よく見ると、ゆい先輩がモップにつけてたのは、ローション!?しかも、ビニールシートまで。つまり、ゆい先輩はビニールシートの上にローションをモップでかけてたってことですね。

『あ、これ、夜、あずにゃんお嬢様と使うやつだった。テヘリ』

また、可愛らしく笑うゆい先輩。用途については聞かなかったことにしましょう。

「これが、マコトの言ってたふざけた技ね」

『よくできましたよ』

『最後は夜のご奉仕だね』

『その前に、掃除してもらって悪いんですけど、そのサイドンを壊して下さい』

涼しい顔で何を言ってるんですか、あの『私』。

『分かった~。よいしょっと』

ゆい先輩は10tって書いてある、ハンマーを持ち、サイドンに向かって、振り回す。

『え~い』

可愛らしい声とともに、サイドンにお腹に叩く。サイドンの体はひび割れて、倒れて、動かなくなった。

『わ~い、私の勝ちだね』


そんなのんきな声とともに、バーンと煙が発生し、メイド服姿ではなくなり、『私』もいなくなりました。

「……勝ちましたか」

「ふーん、やるわね。仕方ないわ、今日のところは一旦退くわね」

そういうと、山中さんはエアームドを出し、空へと逃げる。

「また、会いましょうね~」

そう言って、去っていきました。……正直、助かりました。このまま、3匹目とかも、出されたら、おそらくは……。

「大丈夫ですか、ゆい先輩。顔色が……」

「そんなのは、どうでもいいよ。……ほら、腕を出して」

ゆい先輩はいつもとは違う、真剣な顔をして言った。

ドキン。

また、胸が高鳴りました。きっと、ここに来る前に、へんなことを考えてしまったせいですね。

「ゆいちゃん真拳超奥義『あずにゃん☆ペロペロ』」

なんていうか、いろいろと問題のありそうな名前ですね~、って考えてたら、ゆい先輩が私の傷口を舐め始めた。

「ちょ、ゆい先輩」

「ペロペロ、嫌かもしれないけど、ちょっと、我慢してね」

ちょっと、くすぐったいですけど、私はそれを止められませんでした。そして、不思議なことに、ゆい先輩が傷口を舐め終わると、傷が綺麗に消えてしまいました。

「すごいですね、ゆい先輩!」

「えへへ~、あずにゃんの綺麗な肌に傷を残し…ちゃ……駄目…だから」

バタッとゆい先輩が倒れました。

「ゆい先輩!!」

私はゆい先輩を抱き上げると、ゆい先輩の顔色は悪く、呼吸も苦しそうです。

「だ、大丈夫ですか」

そう聞いても、ゆい先輩は答えずに苦しそうにしています。私は、ゆい先輩を抱きかかえて、宿泊所まで、走り出しました。


―――

『いいんですか、逃がしてしまって』

『いいのよ、それよりも映像は撮れた?』

『はい、もちろん』

『まあ、あの程度なら、大丈夫でしょう。マコトが負けたっていうから、どの程度の奴かと思ったけど、たいしたことはなかったわね』

『これから、どうしますか?』

『そうね、フリーザの捕獲もあるし、セキチクに行くわ』

『せっかくの温泉でしたのに』

『それは言わないでよ』



2日後

「ほえ」

私が目覚めると、知らない天井があった。あれ?私は、確か、山の中で、戦ってたはずなんだけど、知らないベットで寝ていた。私は必死に今までの記憶を思い出した。そういえば、あずにゃんの傷を治したら、あずにゃん分の使いすぎで、倒れちゃったんだっけ。私は近くにあった、カレンダーを見ると、戦った日から2日ほど、経っていた。まさか、こんなに寝ちゃうなんてね。うん、力の使いすぎはよくないね。

「……すう……すう」

可愛らしい寝息が聞こえたので、私のベットで、学校とかで、机に伏せて寝るように、あずにゃんが寝ていた。私が寝てる間、徹夜で看病してくれたのかな?そうだったら、嬉しいなって、考えるのは駄目だよね。心配かけちゃったわけだし。私は可愛らしい寝顔で寝るあずにゃんの頭をなでる。

「……ううん。……ほえ、ゆ、ゆい先輩!!」

私が頭を撫でたせいか、あずにゃんは突然に起きて、私が起きているのを確認すると、涙ぐみながら、抱きついてきました。

「あ、あずにゃん」

「よ、よかったです。……もうずっと、目覚めないかと思いました」

「……私は大丈夫だよ」

優しく、あずにゃんの頭を撫でる。

「もう、体は、大丈夫なんですか?」

「うん、ちょっと力を使いすぎちゃっただけだから」

「どうして、そんな無茶をしたんですか?」

「だって、ああしなきゃ、負けてたし」

「それはいいとしても、私の傷を治すのにも、力を出すなんて……」

「それも、仕方のないことだよ。傷が残ったら、大変だし」

「だとしても、死ぬかもしれなかったんですよ。どうして、私のために……」

死ぬかもしれないって、大げさだな~。まあ、2日も目を覚まさなかったら、そう思うのも無理ないけど。でも、そんなことよりも重要なことを言わなきゃね。

「だって、一番好きだもん」

あずにゃんは一瞬、虚をつかれたような顔をして、それから、顔が真っ赤になった。表情がころころ変わって面白いな~。

「な、な、何を言ってるんですか、もう!」

顔を真っ赤にして言うあずにゃん。あー、とかうー、とか唸っている。なんだか、こっちが恥ずかしくなってくるよ。まあ、恥ずかしいこと言ってるけど。どこかの有名野球漫画の台詞の1つを言ってみたんだよね。この気持ちに嘘はないけど。

「………きです」

「ん?なにか、言った?」

その時、ガチャっと、ドアが開く音がした。あの時の小学生の女の子達だ。

「梓お姉ちゃん、ゆいちゃん、目さま……」

「私も、ゆい先輩のことが好きです!!」

「………」

しばらくの間、この部屋に沈黙が流れた。私は突然のことに頭が真っ白になってたし、あずにゃんも、突然の女の子達の乱入にびっくりしてるみたいだし、女の子達もこの光景にびっくりしているみたいだ。やがて、1人の女の子が沈黙を破った。

「今のって、……告白?」

「やっぱり、そうなのかな」

「ゆいちゃん、そうなの?っていうより、目を覚ましてるよ。大丈夫?」

「うん、私は平気~」

「それはよかった。……では、ゆいちゃんにインタビューです。突然の告白ですけど、その心境は?」

「え~、いきなり、聞かれても困っちゃうよ~。でも、こうなることは運命だったのかな~」

「運命ときましたよ。返事はどうなんですか?」

「もちろん、いつでも、ウエルカムだよ~。これで、私達は恋人同士だね」

「だそうですが、ここで、梓おねえちゃんにも、話を聞いてみましょう。梓お姉ちゃん、ゆいちゃんはああ言ってますが、それについて、何か一言」

「………う」

「う?」

「うにゃーーーーーーーーーーーーー」

「いいですか、ゆい先輩」

あずにゃんは小学生の女の子達を追い出してから私に言った。

「好きですとは言いましたけど、普通の恋人とは違いますからね」

「違うの?」

ちょっとシュンとなっちゃった。

「……う。あ、あくまで、仮です。恋人(仮)です」

「なんか、変じゃない?」

「変じゃありません」

「(仮)はいつ取れるの?」

「そ、それは未定です。とにかく、今日はゆっくりして、明日には出発しますからね」

「分かった~」

「……なんで、あんなこと言ったんでしょうか」

ゆい先輩があんなこと言うから、勢いで言ってしまいましたが、まあ、私自身、後悔はしてないし、ゆい先輩が目を覚まさない間、ずっと、考えてたことだけど、相手は同性のうえに、容姿は幼稚園児。これが私と同じくらいの身長なら、まだいいんですが、……って何を考えてるんでしょうか。ともかく、(仮)にしたのはまあ、いろいろと世間の目もありますし。だって、このまま、いっちゃったら、私は同性愛者の上にロリコンの烙印を押されてしまいますから。

「どうしたの、あずにゃん」

「べ、別に何でもありません」

まあ、細かいことを考えても仕方がありません。なるようになるでしょう。

「あずにゃん」

「何ですか?」

「あらためて、これから、よろしくね」

「……はい」


イワヤマトンネル編① 「VSさわ子 動き出す関係」終了




『わ~い、やっと、あずにゃんと恋人同士だよ~』

『まだ(仮)ですよ』

『どっちでも同じだよ~』

『同じじゃありません』

『まあ、いいじゃん。あずにゃ~ん』

ギュッと抱きついてくる、ゆい先輩。

『にゃっ。もう、急に何するんですか~』

『えへへ~』

イチャイチャ。

『見ろよ。あいつ、ロリコンだぜ』

『まさか、梓がロリコンだなんて』

『ショックだわ』

『……ハッ。ち、違います。私とゆい先輩はそんな関係じゃ……』

『え、そうなの?あずにゃんは私が必要ないんだ』

『だ、誰もそんなことは……』

『じゃあ、やっぱり、ロリコンなのか』

『そうじゃなくて……』

『じゃあ、私を捨てるの?』

『だから、……』

『この性犯罪者め』

『違い……』

『捨てないで、あずにゃん』

『……うにゃーーーーーーーーーーー』


~~~

……ハッ。夢ですか。それにしても、なんていう夢ですか。……嫌な汗もかいてますし。時間を見るとまだ、早い時間ですし、ゆい先輩も、ぐう~ぐう~寝てますし。

「汗もかいちゃったし、シャワーでも、浴びますか」

「さて、行きますか」

私はシャワーを浴びて、朝食後、出発することに。

「うん、頑張ろうね。えへへ~」

ゆい先輩は笑顔で言う。昨日から、ずっと、笑顔ですね。笑顔っていいましたけど、ニヤニヤしてるみたいな顔ですけど。

「……ご機嫌ですね」

「そう見える?えへへ~」

「……まあ、いいです。行きますか」

「うん」

私達はイワヤマトンネルの洞窟に足を踏み入れます。

「真っ暗だね」

「ええ」

暗いことで、有名ですから、仕方がないですけど。私は懐中電灯で照らしながら、一歩一歩進んでいきます。

「気をつけて下さいね。怖いポケモンが出るかもしれませんから」

「大丈夫、大丈夫。ルンルンル~ン」

気分よく鼻歌を口ずさみながら歩いていく、ゆい先輩。

「あんまり離れると危ないですよ」

「分かってるよ~。近くに居てほしいんだね」

「誰もそんなこと言ってません」

「照れなくてもいいんだよ~」

「分かりましたから行きますよ」

「うん。えへへ~」

懐中電灯の明かりを頼りに歩いていますが、やっぱり、怖いですね。時折、ズバットの鳴き声も聞こえますし。早く、ここを抜けないと。地面もゴツゴツして危ないですし。

「ゆい先輩。そろそろ、肩車をするので来て下さい」

「え、あずにゃんたら。そんな大胆な~」

「何を言ってるんですか。そろそろ、地面もゴツゴツしてきて、ゆい先輩の体型じゃ危ないからですよ」

ゆい先輩を抱き上げ、肩車をして、懐中電灯を渡す。

「これで、私の前を照らしておいてください」

「分かったよ~」

私は再び、歩き始めます。

「それにしても、真っ暗だね~」

「ちゃんと、照らしておいてくださいよ」

「任せなさい!」

自信満々に言いますが果てしなく不安です。

「それにしても、どれくらい、深いんだろうね~」

そう言って、上のほうに、光を当てるゆい先輩。

「ちょっと、足元を……キャー」

「ウワー」

ゆい先輩が上に光を当てると、それにびっくりしたのか、ズバットの大群が私の上を通過して行きました。

ガシャン。

突如として、周りが暗くなりました。

「ゆい先輩、懐中電灯を」

「ごめん、落としちゃった」

「なっ!!どうするんですか、こんな真っ暗で」

「う~ん。……どうしよっか?」

「私が聞きたいですよーーーー」

私の叫びが洞窟に響き渡った。

「出てきて、イーブイ」

私は手探りでボールを取り出し、イーブイを出します。そして、バックから、かみなりのいしを取り出します。そして、イーブイをサンダースに進化させます。

「サンダース、フラッシュ」

サンダースの周りが、光り輝き、辺りが明るくなりました。

「最初から、こうすればよかったじゃん」

「そうなんですけど、ここは、いわやじめんタイプのポケモンも多く出ますからね。サンダースじゃ不利ですし。出てきて、デルビル」

私はデルビルを出し、その上にゆい先輩を乗せます。

「あう~、あずにゃんは肩車してくれないの?」

「この方が楽でいいじゃないですか?」

それに、デルビルに乗る、ちっちゃいゆい先輩がかわい……ゴホン。

そして、サンダース、私、デルビル、その上にゆい先輩の順で、洞窟を進んでいきます。すると、梯子がありました。

「これを降りるの?」

「はい。……でも、どうしますか」

サンダースじゃ、梯子を下りれませんし、だからといって、ボールに戻したら、暗くて見えませんし。梯子の下を照らすと、意外に深いですし。

「サンダース」

「はい?」

サンダースが何か言いたそうに私に話しかけてきました。

「なんかね、私が、最初に梯子を降りるからついてきて、だって」

「は、はあ。でも、大丈夫ですか?」

「ダース」

「任せて、だって」

賢いですね、随分と。まあ、こう言ってる訳ですし、任せましょう。


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最終更新:2011年08月03日 03:09