は……はい?

「……あの、ゆい先輩。なんていう格好をしてるんですか」

ゆい先輩の姿を見ると、へんな仮面をしていて、マントまで羽織っています。

「私はゆい先輩じゃないよ」

「じゃあ、何なんですか?」

「私の名前は、正義の味方ゆいちゃんマン」

「えー…」

いろいろと突っ込みたいことはたくさんあるんですけど……。

「ゆい先輩は女の人なのにマンっていうのは?」

「細かいことを気にしては駄目だよ、あずにゃん君」

「は、はあ」

まったく、また、訳の分からないことをして、皆さん、呆れ返って……

「まさか、あれは伝説のアズリストの1人、 正義の味方ゆいちゃんマン !」

「え、なにを言ってるんですか、ムギ先輩」

「そうか、あれが……」

「私も噂では聞いたことがあるけど、実物を見るのは初めてよ」

え、何ですか、これ。有名なんですか。そもそも、アズリストって何なんですか。


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最終更新:2011年08月02日 01:30